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更新日:2023年6月9日
市政運営の基本姿勢やまちづくりの取り組み方針などについて述べた施政方針・所信表明をご覧いただけます。
本日、令和5年度予算案並びに関連諸議案のご審議をお願いするに際しまして、市政運営に臨む所信を明らかにし、市議会議員各位をはじめ、市民のご理解とご賛同を賜りたいと存じます。
私が市長に就任した当時、全国的に人口減少・少子高齢化が進んでおり、本市も例外ではありませんでした。
そうしたなか、私がまず、第一に掲げたキーワードは「市民目線によるまちづくり」であり、その主たる取組が「こどもを核としたまちづくり」と「誰にもやさしいまちづくり」です。これらのまちづくりを重点的に推進することで、市民に「安心」が生まれ、子育て世代を中心に本市が選ばれるようになりました。これまで減少傾向であった本市の人口は、2013年に増加に転じ、2020年には初めて30万人を超え、今もなお増加し続けています。
合計特殊出生率につきましても、2011年の1.50から、2021年には1.65まで回復し、全国や県を大きく上回っている状況です。
また、「こどもを核としたまちづくり」と「誰にもやさしいまちづくり」によって生み出される暮らしの「安心」は、結果として人口だけでなく、まちの賑わい、税収の増加をもたらすとともに、更なる施策展開へとつなげることで、まちの魅力がより一層向上するという「まちの好循環」へと発展いたしました。
こうした「まちの好循環」の維持、拡大を図り、まちの持続的な発展につなげていくため、本市では今年度から「あかしSDGs推進計画(第6次長期総合計画)」に基づき、「いつまでも、すべての人に、やさしいまちを、みんなで」をキーワードに「SDGs未来安心都市・明石」の実現を目指し、まちづくりを推進しています。
本計画では、SDGsの理念である「持続可能」「誰一人取り残さない」「パートナーシップ」をまちづくりの基軸として位置づけ、「2030年のあるべき姿」として「人口30万人」を維持することや、「住みやすいと思う人の割合100%」を目標としています。
これらの目標の達成に向けまして、今後更にソフト・ハードの両面から市民一人ひとりに寄り添った施策を展開することとしております。
次に、昨今の社会情勢に目を向けますと、今年度はこれまでのコロナ禍での外出規制が少しずつ緩和され、徐々にではありますが、市内においても各種イベントなどが再開し、まちに賑わいが戻りつつあります。
一方で、ロシア・ウクライナ戦争に端を発する原油価格・物価高騰などの影響により、市民生活は厳しい状況が続いているところです。
今後も引き続き、市民の生活を守るため、スピード感を持って、支援が必要な人へ必要な支援を届けるとともに、アフターコロナを見据えた「新しい生活様式」に対応した取組を進めてまいります。
これらの状況を踏まえ、2023年度は次の3つのまちづくりを重点的に推進してまいります。
1つ目は「こどもを核としたまちづくり」です。
本市においては、すべてのこどもたちをまちのみんなで、一人ひとりに寄り添いながら本気で応援するため、こども医療費をはじめとする「明石独自の5つの無料化」を先駆的に取り組んでまいりました。
現在、国においても少子化対策は先送りが許されない待ったなしの課題として、児童手当を中心とした経済的支援の強化に向け、本格的な議論が始まっています。また、各自治体においても、独自に子育て支援策を拡充する動きが急速に広がっているところです。
本市においては、引き続き、国を待つことなく、子育て世代への更なる支援の拡充を図るため、新たに高校生世代への市独自の児童手当を創設するなど、「こどもを核としたまちづくり」をより一層推進してまいります。
2つ目は、「誰にもやさしいまちづくり」です。
本市はこれまで、年齢・性別・障害の有無・国籍などに関わらず、誰もが住み慣れた地域で自分らしく、社会の一員として分け隔てられることなく安心して暮らし続けられる共生社会、いわゆるインクルーシブ社会の実現を目指し、多岐にわたる幅広い取組を推進してまいりました。
