明石市役所新庁舎建設基本設計(素案)修正版 目次 1 設計コンセプト・設計方針 2 配置計画・計画概要 3 平面計画 4 立面・断面計画 5 ユニバーサルデザイン計画 6 防災・構造計画 7 環境・設備計画 8 工事工程・工事費概算 《基本設計(素案)修正版について》 この基本設計(素案)修正版は、2020年度に作成した基本設計(素案)について、パブリックコメントや広報あかしによる意見募集結果等を踏まえて修正を行ったものです。 主な修正内容は以下のとおりです。 マル1 防災対策・敷地計画 ・津波や高潮等の水害対策として、ハザードマップの改訂内容を踏まえ、新庁舎1階床面の高さを基本設計(素案)からさらに30センチメートル嵩上げします。 ・新庁舎1階床面の嵩上げにより、周辺地盤との高低差が大きくなるため、バリアフリーの視点から敷地計画(道路位置)を変更します。 ・新庁舎南側の来庁者用駐車場を拡充し、障害がある方などのための、優先駐車場の台数を増やします。 ・敷地計画(道路位置)の変更にあわせて、新庁舎1階〜2階の床面積を広げることで、待合ロビーを拡充するとともに、市民交流スペースやウェルカムゾーンを1階に配置します。 マル2 フロア構成 ・本会議場について、基本設計(素案)時点では3階としていましたが、天井高を確保するとともに、市民に身近で親しみやすい議会とするため、展望テラスや食堂と同じ6階に変更します。 ・本会議場のフロア変更に伴い、議会機能を5階に配置します。 マル3駐車場の位置・形状 ・駐車場については、基本設計(素案)時点では、現在の議会棟位置に高さ約15メートルの立体駐車場を整備する計画でしたが、海側への眺望や隣接する明石港東外港地区との一体開発の計画内容が未確定であることを踏まえ、暫定的に平面駐車場で整備することとします。 1 設計コンセプト・設計方針 カッコ1 基本理念『すべての人にやさしいスリムでスマートな庁舎』 2019年に市制施行100周年という節目の年を迎えた中、本市では、次の100年のまちづくりとして、自立した持続可能な社会の実現に向けた「SDGs未来安心都市・明石」の創造を掲げ、「いつまでも」「すべての人に」「やさしい」まちの実現に「みんなで」取り組んでいきます。 新庁舎はその拠点となる施設であり、現在明石に暮らしている市民の皆さまはもとより、将来明石に住む方々、そして次の世代を担う子どもたちに向けた、まさに、まちの未来への贈り物となる施設です。 新庁舎整備に当たっては、単に行政の事務所としてではなく、市民サービスやまちづくりの拠点、そして「やさしいまち明石の発信拠点」となるよう、細部まで、まちづくりの理念を反映していきます。 また、事業費を抑制し、市民負担をできるだけ軽減するため、庁舎面積のコンパクト化に取り組み、スリムな庁舎を目指すとともにデジタル技術等を活用することによりスマートな庁舎を目指します。 カッコ2 事業スケジュール 2020年度 契約 2020年度〜2022年度 基本設計 2023年度 実施設計 2024年度 施行者選定 2024〜2026年度 建設工事 2027年度 供用開始 2027年度〜2028年度 既存解体、外構整備 カッコ3 設計方針 現庁舎の課題 ・老朽化の進行と維持管理コスト等の増大 ・窓口等の狭隘化 ・バリアフリー・ユニバーサルデザインへの対応不足 ・旧耐震基準で建設された建物の耐震性 ・津波、高潮等の浸水による影響 整備方針 マル1 災害時の対応力強化「市民の安全・安心を支える庁舎」 マル2 バリアフリー・ユニバーサルデザインの導入「すべての人にやさしく、利用しやすい庁舎」 マル3 効率的な行政サービスの提供「機能的で使いやすい庁舎」 マル4 環境への配慮とライフサイクルコストの縮減 「持続可能なまちづくりに貢献する庁舎」 マル5 まちのシンボルと憩い・交流の場の創出「明石らしく、訪れたくなる庁舎」 設計コンセプト ・巨大地震や津波、高潮等の災害発生時にも、庁舎としての機能を継続することができ、災害への迅速な対応が可能な配置・建築・設備計画とします。 ・分かりやすく、使いやすい施設構成を意識し、すべての来庁者に配慮した計画とします。 ・市民の利用頻度の高い窓口機能は低層部に配置するとともに、迷うことなく庁舎を利用できる配置と動線を計画します。 ・明石の風土や気候の特徴を読み解き、最適な省エネルギー技術の導入や自然エネルギーを利用することで、カーボンニュートラルに寄与し、地球環境に配慮した計画とします。また、建物の維持管理を容易にし、ライフサイクルコストを低減します。 ・行政手続のためだけに市役所を訪れるのではなく、市民活動の促進や明石の魅力発信につながる「市民スペース」を計画します。 設計方針 ・周辺地盤のかさ上げによる浸水対策 ・免震構造の採用、地盤の液状化対策 ・公用車駐車場のかさ上げによる国道28号への緊急車両の出入庫 ・緊急時にも業務継続を可能とするインフラのバックアップ対策 ・庁舎内で災害対策機能の集約配置 ・窓口、エントランス、エレベーター、トイレ等の分かりやすい配置やサイン計画 ・高齢者、障害者、子ども連れの方、ジェンダーマイノリティーの方等に配慮 ・優先駐車場、バス停、車寄せから庁舎まで雨に濡れない動線計画 ・市民の利用頻度の高い窓口機能を1階〜2階に集約配置 ・市民動線と職員・搬入動線の分離 ・執務空間の見通しをよくするとともに、フレキシビリティを確保するオープンフロア ・日照時間が長い地域特性を活かした自然採光、太陽光発電システムの導入 ・自然換気の導入に加え、地中熱を利用した空調システムの部分的な導入 ・室環境や執務時間に応じた空調設備、照明設備等の運転制御の実施 ・食堂、展望テラス等を配置した市民エリアを6階に計画 ・イベントや市民活動、展示等にも利用できる多目的スペース、市民交流スペースを1階と6階に計画 ・平日夜間や休日等の閉庁時に、会議室の市民開放や議会閉会時の議場の多目的利用を可能とする計画 2 配置計画・計画概要 カッコ1 配置計画 ・現在の立体駐車場敷地に新庁舎棟を建設し、現庁舎跡地に平面駐車場や広場を配置します。 ・敷地内における新庁舎棟や付属棟の配置及び形状は、バス停、明石駅からの歩行者、車両の動線等を考慮して計画します。 ・新庁舎と平面駐車場の間にバス停、タクシー乗り場、車寄せスペース等を計画します。 ・車いす利用者等への優先駐車場は、庁舎南側エントランス近くに9台分確保します。 ・新庁舎北側と南側に市民が憩える広場を計画します。 ・適切な緑化計画を行い、景観に配慮した外構計画とします。 カッコ2 動線計画 歩行者動線 ・来庁者のメインエントランスは、平面駐車場やバス停等に近接する庁舎南側エントランスと、国道28号からアクセスしやすい庁舎北側エントランスを設置する計画とします。 ・庁舎の南側には歩行者専用の屋根・庇下空間を計画し、来庁者が雨に濡れることなく庁舎にアクセスできる計画とします。また、敷地内の歩行者動線については、段差なく緩やかな勾配でメインエントランスまでアクセスできる計画とします。 車両動線 ・現在と同様に、国道28号とアンダーパスの双方からアクセスできる計画とします。 カッコ3 駐車場計画 ・来庁者のメイン駐車場は、構内道路を挟んだ南側に配置し、メインエントランスまでアクセスしやすい配置とします。また、市民会館でのイベント開催時や来庁者駐車場満車時には、南側広場も駐車場として利用できる計画とします。 カッコ4 計画概要 【敷地概要】 建設地 兵庫県明石市中崎1丁目5番1号 面積 23,675平方メートル 用途地域 近隣商業地域 防火地域 準防火地域 建ぺい率 80% 容積率 300% 道路幅員 北側12.75メートル、西側14.0メートル 【新庁舎棟 施設概要】 主要用途 市庁舎(事務所) 工事種別 新築 構造 鉄骨造 建築面積 3,875平方メートル 延床面積 20,545平方メートル 階数 地上6階 塔屋1階 最高高さ 32.5メートル 【付属棟(車庫棟) 施設概要】 主要用途 自動車車庫 工事種別 新築 構造 鉄骨造 建築面積 324平方メートル 延床面積 324平方メートル 階数 地上1階 