明石市ユニバーサルデザインのまちづくり実行計画(改定素案) 2020年(令和2年)3月策定 2023年(令和5年)3月改定 明石市 目次 第1編 本計画について 1. 計画策定及び改定の背景 1の1 インクルーシブ社会の実現を目指して 1の2 ユニバーサルデザインのまちづくり 1の3 関係法令の整備 1の4 バリアフリー法の改正 1の5 「明石市交通バリアフリー基本構想」によるバリアフリー整備 2. 本計画の策定について 2の1 計画の構成と位置付け 2の2 検討経緯 2の3 「明石市交通バリアフリー基本構想」の検証 2の4 基本理念 2の5 基本理念の実現に向けた基本目標 2の6 計画期間と計画・取組の見直し 2の7 進捗管理・当事者参画による継続改善 第2編 ユニバーサルデザインのまちづくりを進めるための方針(マスタープラン) 1. ユニバーサルデザインのまちづくりの基本方針 1の1 基本方針の考え方 1の2 当事者・市民の意見を反映したユニバーサルデザインのまちづくり 1の3 安全・安心なまちを支えるユニバーサルデザインの都市基盤整備 1の4 障害の社会モデルの普及・浸透と心のバリアフリーの推進 1の5 情報のバリアフリー化 1の6 ユニバーサルツーリズムの推進 1の7 災害時・緊急時に対応したユニバーサルデザインのまちづくり 1の8 地域との連携 ? 2. バリアフリー化の優先的な促進が必要な地区(移動等円滑化促進地区)の設定 2の1 地区設定の考え方 2の2 「移動等円滑化促進地区」の設定 2の3 生活関連施設の設定 2の4 生活関連経路の設定 2の5 旅客施設と道路(駅前広場)の連続性の確保:届出制度 3. 移動等円滑化促進地区の方針 3の1 JR朝霧駅周辺地区 3の2 JR明石駅・山陽電鉄山陽明石駅周辺地区 3の3 JR西明石駅周辺地区 3の4 JR大久保駅周辺地区 3の5 JR魚住駅周辺地区 3の6 JR土山駅周辺地区 3の7 山陽電鉄西新町駅周辺地区 3の8 山陽電鉄林崎松江海岸駅周辺地区 3の9 山陽電鉄中八木駅周辺地区 3の10 山陽電鉄東二見駅周辺地区 3の11 山陽電鉄西二見駅周辺地区 3の12 松が丘地区 3の13 山陽電鉄藤江駅周辺地区 第3編 事業を重点的・一体的に実施することが必要な地区の方針(基本構想) 1. 基本構想の概要 1の1 基本構想の考え方 1の2 重点整備地区の設定の考え方 1の3 市民・地域等の意見の把握 1の4 特定事業等の概要 2. 重点整備地区の特定事業 2の1 JR西明石駅周辺地区 2の2 教育啓発特定事業(地区共通の特定事業) ? 第1編 本計画について 1.計画策定及び改定の背景 1の1インクルーシブ社会の実現を目指して 明石市では「住みたい・住み続けたいと思うまち」を目指し、障害の有無や性別にかかわらず、こどもから高齢者まで誰にもやさしいまちづくりの取組を進めています。2017年(平成29年)12月には、東京2020オリンピック・パラリンピックを契機に共生社会の実現を目指す「共生社会ホストタウン」に登録されました。2019年(令和元年)8月には、先導的な取組が評価され、「先導的共生社会ホストタウン」の認定を受けています。 2022年(令和4年)3月には、本市のまちづくりの指針となる「あかしSDGs推進計画(明石市第6次長期総合計画)」を策定しました。この計画では、国連のSDGs(持続可能な開発目標)*2の考え方をまちづくりの基軸に位置付け、2030年のまちの姿を「SDGs未来安心都市・明石 〜いつまでも すべての人にやさしいまちを みんなで〜」と定め、持続可能で誰一人取り残さない社会の実現に向けたまちづくりを進めています。 また、すべての市民が安心して暮らせるまち明石を実現するため、2022年(令和4年)4月に本市における今後の包括的指針となる「すべての人が自分らしく生きられるインクルーシブなまちづくり条例(以下「あかしインクルーシブ条例」*1という。)」を施行しました。 *1 すべての人が自分らしく生きられるインクルーシブなまちづくり条例 インクルーシブは、「包み込む」「分けへだてない」「やさしい」「安心」「みんな一緒」「配慮」「わかりやすい」「包摂」など、様々な意味が含まれた言葉です。 本条例のタイトルにもなっている「インクルーシブなまちづくり」は、みんなが参加して一緒に暮らしやすいまちをつくっていくということです。 私たちは、それぞれいろいろな個性を持っています。肌や髪の色、年齢や障害の有無などは様々で、一人ひとりが違う存在です。そして、一人ひとりが大切な存在です。すべての人にやさしいまちづくりを進めている明石のまちで、みんなが自分自身を大切にし、自分らしく生きられるようになってほしい。みんなで一緒に、そんなまちにしていきたい。そんな思いを込めて本条例はつくられました。 図 あかしインクルーシブ条例の基本的な考え方(第3条基本理念) *2 SDGs(持続可能な開発目標) 2015年(平成27年)9月の国連サミットで採択。「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現のため、2030年(令和12年)を目標とする17の国際目標。 本市のまちづくりの基本方針となる第6次?期総合計画として2022年(令和4年)3月に策定したあかしSDGs推進計画では、2030年(令和12年)のあるべき姿を「SDGs未来安心都市・明石 〜いつまでも すべての人にやさしいまちを みんなで〜」と定めています。 図 SDGs(持続可能な開発目標)の特徴 図 明石市が目指すまちの姿 *3 ステークホルダー 地方自治体のみならず、民間企業、大学、各種団体、市民などの多様な関係者。 1の2 ユニバーサルデザインのまちづくり インクルーシブ社会の実現のためには、障害の社会モデル*4を踏まえ、人々の心のあり方に働きかける「心のバリアフリー」とあわせて、障害の有無や年齢・性別にかかわらず、誰もが安全で快適に移動しやすく、暮らしやすい「ユニバーサルデザイン*5のまちづくり」を推進することが必要です。 本市においても、市民や障害者などの利用者視点に立ち、ユニバーサルデザインのまちづくりに向けた取組を進めているところです。 図 明石市のインクルーシブ社会実現に向けた取組 *4 障害の社会モデル(詳細はP13参照) *5 ユニバーサルデザイン 障害の有無、年齢、性別、国籍等にかかわらず、多様な人が利用しやすいような生活環境や製品を、設計段階からデザインすること(最初から多くの人が使いやすいものをつくること)。 1の3 関係法令の整備 国においては、「障害者の権利に関する条約」を2014年(平成26年)1月に批准し、同年2月から発効しています。同条約の批准のための「障害者基本法」の改正(2011年(平成23年))、障害者に対する差別的取り扱いの禁止や合理的配慮の不提供の禁止等を規定する「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)」の制定(2013年(平成25年))など、障害者等を取り巻く法令が整備されてきています。 本市においても、障害者差別解消法の施行にあわせて、「明石市障害者に対する配慮を促進し誰もが安心して暮らせる共生のまちづくり条例(障害者配慮条例)」を制定(2016年(平成28年))しています。 1の4 バリアフリー法の改正 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(以下「バリアフリー法」という。)においては、高齢者、障害者等が移動や施設利用をする上での利便性・安全性の向上を図るため、旅客施設・車両等、道路、路外駐車場、都市公園、建築物に対してバリアフリー化基準(移動等円滑化基準)への適合を求めるとともに、高齢者、障害者等が利用する施設が集中する地区(重点整備地区)において、住民参加による重点的かつ一体的なバリアフリー化を進めるための措置等を定めています。 2018年(平成30年)にバリアフリー法が改正され、同法に基づく措置は「共生社会の実現」「社会的障壁の除去」に資することを旨として行われるものであることが基本理念として明記されたほか、市町村がバリアフリー方針を定める「移動等円滑化促進方針(マスタープラン)制度」が創設されるなどの改正が行われました。 また、2020年(令和2年)のバリアフリー法の改正により、公立の小中学校が建築物移動等円滑化基準適合義務の対象に追加されました。さらに、移動等円滑化促進方針(マスタープラン)の記載事項に「心のバリアフリー」に関する事項及び基本構想に記載する事業メニューの1つに「教育啓発特定事業」が追加されました。(特定事業の詳細はP67以降に記載) 1の5 「明石市交通バリアフリー基本構想」によるバリアフリー整備 本市においては、2002年(平成14年)に、高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律(以下「旧・交通バリアフリー法」という。)に基づき、「明石市交通バリアフリー基本構想(以下「旧基本構想」という。)」を策定しました。 旧基本構想では、3地区を「重点整備地区*6」に設定し、駅舎、駅前広場、歩道等の交通分野におけるバリアフリー化を進めてきました。 また、7地区を本市独自の「準整備地区*7」に設定し、バリアフリー化を進めてきましたが、その後のまちの変化やバリアフリー法の改正等を受け、更なるバリアフリー化が求められています。 *6 重点整備地区 旧・交通バリアフリー法に基づき、旅客施設及びその周辺の地区において重点的・一体的に移動円滑化のための整備を行う地区 *7 準整備地区 本市が独自に設定する、旅客施設及びその周辺地区において、重要度の高い整備課題、比較的低投資かつ投資効果の高い事業を実施する地区 図 旧基本構想の対象地区 2.本計画の策定について 2の1 計画の構成と位置付け ?計画の構成とバリアフリー法上の位置付け 「1.計画策定の背景」を受け、本計画をバリアフリー法に基づく法定計画として策定します。 第1編は、計画策定の背景、基本理念、基本目標等の計画全般に共通する事項を定めます。 第2編は、市域全体のユニバーサルデザインのまちづくりに関する基本方針とともに、バリアフリー化の優先的な促進が必要な地区及びその地区の方針等を定め、バリアフリー法上の「移動等円滑化促進方針(マスタープラン)」と位置付けます。 第3編は、バリアフリー化が特に必要な地区で、事業(公共交通、道路、交通安全、建築物、路外駐車場、都市公園等)を重点的・一体的に実施することが必要な地区について、事業計画を順次策定し、バリアフリー法上の「基本構想」と位置付け、旧基本構想の見直しを図ります。 計画の構成 第1編 本計画について 計画策定の背景、基本理念、基本目標等の計画全般に共通する事項 第2編 ユニバーサルデザインのまちづくりを進めるための方針(マスタープラン) 市域全体の取組を進めるための基本方針、バリアフリー化の優先的な促進が必要な「移動等円滑化促進地区」・各地区の方針等 【移動等円滑化促進方針(マスタープラン)】 第3編 事業を重点的・一体的に実施することが必要な地区の方針(基本構想)*策定次第追記 バリアフリー化が特に必要な地区で、事業を重点的・一体的に実施することが必要な「重点整備地区」の設定、各地区の具体的な事業内容等 【基本構想】 ?関係法令・計画等との関係 計画策定に当たっては、旧基本構想及び2018年度(平成30年度)に策定した明石駅周辺を重点モデル地区とする「明石市ユニバーサルデザインのまちづくり重点モデル地区実行計画」を前提に、関連する法令・条例・計画との整合を図りながら、「あかしインクルーシブ条例」の理念・方向性を十分に踏まえて策定します。 図 計画の構成(関係法令・計画等との関係) 2の2 検討経緯 本計画の策定にあたっては、高齢者・障害者等の当事者(以下「当事者」という。)、交通事業者、行政機関、有識者等で構成される「明石市ユニバーサルデザインのまちづくり協議会」での議論のほか、アンケート調査、ヒアリング調査、まちあるき点検等を通じて、多くの方々の意見を踏まえながら検討を進めました。 ◆2018年度(平成30年度) 表 10月21日:あかしユニバーサルモニターとのまちあるき点検(明石駅周辺) 2月21日:2018年度(平成30年度)第1回明石市ユニバーサルデザインのまちづくり協議会 2月〜3月:市民アンケート調査<調査結果を「資料編」に掲載> 2月:障害当事者団体へのヒアリング調査 3月19日:2018年度(平成30年度)第2回明石市ユニバーサルデザインのまちづくり協議会 ◆2019年度(令和元年度) 表 6月23日:2019年度(令和元年度)第1回明石市ユニバーサルデザインのまちづくり協議会 7月21日:山陽電鉄林崎松江海岸駅周辺のまちあるき点検 8月27日:2019年度(令和元年度)第2回明石市ユニバーサルデザインのまちづくり協議会 10月4日:JR西明石駅周辺地区まちあるき点検 11月8日:2019年度(令和元年度)第3回明石市ユニバーサルデザインのまちづくり協議会 12月2日:2019年度(令和元年度)第4回明石市ユニバーサルデザインのまちづくり協議会 1月21日:2019年度(令和元年度)第5回明石市ユニバーサルデザインのまちづくり協議会 1月24日〜2月24日:パブリックコメントの実施 3月29日:2019年度(令和元年度)第6回明石市ユニバーサルデザインのまちづくり協議会 ◆2022年度(令和4年度) 表 8月10日:2022年度(令和4年度)第1回明石市ユニバーサルデザインのまちづくり協議会 10月26日:2022年度(令和4年度)第1回西明石分科会(西明石駅周辺地区のまちあるき点検) 11月29日:2022年度(令和4年度)第2回西明石分科会 2月15日〜3月16日:パブリックコメントの実施 3月28日:2022年度(令和4年度)第2回明石市ユニバーサルデザインのまちづくり協議会 写真 2018年度(平成30年度)第1回協議会 写真 2019年度(令和元年度)まちあるき(林崎松江海岸駅周辺地区) 図 2018年度(平成30年度)アンケート調査 図 2019年度(令和元年度)パブリックコメント 写真 2022年度(令和4年度)まちあるき(西明石駅周辺地区) 2の3 「明石市交通バリアフリー基本構想」の検証 旧基本構想に基づく重点整備地区のバリアフリー整備は、2017年(平成29年)までに概ね完了しました。 一方、2018年度(平成30年度)に明石市ユニバーサルデザインのまちづくり協議会において行った旧基本構想の検証では、下表のとおり、成果と課題が抽出されました。課題としては、準整備地区には継続的に検討されている事項が一部残っている、バリアフリー法改正による最新基準への適合が必要である、現在のバリアフリー法の対象となる建築物・公園・駐車場・タクシー等を含めた一体的な取組がなされていない等が挙げられました。 こうした課題を整理しながら、本計画をバリアフリー法に基づく法定計画として策定し、引き続きユニバーサルデザインのまちづくりを推進していきます。 図 旧基本構想の検証 2の4 基本理念 誰もが「出かけることができる」「出かけたくなる」まちを目指し、 ユニバーサルデザインの考えに沿って全市域のまちづくりを進め、 すべての人が大切にされ、誰一人取り残さないインクルーシブな社会を実現します。 あかしインクルーシブ条例や第6次長期総合計画に基づき、本市は「すべての人にやさしいまちをみんなでつくっていく」という考えのもと、障害の有無や年齢、性別、国籍等にかかわらず、すべての人が安心して暮らすことができ、その持てる能力を最大限に発揮して、自己の存在を誇らしく感じることができるインクルーシブ社会の実現を目指します。 そのために、本計画は、誰もが安全で快適に移動できるよう、利用者視点に立った、ユニバーサルデザインのまちづくりを全市的に進めるための方針を示しています ◆「明石市ユニバーサルデザインのまちづくり実行計画」の基本理念の考え方 ユニバーサルデザインのまちづくりの推進により、どこでも、誰でも、自由に、移動しやすい環境を構築し、すべての市民の外出・交流機会や賑わいを創出 心のバリアフリーを進め、お互いの人権や尊厳を大切にし、支え合い、誰もが生き生きとした人生を享受できるインクルーシブ社会を実現 ◆計画に基づく具体的な取組の実施 当事者・市民参画で計画を実行し、スパイラルアップによる持続的な取組 多くの市民が利用するエリアの重点的・一体的なユニバーサルデザインのまちづくりにより、地域の特性に応じた連続的な移動環境を段階的に確保 すべての人が大切にされ、誰一人取り残さないインクルーシブな社会の実現 明石市が目指すインクルーシブな社会の実現に向けた基本理念 第3条 インクルーシブ社会は、障害者等が、他の者との平等を基礎として、意思の形成又は表明に係る支援その他の必要とする支援を受けられることを基本として実現されなければならない。 第2項 インクルーシブ社会は、障害者等が支援される存在としてのみ捉えられるのではなく、その自己決定権が尊重され、その参画が社会全体によい効果を生み出すために必要であると理解されることを基本として実現されなければならない。 第3項 インクルーシブ社会は、誰もが日常生活又は社会生活の様々な場面において支援を必要とする状態になり得るとの認識のもと、障害者等が必要なときに必要な支援を受けられることが、誰もが心から安心して暮らせる社会につながると理解されることを基本として実現されなければならない。 第4項 インクルーシブ社会は、誰もがそれぞれの置かれた状況に応じて個性を活かし、持てる力を最大限に発揮することを旨として実現されなければならない。 (すべての人が自分らしく生きられるインクルーシブなまちづくり条例(令和4年条例第1号)より抜粋) 2の5 基本理念の実現に向けた基本目標 ◆当事者・市民の意見を反映した質の高いユニバーサルデザインの実現 目標1:利用者視点に立ったユーザビリティの向上 様々な立場の市民の意見を計画の推進に取り入れるとともに、実際に一緒にまちを歩き、当事者の不便や困難を共有しながら検討した施策を展開することで、利用者視点に立ったユーザビリティ*8の向上に取り組みます。 目標2:当事者・市民参画による計画・取組の推進 本計画の実現に向けた取組が効果的に実施されるには、高齢者、身体障害者、知的・精神障害者(発達障害者を含む)、子育て世代等、様々な立場の市民の積極的な参画により、それぞれの意見が本計画に基づく取組に的確に反映されることが必要です。そのため、多様な当事者・市民が参画できる機会や仕組みを活用し、取組の検証や評価を行いながら、スパイラルアップ*9を図っていきます。 *8 ユーザビリティ 定められた状況下で、定められたユーザーが定められた目的遂行のために、ある製品やサービスを効果的に効率よく満足をもって利用できる程度。 *9 スパイラルアップ バリアフリー化の内容について、マスタープラン作成に関する事前の検討段階から、事後の評価の段階まで、高齢者、障害者等の利用者や住民等が積極的に参加し、この参加プロセスを経て得られた知見を共有し、段階的・継続的な発展を図ること。 ◆取組内容のポイント 目標3:「ハード」と「ソフト(ハート)」の両輪 インクルーシブ社会の実現に向けては、障害の社会モデルを踏まえ、「ユニバーサルデザインのまちづくり」の取組と同時に、人々の意識や行動に向けて働きかける「心のバリアフリー」を進めることが必要です。 本計画では、都市基盤の整備に関する「ハード」施策と、「ソフト(ハート)」施策を両輪とし、地域福祉、防災、観光、教育等の関連分野との連携を密に図りながら、まちづくりを推進するための取組を位置付けます。 目標4:ユニバーサルツーリズムの推進 市民や、本市を訪れる誰もが安心して外出を楽しむことができるまちを目指すことは、誰もが安心して暮らすことができるまちづくりにつながります。 このため、ユニバーサルツーリズムを推進し、障害の有無や年齢、性別、国籍等に関わらず、誰もが気軽に外出でき、明石の魅力的な歴史・文化資源を楽しむことができるよう、関係機関と連携しながら、環境整備や案内機能の充実を図ります。 目標5:災害時・緊急時に対応したユニバーサルデザインのまちづくり 誰もが安全・安心に暮らせる生活環境にするためには、平常時だけでなく災害時・緊急時に対応したユニバーサルデザインのまちづくりも必要となります。各避難所における施設面のバリアフリー化はもとより、避難時でも円滑にコミュニケーションを図ることができるような環境を整えるなど、災害時における要配慮者の支援について、ハード・ソフト両面から進めていきます。 ? ◆持続的な計画とするための仕組み 目標6:地域との連携 行政や事業者主導の取組だけではなく、地域に根差した団体と連携して地域の実情に応じたユニバーサルデザインのまちづくりを進めるため、地域発案によるユニバーサルデザインのまちづくりの推進に関する取組を本計画に位置付けます。 目標7:計画の継続改善と見直し 本計画の定期的な進捗管理を実施するとともに、まちづくりの進捗状況等にあわせて適宜見直しを行いながら、スパイラルアップを図ります。 2の6 計画期間と計画・取組の見直し ?計画期間 2019年度(令和元年度)〜2032年度(令和14年度) ※2019年度(令和元年度)に策定、あかしインクルーシブ条例の制定を受けて改定、 2023年度(令和5年度)から10年間の計14年間を計画期間とします。 ?計画の見直し 本計画は、2023年度(令和5年度)から概ね5年ごとに、検証を行ったうえで、見直します。 2の7 進捗管理・当事者参画によるスパイラルアップ 計画期間中は、「明石市ユニバーサルデザインのまちづくり協議会」において当事者参画のもとで、定期的に進捗確認や検証、課題解決に向けた検討等を行い、スパイラルアップを図っていきます。 また、計画だけでなく、具体的な取組についても、多様な当事者との対話を通じて、ユーザビリティの向上や取組の改善につなげていけるよう、「当事者参画の仕組み」を創設し、継続的に運用していきます。 図 スパイラルアップのイメージ 第2編 ユニバーサルデザインのまちづくりを進めるための方針(マスタープラン) 1.ユニバーサルデザインのまちづくりの基本方針 1の1 基本方針の考え方 障害の社会モデルを踏まえ、市内のハード面でのバリアフリー化と、心のバリアフリーを重点的に推進しながら、外出時に必要不可欠な情報の提供、すべての人が外出を楽しむことができるユニバーサルツーリズム、災害時・緊急時に対応したユニバーサルデザインのまちづくりを進めます。また、ユニバーサルデザインのまちづくりを継続的に推進していくため、多様な意見を聞きながら、地域と連携し、適宜改善を行います。 「出かけることができる」「出かけたくなる」まちの実現により、外出機会、社会参加の一歩を踏み出す機会や、交流・賑わいの創出につなげていきます。 ■「障害の社会モデル」と「心のバリアフリー」 ・障害の社会モデル 障害の社会モデルとは、障害は機能障害と周囲の様々な障壁との相互作用によって生じるという考え方のことです。 例えば階段しかない2階建ての建物において、車いすユーザーは自力で2階に上がれませんが、エレベーターがあれば上がることができます。このように機能障害(この場合足が不自由なこと)だけでなく、周囲に様々な障壁(この場合エレベーターがないこと)があることとの相互作用をもって「障害」とする考え方が「障害の社会モデル」です。 (あかしインクルーシブ条例 逐条解説) ・心のバリアフリー 「心のバリアフリー」とは様々な心身の特性や考え方を持つすべての人々が、相互に理解を深めようとコミュニケーションをとり、支え合うことです。 「心のバリアフリー」を体現するための3つのポイント ・障害のある人への社会的障壁を取り除くのは社会の責務であるという「障害の社会モデル」を理解すること。 ・障害のある人(及びその家族)への差別(不当な差別的取扱い及び合理的配慮の不提供)を行わないよう徹底すること。 ・自分とは異なる条件を持つ多様な他者とコミュニケーションを取る力を養い、すべての人が抱える困難や痛みを想像し共感する力を培うこと。 (ユニバーサルデザイン2020行動計画/平成29年2月ユニバーサルデザイン2020 関係閣僚会議決定) 1の2 当事者・市民の意見を反映したユニバーサルデザインのまちづくり 本計画に基づきユニバーサルデザインの取組をハード、ソフトともに進めるにあたっては、取組の実施者が、様々な利用者特性があることを理解し、当事者・市民の多様な意見を反映する機会を設けるとともに、市民、地域、企業等と協働・連携するなど、ユーザビリティの向上による質の高いユニバーサルデザインのまちづくりを進めます。 図 意見を反映したユーザビリティ向上のイメージ ?利用者意見を反映する仕組みの活用 ユニバーサルデザインのまちづくりの取組を進めるにあたっては、ユーザビリティの向上を図るため、計画段階等において下記制度を活用するなどにより、多様な当事者や市民・地域等が参加する現地点検やワークショップ、ヒアリング等を通じて、利用者の意見を聴取し、反映していきます。 @あかしインクルーシブアドバイザー制度 2022年(令和4年)4月に開始された「あかしインクルーシブアドバイザー制度」は、利用しやすい店舗や施設、参加しやすいイベントとなるようバリアフリーについて、障害がある人や高齢者などが「インクルーシブアドバイザー」として一緒に考える制度です。 Aあかしユニバーサルモニター制度 2018年(平成30年)2月に開始された「あかしユニバーサルモニター制度」は、駅周辺や宿泊施設、飲食店等のバリアフリー環境の整備や情報アクセシビリティ等の充実に関して、障害当事者目線で具体的な意見を聞く制度で、様々な障害種別のモニターが活動しています。 B兵庫県・チェック&アドバイス制度 兵庫県福祉のまちづくり条例に基づき、多数の方が利用する施設について、県が登録する「福祉のまちづくりアドバイザー」が利用者・専門家の視点から点検・助言を実施する制度です。 ?ユニバーサルデザインのまちづくりの担い手の養成 多様な当事者・市民の意見を反映しながらユニバーサルデザインのまちづくりを推進するためには、関係する行政・市民や当事者、事業者等が、バリアフリーの取組の企画、提案や助言、指導を的確に行うことができるスキルを身につけることが重要です。本計画に基づく取組の実施や、本計画の進捗管理、検証作業等を通じて、関係者のスキルアップを図っていきます。 @当事者リーダーの養成 当事者参画による取組を推進するため、当事者が取組に参画し、様々な場面において、自らの言葉で積極的に発言することを通じて、地域社会のリーダーとなるための養成方策を検討します。 Aユニバーサルデザイン・バリアフリー整備の専門家の養成 建築物や歩道等のユニバーサルデザイン・バリアフリー整備にあたっては、基準が設定されており、各種ガイドラインも発行されています。これらの基準の遵守はもとより、基準への適合義務がない小規模店舗での望ましい整備・改修方策や効果的な対策等に関する知識・技術を習得するため、専門家を対象にした養成プログラムの導入を検討します。 B支援者の養成 地域福祉の担い手となるボランティアへの支援活動や、手話通訳者・要約筆記者養成講座の開催等による支援者の養成を継続していきます。 1の3 安全・安心なまちを支えるユニバーサルデザインの都市基盤整備 ユニバーサルデザインのまちづくりの推進にあたり、移動環境を構築する基盤となる公共交通、道路、交通安全、建築物、路外駐車場、都市公園等の整備方針について示します。 安全・安心なまちを支える都市基盤整備の推進にあたっては、バリアフリー基準の適合はもとより、ユニバーサルデザインの考え方に基づき取組を全市的に進めるとともに、施設整備の計画・設計段階において、当事者等の多様な利用者の意見を反映するための仕組みや、利用者の意見を施設の管理・運営に生かす仕組みを構築・活用しながら取り組んでいきます。 ?公共交通(鉄道・バス・タクシー・旅客船) 誰もが移動しやすい切れ目のない交通体系の構築、高齢者、障害者等の安全で円滑な移動の確保、バリアフリー化された車両等の普及、乗務員の接遇向上や適切な情報提供等による利用者の利便性向上等に向けた取組を進めます。 @誰もが移動しやすい交通体系の構築 現在、鉄道、路線バス、コミュニティバス(Tacoバス)、タクシー、旅客船により地域内の移動を確保しています。バス路線の再編や次世代モビリティ、新技術の活用も視野に入れ、各種交通手段の適切な役割分担により、すべての市民が安全で円滑に移動しやすい交通体系を構築していきます。 A旅客施設の移動等円滑化 市内にある鉄道駅18駅(播磨町内に立地するJR土山駅も含む)のうち、バリアフリー化が求められている1日あたりの乗降客数が3,000人以上の12駅及び基本構想の生活関連施設に位置付けられた2,000人以上の駅について、移動等円滑化経路の最短化・複数化を目指します。また、1日あたりの乗降客数が3,000人未満の駅や旅客船ターミナルについても、可能な範囲でバリアフリー化を進めていきます。 写真 橋上化によりバリアフリー化を実施(JR魚住駅) 写真 バリアフリーに配慮した駅(山陽電鉄西二見駅) Bホーム上での安全対策の実施 駅ホームからの転落を防止するため、鉄道事業者と連携し、市内すべての駅で内方線付き点状ブロックを設置しています。昇降式ホーム柵の設置については、JR明石駅とJR西明石駅への早期設置を目指します。 また、駅における安全性向上に向けた取組やソフト面での取組の充実等について、事業者との調整を進めます。 写真 昇降式ホーム柵(JR明石駅) 写真 内方線付き点状ブロック(JR西明石駅) Cユニバーサルデザインに配慮した車両の導入 誰もが移動しやすい環境を整備するために、乗降負担の少ないノンステップバスや、ユニバーサルデザインタクシーを積極的に導入していきます。 また車両の導入にあわせて、ユニバーサルデザインタクシー用の乗降場の整備、乗降しやすいバス停留場に向けた歩道の改修、職員の接遇向上を図るなど、利用しやすい環境整備を進めます。 写真 ノンステップバス(Tacoバス) 写真 ユニバーサルデザインタクシー D利用者の利便性向上に向けた工夫 旅客施設の大規模改修時には、当事者参画による「まちあるき」を実施してバリアフリーチェックを行うなど、ユーザビリティの向上を図ります。 また、駅・バスターミナル等における案内サインや移動経路を改善し、利用者の利便性向上を図ります。 写真 トイレに多目的シートを設置(JR西明石駅) 写真 音声付構内案内図(山陽電鉄江井ヶ島駅) E運行情報の速やかな提供 事故や悪天候等による運休・遅延が発生した際に、視覚障害者や聴覚障害者等、多様な利用者に配慮した速やかな情報提供に努めていきます。 図 ホームページでの運行情報の提供(山陽電鉄) 図 列車運行アプリ(JR西日本) F職員のバリアフリー教育・研修の継続実施 交通事業者の職員を対象にしたバリアフリー教育や研修を継続的に実施し、障害者等への理解促進と接遇スキルの向上を図っていきます。 表 交通事業者、接遇研修等の取組例 〇西日本旅客鉄道株式会社 ・教育の実施:新入社員をはじめ関係する社員を対象に、バリアフリーにおけるマインドや介助方法等に関する教育を実施。 ・障害当事者による教育の実施:障害者当事者との合同勉強会やディスカッションを実施。 ・「サービス介助士」資格取得:「サービス介助士※」の資格取得を実施。 ※「公益財団法人 日本ケアフィット共育機構」が認定する民間資格 〇山陽電気鉄道株式会社 ・接遇研修の実施:全ての駅係員、助役、乗務員に対して、接遇研修プログラムに準拠した研修を、年1回実施。 ・乗降補助サービスの提供:乗降補助の連絡を受けた際に係員が対応できるようにするための研修を継続的に実施。 ・障害者の接遇に関する民間資格の取得促進:社員の資格取得に係る経費の全てを会社が負担し、取得促進を実施。 出典:交通事業者の移動等円滑化取組計画書 写真 バリアフリーマニュアルでの教育(左)と「サービス介助士」育成の様子(右)(西日本旅客鉄道株式会社) 図 社員教育資料の例(山陽電気鉄道株式会社) ?道路/交通安全 高齢者や障害者をはじめ、すべての歩行者が安全で快適に通行できるよう、道路のバリアフリー化等による安全・安心な歩行空間の確保、案内標識の充実や休みながら歩ける休憩施設の整備等による快適性の向上に努めます。あわせて、移動時のバリアとなる違法駐車や放置自転車等の防止に向けた利用者への意識啓発等に取り組みます。 @すべての人にやさしい道づくり 本計画に位置付けられる生活関連経路は、バリアフリー法や道路移動等円滑化基準、道路の移動等円滑化に関するガイドラインに基づく歩道の波打ち解消、段差・勾配の改修、視覚障害者誘導用ブロック(以下「点字ブロック」という。)の設置などにより、連続したバリアフリー経路を整備するとともに、生活関連経路以外の道路についても、地域の課題やニーズなどを踏まえ、重要度や緊急性を評価・優先順位付けし、バリアフリー化を進めます。 写真 歩道の波打ち解消・段差の改修 写真 バリアフリー化された歩道 A歩行環境の整備 すべての利用者が快適に歩ける空間を確保するため、助け合い意識を喚起するような標識の設置、ベンチなどの休憩施設の整備等により、公共空間としての歩道の機能向上を図ります。 写真 助け合い意識を喚起するような標識の設置 写真 ベンチの設置 B横断歩道のユニバーサル化の検討 横断歩道、音響式信号機、視覚障害者誘導用道路横断帯(エスコートゾーン)の設置を含めた交差点の安全な横断方策について、障害者や地域住民の意見等を踏まえながら検討し、警察等の関係機関と連携のうえ、必要な整備を行います。 写真 音響式信号機の設置 写真 エスコートゾーンの設置 C安全・安心な歩行空間の確保 地域や学校等との協働・連携を図りながら、通学路、生活道路等において、安全・安心な歩行空間を確保していきます。 写真 通学路のグリーン舗装 写真 速度制限による歩行者優先の道路整備 D交通結節点のユニバーサルデザインの推進 鉄道からバス、バスからバスなどの乗り換えや乗り継ぎが円滑に行えるよう、駅前広場やバスターミナルのユニバーサルデザインに配慮した整備・改修を行います。 また、目的地へ円滑に移動できるよう、利用者の視点に立った案内表示に取り組みます。 写真 駅前広場(明石駅) 写真 点字・音声案内 E自転車利用環境の向上による自転車と歩行者の共存 自転車と歩行者が共存できる安全な自転車通行空間・歩行空間の整備を進めるとともに、自転車交通安全教室や放置自転車対策を行うなど、ハード・ソフトの両面から自転車利用環境の向上を推進し、自転車と歩行者が共に通行しやすい環境整備に取り組みます。 写真 自転車専用通行帯の整備 写真 自転車交通安全教室 F道路の維持管理の継続 道路の安全性を向上するため、道路の段差・陥没等の危険な箇所や街路灯の球切れ・破損、歩道上の植栽の繁茂、点字ブロックの摩耗等については、市民・道路モニターからの通報や、日常パトロール等を踏まえ、速やかな対応を行います。 G安全な歩行空間を阻害する行為への対策 路上駐車、路上での荷捌き、歩道上への商品のはみ出し等が移動時のバリアになるため、点字ブロックをふさがないなどの適正な道路使用に向けた指導・啓発に努めます。 ?建築物/路外駐車場/都市公園 公共施設、小規模な飲食店、商店、事業所等市内の様々な施設について、安全で円滑な経路の確保、障害者や子育て世代等の利用にも配慮したトイレや駐車場の設置、施設利用に関連したわかりやすい情報提供等に努めます。 @学校等の公共施設のバリアフリー化の促進 市役所や学校をはじめとする公共施設については、多様な利用者が来訪するため、きめ細かく利用者の特性に配慮し、一層のバリアフリー化を推進します。 このうち、学校や、地域活動等の拠点となるコミュニティ・センター等の施設については、地域の実情に応じた整備・改修を順次進めるとともに、コミュニケーションツールの設置といった情報提供の充実を図ります。 特に学校については、全ての児童生徒や学生が支障なく学校生活を送ることができるとともに、災害時の避難所や地域コミュニティの拠点に位置付けられ、文化・スポーツをはじめとした活動も行われていることから、誰もが利用しやすく、より地域に開かれた学校を目指した環境の整備を進めていきます。また、明石市立学校施設長寿命化計画に記載しているとおり、トイレの改修やエレベーターの設置については、今後も継続して優先順位の高い施設から順次、整備していきます。 A民間施設のバリアフリー化をできるところから実現 民間事業者によるバリアフリー化の促進に向けた啓発や後押しを行うとともに、多様な特性に応じた接遇の向上を図るため、研修機会の提供やユニバーサルデザイン・バリアフリーに関する好事例の情報提供を行います。こうした取組を通じ、民間事業者の主体的な取組につなげていきます。 ・合理的配慮の提供を支援する公的助成制度 本市では、商業者や地域の団体が障害のある人に必要な合理的配慮を提供するためにかかる費用(簡易スロープや手すりなどの工事費用)を助成しています。本制度を活用し、小規模店舗を含めた市内すべての建築物のバリアフリー化を進めていきます。 写真 制度を活用したスロープの設置 B誰もが快適に利用できるトイレ整備の推進 誰もが快適に利用できるトイレを確保することは、すべての人が参加・参画できる社会を実現するための重要な取組の一つです。利用者の特性や利用者数を踏まえた適切な整備、同一フロアでの分散や上下階での役割分担など、施設全体を活用したトイレ機能の分散*10の考え方を公共施設で推進するとともに、民間事業者にも整備を求めていきます。 また、女性はもとより、高齢者や膀胱・前立腺の手術を受けられた方、尿漏れパッドやおむつを使用する方、生理用品を捨てたいトランスジェンダーの方への配慮として、男女を問わずトイレにサニタリーボックス(汚物入れ)の設置を推進していきます。 *10 トイレ機能の分散 多機能トイレへの利用者の集中を避けるため、障害者等に必要な各設備を一般用トイレに分散配置すること。以下のような工夫例が挙げられる。 ○車いす使用者便房以外にオールジェンダートイレ*11を設ける。 ○男性用便所、女性用便所内においても、車いす使用者用簡易型便房 (車いす使用者が利用可能な出入口の有効幅員と最小限の広さを有する便房)を設ける。 ○男性用便所、女性用便所内において、オストメイト設備、乳児用設備を設ける。 出典:大阪・関西万博 施設整備に関するユニバーサルデザインガイドライン【改訂版】(民間パビリオン用) (公益社団法人2025年日本国際博覧会協会・2022.3) *11 オールジェンダートイレ 性的マイノリティ(LGBTQ+)等に配慮した、男女問わず誰もが利用出来るトイレ。 C多様な対象者への対応 人混み等の周辺環境の状況によって不安や恐怖等を感じパニックを起こしやすい人たちが気持ちを落ち着かせるための「カームダウン・クールダウンスペース*12」の設置や、オールジェンダートイレの設置(対応ピクトグラムの表示を含む。)