新年度は、「あかしインクルーシブ条例」や本年4月に施行する「あかしジェンダー平等推進条例」に基づく取組のほか、LGBTQ+/SOGIE施策の推進や犯罪被害者等への経済的支援の拡充など、異なる価値観を認め合い、多様性が尊重され、人と人とが支え合うインクルーシブなまちづくりを進めてまいります。
3つ目は「本のまちづくり」です。
私は本を通じて、知識や教養の向上はもとより、優しさや勇気、創造力など、市民一人ひとりの心の豊かさが育まれ、将来にわたり、まち全体を文化の薫り高いまち、思いやりと優しさのあふれるまちにしたいと考えております。
そのため、明石駅前への市立図書館の移設や移動図書館車の刷新などの環境整備に取り組んできたところです。
今後は、市民ニーズや同規模の自治体における図書館の整備状況なども踏まえ、「5図書館プロジェクト」を推進することで、いつでも・どこでも・だれでも、手を伸ばせば本に届くまちづくりを一層進めてまいります。
以上の方針を踏まえた上で、2023年度の各分野における重点的な取組について、「あかしSDGs前期戦略計画」に掲げる5つの柱に、「物価高騰などにおける市民生活への支援の強化」を加え、6つの柱として取組を推進してまいります。
1点目の柱は、「こどもの育ちをまちのみんなで支える」です。
先ほどもご説明いたしましたが、「高校生世代への児童手当の支給」については、中学校を卒業後、教育費や食費などの経済的負担が大きくなる高校生世代の児童が、安心して学業等に励み、また生活できるよう、16歳から18歳までの児童を対象に、所得や就学・就労制限のない、本市独自の児童手当を創設いたします。
次に、「妊娠期から出産・子育てまでの切れ目のないきめ細かな支援」といたしまして、引き続き、妊婦全員への面談や新生児訪問の実施など、伴走型相談支援に取り組むとともに、出産・子育て応援給付金の支給を実施してまいります。
また、新たに、出産後に心身の不調や育児不安などを抱える人を早期に把握し、適切な支援につなげるため、産後2週間と1か月に実施する産婦健康診査の費用助成を行ってまいります。
次に、「就学前の児童とその保護者への支援」といたしまして、市内すべての公立保育所において、保護者の利便性と保育の質の向上を図るため、スマートフォンアプリを活用した保育支援システムを導入し、ICT化を推進します。また、新たに、就学前児童の健やかな発達を支援するため、5歳児発達相談として、5歳児の保護者に対して、発達の目安等を掲載したリーフレットの配付を行うとともに、心理士による個別相談を実施してまいります。
次に、「良好な教育環境の整備」といたしまして、児童数の増加に伴い、教育施設の拡充や放課後児童クラブでの受入枠を確保するため、谷八木小学校での仮設校舎の整備のほか、藤江小学校での児童クラブ棟の整備を進めてまいります。また、学校施設におけるトイレ改修やエレベーターの設置などに順次取り組み、教育施設のバリアフリー化を推進いたします。
次に、「特別支援教育の充実」といたしまして、医療的ケアが必要な児童生徒に対する看護師の配置を拡充するほか、教職員の特別支援教育に係る専門性の向上を図るため、特別支援学校教諭免許状の取得に係る費用助成を行ってまいります。
また、明石養護学校に在籍する児童生徒の学習権の保障と保護者の負担軽減を図るため、スクールバスを導入するなど、通学支援を実施してまいります。
2つ目の柱は、「笑顔あふれる共生社会(インクルーシブ社会)をつくる」です。
まずは、「高齢者施策」といたしまして、高齢化が進むなか、住み慣れた地域で安心して暮らすことができるよう、引き続き認知症に関連する包括的かつ継続的な支援に取り組んでまいります。また、地域で暮らす高齢者を、地域で助け合い、支え合う関係づくりを強化するため、新たに「地域見守りサポート活動団体登録制度」を創設するほか、高齢者への見守り等を行う高年クラブや、アフターコロナを見据え、地域でフレイル予防に取り組む市民に対して、活動を支援してまいります。加えて、「(仮称)地域見守りあんしんプロジェクト」として、専門職による見守り訪問等について、従前の75歳以上の一人暮らし高齢者に加え、認知症や老々世帯、ひきこもり、障害のある人など、孤立している要支援者に対象を広げてまいります。
