「なるほど!ザ・配慮」通信 vol13 発行2022年4月 福祉局生活支援室障害福祉課障害者施策担当 「盲ろう者」とは? 盲ろう者とは、視覚と聴覚の両方に障害を併せ持った障害です。 重要な感覚器官の「光」と「音」の2つが失われているため、さまざまな場面で、情報を得ることやコミュニケーション、移動手段が困難な状態に置かれ、孤独な生活になります。  先天的に両方の障害がある場合や、どちらか先天性あるいは後天性の障害がありもう一方の障害が重なる場合(聴覚障害者が後に視覚障害を患った)など、発症の経緯は人それぞれです。 そして、1人で外出することが困難です。また、見え方や聞こえ方の状態、程度も人それぞれです。 視覚や聴覚以外の障害を併せ持つ場合など多様なため、一人ひとりに合わせた支援が必要です。 全盲ろう・・・全く見えない聞こえない 全盲難聴・・・全く見えない聞こえにくい  弱視ろう・・・見えにくく聞こえない 弱視難聴・・・見えにくく聞こえにくい  コミュニケーション方法 手のひらに文字を書く「手書き文字」とも言うが「手のひら書き」や少し視力や聴力が残っている場合は、「弱視手話」「筆記」「音声」「指文字」などの方法があります。それぞれのベースでコミュニケーション方法があります。 先天性あるいは幼い時期から聴覚障害があり、成人してから視覚障害者となった場合は、「触手話」を使うことがあります。 先天性あるいは幼い時期から視覚障害があり、成人してから聴覚障害者となった場合は、相手の指を点字タイプライターに身立て、指に点字を打つ「指点字」「ブリスタ」を使うことがあります。 支援・配慮  盲ろう者は一人ひとりのコミュニケーション方法が違います。 本人に合った方法で伝え、また確実に情報が伝わっているか常に配慮しましょう。 ●今、起きていることが本人に伝わりにくいので、今の状況を伝えることだけでなく他の人の発言や周りの状況の説明も大事です。例)周りの雰囲気や相手の状況などを伝える。 ●声をかけるときは、本人の肩や手に触れて、まず自分の名前を手のひらに書くなど自己紹介しましょう。 盲ろう者に話の内容が伝わっているかどうか確認し、伝わっていないときは言い直すかあるいは、説明を加えてみましょう。 ●移動するときは、自分の肩や腕に盲ろう者の手を添えて介助しましょう。 ●何も言わずに突然その場を離れると盲ろう者は不安になってしまいます。 盲ろう者体験談  「私と読書」 福山 佳代 (三重県 弱視ろう)  私は弱視ろう者です。主なコミュニケーション方法は、触手話と手のひら書き、会議や講演などには、パソコン通訳です。  幼いころ「網膜色素変性症」にかかり、遮光レンズのメガネをかけていました。ろう学校までは遠く、電車の中で読書をすることが多かったので、自然に本を読むことが好きになったように思います。  30歳を過ぎて、新聞や本が読みにくくなりました。「メガネが合わないのかな」と思い、病院を受診したところ、病気が進行していたことが判明しました。「これからどうなるんだろう……」と思い、不安を抱えていました。友達が「盲ろう者の集まりがあるんだけど、行ってみない?」と言ってくれました。  私は「盲ろう者」という言葉に抵抗がありましたが、1度だけ行ってみようと思いました。その施設で交流をしているときに、「拡大読書器」を初めて見ました。「この機械なら読めなかった本などが読める!」と感激しました。  しかし、加齢とともに視力が低下してきて、拡大読書器で長時間読むことがつらくなり、いつの間にか本を読まなくなっていました。  そして数年後、視覚障害者向け日常生活訓練を始め、パソコン、白杖の正しい持ち方などの訓練を受けた後、点字触読訓練を始めました。まず、基礎から学び、そして先生が選択した本の点字データを触読していきました。その後、先生から「読みたい本ある?」と聞かれたとき、私は「前から読みたかった本があるんだけど、点字データがあるかな?」と尋ねたら、先生が点字図書館に問い合わせしてくださり、やっとその本を点字データで触読できるようになりました。  いろいろな本が点字データで読めることが分かり、興味のある本や新聞を点字図書館に積極的に問い合わせできるようになりました。そして本を読む楽しさを久しぶりに味わうことができました。  私は、まず興味のある絵本(文字が少ない)から触読していき、そして普通の本にチャレンジしていきました。点字触読訓練は、けっこう時間がかかりましたが、点字が読めるようになった喜びは大きかったと思います。これからもマイペースで、いろいろな本を読み続けていけたらと思っています。 私は特に感動的な本を読むことが好きです。ドキュメンタリーでおすすめの本があれば、ご紹介くださいね。                                                                2021年11月 ※『SSK 盲ろう者の専門誌 コミュニカ 2022年・春・No.64』2022年3月号より抜粋 あかし市民図書館にも「大きな文字」での読書・「点字」による読書・「音声」による読書があります。 拡大読書器 読みやすさにあわせて文字や画像などが拡大できます。 ディジー再生機 デジタル録音図書やディジー図書を再生します。 読み上げ機 印刷物を読みとり、音声で読み上げをする機器です。