など、身体・知的・精神・発達障害者、性的マイノリティなどの多様なニーズを持つ人々を包摂する環境づくりを公共施設で先導して推進していきます。 写真 カームダウン・クールダウンスペースの設置例(中部国際空港) 写真 みんなが選べるオールジェンダートイレの設置例(東京都渋谷区西原一丁目公園) *12 カームダウン・クールダウンスペース 知的障害・精神障害・発達障害の方は、外出時に様々な視覚情報、音声情報および騒音・雑音などが重なることで、感覚に対する反応が過敏となることや、電車の遅延など日常生活における不測の事態が生じた場合等に、パニックになることがある。 これらの場合に、しばらく時間をおき、気持ちを落ち着かせることで冷静に自分の行動を振り返ることができる。これをカームダウン・クールダウンという。 空港などの公共施設で設置されている。 Dユニバーサルデザインに配慮した駐車スペース整備の推進 車いす使用者等の歩行が困難な方は、自動車での移動も多く、車いす用リフト付き車両からの乗降等をスムーズに行うため、十分な幅員や奥行が確保された駐車スペースが必要です。そのような駐車スペースを公共施設で確保するとともに、駐車場の新設・改築を行おうとする事業者に対して、歩行が困難な方のための駐車スペースの出入口付近への設置、幅員・奥行きの確保等について、指導・周知を図ります。 ・兵庫ゆずりあい駐車場 公共施設や商業施設、飲食店、病院、ホテル等に設置されている、歩行が困難な方のための駐車スペースを適正に利用していただくため、兵庫県が県内共通の利用証を交付する制度です。 本市でも、本制度の推進を継続して行っていきます。 図 兵庫ゆずりあい駐車場 Eユニバーサルデザインに配慮した公園整備の推進 子どもや高齢者、障害者等の多様な市民の誰もが憩いや安らぎを感じながら円滑に公園を利用することができるよう、バリアフリー法や都市公園の移動等円滑化整備ガイドラインに基づき、主要な出入口や園路のバリアフリー化、トイレの改修、障害のある子もない子もみんな一緒に遊べるインクルーシブ遊具の設置等、ユニバーサルデザインに配慮した公園整備を当事者の意見を踏まえて進めていきます。 写真 当事者の意見を踏まえてバリアフリー化した公園の出入口(石ケ谷公園) 写真 公園内のバリアフリートイレ(明石公園) 写真 インクルーシブ遊具(17号池魚住みんな公園) F施設出入口と歩道とのバリアフリーの連続性の確保 施設内のバリアフリー化に比べて、施設出入口から歩道までの移動経路がバリアフリー化されていない状況があることから、誰もが安心して移動できるよう、関係者間で連携してバリアフリーの連続性を確保していきます。 写真 バリアフリーの連続性が確保された移動経路 1の4 障害の社会モデルの普及・浸透と心のバリアフリーの推進 本計画の基本理念である「すべての人が大切にされ、誰一人取り残さないインクルーシブな社会の実現」に向けては、市民、事業者、行政が「障害の社会モデル」について正しく理解した上で、ユニバーサルデザインのまちづくりを進めると同時に、様々な心身の特性や考え方を持つすべての人が、相互に理解を深めようとコミュニケーションを取り、支えあう「心のバリアフリー」を進めることが重要です。 社会に存在する物理的障壁(バリア)は、誰もが公平に自由に移動できる権利として、多様な個性の人々の人権や尊厳を尊重するためにも、社会の責務として、環境整備により解消していかなければなりません。 その上で、人と人のコミュニケーションを円滑にするための取組として、差別や偏見、無理解、無関心といった人々の意識上の障壁(バリア)を取り除くことや、多様な個性の人々の尊厳を大切にし、合理的配慮を行うことができるコミュニケーションスキルを広めていくことが重要です。 こうした状況も踏まえながら、障害の社会モデルの普及・浸透と心のバリアフリーの推進について取り組んでいくものとします。 ?市民の理解を深めるための啓発活動の推進 「障害の社会モデル」の考え方に基づき、障害等を理由とする差別の解消や合理的配慮の提供など、「心のバリアフリー」をすべての市民が理解し、それを自らの意識に反映させ、具体的な行動につなげていくための啓発活動を行います。 @多様な市民が交流するイベント等の開催 障害当事者等も含めた多様な市民が共に参加し、楽しむことができるイベント等の交流の機会を設け、様々な障害への理解を深めるとともに、市民の交流やまちの賑わいを創出します。 写真 アートシップ明石(障害当事者の作品展示) 写真 ユニバーサルフットサル 写真 ストリートピアノ A講演会やフォーラム等の開催 市民がユニバーサルデザインや障害特性について学び、これからのまちづくりについて自主的に考え、行動するための気づきの場を提供するため、講演会やフォーラム等を開催します。 写真 あかしユニバーサル交流会(フォーラム・パネルディスカッション) Bヘルプマーク・ヘルプカードの普及促進 知的障害や聴覚障害、難病、妊産婦の方、認知症や高齢やけがにより体の不自由な方など、外見からは支援を必要としていることがわかりにくい人や、支援してほしいことを伝えるのが難しい人に対して、声かけや支援を行いやすくするためのきっかけとなるヘルプマーク*13やヘルプカード*14を普及促進します。 図 ヘルプマーク 図 ヘルプカード *13 ヘルプマーク 援助や配慮を必要としていることが外見では分からない人々が、周りに配慮を必要なことを知らせることで、援助を得やすくなるよう、作成されたマークです。 *14 ヘルプカード 援助や配慮を必要とする人が、いざというときに必要な支援を周囲の人にお願いするため、かかりつけ病院、自分の症状や緊急連絡先などを記入するカードです。持ち歩くことで、災害時や緊急時など、周囲の人に手助けを求めたいときに役立ちます。 C学校と連携した児童生徒等の教育活動 児童生徒や学生の障害者理解の基礎を培うため、小中学校等の学習・教育内容と連携し、障害の社会モデルや心のバリアフリーに関する教育活動を実施します。 ?実際の行動につなげるための気付きの機会の創出 障害のある人の尊厳を大切にした合理的配慮を行うことができる力や、障害特性に応じてコミュニケーションを図るスキルの習得を促進し、障害のある人との交流する機会を創出する取組を行います。 @子どもたちがインクルーシブ社会を学べる・体験できる機会の創出 教育現場においては、多様な児童生徒が同じ場で共に学ぶことを追究するインクルーシブ教育を推進します。その際、個別の教育的ニーズのある児童生徒に対して、自立と社会参加を見据えて、その時点で教育的ニーズに最も的確に応える指導を提供するため、連続性のある多様な学びの場を用意します。 また、小学校において「バリアフリー教室」を開催し、障害者や高齢者との交流や疑似体験・介助体験を行うとともに、手話体験教室やパラリンピック種目の体験などを通じて、児童の障害理解の促進を図ります。 さらに教職員に対しても、障害当事者とフィールドワークへの参加や「ユニバーサルマナー検定」の受講を促進し、インクルーシブや心のバリアフリーへの理解を深めます。 A心のバリアフリーの普及促進 本市が進める「インクルーシブ社会のまちづくり」、「障害者への配慮」、「簡単な手話表現」など、市職員が地域に出向き、わかりやすく伝える出前講座などを実施します。 B多様な人々への接し方の理解促進 本市ではこれまで、市職員、民間事業者、高校生等を対象に、障害者や高齢者など、多様な人々への接し方や配慮を身につけるため、「ユニバーサルマナー検定」の受講機会を提供してきました。より多くの方々に理解が広がるよう、対象者を拡充しながら、今後も受講機会を提供していきます。 特に、知的障害*15は、外見からは障害の有無が判断しにくいため周りから誤解されやすく、当事者が不便さを言語化して外部に訴えることが難しいため、社会に理解されにくくなっています。そのため、知的障害者の疑似体験等による啓発活動を行っている関係団体等と連携し、誤解を受けやすい知的障害者の特性を理解してもらえる取組を推進していきます。 また、民間事業者の「ユニバーサルマナー検定」の受講機会を増やし、利用者がまちを楽しむことができる接遇スキルの向上を図ります。 *15 知的障害者 知的障害は、外見からは障害があることがわかりにくく、その症状や反応が多様であり、人とのかかわりあいやコミュニケーションが苦手であるといった特徴があります。応対の基本として、「ゆっくり」、「ていねいに」、「くりかえし」を挙げることができます。 <主な特徴> ・抽象的な言葉はわかりにくい。「ちょっと待ってて」「チャンとしなさい」と言われてもどうしたら良いかわからず不安になる。時計の針がここまでとか、立ち方の見本を見せてくれたら理解できる。 ・言葉で気持ちを表すことが苦手。身体で感情を表現したり、好きなことを話し続けたりする(例:大声で笑う、大人なのに手足をバタバタしたりジャンプするなど)。 ・興味のあるものしか見えていないことがある(「シングルフォーカス」)。興味のあるものめがけて道路に飛び出したり、迷惑顔に気がつかず触ってしまったりする。危ないときや周囲に迷惑をかけている場合は「危ない」「やめてください」とはっきり伝える必要がある。 ・五感が違う。道具を使うことが難しい(手の感覚が違う)。健常者が3分でできることが5分も10分もかかる(時間が、感覚が違う)。本を読むのが苦手(見え方・聞こえ方が違う)。 ・優しい声かけや、黙って見守ることが大切。 出典:公益財団法人兵庫県手をつなぐ育成会・明石地区手をつなぐ育成会 パンフレット 写真 特別授業「I’m POSSIBLE」プログラム 写真 手話体験教室 写真 バリアフリー体験教室 写真 知的障害の視界の体験(シングルフォーカス) 1の5 情報のバリアフリー化 2022年(令和4年)5月に、障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律(障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法)が公布・施行されました。 まちを移動する際に必要な情報を受け取り、理解し、自らの思いを伝えるという各段階において、障害のある人がいることを理解したうえで、すべての市民に必要な情報が伝わることの重要性を認識し、ICTを含めた情報のバリアフリー化を進めます。 なお、情報の収集・提供にあたっては、収集した情報の蓄積や更新の仕組みについても留意し、正しい情報が持続的に提供されるよう配慮します。 ?バリアフリーマップの作成・活用 高齢者や障害者、子育て世代など、多様な方がまちを移動する際に必要な情報を把握しやすくし、外出機会を増やすことを目的に、施設や経路等のバリアフリー情報が一目で分かる地図(バリアフリーマップ)の作成とその普及に努めます。作成に当たっては、各施設の利用者や施設管理者の意見を踏まえながら、使いやすく更新しやすいものとなるように配慮します。 市がマップを作成する場合には、バリアフリー法の規定*16に基づき、旅客施設や道路等の管理者から、バリアフリーの状況に関する情報提供を受けながら進めるとともに、民間や地域によるバリアフリーマップの作成・情報発信を促進し、その普及に努めます。 また、マップ作成後も、掲載内容の更新や追加情報の収集が継続的に行えるような体制の構築を検討します。 図 明石駅周辺のバリアフリーマップ 図 明石駅周辺の商業施設が作成したトイレマップ 【バリアフリーマップで掲載する内容の例】 ◆施設の情報:バリアフリー経路・出入口の状況・トイレ(多目的トイレ・オストメイト・大型ベッド等の有無)等 ◆経路の情報:点字ブロックの設置状況・音響式信号機の位置・急勾配や幅員が狭い等の危険区間の明示等 ◆その他:店舗等のバリアフリー配慮の好事例等 *16 バリアフリー法の規定 各施設の管理者等は、バリアフリーの状況について、市町村の求めに応じて、旅客施設及び道路については情報提供しなければならない旨を、建築物、路外駐車場、公園については情報提供に努めなければならない旨がバリアフリー法第24条の8に規定されています。 ?多様なコミュニケーション手段の普及・促進 障害のある人もない人も分け隔てられることなく理解しあい、一人ひとりの尊厳を大切にしあう共生のまちづくりを推進するため、手話言語や要約筆記、点字、音訳等の障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用を推進します。 公共施設においては、利用者ニーズに対応した情報提供を行うとともに、飲食店をはじめとする民間施設においても、チラシ等の点字訳や音訳、コミュニケーションボードの設置等に要する費用を助成する合理的配慮の提供を支援する公的助成制度を活用し、民間事業者によるコミュニケーションツールの設置等を促進します。 ?イベント時の情報提供への配慮 県や市が開催するイベントでは、手話通訳や要約筆記、点字資料の配布等の情報提供に対する配慮を引き続き継続していきます。