第1回(仮称)明石市障害者差別解消条例検討会 日時:平成27年5月29日(金) 午後2時〜 場所:兵庫県水産会館 第5会議室 (議事概要) 障害を理由とする差別事例の検討(資料5) 【事例1】 家を借りるときに、こちらが「視覚障害者」であると告げると、「火を出されると困る」という理由で敬遠され、借りられないことが多い。 障害者施設設置計画に対する反対運動。 (構成員からの意見等) ・視覚障害者だけではなく車椅子の方でも断られる。不動産屋に行き、一度家主さんに聞くといわれると、断られることが多い。 相談員として理由を聞くと、バリアフリー住宅なので貸してもよいが、車いすが壁に当たるなど通常者より傷む箇所が多く、出る時の補修費が多くなるので断っているとのこと。また、マンション入口の自動ドアの前に、手で押すドアがあるので無理と言われる。 ・精神障害、知的障害の就労支援の相談をしている。部屋を借りたいと思って行った場合、働いていても、障害者手帳を見せると断られることがある。預金が1千万円以上あっても保証協会が通らないため、大家さんに敬遠され契約できない。 条例ができるにあたり、どういうことが差別となるのかを、公的機関がきちんとバックアップできる仕組みを整えるようにすべき。 ・視覚障害があると、家を借りるときに、「火を出される」と敬遠される。「目が見えないから火が見えないだろう」とも言われた。今まで一度も火を出したことがないので、せめて面談をしてほしい。何より、火を出したら困るのは自分たちであり、大家さんに普通の人以上に慎重にしていることを面談でわかってほしい。 ・精神障害のある人が家を借りる時に、暴れられたら困ると断られる。また、保証人になる人がなく、病院の先生が保証人になったという例も聞いている。 ・精神障害があることを言わずに借りる人が多い。近くの不動産に匿名で問い合わせると、精神障害の方は基本的にお断りと堂々と言われた。 ・グループホームの建設も反対にあうことが多い。県からは設置してくださいとのことだったが、市議会からの要望に応じて、説明会を開くと、住民からひどい事を言われた。話が進まず、差別されるなか無理やり設置したとしても、当事者が迷惑を被ると思い断念した。 ・県営住宅を運営している会社からリストをもとに、精神疾患の患者なのではないかという問い合わせを受け、断ったこともある。 ・接し方の講習をしている中での意見だが、精神障害の方とどう接していいかわからないという意見は多い。「変なことを言うと、調子が悪くなって暴れ出すのでは」といった不安や、「調子が悪くなった時のサインや対処法がわからない」など、わからないがゆえの不安感。 ・提案よりまず啓発では。精神も知的も身体もろうも視覚もみんな障害者。障害者が借りるということは「何をされるかわからない」「何かされても保証をしてもらえない」という心配があるから貸そうとしない。 ・家賃をちゃんと払えるのか?という不安がある。不動産屋で社会福祉協議会の助成制度などを説明したがわかってもらえなかった。支援者がチームになり、このように支援ができるという体制を組んでもらい、一つのケースを通して支援が整っていく過程を不動産屋に実体験してもらえれば、わかってもらえるのかもしれない。 ・過去に、母と知的障害児二人きりの生活で、母が亡くなられた。知的障害はあるが能力は高いので、一人暮らしは可能と判断した。しばらくして地域住民から連絡があり、火事が心配との指摘があった。ゴミにペットボトルや吸い殻が入っており、この状態で問題はないと言い切れるかと言われた。 本人が無理でも、支援側がゴミ出しのルール等、しっかり生活のサポートをしていれば、生活を守れたかもしれない。この状況で、一人暮らしをするのはストレスになると思い、グループホームに入られたが、支援者としてこの点を反省している。 ・障害者だから家を貸さない、というのは正当な理由には当たらないので、そこを説得することになるが、契約関係に入っていない状態では難しいところがある。 ・施設の反対運動に、関わったことがあるが、反対する側は、何をされるかわからない、地価が下がる等、根拠のない話をする。根気強く説得をしていくことにはなるが、強制力がないので非常に難しい。 ・施設建設の話、雇う側雇われる側の話も同じだが、自分と関わりがなければ賛成、自分に面倒がかかることは関わりたくないという意識がある。障害の方に関わると、認めてもらえるからがんばれると聞く。話し合いをして、わかろうとすれば解決することもある。福祉の世界にとどまらず、相手を知る努力を小さなことから一人一人が始めればよい。 ・障害により対応は異なるが、入居する人は、自分がどの程度できるかを提案し 家主に判断してもらうというのはどうか。障害者は自分のことを理解されないと思い、健常者は知ろうとしないので、お互いが歩み寄り、妥協点を探る必要がある。 ・作業所の引越しで断られることがあるが、経験をもち、理解のある方は了解 してもらえた。我々も民生委員の方、自治会活動、地域の行事に参加することで、作業所を理解してもらう努力をしていく必要がある。 ・火の問題については、認知症でも言われる。高齢者の施設はIHにするなどして、理解は深まってきている。同様に障害者の方も、地域の方へ理解が深まることが必要。障害者の福祉施設の計画が反対にあう(施設コンフリクト)とあったが、アンケートをとると多くの方は肯定的に回答する。だが自分の近くに建設される、自分の近くに障害者の方が住むとなると、肯定的が途端に減る。自分の隣にという発想を持ち続けないと、なかなか変えていくのが大変。 ・お互いの努力ももちろん必要だが、障害者権利条約には「社会モデル」という考え方があり、社会側の責任、問題もある。 火が出ない仕組み、電化にすれば補助が出るという社会の仕組み、NPO法人が保証人になるという仕組みなど、仕組みから解決する方法もある。 【事例2】 ろう者への情報保障と見えない障害 通勤電車が人身事故などにより遅れた場合に、情報がうまく受け取れないために乗換などに聞こえる人よりも時間がかかり、会社に遅れてしまうことがあるが、その場合に上司から「ほかの人はそこまで遅れていないのに、なぜあなただけ遅れてくるのか?」と言われてしまう。事情を十分聞いてもらえないまま怒られることも少なくなく、納得できないこともある。 ・明石駅はホームが新快速用、快速用と2つあり、自分は新快速のホームで待っていた。なにか放送があったようだが判断できなかった。上司には遅れますとだけメールしていたが、他の人は快速で出勤し、自分ほど遅れていなかった。 上司には快速に乗ればよかったのにと言われた。電光掲示板などで見る情報があればよかった。 ・切符を買う前に、事故で遅れているかどうか、あるいは代替え輸送方法ががあるかなど、わからないだろうか。 ・交通事業者も、それぞれの人にどういった障害があるかは見えない部分がある。交通事業者側もいろいろな情報の整備が必要になってくる。 ・高速バスの予約をして夜に乗り場にいったが来ず、駅で車掌に電話で連絡をしてもらったら発車済みでショックだった。翌日予約をしたところに確認したら、バス停が変わっていたことがわかった。 ・知的障害の方で、いつも乗る電車が止まり、バスで代替えしようとした時、人が集中してなかなか乗れずに困ったという例がある。自閉の人の特徴は変化に弱く、知的の人は自分の思いを明確に相手に伝えることは難しい。 警察でやっていなくても認めてしまうが、「はい」は言いやすく「いいえ」は難しいから。 いろいろな障害があるが、障害をもって生きている人が、普通に生きていくことができる社会になること、それが差別を解消するということになると思う。 ・鉄道会社は民間事業者なので、障害者差別解消法においては合理的配慮の提供は努力義務となる。この事例はリアリティがある。視覚の方には音声で情報を出しているが、聴覚の方へどういう形で情報を出すかを事業者と話し合って確立していく必要がある。明石がそのモデルになっていけば良い。 ・情報保障という場合、知的、発達、精神の方への情報保障のイメージがわかないので日本は遅れている。彼らが馴染んでいる形で提供できているかどうか、ということ。 障害者差別解消法においては、公的機関は合理的配慮の提供が義務となったので、市役所窓口で行政用語を使って説明しても知的障害の方にはわかってもらえなければ、差別になる。障害の種別に応じた情報保証を公も民も実行していく必要がある。 ・聴覚障害の方が、緊急時に駅で対応に困る場面は、電光掲示板での詳細な情報 提示など、物的な保障で対応できる。 