次に、「障害者施策」といたしまして、障害のある人もない人も安心して暮らせるまちづくりを目指して、合理的配慮の提供とコミュニケーション支援の充実を図るため、引き続き点字メニューの作成や簡易スロープの設置助成などを行うとともに、新たにコミュニケーション支援ボードと支援カードを作成し、事業者や希望する障害者に配付するとともに、市の各窓口に設置いたします。
次に、「犯罪被害者等に対する支援」といたしまして、継続的かつ、きめ細かな支援を行うため、総合相談窓口を設置し、家事・育児・介護などの日常生活の支援や経済的支援などに引き続き取り組むとともに、遺族支援金や遺族立替支援金、特例給付金の支給額を増額するなど支援の更なる拡充を図ってまいります。
3つ目の柱は、「豊かな自然と共生し、暮らしの質を高める」です。
まずは、「脱炭素社会の実現に向けた取組」といたしまして、引き続き既存住宅における再生可能エネルギー設備やZEH住宅などへの補助を行うとともに、新たに、市民が購入する太陽光発電設備や蓄電池について、他市と共同して発注することにより、市民の負担軽減を図り、再生可能エネルギーの普及に努めてまいります。
また、公共施設におきましても、小・中学校での太陽光発電設備の設置に向けた取組や、市内97施設での照明設備のLED化を推進することにより、消費電力の削減等に取り組んでまいります。
次に、「17号池魚住みんな公園」については、「みんなにやさしい運動公園」として、すべての市民が利用できる緑のグラウンドや、インクルーシブ遊具を設置した広場などを整備し、本年4月末の開設に向けて取り組んでまいります。また、開設後は、公園施設を活用し、誰でも自由に参加できるスポーツや文化などの様々なイベントも実施してまいります。
次に、「大久保北部」につきましては、豊かな自然を将来の子どもたちに引き継いでいくため、市有地の旧キャンプ場の一部に、水道や簡易トイレ等を整備し、自然体験や環境学習の場として活用してまいります。
次に、「豊かな海づくりの推進」であります。
昨年11月に開催した「第41回全国豊かな海づくり大会兵庫大会」を契機といたしまして、将来にわたり市民が自然の恵みを享受できるよう、引き続き、市民をはじめ、漁業関係者や国・県などと連携しながら、施肥やたこつぼの投入、すべての浄化センターでの栄養塩管理運転、海洋ごみの処分に取り組むとともに、新たに二見浄化センターからの処理水放流に係る栄養塩の分布シミュレーションを行うなど、豊かな海づくりに向けた取組を一層推進してまいります。
4つ目の柱は、「安全・安心を支える生活基盤を強化する」です。
まずは、「市役所新庁舎整備に向けた取組」といたしましては、「すべての人にやさしいスリムでスマートな庁舎」を基本理念に、2027年の供用開始を目指し、実施設計に取り組むとともに、窓口サービスのあり方などの検討を進めてまいります。
次に、「災害発生時等の消防機能の強化」といたしまして、中崎分署について、市役所新庁舎の整備に合わせた建替に向けて基本設計に取り組むとともに、魚住分署については、耐震改修工事を実施してまいります。また、消防局庁舎及び江井島分署については、感染症等への対策を講じるため、仮眠室の増設工事に係る実施設計を行ってまいります。加えて、消防指令業務を迅速かつ適切に行うため、高機能消防指令センターの更新工事を進めてまいります。
次に、未来への投資として、「持続可能で安全・安心のやさしい都市空間づくり」を計画的に進めるため、西明石町・和坂地区において2か年に渡り浸水対策工事を実施するとともに、幹線道路においては山手環状線大窪工区と江井ヶ島松陰新田線について、2026年度中の完成を目指して道路築造工事や用地買収などを進めてまいります。また、安全・安心な水道水を安定して市民に供給するため、県営水道の増量受水と阪神水道企業団からの新規受水による水源転換に向けた取組を進めるとともに、魚住浄水場の再整備を進めてまいります。