あわせて、民間団体等が開催するイベントにおいても情報保障への配慮が行われるよう、啓発や手話通訳者・要約筆記者の配置に対する助成等を進めます。 また、イベント会場における車いす席や多目的トイレ、授乳室の有無といったバリアフリー情報の事前周知の方策について検討します。 ?市内のユニバーサルデザイン・バリアフリーの取組事例の紹介 「合理的配慮の提供を支援する公的助成制度」の活用事例など、ユニバーサルデザイン・バリアフリーに関する好事例を庁内で連携を図りながら蓄積・共有し、市民や事業者等に情報発信する取組を実施していきます。 ?誰もがわかりやすい案内表示の充実 まちを移動する際に目的の場所へ円滑に移動できるよう、利用者の視点に立った案内表示に取り組みます。色弱の人にも配慮した配色、高齢者、知的・精神障害者(発達障害者を含む)、外国人にもわかりやすいピクトグラムの積極的な活用やシンプルなデザインの採用、多言語表示等の案内表示を充実させます。 ?点字ブロックや音声案内による誘導案内の充実 歩道、鉄道駅、公共施設の出入口等に設置している点字ブロックについては、利用する当事者の視点に立って点検し、特に利用頻度の高い経路では連続性を確保するなど、より安全で円滑な移動ができるよう整備を進めます。あわせて、音声案内や点字の併用等を検討します。 ?工事の案内への配慮 工事のため、日ごろ通い慣れた道路の通行形態が変わり、歩きにくいことや不便を感じることがあります。また、工事による少しの変化でも、高齢者、障害者等にとっては、大きな負担となる恐れがあります。そこで、歩行者の安心感を高めるため、工事情報の提供については、各事業者による適切な情報提供の仕組みづくりを検討します。 1の6 ユニバーサルツーリズムの推進 本市が進める「やさしいまちづくり」の一環として、外出の際に支援が必要な人やその家族などが外出先で抱える不安や困りごとに応じることができる環境を整えることにより、障害の有無や年齢、性別、国籍等にかかわらず、明石で暮らす人や明石に訪れる人の誰もが安心して外出し、明石の魅力ある食・文化・歴史などを五感で楽しめることができる「ユニバーサルツーリズム」の取組を推進し、広くその取組を発信していきます。 ?明石の魅力を五感で楽しむ環境づくり 明石で暮らす人や明石に訪れる人の誰もが安心して外出し、明石の魅力ある食・文化・歴史などを五感で楽しむことができる環境づくりに取り組んでいきます。 そのため、関係者と協力しながら、公園、文化施設、小規模な飲食店を含めた民間施設等、多くの人が訪れる施設のバリアフリー化、五感で理解し楽しむためのユニバーサル展示*17の普及、「ユニバーサルマナー検定」の受講等による接遇スキルの向上、イベント時の情報提供への配慮など、まち全体での合理的配慮の提供に取り組んでいきます。 写真 触れることで大きさや形を学べる模型や、点字・点図を使った天文教具などを展示(天文科学館) *17 五感で理解し楽しむためのユニバーサル展示 「見る」だけでなく、「触って確かめる」、「においを楽しむ」など障害者や非障害者にかかわらず楽しむことができる展示。 ?誰もが安心して快適に利用できる宿泊施設の整備促進 明石市では、市内の宿泊施設の事業者を対象に、出入口、共用トイレ及び客室のバリアフリー化工事に対する費用を助成しています。 2022年(令和4年)4月から開始した本制度の活用を推進し、誰もが安心して快適に利用できる宿泊施設の整備を促進していきます。 ?「あかし案内所」の活用 明石駅前において2020年(令和2年)3月に供用開始した「あかし案内所」を拠点として、「ユニバーサルツーリズム」を推進します。 同施設内の案内所においては、車いすの方も利用しやすいカウンターを設け、市内飲食・宿泊・観光施設等のバリアフリー情報をはじめとしたユニバーサルツーリズム情報等を提供します。あわせて、多言語翻訳端末の配置など、多言語対応の拡充を図ります。 また、専門性の高い対応が必要な場合には専門機関と連携する等、多様な利用者の問い合わせやニーズに対応できるよう、スタッフの接遇の向上、提供する情報の拡充等、案内機能の充実を図ります。 写真 明石のまちあるきの相談に応える「あかし案内所」 ?当事者のニーズに応じた観光情報等の提供 誰もが安心して観光を楽しむことができるよう、身体や障害の状況に応じた観光ルートの設定、手話通訳者や要約筆記者の同行等、観光客一人ひとりの状況に配慮した観光ガイドや目的地までの誘導支援の充実を目指します。 また、モニターツアーを開催するなど、関係機関と連携して当事者視点によるユニバーサル観光資源や地域資源の発掘・活用に取り組むとともに、観光施設や店舗等のバリアフリー情報の収集を行い、ホームページへの掲載、「あかし案内所」における各種パンフレットの提供等による情報発信を行います。 ?推進体制の整備 ユニバーサルツーリズムを当事者視点で推進していくため、明石ユニバーサルツーリズムセンターと連携し研修会を実施するなど、行政、市民、民間事業者、市内外の関係団体等の幅広い関係者と協力し、当事者の参画を得ながら、ユニバーサルツーリズムの推進に携わる体制を構築します。 1の7 災害時・緊急時に対応したユニバーサルデザインのまちづくり 情報の入手や避難等について配慮や支援が必要な高齢者、障害者、外国人等、誰もが安全かつ速やかに避難できるよう、地域や民間事業者とも連携して、平常時だけでなく災害時・緊急時に対応したバリアフリー化を進めていきます。 ?当事者参画と地域の支え合いによる防災ネットワークづくり 災害時に、地域において適切な対応がとれるよう、当事者参画と地域の支え合いによる防災ネットワークづくりを行政、地域、医療等の関係機関、事業者等が連携して推進します。 そのため、地域における日頃からの人間関係づくりや、災害時要配慮者も参画した現地確認、防災訓練等の実施を通じて、地域の特性に応じた防災計画の策定や、避難時に危険な場所の改善等に取り組みます。 ?避難計画策定の推進 本市では、災害時要配慮者を把握し、市と地域等で情報共有を図るため、災害時要配慮者を登録した避難行動要支援者名簿を作成しています。地域において、同名簿を活用し、一人ひとりの特性に応じた避難支援を定めた個別支援計画の策定を推進します。 ?災害時要配慮者を考慮した避難所の確保 民間施設の福祉避難所への活用や、災害時要配慮者に対応した避難所体制の構築等、地域や民間事業者とも連携しながら、災害時要配慮者を考慮した避難所の確保に努めます。 ?ハザードマップの普及 高齢者、視覚障害者等にも配慮した配色やピクトグラムを活用した分かりやすいハザードマップを市内全戸に配布するとともに、音訳を行い、すべての市民に、災害リスクについて周知します。 ?避難所のバリアフリー化の推進 地域の身近な避難所となる小中学校等において、トイレの洋式化・バリアフリー化、エレベーターの設置等を進めます。 また、災害時にはコミュニケーション支援ボードの活用等によって、要配慮者との意思疎通の強化を図ります。 ?民間住宅の耐震化の促進 地震に備えた住宅の耐震化を促進するため、住宅の簡易耐震診断や、建替・改修工事等に対する支援を継続して行い、安全・安心なまちづくりを推進します。 ?非常時や災害時に備えた道路の安全性や防災性の向上 発災後の道路ネットワークの確保、道路の耐震化、狭あい道路の整備、避難経路になる通学路の安全性向上等、もしもの時に備える道づくりを進めます。 ?障害特性に応じた緊急時の伝達手段の確保 聴覚障害者は、緊急放送や非常ベルなどに気づけません。このため、通常の映像・音声だけでなく、FAX、メール等様々な媒体を組み合わせた情報伝達体制を維持し、必要に応じて拡充を図ります。 1の8 地域との連携 ?地域の自主的な取組との連携 ユニバーサルデザインのまちづくりに関する取組には、行政や事業者主体の取組のみならず、まちづくり協議会や地区社会福祉協議会をはじめとした地域団体や市民団体等が当事者・市民主導で、地域の実情に応じて自主的に行われている取組もあります。 そこで、「明石市ユニバーサルデザインのまちづくり協議会」において、これらの自主的な地域の取組状況の情報共有を行うとともに、同協議会参加団体と連携した取組の実施や、当該団体からの提案を踏まえた取組の実施、本計画の見直し等について検討・調整などを行い、地域と連携して、ユニバーサルデザインのまちづくりを進めていきます。 図 地域との連携イメージ ?ユニバーサルデザインのまちづくり推進モデル地域 @モデル地域指定の背景・目的 本市においては、小学校区ごとに設置されたまちづくり協議会を中心として地域活動が行われており、協議会の中には、地域主導でユニバーサルデザインのまちづくりに取り組んでいる地域もあります。 そこで、市独自の取組として、地域単位でユニバーサルデザインのまちづくりを積極的に実践している地域を、「ユニバーサルデザインのまちづくり推進モデル地域(以下「モデル地域」という。)」に指定し、当該地域の取組を後押しするとともに、その取組を市域全体の取組につなげていきます。 Aモデル地域の指定方針 モデル地域は、まちづくり協議会が策定した事業計画に基づき、ユニバーサルデザインのまちづくりの取組を積極的に実施し、幅広い参画のもと継続的な取組を計画している地域において、まちづくり協議会の意向や取組内容・方針を確認のうえ、指定します。 なお、まちづくり協議会に対する公募は、2023年度(令和5年度)から開始し、あわせて、地域の意向を取組に具体化するための後押しを行っていきます。 ◆想定される取組 ○多様な参加者によるまちあるき(バリアフリーチェック)の実施 ○バリアフリーマップの作成、情報発信 ○地域のイベント等における「心のバリアフリー」啓発活動 ○当事者も参画した避難訓練の実施 ○本計画に対する提案 など (取組例) 「江井島まちづくり協議会」では、車いす・ベビーカー使用者も参加した住民参加の防災訓練を年1回開催。一人では避難できない人がいたことから、車いす使用者、視覚障害者等との「まちあるき」の実施や、自宅から商業施設までの経路上のバリア情報を収集する等の取組を実施。 「魚住まちづくり協議会」では、バリアフリーチェックを通じた危険箇所等の改善の取組が行われてきたことを踏まえ、バリアフリーの視点に基づきながら、安全・防災マップづくりや啓発活動、災害時の要配慮者への支援に向けた検討等を実施。 写真 江井島まちづくり協議会 写真 魚住まちづくり協議会 図 地域によるバリアフリーチェック B取組の進め方 モデル地域として指定された地域の活動について、必要に応じて地域の取組を後押しするとともに、協議会において情報共有を図り、同協議会参加団体と連携した取組の実施や、他地域への展開につなげていきます。また、個別対応が可能な課題については、関係機関と調整のうえ、適宜対応します。 地域主体で作成したユニバーサルデザインのまちづくりの提案や、モデル地域から移動等円滑化促進地区や重点整備地区への設定・変更など、本計画の見直しに関する提案がなされた場合には、検討・調整を行います。 図 ユニバーサルデザインのまちづくり推進モデル地域のイメージ 2. バリアフリー化の優先的な促進が必要な地区(移動等円滑化促進地区)の設定 バリアフリー化の優先的な促進が必要な地区を、バリアフリー法に基づき、「移動等円滑化促進地区(以下「促進地区」という。)」として設定し、各促進地区に係るユニバーサルデザインのまちづくりに関する方針を定めて、取組を推進していくとともに、その取組を段階的に全市に波及させていきます。 2の1 地区設定の考え方 促進地区の設定にあたっては、第1編「2の5基本理念の実現に向けた基本目標」を踏まえ、以下の考え方に基づき、利用者視点に立ったユーザビリティ向上の観点から設定します。 @多くの当事者・市民が利用し、バリアフリー化を進めることが有効な地区の設定 鉄道駅や福祉施設、大規模商業施設、病院など、多くの高齢者・障害者等が利用する施設が複数立地する地域や、総合的な都市機能の増進を図るうえで重要な拠点として関連計画等で位置付けられた地域など、面的なバリアフリー化が必要である地区を促進地区として設定します。 A地域発案による地区の設定−まちづくり協議会との連携− 「ユニバーサルデザインのまちづくり推進モデル地域」等、地域においてユニバーサルデザインに関わるまちづくり活動が活発化し、地域のニーズが高まり、促進地区の設定や範囲・内容についての見直しについて、地域から提案された地区を促進地区として設定することを検討します。 Bまちや社会の変化に応じた見直し 本計画は、まちづくりの進展や移動環境の変化、法令改正や基準の改定などを踏まえ、当事者、市民の意見をもとに、本計画の検証・改定を継続的に行っていきます。また、促進地区の設定においても、まちや社会の状況に応じて、適宜、地区の設定やその範囲・内容について見直しを検討します。 2の2 「移動等円滑化促進地区」の設定 本市は東西に長い地理的特性を有し、その東西を鉄道が横断しています。