資料7-1 説明資料 この説明資料は、事業者の皆さまに書面ヒアリングの項目にご回答をしていただく際のご参考にしていただくため、障害者差別解消法と条例づくりの背景やキーワードとなる主な用語について説明をさせていただいたものです。   ■ 障害のある人の差別を解消する条例づくりの背景 平成22年から4年間、国連総会で採択された障害者の権利に関する条約を批准するために、日本では、国内の障害者関係の法律や制度を見直すための制度改革が行われ、法律や制度の見直しとともに新しい法律づくりが取り組まれてきました。 障害者の権利に関する条約は、とくに障害に基づく差別の禁止を重視しています。 障害のある人に関連するさまざまな法律の基本的な考え方を定めた障害者基本法では、2011年の改正ときに「差別の禁止」(第4条)について、次のことが定められました。 一つは、障害のある人に対して、障害を理由として、差別をする行為をしてはならな いこと。 もう一つは、障害のある人に対する社会的障壁を取り除くために、それを求めてい る障害のある人が現にいる場合には、社会的障壁を取り除くために必要で合理的な配慮がされなければならない、ということです。 このような障害者基本法が定めている「差別の禁止」を具体的な法律にしたのが、障害者差別解消法(平成25年6月制定、平成28年4月施行)です。 また、こうした国の動きに関連して、現在、14の地方自治体(※)において、障害のある人とない人がお互いに人としての尊厳を尊重して理解し合い、共に暮らしていくことのできる地域づくりを目指して、障害を理由とする差別を解消するための条例がつくられています。 (※)都道府県(千葉県・北海道・岩手県・熊本県・長崎県・沖縄県・京都府・鹿児島県・茨城県・富山県、奈良県)、政令市(さいたま市)、一般市(八王子市・別府市) ■ 障害者差別解消法の目的は?   国の行政機関や地方公共団体等及び民間事業者による「障害を理由とする差別」を解消するための取組を定め、すべての国民が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現を目的にしています。 ■ 障害を理由とする差別について 障害者差別解消法では、「不当な差別的取扱い」と「合理的な配慮をしないこと」が差別になります。 *「不当な差別的取扱い」とは? 事業などを行うときに、障害を理由にして、正当な理由なく、サービスの提供を拒否したり、制限したり、区別したりするなど障害のない人と異なる扱いをすることをいいます。例えば…  ・レストランに入ろうとしたら、車いすを利用していることを理由に断られた。  ・障害があることを理由に、アパートの契約を断られた。  ・盲導犬を連れている視覚障害のある人が、ホテルを利用する際に動物の同伴を理由に宿泊を断られた、など。    ただし、やむを得ない正当な理由がある場合には、「差別的取扱い」にあたらない場合もあります。 例えば、タクシーの運転手を募集するときに視覚障害のある人は採用できない、危険物を取扱う工場では緊急避難が必要なため下肢障害のある人は雇わない、または、心臓疾患などの内部障害のある人が遊園地でジェットコースターなどの急降下の激しい乗物に乗ることを断られたなど、特定の業務を行う上で、障害によってどうしても適切に業務を行なえない場合や健康や安全性を確保するためにやむを得ず一定の区別や制限をすることが認められる場合もあります。 *「合理的な配慮をしないこと」とは?   障害のある人がお店で買物をしたり、交通機関を利用したり、携帯電話を購入するためにお店に行ったり、図書館を利用したりするときに、相手方の事業者が、どんな対応をしてよいかわからずに聴覚障害のある人に声だけで話をしたり、視覚障害のある人に書類を渡すだけで読み上げなかったり、知的障害のある人が交通機関の行先を聞いてもわかりやすく説明しなかったりすることなど、さまざまなことがあります。   障害のある人が困っているときに、その人が自分の障害に合った必要な工夫ややり方が必要であることを相手方の事業者に伝えて(※2)、できる工夫や変更などの調整を事業者が行うことを「合理的な配慮」といいます。事業者がしようと思えばできる配慮でありながらしなかった場合には、「合理的な配慮をしないこと」による差別になります。 一方、事業者にとって配慮することが費用の面で重すぎる負担であったり、配慮をすることで事業の内容を本質的に変更しなければならなくなることが明らかな場合は、「合理的な配慮をしないこと」は差別にならないこともあります。 基本的には、障害のある人の状態(障害の種別による特性や性別、年齢など)に応じて、事業者は、重すぎる負担がない場合にはできるだけ合理的な配慮をするように「努めなければならない」(努力義務)ことになっています。(※3) (※2)知的障害などにより、本人が自分の意思で必要なことを伝えることが困難な場合には、家族や支援者が代わりに伝えることもできます。 (※3)雇用の分野においては、障害者の雇用義務等に基づく雇用の促進等のための措置等を定めた障害者雇用促進法があります。同法の改正(施行は平成25年4月)により、50人以上の授業員を雇用する事業主には2.0%の障害者を雇用することが義務づけられ、雇用率以上の障害者を雇った事業主(200人以上)には障害者雇用調整金として、一人分月額2万7千円が支給されています。 その後、障害者差別解消法が制定された同じ頃(平成25年6月)に、障害者雇用促進法の改正(施行は平成28年4月で、障害者差別解消法と同じです。)が行われ、募集や採用のとき、または採用後において、「障害を理由とする不当な差別的取扱い」と「合理的な配慮をしない」ときには、差別になることが定められました。   この場合、事業主は、事業の規模や従業員の人数にかかわらず、障害のある従業員との話し合いによって、重すぎる負担がない限り合理的な配慮をしなければならない(法的義務)ことになっています。      ■社会的障壁とは?   障害のある人にとって、日常生活や社会生活を送るうえで障壁(バリア)となるような事物や制度、慣行、観念を指します。といっても、わかりにくい言葉を使っているので理解することが難しいという声がよく聞かれます。具体的には…  ○事物:通行できない階段、利用しにくい施設や設備など  ○制度:制度の内容を説明するパンフレットに漢字が多くて知的障害の人には理解できない、墨字で印刷されているために視覚障害の人にはわからないなど。  ○慣行:自力で通勤できない人は雇わない、面接を口頭で行うなど、付添人が同行して移動する障害者や口頭(音声による言葉)ではコミュニケーションができない聴覚障害のある人などの存在を意識していない慣行によって、結果として障害のある人を制限し排除するなど。  ○観念:障害のある人への先入観による誤解や偏見などを指します。知的障害や精神障害のある人のグループホームなどの施設を地域でつくろうとすると、地域の住民から反対されるなど。   つまり、「障害」は、本人の問題ではなくて、障害のある人をとりまく社会の環境の問 題であるという「社会モデル」の考え方が障害者の権利に関する条約の基本的な考え方 になっています。このような考え方が、障害者基本法の改正や障害者差別解消法におい て「社会的障壁」という言葉として使われるようになりました。 関係者がお互いに協力して障害のある人の意向を理解し、しようと思えばできる合理 的な配慮を適切に行うことで多くの「社会的障壁」をとり除くことが可能になります。  障害のある人もない人もお互いの理解を深め合うことによって、一人ひとりを大切に する明石市を共につくっていきましょう。