5つ目の柱は、「まちの魅力を高め、活力と交流を生み出す」です。
まずは、「本のまち明石の推進」につきましては、「5図書館プロジェクト」として、図書館が未整備である西明石・大久保・二見地区への新たな図書館の整備に向けた取組を進めてまいります。
まず、西明石地区においては、現在、JR西日本とともに、西明石駅前の再整備に向け、必要な施設整備に取り組んでいるところですが、そのうちサンライフ明石については新たな地域交流拠点として、機能の充実化を図るため、図書館や地域交流スペース、ふれあい広場を備えた施設へのリニューアルに向け、整備計画を策定するとともに、設計に取り組んでまいります。
次に、大久保地区においては、大久保駅南側ロータリーに、図書館のほか、市民活動支援や子育て支援機能を有する市民交流施設について、整備計画の策定と基本設計を行ってまいります。
次に、二見地区においては、図書館整備に向けて、規模や整備場所の具体的な検討を進めてまいります。
そのほか、読書バリアフリーの取組として、来館が困難な人を対象とした図書の無料郵送サービスを拡充するとともに、学校図書館における読書バリアフリー関連機器の配備を進めてまいります。加えて、まちなかにあるブックスポットの更なる拡大を図り、ソフト・ハードの両面から、誰もが気軽に本に触れ、楽しむことができる環境整備を進めてまいります。
次に、「時のまち明石」を活かした取組といたしまして、ドイツで近代プラネタリウムが誕生し100年を迎えることから、長寿日本一のプラネタリウムを備えた天文科学館において、関連した特別展や記念イベントなどを開催するとともに、記念グッズの販売やグッズコーナーの拡充を行うなど、更なる魅力の発信に努めてまいります。
次に、「農業経営・新規就農者への支援」につきまして、将来に向けた地域における農業の担い手を確保するため、地域の農業のあり方や農地利用の姿を明確化した地域計画の策定を進めるほか、持続性の高い農業への支援として、新たに減化学肥料や減農薬のための環境に配慮した資材の購入費用を助成してまいります。
6つ目の柱は、「物価高騰などにおける市民生活の支援を強化する」です。
まずは、「食材価格高騰に伴う学校給食費支援」といたしまして、学校給食における保護者負担の増加を避けるため、今年度に引き続き、食材価格の上昇分について、国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用し、公費による助成を行ってまいります。
次に、「こども夢応援プロジェクト事業」といたしまして、親の意向や経済状況に関わらず、自らの意思で安心して夢に向かうことができるよう、高校進学に向けた給付型奨学金の支給を、今年度と同規模の定員枠を確保して実施するとともに、学習・生活サポートなどを行ってまいります。
次に、「自殺対策に向けた支援」といたしまして、専門職等による相談体制の充実や、自殺未遂者とその家族に対する早期の個別支援のほか、自殺の危険性を示すサインへの気づきや声掛け、見守りなどを行う「自殺予防ゲートキーパー」の更なる養成など、自殺予防に係る活動支援に取り組んでまいります。
次に、効率的・効果的に施策を推進するための行政経営分野の取組といたしまして、まず、新年度の主な組織改正についてですが、政策局につきまして、ジェンダー平等やLGBTQ+/SOGIE施策に加えて、ユニバーサルデザインのまちづくりや合理的配慮の提供、障害理解の促進など、誰一人取り残さない、やさしいまちづくりを総合的に推進するため、「ジェンダー平等推進室」を「インクルーシブ推進室」に再編いたします。
次に、市民生活局につきまして、全国豊かな海づくり大会の終了を踏まえ、「豊かで安全な海づくり推進室」を「農水産課」に統合するとともに新たな担当を設置し、同大会を一過性のものとしないよう引き続き豊かな海づくりを推進してまいります。