居住者や鉄道利用者が多く集まる鉄道駅周辺には、駅を結節点としてバス路線が形成されている、公共施設や商業等サービス機能が集まっていることなどから、駅周辺が市民等の暮らしの中心となっています。 また、本市の都市計画マスタープランにおいては、主要な鉄道駅を核とした集約型の都市の将来像が示されています。 こうした本市の状況や旧基本構想の検証結果、「2の1 地区設定の考え方」を踏まえ、以下の方針により、促進地区を設定します。 【促進地区の設定方針】 @多くの市民や来訪者が利用する駅(乗降者数の多い駅から優先して設定)の周辺地区で、当該駅から徒歩圏(概ね半径500m、施設の立地状況等によっては1q以内)に、3か所以上の不特定多数の市民、高齢者・障害者等が常に利用する施設(以下「生活関連施設」という。)が立地する地区を促進地区とする。 なお、「旧基本構想」で重点整備地区(3か所)、準整備地区(7か所)とされていた地区は促進地区とする。 A地域発案があった地区や、駅周辺以外で生活拠点が形成されている地区で、地区の中心地から徒歩圏に、3か所以上の生活関連施設が立地する地区についても、促進地区としての設定を検討する。 B今後のまちづくりの進展、社会状況の変化等に応じ、促進地区の設定・変更を検討する。 ※促進地区以外の地区であっても第2編「1.全市的なユニバーサルデザインのまちづくりの基本 方針」に基づき、まちの状況に応じたユニバーサルデザインのまちづくりを推進していきます。 ■移動等円滑化促進地区(13地区) 表 @JR朝霧駅 周辺地区 AJR明石駅・山陽電鉄山陽明石駅周辺地区 BJR西明石駅 周辺地区 CJR大久保駅 周辺地区 DJR魚住駅 周辺地区 EJR土山駅 周辺地区 F山陽電鉄 西新町駅 周辺地区 G山陽電鉄 林崎松江海岸駅 周辺地区 H山陽電鉄 中八木駅 周辺地区 I山陽電鉄 東二見駅 周辺地区 J山陽電鉄 西二見駅 周辺地区 K松が丘地区 L山陽電鉄 藤江駅 周辺地区 図 促進地区の位置 【促進地区の設定要件】(バリアフリー法、国のガイドラインから) @高齢者・障害者等が、日常生活等で常に利用する施設が複数立地すること Aこれらの施設が徒歩圏内(概ね4km2)に集積し、施設間の移動が徒歩であること Bバリアフリー化を促進することが、総合的な都市機能の増進を図るうえで有効かつ適切であること 2の3 生活関連施設の設定 促進地区内に立地する当事者・市民が多く利用する施設を生活関連施設として設定します。 【本計画における設定の考え方】 @常に多数の人が利用する施設(災害時等に多数の人が利用する避難所を含む) A高齢者、障害者等の利用が多い施設 B「旧基本構想」で「移動円滑化を図る施設(重点整備地区)」、「移動円滑化を図る周辺施設(準整備地区)」に設定されている施設 C生活関連施設はネットワークの起終点となるため、既にバリアフリー化されている施設であっても設定 ※生活関連施設以外の施設であっても、バリアフリー法や兵庫県福祉のまちづくり条例等に基づき、バリアフリー化を進めていきます。 表 施設区分、設定基準 ・公共施設等:常に多数の人が利用する公共性の高い施設 ・旅客施設:鉄道駅、旅客船ターミナル ・教育・文化施設、商業施設、医療・保健・福祉施設、宿泊施設:バリアフリー法に基づく基準の適合義務がある・延べ面積2,000u以上の施設 ・都市公園:多数の人の利用が想定される広域公園、総合公園、地区公園、近隣公園 ・路外駐車場:生活関連施設に隣接しているか、又は生活関連経路の途中にある500u以上の路外駐車場 ・観光施設:地域の観光資源として地域外からの来訪者も多く訪れる観光施設 ・学校:小学校、中学校、高等学校、高等専門学校、養護学校、専門学校、大学 ・その他:上記以外で、地域等で要望が高い施設については、地区の状況を踏まえ設定 【生活関連施設 法律上の定義】 高齢者、障害者等が日常生活又は社会生活において利用する旅客施設、官公庁施設、福祉施設その他の施設 【国ガイドラインの考え方】 ・常に多数の人が利用する施設を選定する ・高齢者、障害者等の利用が多い施設を選定する 2の4 生活関連経路の設定 促進地区内の生活関連施設間を結ぶ経路を生活関連経路として設定します。 【本計画における設定の考え方】 以下の@〜Bを踏まえ、地域の実情、施設の利用実態等に応じ、生活関連経路を設定します。 @生活関連施設の立地状況等を踏まえ、生活関連施設への移動の利便性や地区の回遊性向上に資する生活関連施設相互間の経路 Aより多くの人が安全に通行できる経路 B「旧基本構想」で特定経路・準特定経路として位置付けた路線については、今後も継続的にバリアフリー化に取り組む必要があることから、生活関連経路に設定 ※生活関連経路以外の路線であっても、歩行者等の安全性確保が必要な路線や、補修等が必要な箇所については、速やかに対応していきます。 【生活関連経路 法律上の定義】 生活関連施設相互間の経路 【国ガイドラインの考え方】 ・より多くの人が利用する経路を設定する ・生活関連施設相互のネットワークを確保する 図 参考:移動等円滑化促進方針と基本構想の作成イメージ 2の5 旅客施設と道路(駅前広場)の連続性の確保:届出制度 多くの人が利用する駅をはじめ、旅客施設に接続する駅前広場や道路は、特に移動の連続性に配慮することが必要です。 バリアフリー法第24条の6の規定により、公共交通事業者等又は道路管理者は、促進地区内において、旅客施設や道路の改良等であって、他の施設と接する部分の構造の変更等を行う場合には、当該行為に着手する30日前までに市に届け出なければならないこととされています。 この届出があった場合に市は、促進地区のバリアフリー化を図る上で、支障があると認めるときは、届出に係る行為の変更等の必要な措置を要請します。 ◆届出制度の対象の指定 【駅・旅客船乗り場と道路(駅前広場)の改良等にあたっての届出が必要な駅及びその周辺】 表 地区名、旅客施設、道路、届出の対象範囲 〇JR朝霧駅周辺地区 ・JR朝霧駅、朝霧165号線、 ・山陽電鉄大蔵谷駅、国道2号、 鉄道駅施設との連続性確保 〇JR明石駅、山陽明石駅周辺地区 ・JR明石駅(北)、大明石1号線、 ・JR明石駅(南)、明石中央66号線、 駅前広場(ロータリー)との連続性確保 ・山陽明石駅、明石中央66号線、 駅前広場(ロータリー)との連続性確保 ・山陽電鉄人丸前駅、太寺上ノ丸14号線、 鉄道駅施設との連続性確保 ・淡路行旅客船乗り場、明石中央40号線、 旅客船乗り場との連続性確保 〇JR西明石駅周辺地区 ・西明石東口(北)、西明石29号線、 駅前広場(ロータリー)との連続性確保 ・西明石東口(南)、西明石78号線、 鉄道駅施設との連続性確保 〇JR大久保駅周辺地区 JR大久保駅(北)、大久保436号線、 JR大久保駅(南)、大久保437号線、鉄道駅施設との連続性確保 〇JR魚住駅周辺地区 ・JR魚住駅(北)、魚住124号線 ・JR魚住駅(南)、魚住462号線、 駅前広場(ロータリー)との連続性確保 〇山陽電鉄西新町駅周辺地区、 ・山陽電鉄西新町駅(北)、林船上2号線、 鉄道駅施設との連続性確保 〇山陽電鉄林崎松江海岸駅周辺地区 ・山陽電鉄林崎松江海岸駅(北)、林船上43号線、 鉄道駅施設との連続性確保 〇山陽電鉄中八木駅周辺地区 ・山陽電鉄中八木駅(南)、県道明石高砂線、 鉄道駅施設との連続性確保 〇山陽電鉄東二見駅周辺地区 ・山陽電鉄東二見駅(北)、二見207号線、 ・山陽電鉄東二見駅(南)、県道明石高砂線、 鉄道駅施設との連続性確保 〇山陽電鉄西二見駅周辺地区 ・山陽電鉄西二見駅(北)、二見150号線、 ・山陽電鉄西二見駅(南)、二見186号線、 鉄道駅施設との連続性確保 〇山陽電鉄藤江駅周辺地区 ・山陽電鉄藤江駅、藤江33号線、 鉄道駅施設との連続性確保 【駅間の乗継ぎの配慮が必要な駅及びその周辺】 表 旅客施設、届出の対象範囲 〇JR明石駅・山陽明石駅:鉄道駅相互間のバリアフリー経路 〇JR西明石駅:在来線と新幹線間のバリアフリー経路 3. 移動等円滑化促進地区の方針 促進地区では、各促進地区の状況に応じて地域や事業者と連携しながら、「1.ユニバーサルデザインのまちづくりの基本方針」に位置付けた取組等を具体化していきます。 以下に、各促進地区の位置や区域、地区目標、取組方針、生活関連施設、生活関連経路等、促進地区ごとの取組方針を示します。今後、基本構想の検討過程の中で、当事者・市民や地域の意向、実施する事業内容等を踏まえ、必要に応じて、促進地区の方針の見直しを行います。 図 促進地区の位置・区域 3の1 JR朝霧駅周辺地区 ?地区特性 駅南側には、市のレクリエーション拠点となる大蔵海岸公園が立地しており、駅と大蔵海岸公園とは朝霧歩道橋で直結し、公園付近には複数の施設が立地するなど親水性の高いウォーターフロントを形成しています。 また、駅南側の国道2号・28号沿いには、沿道型店舗が立地し、駅北側には土地区画整理事業等により形成された中低層の住宅地が広がっています。 ?地区のバリアフリー状況 ◆JR朝霧駅は、エレベーター、多目的トイレ、内方線付き点状ブロックの設置等のバリアフリー化を実施。 ◆駅前広場は乗り換え利便性の向上、バリアフリー化等を目的にリニューアル済み。 ◆朝霧歩道橋の海側にエレベーターが設置され、エレベーター棟1階には、多機能トイレが設置されている。 ◆朝霧歩道橋の海側から砂浜に行くことが可能なスロープを整備。砂浜用車いす貸出を実施。 写真 リニューアルされた駅前広場 写真 JR朝霧駅構内のトイレ 写真 砂浜に行くことができるスロープ 写真 砂浜用車いすの貸出し(大蔵海岸公園) ?地区目標 駅から大蔵海岸公園までのバリアフリー化による、 誰もが安心して楽しめるユニバーサルデザインのウォーターフロントの形成 ?地区の取組方針 ◆駅から大蔵海岸公園までの経路、大蔵海岸公園等における、誰もが安全に移動し、利用しやすい環境の整備。 ◆大蔵海岸公園を活用した、ユニバーサルツーリズムの促進。 ◆ユーザビリティに配慮した建築物のバリアフリーの促進と、建築物と歩道との連続性の確保。 図 JR朝霧駅周辺地区 3の2 JR明石駅・山陽電鉄山陽明石駅周辺地区 ?地区特性 市の商業・業務機能の中心地として、駅南側を中心に、市内外から多くの人が集まり、にぎわう中心市街地が形成されています。駅周辺には、市の環境・景観核となる県立明石公園、魚の棚商店街、天文学科学館など様々な文化・歴史・レクリエーション資源が点在します。先行的・重点的にユニバーサルデザインのまちづくりを推進する地区として、誰もが日常的に楽しみやすく安全に移動できるユーザビリティと回遊環境の向上を目指しています。 ?地区のバリアフリー状況 ◆JR明石駅、山陽明石駅は、エレベーター、多機能トイレ、内方線付き点状ブロックの設置等のバリアフリー化を実施。 ◆駅南側は市街地再開発事業により駅前広場の改良や商業・公共サービス機能の向上など、駅周辺のバリアフリー化が完了。 ◆駅周辺における歩道の整備、点字ブロックの設置等のバリアフリー化を実施。 ◆駐輪場の整備、自転車等放置禁止区域の指定範囲の拡大等により、駅周辺の放置自転車台数は大幅に減少。 写真 山陽明石駅のエレベーター 写真 リニューアルされた駅前広場 写真 整備された歩道 ?地区目標 あかしの中心核にふさわしい、人が交流し、にぎわいあふれる 先導的なユニバーサルデザインのまちづくり ?地区の取組方針 ◆バリアが散見される歩道や視覚障害者が横断を危険と感じる交差点等における、更なるユーザビリティの向上、休憩スペースの設置等による移動環境の質の向上、施設と歩道の連続性の確保。 ◆駅、バスターミナル等の旅客施設における案内誘導の改善・充実。 ◆公共施設や大規模施設のみならず、宿泊施設、小規模店舗等も含めた建築物や、公園・駐車場についてのユーザビリティに配慮したバリアフリー化の促進。 ◆市民や来訪者も含めて、障害の有無、年齢、性別、国籍等にかかわらず誰もが安心して外出を楽しむことができるよう、「あかし案内所」を拠点としたユニバーサルツーリズムの推進。 図 JR明石駅 山陽電鉄 山陽明石駅周辺地区 3の3 JR西明石駅周辺地区 ?地区特性 JR山陽本線と山陽新幹線が交差し、神戸・大阪や首都圏等にアクセス可能な広域交通ネットワークの拠点となっています。駅周辺には商業・業務機能が集積し、その背後は住宅地が形成されています。 駅周辺の活力を生かし、地域の人も広域からの来訪者も快適に時間を過ごせる駅の南北が一体となったまちづくりを目指しています。 ?地区のバリアフリー状況 ◆駅は、エレベーター、多機能トイレ、内方線付き点状ブロック等の設置、西側改札からの連絡通路の整備等によるバリアフリー化を実施。 ◆東西の駅前広場の整備にあわせて、東口連絡通路にエレベーターの設置、バス停の整備、歩道の点字ブロックの設置や段差・勾配の改修等を実施。 ◆駅周辺における歩道の整備、点字ブロックの設置等のバリアフリー化を実施。 ◆駐輪場の整備、自転車等放置禁止区域の指定範囲の拡大等により、駅周辺の放置自転車台数は大幅に減少。 