2025年度 第1回 明石市ユニバーサルデザインのまちづくり協議会 議事概要 日時:2025年(令和7年)8月1日(金) 13:00〜15:05 場所:明石市役所議会棟 2階 大会議室 1.開会 2.議事 ◎議事1 JR明石駅・山陽電鉄山陽明石駅周辺地区の基本構想の策定状況の報告 〇事務局より、JR明石駅・山陽電鉄山陽明石駅周辺地区の基本構想の策定状況の報告 ◎議事2 意見交換 会長 ・基本構想策定の特徴は、エリアを定めてバリアフリー化を行う際に、この場のように事業者や障害当事者、市民の方々など、多くの関係者が集まり意見交換を行うことにある。 ・限られた時間ではあるが、意見交換を行っていきたい。 委員 ・いくつか意見を申し上げたい。 ・1つ目は、新庁舎の建設に伴い7月22日から仮バス停に移転となったが、非常に暑く日差しを避ける場所もない。現状は、仮バス停から離れた位置(西庁舎入口付近)に椅子を置いてバス待合所としているが、それでは意味がない。明石分科会でも仮バス停に対する意見が出ていたが、反映されていない。初めからこうなることはわかっているにもかかわらず、バスが利用しにくいことで障害者は本当に困っている。 ・2つ目は、仮バス停付近に警備員を配置しているが、全く訓練されておらず、視覚障害者の誘導などもスムーズに行えていない。また、市役所は午後5時40分まで開いているが、午後5時45分には警備員がいない状況なので、契約や運用を見直していただきたい。 ・3つ目は、観光道路に関して。道路は無電柱化されているにもかかわらず、ハーモニカ横丁の店舗が私設で電柱を立てていたり、道路を座席で占有したりしている。権利関係などもあるかもしれないが、対応していただきたい。 ・明石市では、様々な条例の策定やユニバーサルデザインのまちづくりを進めているのに、障害者や交通弱者に対する配慮や施策が非常に遅れていると感じている。 明石市 ・1つ目の仮バス停について。点字ブロック等は整備しているものの、屋根はついておらず、ご不便をおかけしている。すぐに行える対策として、先日から日傘を設置しているが、十分な対策だとは考えていない。現在、屋根の設置について検討しているところなので、なるべく早く解決できるよう努めていく。 ・次に、2つ目の警備員について。仮バス停から庁舎に渡る箇所については、警察と横断歩道の設置に向けた協議をさせていただいたが、仮バス停(仮駐車場)は暫定的な措置であるため難しいとのことで、設置には至っていない。代替として警備員を配置しているが、ご指摘いただいた点については、対応を検討する。 明石市 ・3つ目のハーモニカ横丁の道路の占有については、かねてより見受けられるので、継続して店舗に指導を行っている。少しずつ改善されているものの完全には解決していないため、今日のご意見も踏まえて引き続き指導していく。 委員 ・以前、乗車中の車の横を電動車いすが通過したが、歩道の傾斜によって倒れそうになり、体勢を持ち直そうとハンドルを切ったため、車いすの半分程度が車道に出て非常に危険だと感じた。歩道の傾斜についても、今後の整備では考えていただきたい。 副会長 ・車いす利用者にとって、歩道と車道の境目の形や材質は、安心して移動するための非常に重要な要素となっている。 ・明石駅周辺など新しく整備した箇所については、緩やかな傾斜になっていることが多いが、古い歩道については、傾斜が急で車いすが流されてしまうし、雨が降っていればさらに危険度が増して、止まろうと思っても止まれないこともある。 ・基本構想は、エリア内の生活関連経路を安心して移動できるようなバリアフリー化を行っていくこととなっているので、事業の中で改善していただければと思っている。 明石市 ・新しく整備した歩道については、基準がある中で整備しているため、対処できていることが多いが、古い歩道に関しては、昔の基準や考え方が現在と異なっていたこともあり、斜めになっているところがある。そのような部分については、地道に修繕していくほかない。 ・今後、生活関連経路については、優先順位を高めて1つずつ直していければと考えている。 会長 ・全国で事故事例は多くあり、最新のガイドラインでは横断勾配についての基準があるが、既にある歩道については修繕義務がないので、古い歩道が手つかずになっていることが多い。今回の意見も踏まえて検討していただきたい。 委員) ・ここ数年は異常な暑さが続いているので、バス停や商店街などにミストシャワーを設置することで、障害者に限らず涼しく感じられ、負担も軽くなるのではないか。 