次に、感染対策局につきまして、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けを5類に引き下げる国の方針などを受け、「感染対策局」のほか、「感染対策統括室」と「コロナワクチン対策室」を廃止し、これまで取り組んできたワクチン接種などの業務を「あかし保健所」に統合し、コロナ禍以前の「福祉局」に所管を戻した上で、引き続きしっかりと対応してまいります。
次に、「自治体DXの推進」といたしまして、デジタル技術を活用した市民サービスの向上を図るため、子育て層や障害者等に関係する手続をはじめ、市民の利便性向上の効果が大きい手続から順次、オンライン化を進めるとともに、これまで以上に市民に寄り添った業務に人的資源を集中配分できるよう、デジタル化による市役所業務の効率化にも取り組んでまいります。
以上の方針に沿って編成いたしました令和5年度の予算総額につきましては、
一般会計 |
1,256億1,940万7,000円
|
特別会計 |
711億3,230万9,000円
|
企業会計 |
237億8,105万4,000円
|
合計 |
2,205億3,277万0,000円
|
としております。
2011年に私が市長に就任してから約12年の間、明石のまちがこれまで以上に住みたい住み続けたいまちとなるよう、「市民目線」をキーワードに全力で取り組んでまいりました。
この間の取組を振り返りますと、「こどもを核としたまちづくり」として、こども医療費無料化をはじめとする「明石独自の5つの無料化」の実施や、「誰にもやさしいまちづくり」の実現に向けた取組として、「手話言語・障害者コミュニケーション条例」や「旧優生保護法被害者支援条例」などの条例制定、更には、まちのみんなで一つとなり、全国からの来場者を盛大におもてなしをしたB-1グランプリの開催などが印象的であります。また、明石駅前再開発に伴う「あかし市民図書館」や「あかしこども広場」のほか、「ユニバーサル歯科診療所」の開設など、施設整備についても取り組んでまいりました。さらに、市民に最も身近な基礎自治体として、その権限と責任の下、市民サービスの更なる向上を図るため、中核市に移行するとともに、「明石こどもセンター」を設置するなど、市民一人ひとりの声に耳を傾け、その思いに寄り添いながら、市民の暮らしの「安心」を重視したまちづくりを進めてまいりました。
誰もが安心して暮らせる、やさしい社会、やさしい未来を、まちのみんなで、この明石から創っていく、広げていくという強い思いは、今もなお変わっていません。
私は、本市の更なる発展を願い、これからも留まることなく、この市民目線の「明石のまちづくり」がしっかりと継続され、これまで以上に積極的な施策展開が進められるよう、未来に向けた持続的な発展への道筋をつけることが、市民に対して果たすべき私の責務であると考えています。
残された任期、すべての市民が、これからも、いつまでも、安心して暮らし続けることができる「SDGs未来安心都市・明石」の実現に向けて、全力を尽くしてまいりますので、皆さまにおかれましてはよろしくお願い申し上げます。
以上、令和5年度の予算の提案に当たり、予算案の大要と所信の一端について申し上げました。
令和5年第2回定例会6月議会の開会に当たり、議案の提案に先立ち、市政運営に関して市長として所信の一端を申し上げます。
はじめに、議員各位におかれましては、明石市民のため、明石のまちのため、常日頃からご尽力されておられますこと、深く敬意を表します。
私は、先ごろ行われた市長選挙の結果、5月1日から、第十五代明石市長として、市政執行を担うこととなりました。市民の皆さまからの期待にしっかりお応えできるよう、これまでのまちづくりを受け継ぎ、私たちの明石をより良くしていきたいとの決意を胸に、市民に選ばれたみんなの市長としての責務を果たすべく、市民目線での市政運営を進めていく所存です。
私はこれまでも市議会議員として、つらい思いを抱える方、声をあげられない方などの思いを丁寧にお聞きしながら、市民に寄り添う姿勢で明石のまちづくりに真摯に携わってまいりました。
これからも市民目線を大切に、市民のためのまちづくりを市民とともに進めてまいりたいとの思いです。
議員各位におかれましては、ご理解とお力添えを賜りますよう心よりお願い申し上げます。