写真 駅構内の連絡通路 写真 東口連絡通路のエレベーター 写真 駅前広場とバス停 ?地区目標 にぎわいの創出と暮らしやすさの向上を目指した、 ユニバーサルデザインのまちづくりによる広域交通の玄関口としての機能強化 ?地区の取組方針 ◆駅周辺のまちづくりと連携した、広域交通ネットワーク拠点にふさわしいユニバーサルデザインのまちづくりの推進。 ◆駅構内の東西改札間の移動や、在来線から新幹線への移動の円滑化。 ◆広域からの来訪者に配慮した案内誘導の改善・充実。 ◆生活関連経路における、歩行者の通行空間の確保と移動の円滑化。 ◆ユーザビリティに配慮した宿泊施設等の建築物・駐車場・公園のバリアフリー化と、施設と歩道との移動の連続性の確保。 図 JR西明石駅周辺地区 3の4 JR大久保駅周辺地区 ?地区特性 駅南側は、都市景観形成地区に指定されており、土地区画整理事業等により整備された商業拠点や集合住宅地が美しい都市景観を形成しています。近年は、公共施設の整備やJT跡地の開発などにより、新たなまちづくりの動きも見られます。 また、駅北側についても、土地区画整理事業により形成した良好な市街地での土地利用が進んでおり、駅の南北が一体となったにぎわいと魅力づくりが進められています。 ?地区のバリアフリー状況 ◆駅は、エレベーター、多機能トイレ、内方線付き点状ブロックの設置等のバリアフリー化を実施。 ◆駅前広場や駅周辺における歩道の点字ブロックの設置、駅から大久保市民センターまでの歩道における段差・勾配の改修、幅員の確保を実施。 写真 駅構内のエレベーター 写真 バリアフリー化が図られた駅前広場 写真 歩道のバリアフリー化 ?地区目標 まちの変化に対応した移動経路の連続性の確保等による、 誰もが住み続けたくなる魅力的なユニバーサルデザインのまちづくり ?地区の取組方針 ◆新たな施設整備等によるまちの変化に対応したユニバーサルデザインのまちづくり。 ◆移動の連続性の確保による更なるバリアフリー化。 ◆生活関連経路における歩道の波打ち解消、段差・勾配の改修、点字ブロック設置。 ◆ユーザビリティに配慮した商業施設を中心とした建築物・駐車場のバリアフリー化の促進。 図 JR大久保駅周辺地区 3の5 JR魚住駅周辺地区 ?地区特性 駅南側は、公園や図書館等の公共施設が立地しており、また、駅北側では土地区画整理事業等により良好な住宅地が形成されています。 駅の橋上化に伴い、駅の南北をつなぐ自由通路や南北駅前広場、駅へのアクセス道路の整備が行われ、駅北側では運動公園の整備が進められているなど駅の南北が一体となった暮らしの核づくりの強化やまちのにぎわいづくりが進められています。 ?地区のバリアフリー状況 ◆駅は、エレベーター、多機能トイレ、内方線付き点状ブロックの設置等のバリアフリー化を実施。 ◆南北の駅前広場の新設・改良により、バス、タクシー等の乗降場を整備するなど、交通結節点の機能を強化。 ◆駅周辺における歩道の整備、点字ブロックの設置等のバリアフリー化を実施。 写真 駅前広場の障害者用乗降場 写真 エレベーター・エスカレーターの整備 写真 駅構内の多目的トイレ ?地区目標 駅周辺の移動環境の向上に向けた ユニバーサルデザインによる暮らしの核とにぎわいづくり ?地区の取組方針 ◆駅周辺の歩道や施設のバリアフリー化の周辺地域への展開。 ◆生活関連経路について、歩道への点字ブロックの設置と、歩道未設置区間における歩行者通行空間の確保。 ◆誰もが憩えるユニバーサルデザインに配慮した公園整備の推進。 ◆ユーザビリティに配慮した建築物のバリアフリー化の促進と、建築物と歩道との連続性の確保。? 図 JR魚住駅周辺地区 3の6 JR土山駅周辺地区 ?地区特性 駅前広場と駅へのアクセス道路の整備により、利便性の高い市街地環境が形成され、快適な住環境と産業が調和したまちづくりが進められています。 播磨町との境界部分であり、駅は播磨町に立地していることから、同町との連携のもとでまちづくりを進めていく必要がある地区です。 ?地区のバリアフリー状況 ◆駅は、エレベーター、多機能トイレ、内方線付き点状ブロックの設置等のバリアフリー化を実施。 ◆駅東側に駅前広場を整備し、バス、タクシー等の乗降場を整備するなど、交通結節点の機能を強化。 ◆駅北側道路の一部区間において、路側帯のカラー舗装により、歩行者の通行空間を確保。 写真 駅前広場 写真 路側帯のカラー舗装(駅北側) ?地区目標 安全で安心な移動環境の向上等に向けた、 播磨町との連携による駅周辺のユニバーサルデザインのまちづくり ?地区の取組方針 ◆播磨町との連携によるユニバーサルデザインのまちづくり。 ◆交通量が多い生活関連経路における歩道の整備や点字ブロック等の設置。 ◆歩道未整備区間における歩行者通行空間の確保。 ◆ユーザビリティに配慮した建築物のバリアフリー化の促進と、建築物と歩道との連続性の確保。 図 JR土山駅周辺地区 3の7 山陽電鉄 西新町駅周辺地区 ?地区特性 山陽電鉄本線連続立体交差事業(第U期)の実施、幹線道路網や駅周辺の施設整備などにより、多様な地域特性を活かした活力と魅力あるまちづくりが進められています。 駅北側には医療施設や大学、南側には税務署や警察署といった公共施設が立地しています。 ?地区のバリアフリー状況 ◆駅は、連続立体交差事業により、エレベーター、多機能トイレ、内方線付き点状ブロックの設置等のバリアフリー化を実施。 ◆駅北側にユニバーサルデザインの駅前広場を整備。 ◆駅周辺の鉄道沿線において、バリアフリー化された歩道を整備。 写真 バリアフリー化された駅 写真 ユニバーサルデザインの駅前広場 写真 鉄道沿線に整備された歩道 ?地区目標 駅周辺におけるユニバーサルデザインのまちづくりを 広範囲に拡大することによる、安全で安心なまちづくり ?地区の取組方針 ◆生活関連経路における歩道の波打ち解消、段差・勾配の改修、点字ブロック設置。 ◆ユーザビリティに配慮した建築物のバリアフリー化の促進、建築物と歩道との連続性の確保。 図 山陽電鉄 西新町駅周辺地区 3の8 山陽電鉄 林崎松江海岸駅周辺地区 ?地区特性 駅周辺には中低層の住宅地が形成されています。駅北側には、市民を対象とした各種福祉サービス拠点となる総合福祉センターや、総合支援センターが立地していることから、高齢者、障害者などが多く訪れる地区です。 また、駅南側には中低層の住宅地や林崎松江海岸が立地しています。 ?地区のバリアフリー状況 ◆駅は、車いす使用者等が通行しやすい幅広改札、内方線付き点状ブロックの設置、インターホンの改善等を実施。ホームを連絡するエレベーターや多機能トイレの整備等が完了。 ◆駅から総合福祉センターまでの移動経路の交差点に音響式信号機とエスコートゾーンを設置。 ◆総合福祉センターに、多目的ホールや交流スペース等を備える新館を整備するなど、福祉拠点としての機能を強化。 写真 駅のインターホン 写真 音響式信号機とエスコートゾーンの設置 写真 総合福祉センター新館 ?地区目標 市の福祉拠点にふさわしい、 先導的なユニバーサルデザインのまちづくり ?地区の取組方針 ◆生活関連経路について、歩道の一部区間における点字ブロックの設置、段差・勾配等の改修等と、歩道未整備区間における歩行者通行空間の確保。 ◆総合福祉センター利用者の移動の足となる公共交通の維持・確保。 ◆ユーザビリティに配慮した建築物のバリアフリー化の促進と、建築物と歩道との連続性の確保。 ◆総合福祉センター新館を活用したユニバーサルスポーツの普及・促進。 図 山陽電鉄 林崎松江海岸駅周辺地区 3の9 山陽電鉄 中八木駅周辺地区 ?地区特性 駅の北東側や南側には、低層住宅地が広がり、ゆとりとうるおいのある住環境の形成が進められており、今後の人口増加が見込まれる地区です。 また、駅北側には、明石医療センター、明石市立夜間休日応急診療所、総合支援センターといった医療施設や福祉施設が立地しています。 ?地区のバリアフリー状況 ◆駅は、構内に多機能トイレ、内方線付き点状ブロック等を設置。 ◆駅から医療施設までの一部区間の歩道に、点字ブロックを設置。 ◆駅の北側に改札口を新設。駅構内のスロープの新設・改良、踏切の段差改良等が実施済。 写真 整備された歩道 写真 駅構内の多目的トイレ ?地区目標 駅と医療施設・福祉施設を結ぶ移動経路のバリアフリー化を契機とした ユニバーサルデザインのまちづくり ?地区の取組方針 ◆駅から医療施設・福祉施設までの歩道における波打ち解消、段差・勾配等の改修、点字ブロックの設置。 ◆歩道未整備区間における、歩行者通行空間の確保。 ◆ユーザビリティに配慮した建築物のバリアフリー化の促進と、建築物と歩道との連続性の確保。 図 山陽電鉄 中八木駅周辺地区 3の10 山陽電鉄 東二見駅周辺地区 ?地区特性 駅を中心に住宅街や商店街が形成されており、マンション開発等により、駅周辺の人口は増加傾向です。また、臨海部に大規模な工業地域があり、通勤者を中心に駅を利用する人が多い状況です。 駅南側には、福祉・子育て施設であるふれあいプラザあかし西、市民センター等の施設が立地しています。 ?地区のバリアフリー状況 ◆駅は、エレベーター、多機能トイレ、内方線付き点状ブロック等の設置、ホームと車両の段差解消等により、バリアフリー化済み。 ◆駅北側に駅前広場を整備し、バスや送迎車両の乗降場を確保するなど、交通結節点の機能を強化。 ◆駅から市民センター等への移動経路に歩道橋、エレベーター等を整備。 写真 駅構内のエレベーター 写真 駅南のデッキ通路 写真 駅前広場 ?地区目標 駅と福祉施設・公共施設とを結ぶ移動経路のバリアフリー化による まちの安全性向上を目指したユニバーサルデザインのまちづくり ?地区の取組方針 ◆生活関連経路における、歩道の波打ち解消、段差・勾配の改修、点字ブロックの設置。 ◆ユーザビリティに配慮した建築物のバリアフリー化の促進と、建築物と歩道との連続性の確保。 図 山陽電鉄 東二見駅周辺地区 3の11 山陽電鉄 西二見駅周辺地区 ?地区特性 駅南側は、駅の新設に伴う土地区画整理事業により、大規模商業施設が複数立地する商業地とそれを取り囲む住宅地が形成され、地区計画による良好なまちなみ形成が進められています。 また、駅東側には医療・福祉施設や公共施設が立地しています。 ?地区のバリアフリー状況 ◆駅は、新設時に、エレベーター、多機能トイレ、内方線付き点状ブロックの設置等のバリアフリー化を実施。 ◆駅の南北に駅前広場や駅へのアクセス道路を整備し、駅前広場にはバス、タクシー等の乗降場を整備するなど、交通結節点の機能を強化。 写真 バリアフリー化された駅 写真 駅前広場 写真 駅へのアクセス道路 ?地区目標 大規模商業施設の賑わいと、地域の暮らしが両立する ユニバーサルデザインのまちづくり ?地区の取組方針 ◆生活関連経路における、歩道の波打ち解消、段差・勾配の改修、点字ブロックの設置。 ◆歩道の未整備区間における、歩行者通行空間の確保。 ◆ユーザビリティに配慮した建築物のバリアフリー化の促進と、建築物と歩道との連続性の確保。 図 山陽電鉄 西二見駅周辺地区 3の12 松が丘地区 ?地区特性 市境に位置する同地区は、昭和40年代に丘陵地の開発が完成し、低層住宅と公的集合住宅が形成されています。地区内には勾配が急な坂道が多く存在しており、明石・山陽明石駅や朝霧駅からのバスが主な交通手段となっています。地区の西側には学校や総合支援センターが立地しており、東側には医療・福祉施設や商業施設等が集積するなど、一定のコミュニティが形成されています。 地区の高齢化が進んでおり、地域の安全・安心を目指し、まちのバリア解消に向けた地域活動が行われています。 ?地区のバリアフリー状況 ◆歩道の整備や公園への手すり・スロープの設置等によるバリアフリー化を実施。 ◆勾配が急な歩道に、休憩用のベンチや助け合い看板を設置。 ◆商業施設や医療・福祉施設等には、エレベーター、点字ブロック等を設置。 写真 地域によるバリアフリーチェック 写真 勾配が急な坂道 写真 階段に手すりとカート用スロープを設置 写真 歩道のベンチと助け合い看板 ?地区目標 まちの変化に対応した移動環境の整備に向けた、 地域活動との連携によるユニバーサルデザインのまちづくり ?地区の取組方針 ◆まちの変化に対応した公共交通の利便性の向上。 ◆地域との連携による、取組や生活関連施設・生活関連経路の検討。 ◆生活関連経路について、歩道の点字ブロック設置と、歩道未整備区間における、歩行者通行空間の確保。 ◆ユーザビリティに配慮した建築物のバリアフリー化の促進と、建築物と歩道との連続性の確保。 ◆関係機関や交通事業者等との連携によるユニバーサルデザインのまちづくり。 図 松が丘地区 3の13 山陽電鉄 藤江駅周辺地区 ?地区特性 駅の周辺には低層の住宅地が広がり、南東側に医療施設や藤江小学校が立地しています。地区南側は藤江海岸を臨む自然豊かなまちが形成されています。 