知的障害の方は、電光掲示板があっても状況の変化に対応しにくいので、物理的な状況整備だけではなく、近くにいる人の支えあいの気持ちをどう作っていくかが大事。そこは学校教育や一般市民への啓発が必要。 個別の障害の理解、どういう風に支えるかという論議が、あちこちで巻き起こることが大事。 ・高齢化社会をどうするかという問題もある。特に交通機関においてどこに行けばいいかわからなくなっている。 補聴器を付けている人は、機械音は聞き取りにくい。もちろん早口は聞き取りにくいので、アナウンスにしても、ゆっくり言う、2回言うなどして欲しい。 ・就職時に、仕事する上でどういう配慮が必要かを尋ねられる企業は多いが、 通ってくることができて当たり前という思いがあり、暮らしや生活の部分に ついては、企業はタッチしないという実感を持っている。 ・松葉杖をついた方が、金融機関に勤めていた。やめてもらおうという頃になると、床に置いてあるものを机の上に置くように言われた。できない作業を指示して、できないからやめなさいと暗に言う。雇うと簡単にクビを切れないのでやめる方向にもっていかれる。 ・就職できても職場の理解がなければ続かない。精神障害者は掃除の仕事が多く「とろとろやるな」、「作業が遅い」と言われ、いつやめなくてはならないかと不安になるケースも少なくない。そこにストレスを感じるとますます作業がまずくなる。 【事例3】 私には子どものころから治らない慢性疾患があり、学校でも就職しても、周りの人の配慮が必要だった。学校に通っていたころは、始業式の日には必ず担任の先生に自分の病気の事を伝えて、各教科担任に適切な配慮をお願いしてほしいと伝えていたが、学級担任から教科担任に伝わったことは一度もなかった。一見、健康な子とまったく変わらないように見えるからか、何回体調不良を訴えても「私の授業がそんなに面白くないのか」「今回は見逃したるけど次に体育休んだら承知せえへんで」などの叱責を受けることが多かった。 ・病気の理解を求めていくのが大事。学校や教育委員会も、知ろうという思いを持ってくれているので、知ってくれるまで伝えていくこと、理解してもらえるようあきらめずに努力を続けていくことが大事。 ・心臓を患っている子どもなので無理はできないが、先生が過度に気を使うために、逆に何もできない、という例がある。先生は事が起こったら大変なので、起こさないことを第一に考える。 ・過去に一度、心肺停止を起こしたことがある子どもがいたが、AEDがあり、消防署もあったので大事には至らなかった。安全優先、危険回避という学校の体制と、親からは通常の生活を望むというなかで、大事なのは最終的にどこまでわかりあって一致するのか。現在は、卒業先の活動場所でAEDを常備してもらい、何かがあった時の体制を整えたうえで、通常の活動をしている。 どこまで一致点を見出すかが大事。 ・裁判の事例になるが、発達障害、自閉症の子どもで、感覚過敏のために食べられないものがあった。担任は偏食とみなして、食べなさいと言われた。うまく伝わっていなかったがゆえに、それが原因でPTSDになり、その子は小学校に行けなくなった。申し入れを担任に伝えなかったという校長の義務違反という判決が、5年後に出た。 損害賠償をもらったとしても、5年間も小学校に行けなかったので、もっと 早い段階で理解を深める話し合いが必要だった。そういう理解が広められる仕組みが必要。 ・足に慢性疾患がある場合の通学への配慮、足に問題があるので、学校で決められた靴ではないものを履こうとするときなどで、学校から意見書、診断書を求められることがある。長い時間をかけて裁判して、損害賠償をもらっても仕方がないので、お互いの歩み寄りが必要。 ・障害者を雇用しているが、企業で働いている人は優秀。特別支援学校を出ていても働けない人もいる。 健常者と同じで、認められることによってやる気が出る。状況の変化は日々あり、調子が悪いときは奇声を発する子もいる。漢字は読めない、足し算はできなくても、仕事はできる。 障害者を雇用すると、単純作業の繰り返しのイメージだが、いろいろな経験をしてもらって、健常者と同じく成長してもらうことにより仕事が長く継続する。 就職はゴールではなくスタートだと思っている。 ・必要だから条例にするとしても、夢のような話ではなく、目の前でできる事を模索していくことが重要で、具体的に実現できる施策をお願いしたい。 市側ができること、一般市民ができること。短期的にできること、長期でないとできないこと。お金がかかること、なくてもできること。そういったことをここに判断しながら条例に盛り込む施策を整理してもらいたい。 ・特例子会社は儲けたらダメというイメージがあるようだが、民間企業は利益を上げないとつぶれるし、障害者を雇用して給料を払うにも体力がないと無理。特例子会社が恵まれているのは、親会社がしっかりしていて、資金面で心配がないから。そういった意味で、一般の中小企業を含めて障害者の雇用をしっかりと考えるような施策を出してもらいたい。 仕事をして、税金を払って、人とコミュニケーションをとって初めて成長する。若い子どもたちがしっかり社会参加できるような条例にしてほしい。 ・大学で受け入れている障害学生の中でも最近は発達障害、精神障害の方が増えてきている。大学側も教育的保障をどうしていくか悩ましいが、目の見えにくい障害の方は、どう理解していくかが重要であり、個別支援のためのシステム作りが必要。 ・支援者の立場として、不登校の相談を受けることがあるが、発達障害があり、クラスでうまくいかず、いじめられる。先生から厳しく頻繁に言われて通えなくなった。学校の先生も困った子としか見えない。 保護者と相談しつつ、今はスクールカウンセラーを通して働きかけをしている。 障害の事を理解してくれる先生も増えたが、理解と対応は別の話。具体的な対応については不十分なので今後の課題。 ・福祉教育の充実も必要で、中学校、高等学校で、統合失調症から回復された方が、自分の体験談を語るという活動をしており、精神障害の理解を学校教育のなかでし始めている。 ・慢性疾患で、手帳の有無、障害の認定の有無により、この方が当てはまるかどうかについては、障害者差別解消法における定義は幅が広くなった。 本人が継続的に日常生活、社会生活に制限を受けている場合は、手帳の有無に関わらず対象になり、慢性疾患の方もサポートできるしくみになっている。 法律になったので、公立学校であれば合理的配慮は義務となるから、配慮をしないと差別になる。ただ、熱心な先生であれば、きちんと伝わっているのかが気になる。きちんと伝われば、先生も本人のことを考えてうまくいくこともある。つまりは、コミュニケーション不足が大きな問題。 差別といってしまうのではなく、本人と親と教育関係者が、コミュニケーションをとり、本人にとって一番良い支援とは何か、合理的配慮とは何かを考えていく方向になればいい。 ・ソーシャルワーカーの配置をしている団体だが、学校、企業、いろいろな場に そういう障害の方がいる。学校は、スクールソーシャルワーカーが増えてきている。 福祉現場に勤めているが、発達障害をはじめいろいろな障害の方がいる。 私自身が勉強しているが、福祉現場に精通している方に聞くと、そうは見えない障害を持つ方もおられた。こちらも勉強しないとどういう配慮ができるのかわからない。本人を叱責することで、責任を押しつけているかもしれない。 我々自身が勉強すること、団体として地域の中で知っていただく機会をつくること、職場の中にわかる方を増やす。合理的配慮をどう作っていくかを広げていく役割がある。 ・明石の中心地域に住んでいる。精神疾患の患者が散歩していて、最初は違和感があったけれども、風景に慣れると当たり前になった。 地域のコミュニケーションが取れている地域だと思う。明石の方は熱心で、悩みがあると、一緒に考え動いてくれる。今回、障害者差別解消条例の話を聞き、一市民として明石が今以上に良い町なればいいなと思う。 (事務局より) 条例を作る立場だが、教えてもらうことが多い。 理解を広げていくために行政が先頭に立ち、一人でも多くの方に障害の正しい理解を広げていく必要があると感じる。市でも障害者に対する合理的配慮と特別扱いについての議論があった。市役所でも、できることからやっていかなければならない。 条例を作るのが本当に必要なのかという指摘についても、貴重な意見だと感じている。市長も言っていたが、条例作りが目的ではなく、市民への理解、障害をお持ちの方が、前に出て、自分の意見を言える地域にしていくための第一歩であると考えている。