明石市では、「こどもを核としたまちづくり」、「誰一人取り残さないまちづくり」を基本理念として市政運営が進められてきたことにより、まちには好循環が生まれ、市民の暮らしに安心が広がりました。
市民目線のまちづくりの継承を望む多くの市民の強い思いを受け、SDGsの理念に基づき、「いつまでも すべての人に やさしいまちを みんなで」をキーワードに「SDGs未来安心都市・明石」の実現を目指して、これまでのまちづくりをしっかり継承し、発展させてまいります。そのため市政運営において、次の3つの視点を大切に、取組を進めていく所存です。
一つ目は、「誰一人取り残さない」です。
明石市では、年齢・性別・障害の有無・国籍などに関わらず、誰もが住み慣れた地域で自分らしく、安心して暮らし続けることができるインクルーシブなまちづくりを重点的に進めてきましたが、支援がまだ十分に行き届いていない方々もおられます。
私たちの明石が、もっと一人ひとりに寄り添うやさしいまちになるよう、市民の声を丁寧にお聞きしながら、きめ細やかな取組を進めてまいります。
二つ目は、「持続可能な明石のまちづくり」です。
世界では、災害や感染症に強靭な社会・経済に変えていくこと、単にコロナ以前の状態に戻すのではなく、持続可能な地球環境にしていくことが重要視されています。
地球環境という大きな土台に支えられて、私たちの現代社会、経済は成り立っています。今まさに、脱炭素社会へのシフトチェンジや生態系・生物多様性の保全、すなわちグリーンリカバリーというSDGsの考えに基づいた行動が求められています。明石市でも、脱炭素社会への取組の充実や身近な自然、いのちを次世代に引き継ぐ共生の地域づくり、循環型のまちづくりにしっかりと取り組んでまいります。
三つ目は、「市民とともに創るみんなのまち明石」です。
私がまちづくりを進める上で、最も大切にしているのが市民目線です。まずは、一人ひとりの市民の声を丁寧にお聞きする。その上で、必要な情報を市民と共有し、しっかり対話をしてともに考える。この積み重ねが、まちづくりには大切であると認識しています。
市民と力を合わせて、ともにまちを創っていく。そうした風土や文化を、様々な分野において醸成してまいりたいと考えています。もはや何事も行政だけで進めていく時代ではありません。市民とともに、市民目線でまちづくりを進めることで、互いに支え合う地域社会をつくり、明石のまちへの愛着を育んでいくことにもつなげてまいります。
これらの方針のもと、先の市長選挙の公約にも掲げた8つの項目につきまして、それぞれ重点施策を展開してまいりたいと考えています。
一つ目は「こども」です。まずは、こども医療費、給食費、保育料などの「明石市独自の5つの無料化」をはじめとする、これまでのこども・子育て支援をしっかりと継承し、着実に実施してまいります。さらに、新たに実施する高校生世代への市独自の児童手当の支給に加え、フリースクールをはじめ、こどもたちが安心して過ごせる居場所の拡充や児童生徒への支援の充実、生きる力を育む主体的・対話的で深い学びの推進、こどもの育ちと多様な学びを支える教育環境の改善などにも取り組んでまいります。
二つ目は「高齢者」です。住み慣れた地域で誰もが安心して暮らし続けることができるよう、たこバス無料化を継続するとともに、ひとり暮らしや支援が必要な方への見守りを拡充してまいります。また、高年クラブへの助成や高齢者のフレイル予防活動に対する支援を拡充するなど、高齢者の地域活動についてもしっかりと支援してまいります。
三つ目は「障害者」です。社会にある障壁を解消していくため、障害者配慮条例などに基づき、障害のある人が安心して暮らせる地域づくりをまちのみんなで推進してまいります。合理的配慮を提供するための環境整備や助成制度を拡充するとともに、やさしい社会に向け、インクルーシブ教育も推進してまいります。
さらに「高齢者」「障害者」など、福祉分野における総合的な人材の育成を行うとともに、グループホームなどの介護施設や障害者施設につきましても整備を促進してまいります。