藤江小学校区内の自治会や各種団体などで構成する藤江校区まちづくり協議会では、地域の安全安心、住みよい生活環境づくり、地域交流、健康で楽しく過ごせるまちづくりなどの様々な活動を活発に行っています。 ?地区のバリアフリー状況 ◆協議会が運営する無料休憩所「藤江駅前オアシス」が藤江駅の駅舎の一角に開設されており、駅前の活性化の拠点や地域住民の憩い・交流の場として利用されています。 ◆改札が駅の北側にあり、インターホンが設置されている。一方、駅の南側には改札がなく、踏切を渡って北側からアクセスする必要がある。 ◆駅構内は、改札から姫路・網干方面のホームにはスロープがあるが、神戸・大阪方面のホームの間には階段しかない。また、多機能トイレが設置されていない。 写真 藤江駅前オアシス 写真 駅北側の改札 写真 駅構内のスロープ ?地区目標 心がつながる自然豊かなまち・藤江 ?地区の取組方針 ◆駅構内の移動経路等のバリアフリー化、多機能トイレの設置。 ◆生活関連経路における歩道の新設・改良、点字ブロックの設置。 ◆ユーザビリティに配慮した駅のバリアフリー化の促進と、駅周辺との連続性の確保。 図 山陽電鉄 藤江駅周辺地区 第3編 事業を重点的・一体的に実施することが必要な地区の方針(基本構想) 1.基本構想の概要 1の1基本構想の考え方 基本構想では、促進地区のうち、バリアフリー化を重点的かつ一体的に推進し、面的なバリアフリー化を図ることを目的に、重点整備地区を設定し、生活関連施設のバリアフリー化や生活関連経路のバリアフリー化を図るために必要となる特定事業を示しています。 図 重点整備地区のバリアフリー化イメージ (出典:国土交通省 移動等円滑化促進方針・バリアフリー基本構想作成に関するガイドライン) 1の2 重点整備地区の設定の考え方 重点整備地区とは旅客施設を中心とした地区、高齢者・障害者などが利用する施設が集まった地区であり、公共交通機関・建築物・道路などのバリアフリー化を重点的かつ一体的に推進するために設定されるものです。 バリアフリー法及び基本方針の要件を踏まえ、明石市ユニバーサルデザインのまちづくり実行計画マスタープラン編(以下「マスタープラン編」という。)で定めた促進地区内に、重点整備地区を設定します。 【バリアフリー法及び基本方針において定められている要件】 @生活関連施設があり、かつ、それらの間の移動が通常徒歩で行われる地区 基本方針では、原則として生活関連施設が概ね3以上あることとしています。また、それらの間の移動が通常徒歩で行われる地区とは、生活関連施設が徒歩圏内に集積している地区としています。なお、旧交通バリアフリー法と異なりバリアフリー法では、旅客施設を含まない重点整備地区の設定が可能です。 A生活関連施設及び生活関連経路についてバリアフリー化事業が特に必要な地区 重点整備地区は、その趣旨から、バリアフリー化事業が重点的・一体的に実施される地区であることが求められます。基本方針では、高齢者、障害者等の移動や施設利用の状況、土地利用や諸機能の集積の状況や、これらの将来の方向性のほか、想定される事業の実施範囲、実現可能性等の観点から総合的に判断し、一体的なバリアフリー化事業が特に必要な地区であることを求めています。 Bバリアフリー化の事業を重点的・一体的に行うことが、総合的な都市機能の増進を図る上で有効かつ適切な地区 基本方針では、ここでの都市機能として、高齢者、障害者等に交流と社会参加の機会を提供する機能、消費生活の場を提供する機能、勤労の場を提供する機能等を掲げています。 各種バリアフリー化事業の重点的な実施が、このような様々な都市機能の増進を図る上で有効かつ適切であると認められる地区であることが求められます。 C境界の設定等 重点整備地区の境界は、町界・字界、道路、河川、鉄道等の施設、都市計画道路等によって明確に表示して定めることが必要です。なお、重点整備地区の区域が市町村界を越える場合は、隣接市町村と連携して基本構想を作成する必要があります。 1の3 市民・地域等の意見の把握 基本構想の策定に当たっては、地区の特性やバリアフリー状況等を踏まえ、高齢者、障害者等の当事者や市民、モデル地域をはじめとした地域の意向を把握・反映しながら検討を進めます。 また、基本構想の検討過程の中で、必要に応じて、促進地区の区域の変更、生活関連施設や生活関連経路の追加・変更等、「3.移動等円滑化促進地区の方針」の変更についても検討します。 1の4 特定事業等の概要 ?特定事業の種類 特定事業とは、重点整備地区における生活関連施設・経路のバリアフリー化を具体化するために位置付ける事業です。マスタープラン編での「バリアフリー化の方針」や「まちあるき点検ワークショップ」の結果を踏まえ、各地区の生活関連施設、生活関連経路の施設管理者と協議を行い、特定事業を設定します。 なお、特定事業は、「公共交通特定事業」、「道路特定事業」、「路外駐車場特定事業」、「都市公園特定事業」、「建築物特定事業」、「交通安全特定事業」、「教育啓発特定事業」に分けられます。 図 特定事業の種類 ?事業の目標年次 本計画における、事業完了の目標時期は、以下のとおり定めます。 ただし、心のバリアフリー等に関する教育啓発特定事業は、目標年次を定めず継続的に取り組み、重点整備地区だけでなく市域全体に拡充していくものとします。 短期:おおむね5年以内に事業完了を目標に実施する事業 中期:おおむね10年以内に事業完了を目標に実施する事業 長期:10年より先または現段階では実施時期の未確定な施設改修や用地買収と併せた整備等が必要となる事業 2. 重点整備地区の特定事業 2の1 JR西明石駅周辺地区 ?重点整備地区の設定 「1の2重点整備地区の設定の考え方」を踏まえ、JR西明石駅周辺ではマスタープラン編の促進地区の区域を重点整備地区に定め、バリアフリー化に向けた事業を推進します。 ?生活関連施設及び生活関連経路の一覧 【生活関連施設】 表 施設区分、施設名 〇宿泊施設:ホテルキャッスルプラザ、西明石リンカーンホテル、スマイルホテル西明石、明石ルミナスホテル、ホテルプレフォート西明石 〇商業施設:マックスバリュ西明石南店、グルメシティ西明石店、プリコ西明石、JR西明石駅南側駅ビル(建設予定) 〇学校:花園小学校、望海中学校、鳥羽小学校 〇路外駐車場:西明石パークプラッツ、タイムズビエラタウン西明石 〇医療・保険・福祉施設:サンライフ明石(建替え予定) 〇公園:上ヶ池公園 〇公共施設等:西明石サービスコーナー 【生活関連経路】 表 区間、関係交差点 @県道21号線(神戸明石線)、関係交差点:小久保・小久保北・桑ノ木・鳥羽小前 A県道232号線(西明石停車場線)、関係交差点:西明石駅前・西明石北 B藤江11号線 C藤江12号線 D藤江13号線、関係交差点:西明石南町3丁目・花園小学校南 E藤江14号線 F西明石25号線 G西明石25号線 H西明石27号線 I西明石78号線、関係交差点:花園小学校前 J西明石102号線 K西明石108号線、関係交差点:上が池公園前 L西明石109号線 M西明石111号線 N西明石126号線 O西明石173号線 P西明石173号線 Q西明石177号線 R西明石253号線 S西明石324号線 ?立体横断施設、JR西明石東口側自由通路 ?駅前広場、新幹線駅前広場 ?駅前広場、(仮)南口駅前広場 ?特定事業 @公共交通特定事業に関する項目 【西日本旅客鉄道株式会社】 表 箇所、整備内容、期間(短期・中期・長期)、備考 〇JR西明石駅 ・鉄軌道駅の改札口、南側改札の新設、短期、 ・鉄軌道駅のプラットホーム、昇降式ホーム柵の設置、短期・中期 まちあるきにおける意見の中で、大規模な工事を伴わない事業に関しては、可能な限り随時対応し、ユーザビリティの向上を図る。 A道路特定事業に関する項目 【明石市】 表 箇所、整備内容、期間(短期・中期・長期)、備考 〇藤江11号線、歩道の改良、長期 〇藤江13号線、歩道の改良、長期 〇藤江14号線 ・歩道の拡幅、中期 ・自転車通行帯整備、中期 〇西明石27号線、歩道の改良、長期 〇西明石109号線、道路の改良、長期 〇西明石126号線、歩道の改良、長期 〇西明石324号線、 ・道路の拡幅整備、中期 ・歩道の新設、中期 ・自転車通行帯整備、中期 〇JR西明石駅南口駅前広場 ・公共交通車両の乗降場整備、中期 ・身障者及び一般用乗降場整備、中期 まちあるきにおける意見の中で、大規模な工事を伴わない事業に関しては、可能な限り時期をみて対応し、ユーザビリティの向上を図る。 B建築物特定事業に関する項目 a 宿泊施設 【株式会社キャッスルホテル】 表 箇所、整備内容、期間(短期・中期・長期)、備考 〇ホテルキャッスルプラザ ・トイレの改修、中期、オストメイト対応、低リップ小便器 ・客室の改修、長期、車いす対応 ・浴室等の改修、長期、車いす対応 ・案内表示の設置、短期 ・誘導ブロックの設置又は音声による誘導装置の設置、中期 b 商業施設 【JR西日本不動産開発株式会社】 表 箇所、整備内容、期間(短期・中期・長期)、備考 〇JR西明石駅南側駅ビル、新設、短期 c 医療・保健・福祉施設 【明石市】 表 箇所、整備内容、期間(短期・中期・長期)、備考 〇サンライフ明石、建替え、短期 まちあるきにおける意見を踏まえて建替えを行う。 d 学校 【明石市】 表 箇所、整備内容、期間(短期・中期・長期)、備考 〇鳥羽小学校、エレベーターの設置、短期 〇花園小学校、トイレの改修、短期、洋式化 〇望海中学校、トイレの改修、短期、洋式化 C交通安全特定事業に関する項目 【警察】 表 箇所、整備内容、期間(短期・中期・長期)、備考 〇西明石駅前交差点、エスコートゾーンの設置、短期 〇小久保交差点、エスコートゾーンの設置、短期 その他交差点については、順次信号改良を行う。 Dその他の事業 その他、上記の特定事業に位置付けない施設のバリアフリー化やまちあるきの意見に対する対応についても、随時情報交換を行いながら、面的なバリアフリーを進めていきます。 2の2 教育啓発特定事業(地区共通の特定事業) 重点整備地区に共通の心のバリアフリー等に関する教育啓発特定事業を示します。 教育啓発特定事業は目標時期を定めず継続的に取り組み、重点整備地区だけでなく市域全体に拡充していくものとします。 (1)児童、生徒又は学生の理解を深めるために学校と連携して行う 教育活動の実施に関する事業 表 目的、対象、内容 〇聴覚障害についての理解促進、小学生対象、聞こえないこと、聞こえないと困ることは何か、手話以外のコミュニケーション方法、ろう講師の体験談、手話でのあいさつ、会話などを学ぶ。 〇バリアフリーについての理解促進、小学生対象、障害当事者の体験談や、車いす・アイマスク等、自ら体験する。 〇介護予防の普及啓発、高学年児童対象、脳卒中の症状を早期発見、受診することの重要性や、高齢者の骨折の原因となる家庭内の転倒予防について学ぶ。 〇明石のまちづくり研修、新規採用教職員対象、ふるさと明石から未来にはばたく子どもたちを育むための市の主要施策を学ぶ研修を実施。 〇特別支援学級担任研修の充実、特別支援学級担任対象、特別支援学級の資質能力向上を図る研修を実施。 (2)住民その他関係者の理解の増進又は移動等円滑化の実施に関する これらの者の協力の確保のために必要な啓発活動の実施に関する事業 表 目的、対象、内容 〇インクルーシブなまちづくりについて一緒に考える、市民対象、障害者や高齢者も含め、みんなが安心して暮らせるまちあかしになるために何ができるか一緒に考える講座の開催。 〇障害者支援について学ぶ、教育機関・各地域対象、障害者支援に関する知識や技術をボランティアから学ぶとともに、障害当事者の講話を実施する。 〇手話を学ぶ、市民対象、定期的な手話教室や手話言語の国際デーに天文科学館の来館者を対象とした手話講座などを実施。 〇障害当事者や各団体への理解促進、市民対象、障がいのある個人や各団体のアート作品を展示する展覧会の実施。 〇高齢者や障害者に対する理解促進、各団体の会長やリーダー対象、市内13中学校地区に1人ずつ設置された人権教育推進員が、人権研修会を開催する。 〇ユニバーサルツーリズムの普及、明石観光協会会員対象、明石ユニバーサルツーリズムセンターと連携し、車いす体験やアイマスク体験などを通じて、障害のある人たちが抱える問題やそれらを解決する取組などを学ぶ研修会の開催。 〇精神障害者の理解促進、市民対象、関係機関と共同し、成人向けと子ども向けの2種類の教材を作成し、対象に合わせたカリキュラムを実施。 〇ひきこもりについての理解促進、市民対象、ひきこもりについての基本的な知識や支援について理解を深められるよう出前講座の開催。 〇発達障害への理解を深める、市民対象、発達障害児童への理解を深めるための啓発研修や、就学前の発達に課題のある子に関わる支援者向けの障害理解に関する研修の実施。 〇パラスポーツ体験を通じた障害者に対する理解促進、市民対象、ボッチャやブラインドサッカーの体験を通じ、障害の有無に関わらずプレーできる喜びを分かち合い、障害者に対する理解を促進する。 明石市ユニバーサルデザインのまちづくり実行計画は以上で終わりです。