最高高さ 4.8メートル 【駐車・駐輪台数】 マル1来庁者用 駐車場1 20台(内9台優先駐車場) 駐車場2 211台 自転車駐輪場(平置き式)60台 バイク駐輪場 13台 マル2公用 駐車場 138台 自転車駐輪場(ラック式)14台 バイク駐輪場 20台 マル3 職員通勤用 駐車場(身障者用)3台 自転車駐輪場(ラック式)100台 バイク駐輪場 100台 3 平面計画 1階〜2階窓口フロア 窓口執務室、市民交流スペース、ウェルカムゾーン、保育ルーム、福祉コンビニなど ・市民が訪れやすい1階〜2階に広い窓口エリアを確保し、窓口機能を集約して市民サービスの向上につなげます。 ・窓口を見通せる待合ロビーを計画し、中央に総合案内受付を設け、来庁者へのわかりやすさに配慮します。 ・市民交流スペースやウェルカムゾーンでは、市民がゆったりと待ち時間を過ごせる空間を計画します。 ・1階〜2階の移動には、階段やエレベーターに加えエスカレーターを設置し、市民が行き来しやすい空間とします。 ・子育て関連部署の近くに、保育ルームやキッズスペースなど子育て世代に配慮したスペースを計画します。 窓口機能の考え方 ・窓口の両端に相談室を設け、ブース付きカウンターを設置することで、プライバシーに配慮した市民対応を可能とします。 ・窓ロカウンターは、 車いす利用者にも使いやすい高さ、形状とします。 ・各窓口に番号案内システムを設置し、窓口以外の場所での待ち状況の確認やメール等によるお知らせ機能の導入について検討します。 ・市役所(本庁舎)に来庁しなくても手続きできることが増えるよう、 オンライン申請の拡充などを検討します。 ・現在、複数の窓口での手続きが必要となっているライフイベント(転入、おくやみ等)について、 来庁者の負担軽減のため、「移動しなくてよい窓口」や「書かなくてよい窓口」の実現を検討します。 3階〜4階執務フロア 執務室、市長室、災害対策本部など <執務(一般)エリア> ・執務エリアは仕切りの無いオープンフロアとし、ユニバーサルレイアウトを採用することで、執務室面積を縮減するとともに、組織改編やレイアウト変更に柔軟に対応できる計画とします。 ・中央に設けた待合ロビーによりフロアの見通しを良くします。また、ブースや机・椅子を配置し、打合せスペースとしても空間を活用します。 <執務(災害対策本部)エリア> ・災害時に迅速かつ的確な指揮命令を行うため、市長室と災害対策本部を近接した配置とします。また、 災害対策本部は、平時は会議室として利用できる計画とします。 図 ユニバーサルレイアウト ・従来型レイアウト 人事異動の度に机の移動が発生。組織や役職に合わせたレイアウト変更が必要となります。 ・ユニバーサルレイアウト 組織や役職に合わせたレイアウトの変更は行わず、人の移動のみで対応することで省スペース化を図ります。 5階議会フロア 議会、倉庫・機械室など ・各会派控室は可動間仕切りを採用することで、人数の変動に柔軟に対応できる計画とします。 ・議会大会議室や委員会室は、議会閉会時は会議室として利用できる計画とします。 6階市民エリア・議場 食堂、展望テラス、多目的スペース、会議室、議場など 〈市民エリア〉 ・明石海峡大橋や淡路島の眺望を望める南東側に展望テラスと食堂を配置します。 ・多目的スペースには飲食スペースや市民活動スペースなど、市民が憩い集える場を計画します。また、イベント会場や臨時の窓口・執務室としても活用できる計画とします。 ・会議室を一部市民開放し、平日夜間や休日に市民活動等に利用できる計画とします。 〈議場〉 ・議場はフラットな床や可動席の採用を検討し、議会閉会時の市民開放を可能とする計画とします。 ・傍聴席には車いす利用者スペース、難聴者へ配慮した設備を設け、誰もが利用しやすい計画とします。 ・市民開放エリアとの境界は、扉やパイプシャッター等を用いて区画する計画とします。また、セキュリティ強化のため、扉の施錠にICカードを用いることを検討します。 4 立面・断面計画 カッコ1立面計画 ・建築面積を大きく確保し、建物を低層化することで、周辺建物から突出した規模にならないように配慮します。 ・上層階はバルコニーと横連窓により、大きな面を作らないようにすることで、まちに対する圧迫感を軽減する計画とします。 ・色調は周辺の建物からベースカラーを白系とし、海際の景観に調和し爽やかな印象を与える計画とします。 ・低層部の外装材にガラスを多く用いることで開放感を生み、市民が入りやすい雰囲気を作ります。 ・屋上の屋根形状にアクセントをつけ、「軽快さ」と庁舎としての「ランドマーク性」を持たせます。 ・外装材は塩害とメンテナンス性を考慮してコンクリート系の素材を選定することで、海沿いの環境に対応し長寿命化を図ります。また、上層階のバルコニーはメンテナンス用としても機能し、建物の維持管理コストの縮減に寄与します。 カッコ2断面計画 ・階高は、適切な高さ設定を行い、経済性に配慮した計画とします。 ・1階〜2階の外壁位置を上階に比べて内側に寄せることで、来庁者駐車場や車寄せ等に必要な外部空間を確保します。 ・基礎面積を小さくすることで、免震装置の設置数量を低減し、コスト抑制を図ります。 ・低層化により階段・エレベーター等の共用部の面積を抑え、スペースの効率化を図ります。 5 ユニバーサルデザイン計画 カッコ1基本方針 ・高齢者や障害者、子ども連れの方、外国人等、様々な来庁者に配慮した計画により、来庁者にとってわかりやすく、利用しやすい庁舎とします。 ・「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」及び「兵庫県福祉のまちづくり条例」に基づき誰にも優しい新庁舎の整備を行います。 ユニバーサルデザインの7原則 ノースカロライナ州立大学ユニバーサルデザインセンター所長を務めたロナルド・メイス氏等がまとめた、ユニバーサルデザインの基本的な考え方 マル1誰でも同じように利用できる「公平性」 自動ドアの設置 マル2使い方を選べる「自由度」 自由な移動方法(階段・エスカレーター・エレベーター) マル3 簡単に使える「単純性」 単純な機能のスイッチ マル4ほしい情報がすぐに分かる「明確性」 色分けされた大きな文字のサイン マル5ミスや危険に繋がらない「安全性」 自動ドアの安全柵 マル6無理なく使える「体への負担の少なさ」 センサー式の蛇口 マル7使いやすい広さを確保する「空間性」 十分な通路幅 カッコ2施設計画における配慮 〈駐車場・車寄せ〉 ・庁舎に近接した位置に車いす利用者等への優先駐車スペースを設けます。 ・車いす利用者等の優先駐車スペース及び車寄せは、屋根や庇下空間により、雨に濡れずに庁舎にアクセスできる計画とします。 〈通路・動線〉 ・車いすやベビーカー利用者に配慮したゆとりある廊下幅とします。 ・見通しのよい通路、待合ロビーを窓口の中心に設けることで、目的地までの視認性を確保し、来庁者が迷わずに目的の場所にアクセスできる計画とします。 〈エレベーター・エスカレーター・階段〉 ・車いす利用者や視覚・聴覚障害者に対応したエレベーターを設置します。 ・ベビーカー、車いす利用者等の優先エレベーターを1台設置します。 ・1階と2階を繋ぐエスカレーターを設置し、2階にアクセスしやすい計画とします。 ・階段は子どもや高齢者に配慮した勾配の緩やかな階段とし、二段手すりを設置します。 〈トイレ計画〉 ・多機能トイレを各階2か所に設置します。 ・来庁者利用の多い1階、2階、6階には、男女トイレそれぞれにオストメイト対応ブースや子ども連れ配慮ブースを設け、利用者が多機能トイレに集中しない計画とします。 ・ 1階、2階、6階には性別等に関わらず、すべての人が利用できる広めのトイレを設置します。 〈キッズスペース・授乳室〉 ・1階と2階に授乳室を設置します。おむつ替えや衣類交換を行える広さを確保し、流し設備や調乳用温水器などを設けます。 ・子育て関連部署のある1階には保育ルームや、待合ロビー内にキッズスペースを設けます。 〈サイン計画〉 ・サイン表示は、数字やイラスト等による分かりやすいピクトグラムを併用します。 ・窓口毎にサインを色分けするとともに、弱視者や高齢者に配慮した色彩、文字の大きさとします。 ・ふりがなの記載や多言語の併記など、外国人にも分かりやすいサイン計画とします。 〈窓口〉 ・総合案内受付は、メインエントランスから分かりやすく、フロア全体を見渡せる位置に配置します。 ・窓口カウンターは、車いす利用者にも使いやすい高さ・形状とします。 ・プライバシーに配慮したブース付きカウンターや個室の相談室を設けます。 図 トイレ ・車いす利用者や身体障害者にも使いやすい多機能トイレ(西側トイレにも設置) ・子どもと一緒に入れる広いブース ・オストメイト対応ブース ・ゆとりのある広さの授乳室 ・誰でも利用できる広めのトイレ 図 1階平面図 ・子育て関連窓口に近接した保育ルーム ・車いす利用者や視覚・聴覚障害者対応のエレベーター ・メイン入口から分かりやすい総合案内 ・1階〜2階を繋ぐエスカレーター ・待合ロビーにキッズスペースを設置 ・屋根と庇下空間による雨に濡れないアプローチ 図 使いやすい窓口・ロビー空間のイメージ ・色分け等による分かりやすい窓口サイン ・ゆったりとくつろげる待合スペース ・親子で過ごせるキッズスペース ・2階へ繋がるエスカレーター ・窓口に平行配置の待合軸 ・デジタルサイネージ等による窓口案内 ・プライバシーと多様な市民相談に対応できる相談室 ・車椅子対応の窓口カウンター ・エスカレーター・窓口を見渡せる視認性の良い位置の総合案内 6 防災・構造計画 カッコ1基本方針 ・ 巨大地震や津波、高潮等のあらゆる災害に対しても庁舎としての機能を維持し、継続的に活動できる安全性、耐久性に優れた庁舎とします。 カッコ2災害に強い庁舎 マル1大地震にも庁舎機能を維持する構造計画 ・庁舎の耐震性能は、「官庁施設の総合耐震・耐津波計画基準」等に基づき、最高水準(T類)の安全性を確保するように計画します。 ・南海トラフ地震が発生した場合にも庁舎全体の機能を維持できるように免震構造を採用し、1階床下に免震層を設ける「基礎免震構造」により建物全体を免震化します。 ・免震層は、万が一の浸水に備え、耐浸水性に優れた免震装置を採用します。 ・基礎下は深層地盤改良とし、建物荷重を支持するとともに液状化を抑制します。 マル2様々な災害に対応した防災対策 〈水害対策〉津波・高潮に配慮したレベル設定(浸水防止設定レベル) ・外構レベルについては、津波による浸水(浸水レベル1)を考慮し、国道28号と同レベルのTP(東京湾平均海面)プラス3.5メートル、1階床レベルは津波・高潮・明石川の河川氾濫(1,000年に一度の災害)、堤防の決壊による浸水(浸水レベル2)を考慮し、TPプラス4.4メートルに設定します。 ・サーバー室や電気室、機械室を浸水の危険性がない4・5階に配置します。 〈その他対策〉 ・各階外周部に設置したバルコニーは、避難はしごを設置するなど、緊急時の避難バルコニーとして利用できるような計画とします。 カッコ3インフラのバックアップ対策 〈電気設備〉 ・災害時に必要となる非常用発電機を運転するため、最大3日間の燃料を常時備蓄します。また、非常用発電機は、燃料を補給することで、1週間の連続運転が可能な計画とします。 〈給水対策〉 ・受水槽(飲料水等)、雑用水槽(トイレ洗浄水等)には、災害時4日分の水源を確保します。 〈排水設備〉 ・緊急用排水槽を設け、下水道破断時でもトイレ等を使用できる計画とします。 〈空調・換気設備〉 ・インフラの途絶時でも、主要な室である災害対策本部、サーバー室等は、空調設備が運転可能となる計画とします。 〈通信設備〉 ・通信設備は、一般電話回線、携帯電話、兵庫県衛星通信ネットワーク、防災行政無線等の複数の通信手段を確保し、災害時の通信途絶を防ぐ計画とします。 カッコ4災害対策拠点としての機能 マル1防災対策機能の確保 ・災害時に迅速かつ的確な指揮命令を行うため、市長室と災害対策本部を近接した配置計画とします。 ・災害対策本部には、被害状況や対応状況に関する情報の一元的な収集、分析、対策を可能とする映像音響設備及び通信設備を設置します。 