明石市 ・駅前などの人通りが多い箇所へのミストシャワーの設置に関する要望をいただいており、どのように優先付けしていくかを総合的に考えていく必要がある。 ・現在、市では、一時的に暑さをしのぎ、涼しく過ごしていただく場所として「ひと涼みスポット(クールスポット)」を設置しているので、そういった施設も利用いただければと思う。 委員 ・特にお年寄りや体の不自由な方は、スポットなどに行くまでが大変。他市では、駅前にすぐミストシャワーがあることで、気が楽になったりちょっと元気が出たりという話も聞く。今後は、温暖化の影響で夏が涼しくなるようなことはないと思うので、時間がかかるのは分かるが、急いで検討していただきたい。 委員 ・市内全域で、歩道が経年劣化で割れたり、段差があったりする。 ・広い道路は随時修繕されていると思うが、細い道路はされていない。特に気になるのは、明石駅から東側の側道で、段差もだが、歩道自体がでこぼこしていて足をくじきそうになることもある。また、天文科学館に行く道も細く、歩道の真ん中に電柱が立っていたり、点字ブロックが途切れていたりするので、視覚障害の方が困るということを聞いている。その辺りも随時修繕をお願いしたい。 明石市 ・ご指摘のとおり修繕ができていない道路もあり、しっかりと直していきたい。日頃から、通報があった場所を中心に修繕しているが、まだ直っていない所がある。特に修繕が必要な箇所は、ご連絡いただければ、出来る限り優先順位を上げて対応していきたい。 ・歩道の真ん中にある電柱については、非常に道幅が狭く、現在では歩道とみなせないような場所のことかと思う。移設したいと考えているが、適切な場所がなく、できない状況となっている。 委員 ・新庁舎の建設に伴う仮駐車場の案内について、初めて利用した際に入口がよくわからなかった。案内板も小さく、見過ごす可能性もあるので、もっと大きく表示してもらいたい。 明石市 ・駐車場の案内表示について、なるべくわかりやすくと考えているが、照明や信号、交通標識などの既存の柱は、設計上の荷重を超えてしまうなどの理由により、追加で表示を設置できず、看板を立てるところが見つかっていない。案内が足りていないことは認識しているので、引き続き工夫していきたい。 委員 ・点字ブロックについて、スマホのアプリを使って読み込むことで障害物の情報などがわかるタイプも出てきている。新庁舎で点字ブロックを付ける際には、そういったタイプを採用してもらえたら一人歩きができるようになるので、是非ともお願いしたい。 明石市 ・新庁舎は今後3年をかけて建設する計画となっており、現在の設計では通常の点字ブロックとしているが、なるべく便利なものを採用できるようにしていきたい。 ・また、トイレの中など、人(職員)が案内しにくい場所については、音声案内ができるように設計している。今後も工事を進めながら工夫していきたい。 会長 ・現状では、特殊な点字ブロックを使うのではなく、通常(既存)の点字ブロックに貼り付ける、又は埋め込む形で情報を付加することで利便性を高めようとしている。意見のあったような新しいタイプの点字ブロックの導入を想定する場合は、向いている材料などもあるかもしれないので、事前に調べておいていただきたい。 ・「見る」「聞く」「触る」は五感の中でも重要なものなので、それを基本としながら整備していただくとともに、これまで上手くいかなかった事例を踏まえ、バリアフリーの整備は、当事者参画を行って失敗しないやり方で進めていただきたい。 副会長 ・視覚障害者へのサポートアプリは様々なものがあり、「shikAI」や「ナビレンス」などがある。点字ブロックにQRコードを埋め込むのは「shikAI」で、万博でも使用されているので、機会があればぜひ体験していただきたい。 ・また、検討の際は、実際に障害当事者に使ってもらい、新庁舎に使用する意義や効果を確認してもらった上で、導入することが非常に大事だと思う。ぜひ進めていただきたい。 委員 ・明石駅前は、30年前から比べると格段に人の通行量が増えている。 ・ユニバーサルデザインを考える際は、人の多さや流れを考える必要がある。例えば、点字ブロックを整備したにもかかわらず、バス停で人が滞留して点字ブロックの上に並んでしまっては、点字ブロックが役に立たない。 ・また、明石駅からアスピア明石に向かう道路があるが、人通りが多いにもかかわらず歩道が狭い。ほとんど車が通らない道路なので、もう少し歩道を拡幅できないか。 