四つ目は「すべての人」です。生きづらさに悩んでいる方や、世間からは見えづらく懸命に生活をつなぐ若者、支援が十分に足りていない方々など、幅広い方への支援を充実してまいります。ジェンダー平等の社会に向けた取組やLGBTQ+施策の推進、犯罪被害者支援・更生支援の拡充に加え、ひきこもり相談支援の充実、DV対策、自殺対策に向けた取組、さらにはヤングケアラーへの支援、買い物難民を含めた交通不便地域の対策にも取り組んでまいります。
五つ目は「本のまち」です。これまで進めてきた「本のまちづくり」を引き継ぎ、誰もが本に親しみ、読書を楽しむことができるよう一層の環境整備を進めてまいります。読書バリアフリーの拡充とともに、図書館の新設につきまして、引き続き、西明石、大久保、二見の3地区での整備に向けた取組を進めてまいります。
六つ目は「環境」です。明石市は、令和2年3月に「気候非常事態宣言」を表明しています。個人や企業、市役所における再生可能エネルギー活用の促進や市民参画でのごみ減量化など、脱炭素社会と循環型社会への取組をしっかりと推進してまいります。また、明石の豊かで貴重な自然環境を守り、育て、次世代へしっかりと繋いでいくため、豊かな海づくりに向けた取組に加え、里地、里山、里海の保護・保全、環境学習の推進などにも取り組んでまいります。
七つ目は「経済」です。物価高騰に直面している市民の暮らしを守るとともに、市内で働く市民や事業者による地域経済活動を支え、活性化するため、喫緊の経済対策、市民生活支援策として「市民全員サポート券の発行」を進めてまいります。また、明石駅周辺における回遊性の向上や、食の安全にもつながる持続性の高い農業、漁業への支援などにも取り組んでまいります。
八つ目は「市民」です。市民目線の市政運営を継続し、市民とともにまちづくりを進めていくに当たり、地域活動や市民活動への支援を拡充してまいります。
また、市民の命と暮らしを守るため、災害時に支援を必要とする要配慮者が安心して避難できるよう個別避難計画の策定を一層推進するなど災害対策にも取り組んでまいります。加えて、市民の利便性の向上につながるデジタル化の推進を着実に進めてまいります。
こうした8項目の重点施策をはじめ、各施策の推進に当たり、多様な市民の声を丁寧に聞くため、市長へのおたより「聞かせてみんなの声、まるちゃんポスト」を市内12カ所に設置いたしました。既に300件以上のお便りが届いており、1件1件すべてに目を通して、対応できるものは速やかに実現を図っています。
加えて、新たに専門部署として、「市民とつながる課」を設置し、市民の対話の場であるタウンミーティング「語ろうつくろう みんなの明石・まるちゃんカフェ」を開始いたしました。第1回は、「障害のある人もない人も安心して暮らせるまちに向けて」をテーマに、障害のある方や支援者、学生などが参加し、車座での対話により多様な声が集まりました。第2回は「子育て」をテーマに今月末に開催するなど、引き続き毎月1回は、各分野のテーマや地域ごとなど、幅広く対話の場を設けたいと考えています。こうした取組を積み重ね、シビックプライドを高めることで、自分たちのまちを、市民自らが主体的に創っていくことにつなげてまいります。
さらに、職員との信頼関係を構築し、ボトムアップを意識して職員と一丸となって日本一やさしい市役所を目指し、これまで以上に積極的な情報公開や情報発信も行いたいと考えており、みんなで作る財政白書の作成など、予算編成過程における市民参画などにも取り組む所存です。
明石市内のすべてを鳥の目で俯瞰し、虫の目で市民に寄り添う、そんなみんなの市長でありたい。そして、今よりもっとやさしいまち明石を、市民とともに、みんなで創っていきたい。市政運営を担う責任者として、私たちの明石が、すべての人に「暮らしてよかったと思っていただけるまち」になるよう、明石市が掲げる「SDGs未来安心都市・明石」の実現に向け、着実に取組を進めていく決意です。
皆さまには、市民とともに創るまちづくりへのご協力を重ねてお願い申し上げまして、私の所信表明とさせていただきます。
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