マル2緊急時の車両動線確保 ・公用駐車場はTPプラス3.5メートルのレベルで計画し、災害時に迅速な対応を可能とします。 図 防災機能のイメージ ・非常用発電機の採用 最大1週間の電力供給 ・緊急時の車両動線確保防災 浸水レベル1より高いレベルで車両の通行が可能な計画 ・太陽光発電 停電時、電力一部供給 ・緊急時の避難バルコニー ・災害対策本部の上階設置 ・非常用発電機室 電気室・サーバー室の上階設置 ・免震構造 ・地盤改良・液状化対策 ・受水槽 浸水レベル2より高いレベルに設置 ・緊急排水槽 ・雑用水槽 4日分の水源確保 カッコ5浸水シミュレーション ・津波や想定し得る最大規模の高潮による水害について、計画地周辺の浸水状況をシミュレーションにより確認します。 注1 敷地形状モデルは国土地理院の基盤地図情報数値標高モデルを基に作成しています。 注2 新庁舎の床レベルは本書に記載の内容で作成しています。 注3 高潮は中心気圧910ヘクトパスカルの台風(発生確率は500年?4,000年に1回程度)が減衰せずに接近し、堤防等のすべての防護施設が破壊される想定で作成しています。 シミュレーション結果 浸水レベル1(TPプラス3.0メートル) 公用車駐車場と庁舎周辺道路は浸水被害を免れます。 浸水レベル2(TPプラス4.4メートル) 周辺は一時的に浸水しますが新庁舎1階は浸水被害を免れます。 浸水発生から12時間後 浸水レベルが国道28号の標高(TPプラス3.5メートル)未満となります。 7 環境・設備計画 カッコ1基本方針 ・明石の風土や気候の特徴を読み解き、最適な省エネルギー技術の導入や自然エネルギーを利用し、カーボンニュートラルへ寄与した地球環境に配慮した計画とします。 ・建物の維持管理を容易にし、ライフサイクルコストを低減します。 ・換気能力を強化する等、感染症対策を検討します。 ・Zeb Ready(基準一次エネルギー消費量から50%以上の一次エネルギー消費量削減に適合した建築物)の認証取得を目指します。 カッコ2地域に根差した環境配慮型庁舎 マル1明石の気候・風土の特徴を活かした省エネルギー庁舎 〈建築計画〉 ・北東からの卓越風(季節風)により、ボイド(吹抜空間)を利用した自然換気を行います。また、ボイドは自然採光にも用います。 ・熱負荷の大きい東西の空間をコア(エレベーターや階段、機械室、トイレ等の空間)で構成し、建物中央の居室部分の熱負荷を低減します。 ・南からの直射日光による建物への熱負荷を低減するためにバルコニーの設置や高断熱の建材を用います。また、バルコニーは建物の維持管理にも利用することで、メンテナンス性に配慮した計画とします。 ・屋上緑化を行うことで、緑化土壌の断熱効果による屋内の温度上昇を抑制でき、また植物の蒸散作用による屋外空間の温度上昇の緩和効果も期待できます。 〈機械設備計画〉 ・機械換気に加え自然換気も活用することで、中間期(春・秋)の空調負荷を低減します。 ・年間を通じて安定した温度の地中熱を利用した空調システムを部分的に導入し、空調負荷を低減します。 ・雨水貯留槽を用い、トイレや散水などの雑用水として利用します。 〈電気設備計画〉 ・日照時間が長い地域特性を活かし、自然採光や太陽光発電システムを導入し、消費電力を低減します。 ・長寿命で消費電力の少ないLED照明器具を主体とした照明計画とします。 マル2省エネルギーに対する将来的な取組 ・最適な設備の運転管理を行うBEMS(ベムス)の導入により、エネルギーの無駄をなくし、消費エネルギーを低減します。 ・エネルギーの見える化により、省エネルギーへの意識の向上を図ります。 カッコ3電気設備計画 マル1電気設備計画方針 ・太陽光発電設備で自然エネルギーの利用を行います。 ・高効率機器(高効率変圧器、LED照明)を採用します。 ・省エネルギーに配慮した照明制御方式(人感センサーによる点滅、昼光による減光、タイマー制御、点灯区分の細分化)を採用します。 