資料2 発達障害について (障害の特性) ○広汎性発達障害(知的な遅れを伴うこともある) ・自閉症:言葉の発達の遅れ、コミュニケーションの障害、対人関係・社会性の障害、パターン化した行動・こだわり ・アスペルガー症候群:基本的に言葉の発達の遅れはない、コミュニケーションの障害、対人関係・社会性の障害、パターン化した行動、興味・関心の偏り、不器用(言語発達に比べて) ○注意欠陥多動性障害(ADHD):不注意(集中できない)、多動・多弁(じっとしていられない)、衝動的に行動する(考えるよりも先に動く) ○学習障害(LD):読む、書く、計算する、などの能力が、全体的な知的発達に比べて極端に苦手 (明石市立発達支援センター) (概要) ・就学前の幼児期から成人期までの幅広い層を対象に、発達障害をはじめ、支援を必要とする障害のある人と家族への継続した相談・助言、就労支援等を行うとともに、関係機関と連携しながら啓発活動や研修等を行っている。 (現況) ・センター開設から5年が経過する中、相談件数は、初年度(平成21年度)は503件であったが、平成25年度1年間では1,226件となっており、開設当初比では、面談による個別相談で約2.4倍、学校園等への巡回相談で約1.5倍の増となっている。 ・学校園、保育所等の巡回相談においては、子どもの様子を観察して関係者に助言するとともに、必要な場合はセンターでの相談につなげるなど、発達障害等のある子どもへの支援の充実を図っている。 ・また、成人への支援については、生活や就労におけるソーシャルスキルトレーニング(社会生活や人間関係を営むために必要とされる技能の訓練)を実施したり、職場や関係機関に職員が同行訪問するなどの支援を進めている。 〜明石市立発達支援センター相談担当職員からの聞き取り〜 (発達障害の特性など) ・どんな能力に障害があるか、どの程度なのかは人によって様々。知的障害も伴う人と、発達障害だけの人とでは、その状態が大きく異なる。 ・文章が読めても内容を理解できない場合があるが、誰かに読んでもらう(情報が音声として耳に入ってくる)ことで理解できることがある。また、絵や図で簡略化されていたり、箇条書きにまとまっていることで理解しやすくなる場合もある。 ・自閉症の人の場合は、知的障害との合併のケースが多くみられる。注意欠陥多動性障害(ADHD)や学習障害(LD)の人は、診断基準から言うと知的障害を伴わないということになっているが、実際には複数の障害が重なり合っている人も多い。二次障害で精神障害がある発達障害者もいる。 ・発達障害だけの人の場合は、成人になってから発達障害ではないかと気付いた人も多い。例えば、状況が読めず質問するタイミングがわからない、準備をしていないと臨機応変に対応ができない、また、話が汲み取れない、人が一斉に笑うタイミングが理解できず自分は笑えない、などの要素があり、具体的なやり取りはできても、人と少し密にコミュニケーションをとっていこうとすると誤解や違和感、被害感が生じて集団に入っていけない場合もある。 こういう要素は誰にでも少しはあるところではあるが、それによって日常生活に不具合や困難が生じる(学校など集団生活に馴染めない、就職できないなど)というところで障害として線引きしている。 ・人の表情を見て、それが怒っているのか、喜んでいるのかなどが読み取れない人もいる。 ・話すことや読むことに困難がなくても、漢字やカタカナなど文字を書くことが苦手で、簡単な内容(例えば自分の氏名・住所など)を書くだけでも通常の何倍も時間がかかる場合がある。 (コミュニケーションの際の留意点など) ・本人に聞く準備ができているか、本人にとって今必要な情報か、どの方法が理解しやすいかを見極めたうえで、伝えるべき情報をはっきり伝える(具体的に、オブラートに包まず、理解できたか確認をしながら)。 ・話をするのがうまいが、聞いて理解するのが苦手など、できるところとできないところのギャップが大きい人が多いため、本人の障害特性を見極めてから接する。 ・文字ボード、単語ボード、絵カードなども有効な場合があるが、あるだけではうまくいかない。使う人間(発信者・受信者双方)にも理解とノウハウが必要。 ・大学入試などでも、その人の認識能力に応じて拡大文字問題冊子の配付や注意事項等の文書による伝達(本来は口頭伝達)等の配慮をしている。また、各学校においても、行ごとに読みやすくするためのツール(スリット)を利用してもらったり、回答用紙の記入スペースを大きくしたり、罫線ではなくマス目を設けるなどの工夫がされている。 ・デジタル版の教科書(音声機能、フォントの変換、拡大縮小機能)も出されている。 市役所の申請書の書式などは書式が決まっていて、そのままでは認識しにくいものもあるので、配慮が必要ではないか。 ・文書作成の際には、改行のし方(言葉の途中で途切れないようにする)や文字の大きさ、フォント(書体)などを工夫すると見易くなる場合もある。また、絵があっても色を使いすぎると、かえって必要な部分に集中できなくなることもある。 ・あくまでも診断内容よりも、その人の特性に着目して対応していくことが重要。 ・相手方にいかに理解してもらうかというところが重要になってくる。本人が障害を自覚していない場合もあるため、発達障害の傾向(話がかみ合わない、話しかけても何も答えない、どんな質問にも「はい」と答える、一方的に自分の関心事を喋り続ける、など)が見受けられる場合は、一定の配慮を持って応対する必要がある。