明石市 ・点字ブロック上の滞留については、駅前広場の乗客数の多いバス停において、同様の指摘をいただいている。現在は、試行的にテープを路面に貼って、待機列を誘導できないか経過観察しているところであり、今後も注視していく。 ・アスピア明石までの道路については、歩道を拡幅することは容易ではないが、2階のデッキ部分について、アスピア明石まで延伸する事業を進めているところなので、その辺りの方向性を見極めながら検討していきたいと考えている。 委員 ・明石駅の駅前広場は、全体が自転車を降りて通行しなければならない区域となっているが、明確に表示されておらず、自転車が多く通行している。歩行者や視覚障害者と接触しそうになっており危ない。もう少し明確に自転車を降りて通行する区域だと認知させてほしい。 明石市 ・検討させていただく。 委員 ・聴覚障害者は音の情報が入ってこないので、銀座通りのアーケードに設置されている大型ビジョンを活用し、災害や防災関連の情報がすぐにわかるとありがたい。 明石市 ・当該ビジョンは商店街が設置しているものであり、市の中で担当部署は不明であるが、情報提供の可否については、今後、商店街への確認が必要と考える。 ・新庁舎においては、設置予定のデジタルサイネージを活用し、災害時情報などを提供する計画である。 会長 ・聴覚障害者は、健常者とは違うセンスがあるので、デジタルサイネージに表示する情報の大きさや色、表示内容などについては、当事者参画をして確認してもらう方が良い。 明石市 ・表示のコントラストやどういった情報が欲しいかなども含めて、意見を聞きながら検討を進めていきたい。 委員 ・明石観光協会では、様々な方に旅行や観光の情報を的確に伝えることを目指して、兵庫県が行っているユニバーサルツーリズムコンシェルジュの研修を全職員が受講するようにしている。 ・観光情報となると、圧倒的に中心市街地が多くなり、まちあるきでわかった道路や歩道の情報は、案内をするときに非常に役立つ情報だと考えている。様々な状況の方から問合せが来るので、職員間で情報を共有して案内に役立てたい。 委員 ・まず、公園の樹木について、高さ制限などはないのか。また、ある程度大きくなった場合は、市が剪定するような機会があるのか。 ・次に、落ち葉について、A班西側のグレーチングの写真でも写っているが、雨が降った時にグレーチングから落ち葉が流れて詰まってしまうことがある。このグレーチングの中の清掃はどのように行っているのかをお聞きしたい。 明石市 ・公園内の樹木に高さ制限は設けていないが、隣に民家がある場合、迷惑にならないような高さで抑えており、道路に面している場合は、道路側に張り出さないよう管理している。また、大きくなりすぎているとの連絡があれば、背を低くする対応も行っている。 明石市※協議会終了後に確認(追記) ・台風や大雨によりグレーチングに落ち葉がたまっている場合は、重点的に点検と清掃を行っている。一方で、日常の維持管理において、グレーチング内部の状況は目視での確認が難しく、課題となっているため、落ち葉がたまっている等の異状を発見した場合は、市に連絡していただけるとありがたい。 ◎議事3 情報共有・その他 〇事務局より、「明石インクルーシブビーチ in 大蔵海岸」の報告 会長 ・このような海水浴の事例は聞いたことがなかった。市とNPO法人、消防、市民病院などが連携、協力して実現している素晴らしい取組だが、今後もこの取組は継続していくのか。 明石市 ・現在は事業を他市のNPO法人に委託しているが、主体となって実施いただける市内団体やサポートスタッフを見つけて継続していきたいと考えている。クリアしなければならない課題はあるが、継続できるよう検討していきたい。 〇会長より、大阪・関西万博の日本館の取組の報告(以下概要) 会長 ・大阪・関西万博のバリアフリー・ユニバーサルデザインについて説明したい。 ・私が座長となって、会場全体のガイドラインを作成した。今回の万博では、これまでになかった取組を行ったと自負している。実際に取り組んでみて、様々な成果もあれば、問題点・課題もあったので簡単に説明させていただきたい。 ・1つ目は、設計段階から多数の障害者による当事者参画を行ったこと。完成してから意見を聞いたのでは取り返しがつかないので、出来るだけ早い時期から参画することが重要になる。万博は、計画段階の次の設計段階からの参画となった。 ・2つ目は、非常に多くのバリアフリートイレを作ったこと。トイレがたくさんあって助かるという声をいただいている。 ・3つ目は、LGBTQに対応させたということ。様々な議論があったが、対応するために男女共用トイレを多く設置した。 ・4つ目は、2つ目とも関連するが、トイレの機能分散を行ったこと。従来は1つの大きいバリアフリートイレを設置することが多かったが、万博では機能分散を行った。例えば、従来のトイレを少し拡張することで、通常の車いすの方であれば利用できるようにするなど、工夫を凝らしている。 ・5つ目は、カームダウン・クールダウンスペースを導入したこと。知的・精神・発達障害の方は、外から見えなかったり音を遮断したりできるカームダウン・クールダウンのスペースを利用することで気持ちを落ち着けることができる。世界的にカームダウン・クールダウンスペースを設置するようになってきており、会場のあちらこちらに囲いと椅子だけの簡易なスペースからしっかりとした部屋のタイプまで様々な形で設置している。 ・6つ目は、バリアフリーの情報提供に工夫を凝らして、かなり力をいれたこと。 ・7つ目は、視覚障害者の誘導又は情報提供の社会実験として「shikAI」と「ナビレンス」を導入したこと。 ・8つ目は、当事者参画の際に設計の模型を作成したこと。設計段階では多くの場合、口頭だけの説明になってしまうが、視覚障害者が触角を使って(触って)分かるようにするために作った。 ・代表的なものを挙げたが、この他にも工夫を凝らしている。現在も万博は進行中であり、様々な問題があって実現していないこともあるが、その中でチェックを行っている。なお、各パビリオンにおけるバリアフリー等は、日本館と大阪ヘルスケア館については当事者参画によるチェックまで行っている。一方で、その他のパビリオンは、ガイドラインに沿って作られているはずだが、当事者参画によるチェックまでは行えていないと思われる。 〇委員より、大阪・関西万博の大阪ヘルスケア館の取組の報告(以下概要) 委員 ・大阪ヘルスケア館のユニバーサルデザインのワークショップについて説明させていただく。 ・まず、「ユニバーサルデザイン推進チーム」を作り検討したことがポイントとなっている。車いす、視覚、聴覚、精神、知的、発達などの障害のある方やLGBTQの方など、様々な困りごとを経験している当事者27名に加えて、設計会社、メーカー、アテンダントスタッフ、事務局などが1つのチームになって取り組んだことが一番大きな特徴となっている。 ・その中でも特に大切にしたことは、多様な人の困りごとをお互いに聞いて知った上で、どのようにして解決、解消していくかを当事者と一緒になって考えてもらうプロセスを経たところ。設計者が考えたものに対して個々の属性によるニーズを出すのではなく、複数の障害者同士がお互いのニーズを理解しながら、方針や妥協点を決定していった部分が、これまでにない当事者参画のプロセスとして大事なポイントだと思っている。 3.副会長総括 ・今日は、具体的に場所を挙げて問題点や改善すべき点について意見が出たということが特徴的だったと思う。バリアフリーやユニバーサルデザインの基本は当事者参画だと言われているが、その意義を感じ取れた意見交換だった。 ・ユニバーサルデザインのまちづくりは、ハードの改善が重要ではあるが、そのことをベースに、様々な活動や出会いが広がることもユニバーサルデザインまちづくりの1つなのかなと聞いていて思った。 ・特に、マスタープランの検討の際に、ユニバーサルツーリズムの推進ということを書き込んでもらったが、それがあかし案内所の取組に繋がっていることを聞いて嬉しく思った。 ・また、明石インクルーシブビーチについて、動画を交えた報告があったが、子どもの解放感にあふれた笑顔がたくさんあった。今後さらに自立して独自でやっていければという話もあったので、インクルーシブビーチを継続してもらいたいと思うし、ユニバーサルデザインのまちづくりが人の養成まで繋がっていくのだなと思った。 ・最後に、万博では、しっかり当事者参画ができたところと、当事者参画はなくガイドラインだけを参考に作っているところがあり、できているところとできていないところがある。ぜひ機会があれば会場に行って、自分の身体でチェックしてもらいたい。また、トイレのあり方や「shikAI」、「ナビレンス」など社会実験的な要素もあり、万博で確かめたことを明石市役所の新庁舎に導入することも十分可能だと思う。様々な発展の可能性があると思うので、万博に行って確かめてほしい。 ・今回も当事者が中心となり、多くの取組が広がっていることを実感できる協議会だった。 4.閉会 以上