第1回(仮称)あかしインクルーシブ条例検討会 ユニバーサルデザインの街づくり部会 議事概要 場所 明石市役所議会棟2階第2委員会室 日時 平成30年8月27日(月)15:00-17:00 1 開会 2 尾上部会長挨拶 3 委員自己紹介及び庁内オブザーバー紹介 4 バリアフリー法改正の内容紹介 (部会長) 基本構想は改正バリアフリー法で定期評価の仕組み(見直し)が入っている。部会そのものは条例をどう作っていくかが中心だが、基本構想の見直しの後押しになるような議論ができたらよい。委任条例は、全国一律の基準であるバリアフリー法の基準では足りないものを地域が補っていくものである。明石市の理念や目標を含め、委任条例の範囲に留まらない議論をしてもらえたらと思う。 (副部会長) バラバラにやっていたバリアフリーに係る取組を2000年に大きな柱2つにまとめた。 1つ目の柱は大きな駅にエレベーターを設置することを義務付けるといった規制法としての側面、もう1つの柱は計画論としての側面。後者は駅やその周辺といったエリアを決めてバリアフリー化する事業計画を立て、そこに障害者が入って結論が出るまで議論するといったものである。 計画を立てた後に進行管理をする継続協議会を設けている自治体もあり、改正バリアフリー法で盛り込まれた評価会議は、個別議論になるが明石市でもやることになると思う。 また、今までの基本構想は事業計画だった。そのため山陽電鉄やJRなど事業者ごとの計画であり、市全体としての計画がわからなかった。全体計画として基本構想とは別にマスタープランをつくるといいのではないか。 国の法律はできるだけ多くの人を最低限救うためのもので、「誰も置いていかない」という考え方が全くない。その辺が条例検討を進めていく上で大きな課題になってくると思う。 5 部会で検討するテーマについて 6 意見交換 (1)民間施設 (委員) スロープを設置しているお店は見かけるが、お店の厚意で設置してもらっているので、勾配の角度やスロープの幅といった問題によって、車いす利用者1人でスロープを登れない場合もある。 (委員) 制度として点字メニューをお店に置いていても、それが視覚障害者に情報として届いているか。 (委員) 点字メニューが導入されている店の情報が以前広報に載っていたと思う。それを音声版で聞くことができた。ただ1回聞いただけで覚えられるわけではない。また私のように中途障害の人は点字メニューを利用しない人が多い。普及している音声案内を使うし、音声案内がなければ誰かに代読してもらっている。 (部会長) 市外から来た人にはそもそも広報に載っていても情報がわからない。点字メニュー以外でもバリアフリー対応をしていることが外から見てわからなければ、宝の持ち腐れになってしまう。 (委員) 一昨年度から公的助成制度を使って現在では明石駅前の商業ビルでは筆談ボードの設置率が80%くらいあると思う。また障害者から助言をいただきながら改善している。またユニバーサルマナー研修を商店街や商業施設の店長クラスの人には是非出席するように言っている。ハード面も大事だが障害を持った方に接するノウハウを教えていただくことがもっと大事だと思うので、これからもこの制度は改善しながら継続していってほしい。 (部会長) 実際のユーザビリティという部分でハードとソフトが一体となった取組が必要であるということがわかった。 (委員) 大阪府の福祉のまちづくり条例は兵庫県と同様の基準となっている。 10年前だと車いす対応トイレは、駅か百貨店か公共施設にあった。最近大阪市内のコンビニにはだいたい車いす対応トイレが設置されている。 バリアフリーを考えるときにお店に入れるかどうかも大きな問題である。大阪市内の回転寿司店はほとんどが2階建ての2階に店舗がある。少し前までは1階に車いす専用駐車場があって2階に車いす対応トイレがあったが、2階に行くのに階段しかなかった。しかも店内は全て固定イスのままだった。今は制度が変わって義務化されたので、エレベーターが設置されたし、イスも取り外せるようになった。 事業者も言われて初めて気づくことがあり、気づけば改良につながることもある。 ユーザビリティの向上を明石市の条例で進めてほしい。 (委員) 聴覚障害者がトイレを利用しているときに警報が鳴っても危険を察知できないため、点滅するランプを付けてほしい。明石市ではトイレに限らず公共施設でも警報ランプが作動するようなところがない。 (副部会長) 国のガイドラインにはトイレのライトに関する基準は入れていない。ただ人が集まるあらゆる場所で聴覚障害者が危険を察知できるように努力せよとガイドラインに入れた。特にホテルの部屋は相当強めの基準をガイドラインに入れている。 条例で規定すれば義務化するかお願いになるかは議論があるが、少なくともアドバイス、指導ができる。 (2)公共空間 (委員) 使える施設の情報などの各種情報を取りまとめるということが重要である。 (委員) 視覚障害者は道の状況を体の感覚で覚えていて、点字ブロックだけを頼りにするわけではなく、白杖の感覚や車が走っている等耳からの情報を頭の中でイメージしながら歩いている。