第1回(仮称)あかしインクルーシブ条例検討会 全体会 議事概要 場所 明石市役所議会棟2階大会議室 日時 平成30年8月27日(月)13:30-14:30 1 開会 2 市長挨拶 3 藤井座長挨拶  「明石市がうらやましい」と他の自治体の障害者から言ってもらえるようになればと思う。それは単に羨望という意味ではなく、他の自治体を刺激・激励する意味がある。明石市の障害を持った人たちがこの街に生まれてよかったと思えるようになることを期待する。  もう1つ、10年後、20年後にふり返ってみて、あの時の新条例検討によって明石市の障害福祉は一段階レベルアップしたと言われるようになることを期待する。  キーワードはみんなでつくるということ。この25人の委員の周りには私たちに期待している多くの障害当事者の方がいる。行政も福祉の枠を超えた様々な部署の方がいる。検討会から周りへの発信と周りから検討会への要望といった相互の関係で進めていければよい。  今回の条例作りに際しては、SDGsや障害者権利条約といった新しい国際規範がすでに出来上がっているということがポイント。こういった追い風、応援団がある。もちろん明石市の障害関連政策の発展が第一義的だが、その延長線上に日本の障害分野の標準値をもう一段階上げていきたい。 4 部会長・副部会長挨拶  心のバリアフリー部会 北野部会長・竹端副部会長  ユニバーサルデザインの街づくり部会 尾上部会長・三星副部会長 5 委員紹介 6 明石市における共生社会の実現に向けた取組 7 条例検討の趣旨説明  (市長より補足説明)  これまでの取組で良かったと思うところを3点あげると、  1点目 ホームドア設置の取組(オール明石で取り組めばまちが動く)  オール障害者で署名活動を実施し、障害当事者だけでなく市と市議会、商工会議所等がまさにオール明石でJRと国に働きかけ、その結果として明石駅と西明石駅にホームドアがつくことになった。  2点目 やさしいB-1グランプリ(イベントを通じて当事者参加の新しい形を実現)  障害当事者が支える側、おもてなしする側に立って、ともにイベントを盛り上げ、市民からも好評を得た。障害当事者だからこそわかることもあるし、当事者だからこそできる支援がある、ということを象徴的に示したイベントとなった。  3点目 合理的配慮の公的助成(助成制度の実施を通じたまちの意識の変化)  飲食店やレジの横には筆談ボードが設置されているのが当たり前になってきた。手話を覚えるようになった店員さんもいると聞いている。まち一丸で取り組めば街の風景は変えられる、やさしいまちになっていくと実感している。  一方、課題を3つあげると、  1点目 現状として車いすで全てのお店に入れる訳ではない。段差がある、スペースが狭い、車いすトイレがない等で断念せざるを得ない場合もある。全ての公共空間やお店が車いすユーザーを含め全ての人が利用できる街にしたい。バリアフリー法の改正を受け、明石市版バリアフリー条例づくりや公的助成制度の拡充なども含め、街づくりを考えていきたい。  2点目 引きこもりや精神障害の方やその家族が困った時は相談できるようなしくみをつくり、社会的孤立を総合的に支援していける条例づくりを含め、社会全体で問題をとらえていきたい。  3点目 障害者雇用について。明石市でも重度障害者はダブルカウントしているが、私は好ましくないと思っている。障害のありなしに関わらず胸を張って働き納税する、そんな明石にしていきたい。  最後に、私がよく使っているやさしい社会を『明石から』というのは2つの意味がある。1つは国を待つことなく明石から始めてもいいのではないかという意味。もう1つは明石止まりでなく明石から全国に自然に広がっていくものだと信じているという意味。そういった思いを込めている。 8 意見交換 (委員の主な意見) ○西日本豪雨でも知的障害者は孤立している。それは普段からどこにも相談できないからである。既に見えている課題だけでなく、見えていない課題は何か、それをどう見えるようにするかが「心のバリアフリー部会」では大事ではと思う。 ○昨年開催したB-1グランプリでは、障害当事者がお迎えする立場をつくってもらえて、大変だったが本当に楽しかった。明石市は、障害者が安心して住めるやさしいまちをつくろうとしている。障害当事者団体としてこれからも協力していく。 ○食事に行く時に、みんなは何を食べようかが先に来るが、車いす当事者としては車いすトイレがあるかが一番心配。車いすトイレといっても様々で、自分に合わないトイレで苦労したこともあるので、車いす利用者でも行きやすいお店が増えていくように色々意見を言っていきたい。 ○市長の話にもあったが、障害者は支援される側だけでなく、ときには担い手、支援する側にもなれるということが大切だと感じている。阪神淡路大震災の避難所では聴覚障害者にどう対応していいかわからない状況だった。平成16年には台風23号で被害を受けた豊岡の聞こえない仲間達の支援活動をした。障害者だけでなく健常者も困っていたので支援をすると大変感謝された。障害を持っていても聞こえる人達の支援する立場にもなれる。障害を持っていてもお互いに支援しあえる、そんな街にしていきたい。 ○視覚障害者の立場から参加させていただいてありがたい。従来は点字があればよいと思われてきたが、現在は点字だけではなく、音声案内等も普及してきているので、視覚障害者の支援についても人によって認識の違いが出てきている。 また、車いすユーザーは点字ブロックがあれば移動しにくいが、視覚障害者にとっては必要なものなので、こういった相反する主張がある中、いろんな当事者を巻き込んで一緒に話し合いながら問題をどう解決していけばよいのかを考えていけるのはありがたい。 9 今後の検討スケジュール 10 藤井座長総括  政策というのは「何をつくるか」より「誰がつくるか」が重要。このメンバーでしっかり作っていくことになるが、注意してほしいことが2つある。1つ目は、障害のある委員は自分の障害や団体だけでなく、他の障害や他の団体に目を向け、障害のない委員は障害のある委員の声を聞き、少しイメージを膨らませること。また、最も厳しい障害を持った人にみんなで焦点を当てて、支援の基準をみんなで引き上げること。そこをしっかりと踏まえて進めたい。  2つ目は「やさしい」を言葉だけでなく、きちんと見える化して、仕組みにすること。その上で大切なテーマの1つがインクルーシブである。インクルーシブには様々な翻訳があるが、簡単に言うと『分けない』ということ。この言葉をどこまで部会で深められるか。先ほど市長があげた課題も、この「分けない」という観点で見ていくと解決の方向性が見えてくる。  また、街づくりという観点では、やめるもの、手直しするもの、新しくつくるものの総体が大きなファクターになると考える。  そして、国際規範を大いに活用しましょう。国連のSDGsの理念である「誰一人置き去りにしない」ということ、そして障害者権利条約の第17条「全ての障害者は、他の者との平等を基礎として、その心身がそのままの状態で尊重される権利を有する」。障害者に無理に社会の常識に合わせなさいと言うのではなく、社会の側から障害を持った人に近づきましょうと言っている。これがあることで障害当事者はどれだけ楽になるか。市長の思いだけでなく、こういった国際規範を踏まえて検討を進めていくことで、相当なものが出来あがっていくはず。  最後に、今回の条例やこの検討会の場もあくまで手段に過ぎないということ。一番大切なのは、障害を持った一人ひとりが、本当に自分の暮らしぶりが変わったと実感できること。議論が行き詰ったら、この原点に立ち戻れば答えが出ると思っている。