マル2電気設備計画概要 ・受電方式 高圧1回線受電(地中引込) ・受変電設備 変圧器容量3,500キロボルトアンペア ・電力貯蔵設備 非常用照明・直流電源装置・受変電設備用直流電源装置  ・発電設備 非常用発電機 ディーゼル発電機1,000キロボルトアンペア 太陽光発電設備50キロワット ・電灯設備 LED一般照明 誘導灯・非常照明設備 ・雷保護設備 新JIS(ジス)レベルW ・通信設備 電話設備、情報通信設備、映像音響設備、監視カメラ設備、防犯入退室管理設備、窓口番号案内設備、誘導支援設備(音響誘導、文字表示)、駐車場管制設備 ・火災報知設備  自動火災報知設備、非常放送設備 カッコ4機械設備計画 マル1機械設備計画方針 ・高効率な機器(空調機・ポンプ)を導入します。 ・ポンプ、送風機のインバーター制御により、搬送動力の低減を図ります。 ・節水型の器具を採用し、雨水利用を行うことで、水資源の有効活用を行います。 ・運転管理のしやすいシンプルなシステム、汎用品の採用、耐久性の高い機器・材料の採用により、長寿命化とライフサイクルコストの低減を図ります。 ・主な設備機器スペースを屋上に設け、更新(入替え)が容易な計画とします。 マル2空気調和設備計画概要 ・空調設備 執務室 空冷式パッケージエアコン(電気)プラス全熱交換ユニット 会議室 空冷式パッケージエアコン(電気・ガス)プラス全熱交換ユニット 1階市民ロビー 地中熱利用型パッケージエアコン 電気室・サーバー室等 設備用エアコン ・自動制御設備 パッケージエアコンの集中監視制御 ・換気設備 第1種換気、第3種換気 ・排煙設備 自然排煙、一部機械排煙 マル3 給排水衛生設備計画概要 ・衛生器具設備 節水型器具 ・給水設備 上水(市水)・雑用水(雨水プラス市水)2系統 給水方式 上水 受水槽プラス加圧給水ポンプ方式 雑用水 雑用水槽プラス加圧給水ポンプ方式 災害時に備え、4日分の上水・雑用水を確保 ・排水設備 屋内・屋外共 汚水・雑排水合流、雨水分流方式 災害時に備え、7日分の緊急排水槽を確保 ・給湯設備 電気温水器、ガス給湯器による局所給湯方式 ・消火設備 全館 消火器、屋内消火栓設備 3階以上 連結送水管設備 ・ガス設備 都市ガス13A 空調熱源、厨房、給湯に供給 図 環境計画のイメージ ・太陽光発電 ・節水型の器具の採用 ・全熱交換器の採用 ・BEMS(ベムス)の導入 ・メンテナンスバルコニー 維持管理コストの縮減、熱負荷の低減 ・自然採光 ・塩害に配慮した外装 ライフサイクルコスト縮減 ・高断熱・高遮熱の外装材環境 Low-E (ローイー)ガラス等を利用 ・卓越風を利用した自然痛風 ・空調・照明 室環境に適した運転制御 ・雑用水の植栽への散水等利用 ・地中熱利用 ・ボイドによる自然採光 ・雨水の雑用水利用 8 工事工程・工事費概算 カッコ1施工ステップ ステップ0 下水道迂回等準備工事(立体駐車場下) ステップ1-1 接続デッキ、立体駐車場解体 ステップ 1-2 仮設道路、仮設バス停など整備 ステップ 2 新庁舎棟建設 新庁舎北側外構整備(仮使用期間中の車寄せ等整備) ステップ 3-1 新庁舎供用(仮使用)開始 既存建物解体 ステップ 3-2(バス停、平面駐車場、タクシー乗降場、車寄せ、駐輪場、広場等) 構内道路整備 竣工 カッコ2工事工程 ・施行者選定約6か月) ・ステップ0準備工事(約4か月) ・ステップ1駐車場棟解体工事(約6か月) ・ステップ2新庁舎建設工事(約24か月) ・ステップ3既存棟解体工事・外構整備工事(約19か月) 竣工 カッコ3工事費概算 新庁舎建設工事 ・建築工事 7,551,000,000円 ・給排水衛生設備工事 297,000,000円 ・空気調和設備工事 1,272,000,000円 ・電気設備工事 2,104,000,000円 ・昇降機設備工事 164,000,000円 既存棟解体工事 ・建築工事 1,536,000,000円 外構工事  ・建築工事 773,000,000円 ・給排水衛生設備工事 110,000,000円 ・電気設備工事 76,000,000円 合計13,883,000,000円