その際、歩道の境目などちょっとした段差なども自分たちなりの目印にしている場合があるが、こういった軽微な段差までもバリアフリーということで解消されていることがあり、自分がイメージしていたポイントを認識できず、違う場所へ行ってしまうことがある。そもそも点字ブロックが必要な場所に正しく取り付けられていないため、せっかく辿って行ったのに入口の扉が閉まっていて右往左往したりすることもある。あるいは、道路状況等が変化しているのに点字ブロックは変更されていないため、変わったことが障害者に伝わっていないケースもある。こういった面でも当事者を巻き込む必要がある。 また、点字ブロックの凸凹が車いす利用者やベビーカー利用者にはかなりの振動を与えてよくないという意見もあるが、一方それを頼りに歩いている人もいる。最近の福祉機器で、点字の凸凹がなく中心が少し盛り上がっているマット形式のものもあるので、そういった新たに開発されている福祉機器等も取り入れながら意見交換を交えてやっていくと、お互いクリアできるものもあるのではと思う。 (委員) 明石駅周辺や明石駅から市役所までのルートは車いすを押していてもとてもスムーズだ。ただ視覚障害者との関係は注意しないといけない。 自分の団体ではエレベーターの表示について取り組んでいるが、明石ではエレベーターがあるという表示があるか、またある場合、エレベーターにその行先が書いてあるか。 (委員) 駅周辺の歩道は整備されてきているが、そこを外れると歩道が狭く、車いすと歩行者がすれ違うことが難しい歩道もある。駅前だけの整備に留まらず主要な道は整備してほしい。 (委員) 駅前ビルはご意見をいただいてエレベーターの外側に行先の表示をしている。 (オブザーバー) 点字ブロックを引き直したりするときは、視覚障害者に現場に立ち会ってもらっている。エレベーターの管理も担当課としてやっている。駅にある地上に降りるエレベーターを再度確認する。 (副部会長) 点字ブロックは車いす利用者からするとかなりガタガタするので問題がないとは思えない。JIS化されているのですぐには無理だが、点字ブロックの高さを低くすることを視覚障害者達と議論して検討している。 (3)交通・観光 (委員) 案内表示の電光掲示板は、災害時などの緊急時においては現在の状況に関する情報が少ない。JRだったらホームとか駅の改札口にあるが、災害の時は全く機能していなくて、調整中となっており情報を得ることができない。聞こえる人は放送により情報を得られるが聞こえない人は聞こえる人と一緒でないと情報を得られない。 例えば手話を覚えて観光案内所の受付で対応していただけるとか、筆談で対応していただけるとか、そういったことが明石市でもっと増えていけばよい。 (部会長) 一番情報が必要なときに情報を得られないということが問題。こういった場合、その後の行動をどうしたらいいか目途が立たない。 (オブザーバー) 観光案内所には、筆談ボードとタブレット端末を設置している。タブレット端末は市役所の手話ができる職員とテレビ電話で繋がるようになっている。また、観光協会のスタッフにも手話研修を受講させている。 (委員) 市の観光施設でもコミュニケーションボードで伝えるような方法など音声以外のコミュニケーション方法を少しでも習っていただけたらと思う。コミュニケーションボードなどは聞こえない人だけがスムーズになるのでなく、他の人も利用できるツールである。こういった動きが駅前だけでなくいろいろな場所に広がればと思う。 (オブザーバー) 市役所など公共の場については、筆談ボードの設置など順次対応していくと思う。また予約は必要だが、観光協会でボランティアガイドを設けており、観光したいときにガイドが必要であれば同行する。手話が必要な方は手話通訳者が同行する。 (委員) 災害対応でこの前の台風で23時頃風速39mの時点で全てのバスを止めた。その時その時の状況によってバスの運行の可否を判断しているのだが、その判断をお客様へ即座に伝える環境は整っていない。交通機関同士ではホームページで運行状況をお知らせし、それをそれぞれの交通機関で確認しながらお客様にも見ていただき状況を確認していただいているのが現状だ。駅前にも窓口があり筆談でも対応している。営業所で判断した情報を関係各所に流しているがタイムラグがあり、復旧がいつなのか等すぐに対応できていない。情報発信力という点では改善の余地がある。 (委員) 観光でいうと、みんなが面白いと感じる場所へ障害者が行けるかどうかが大切だ。 海水浴場では、シャワー場にあった段差が解消されたり、ユニバーサルプロジェクトとして頚損の人が砂浜にマットを敷いて車いすで波打ち際まで行くという取組をしていたりする所もある。車いす利用者も一緒に泳げるか、着替える場所があるか、シャワーが使えるか、車いす利用者が複数人来ても大丈夫かどうかということが大事だと思う。 お風呂については、シャワーキャリー(お風呂用車いす)があるかどうかをいつも確認する。シャワーキャリーは工事の必要はなく置けばいいだけだが、有るのと無いのとでは利用のしやすさが全然違う。 事業者目線ではなかなか気づかないことは多く、利用している障害者を含むいろいろな人から意見をもらうことで利用しやすさがすごく変わると思う。 (4)災害 (委員) 東日本大震災で助かった人は津波が来るという情報がわかった人や周りの人が一緒に逃げてくれた人で、逆に亡くなった人達には情報がなかった。サイレン等の音が聴こえない。聞こえる人は聞こえない人がいるということがわからなくて、その結果聞こえない人は逃げ遅れてしまう。市町村で障害者に対して避難訓練などを実施していると思うが、それが有効に作用しているかどうかが気になる。インクルーシブ条例の考え方である「誰も取り残さない」というスタンスで進めてほしい。また災害時に障害者のところに支援する人が来てくれるような細かな計画を作ってほしい。 (委員) 災害時には障害のない人でもパニックになると思うが、発達障害者や精神障害者は状況が変わっただけでパニックになる。そのパニックを家族でも止められなくなる状況で避難所が設けられていても、避難所で過ごせるかが不安になるため、避難所に行かず家にいようとする。家にいても風の音だけで怖がる障害者もいるので家でも不安。避難所に行っても個室になっておらず、そのことがわかっているので家族が避難所に連れて行けない。叫んだり独り言を言ったりする障害者に対して、避難して特にイライラしている人達の理解を得ることはすごく難しい。平常時でもバスに乗っている障害者がブツブツ言っていると周りから「怖い人」と思われる。この人はこういった特徴があるという理解が広まっていけばよい。 (オブザーバー) 明石市では避難行動要支援者名簿を作成して各地域で共有する仕組みを作成中。聴覚障害者や視覚障害者を対象にした避難訓練も実施している。また日本福祉医療協会と避難時に必要な物資の供給に関する提携をしている。熊本地震後に災害派遣で熊本に行ったが、災害現場では遠慮して手を上げない人が地域に取り残されていた。職員がローテーションでまわってやっと見つけた人もいた。手を上げやすい、手を差し伸べていける環境づくりが課題と考えている。 (委員) 災害時には小学校や公民館等が避難所になると思うが、そもそもそういったところに車いす対応トイレがあるか、またバリアフリーになっているか。あるいは体育館だけでなく保健室や教室なども使えるかどうか。 (オブザーバー) 基本的には小学校や中学校が指定避難所になっている。その中で配慮が必要な人には福祉避難室として特別学級などの別の教室に移ってもらうことにしている。更に配慮が必要な人には、福祉避難所としての市の福祉施設に移動してもらうといった2段構えとなっている。 (オブザーバー) 明石市が障害者配慮条例を作ったときに、災害に関しては民間の福祉施設の設置者にその施設を福祉避難所として提供してもらえるところを2年前から募っている。現在は9施設に協力してもらっている。施設で受け入れるスペースがあるという条件はあるが、学校で対応が難しい方にそちらへ移っていただくことにより障害者も安心してそこにいることができるように民間の福祉避難所の協定を広げていっている。 もう1点は、民生委員の方々が細かく動いてくれていて、重度の障害手帳を持っている方を対象に一緒に避難経路を考えたり、それぞれの災害発生時の動きを予め決めたりしている方がたくさんいる。これも明石市の特徴と言える。 (5)その他 (委員) バスに車いす利用者が乗り降りするためのスロープは、バスをある程度歩道に近づけてもらわないと設置できない。明石市でバスを真っ直ぐに止められるロータリーを整備していただくことが必要である。 (委員) バス停については、点字ブロックの上にバス利用者が並んでいて、点字ブロックが活用されていない場合がある。また乗り場の位置についても音声がないと感覚的にわかりづらい。バスが着いたときには行先についてアナウンスがあるが、強風や車の音によってアナウンスがかき消されてしまい、行先がわからないまま乗ってしまうことがある。できるなら白杖を持っている人を見かけたら、運転手さんが必ずマイクを使って行先を知らせてくれるような心遣いをしてもらえると、とてもありがたい。 あと災害時に福祉避難所があるのはありがたいが、視覚障害者は災害が起こると今まで知っている記憶の情報と違うかもしれないという恐怖がくるので家からほとんど出ない。要援護者名簿を使って必ず聞き取りをしてもらう仕組みづくりが大事だと思う。 (副部会長) こうやって聞くと無数にいろんな話が出る。どのテーマもそのテーマだけで午後いっぱい使って話し合いたいぐらいである。話し合いの必要な問題ばかりだ。 法律、兵庫県福祉のまちづくり条例と明石市の条例やそれに基づく施策をうまく組み合わせて効果を高めてほしい。 その中で現在の法律や仕組みではカバーできないことが2つある。1つ目は少数の声の小さい方々を発掘すること。2つ目は行き先の表示等がされている情報量の多い良いエレベーターに変えていくこと。この2つを向上させるための新しい施策を考えていきたいが、果たして後4回の検討会で出来るだろうかと不安がある。やり方は事務局と考える。 あとバリアフリー法の継続協議会は、明石市も作って、継続してほしい。 (部会長) ぜひ一度地元の方と一緒に明石の街をウォッチングして課題を確認したい。 7 今後の検討スケジュール 8 閉会