2024年度第2回明石市ユニバーサルデザインのまちづくり協議会 議事概要 日時:2025年(令和7年)2月6日(木)13:00〜15:00 場所:明石市役所議会棟2階大会議室 1.開会 会長) 会長として申し上げたいのは、UDのまちづくりについては最後まで諦めないということ。徹底的に議論したうえで、できないならばできない理由を明確にし、さらに明確に示されたとしても仕方ないで済まさずに、長期的にどうしていくかを事業者、市及び当事者で考えることが大事。 特にニーズに関して、どんどん出していただくことで、今回実現が難しくても、長期課題として持ち越され、次回の改定での課題となってくるので、どんどん発言していただきたい。 2.議事 ◎議事(1)山陽電鉄藤江駅周辺地区の基本構想(案)について 〇事務局より、山陽電鉄藤江駅周辺地区の基本構想(案)について説明 会長) 奈良県で視覚障害者の踏切での死亡事故があったこともあり、構内踏切を廃止するとのことは良いが、廃止までまだ時間がある。廃止までの間の対策についてはどうなっているのか。 委員) 藤江駅の構内踏切については、今年に入ってからも無謀横断が頻発している状況。構内踏切には、カメラで監視し人を検知することができるAI踏切といったものを設置している。直前で飛び込まれる場合などどうしようもない部分もあるが、可能な限り事故を防いでいきたいと考えている。踏切の安全対策はできる範囲で行っているが、ほかに工夫できることなどがあれば行っていきたい。 会長) 視覚障害者の方からは付き添いなしに1人で出歩きたいという声も聞くので、視覚障害者の方が1人であっても、事故が起こりにくい環境を整えていただけるようお願いしたい。 副会長) 資料の「特定事業者との調整について」の部分で、車いすの立場から券売機の足元のクリアランスのことやインターホンの高さによっては利用しにくいと指摘した。 最近では、大阪でも時間帯によっては無人となる駅が増えてきており、券売機や精算機、インターホンを障害者でも1人で使えるようにすることがより一層重要になっている。特に駅員に連絡を取るためのインターホンは、障害者の最後の頼みの綱となっている。 これまでは、エレベーターや車いすトイレなどが重視されてきたが、インターホンなどは各社任せになっているところがあり、使いにくいままになっていることも多い。聴覚障害のためのモニター付きのインターホンや、視覚障害のためのインターホンがあることの音声案内なども必要だと考えている。 明石ではユニバーサルモニターやインクルーシブアドバイザー制度があるので、当事者の意見を聞きながら、取組を進めていってもらいたい。 委員) 改札や精算機、インターホンなどの機器はすべての人が使える状態であるべきだと考えているが、どうあればいいかがわからないこともあるので、意見を取り入れながら取組を進めていきたい。 藤江駅のインターホンについては、クリアランスの確保などを予定しており、現状より使いやすく改善される予定。 インターホンの仕様などは、他の駅とのシステムの構成などにおいて限界もあるが、出来る限り対応していきたい。 副会長) 藤江駅だけ特別仕様とするわけではなく、藤江駅の改善の中で様々な意見を聞いて、山陽電鉄として券売機やインターホンのバリアフリー・ユニバーサルデザインの仕様のモデルを作ってもらえたらと思う。 他の駅と仕様が違うからできないではなく、むしろこの駅でできたから他の駅でもやろうというような姿勢で、取り組んでいただきたい。 会長) 万博では、エレベーターについて、価格や技術的に難しいと思われていたことが、エレベーター業界と直接話し合う場を作ることで、解決した問題もあった。 仕様などの問題については、製品の業界と踏み込んで話し合うなどで解決できることもあるので、鉄道事業者だけではなくメーカーや国土交通省などとも連携して解決してもらいたい。 副会長) 鉄道事業者は券売機やインターホンなどをメーカーから購入していると思うが、製造メーカーに障害当事者のニーズを直接伝える機会がないために、使いにくいまま新しい製品ができて課題が残ってしまっている。すぐにできるかできないかは別にして、現状や課題について、購入する立場として製造メーカーに伝えてもらうことが、今後の大きな発展のカギになっていくと思うので、ぜひ伝えていってもらいたい。 会長) 次に、県道について、事業者から発言をお願いしたい。 委員) 横断歩道部分の誘導ブロックの設置や側溝の蓋などの改修については、補修の時期を見ながら、維持管理も含めて順次対応する予定。 また、巻き込み部や乗り入れ部などの段差解消は、大きな改修・改良事業になる。藤江地区は、既にひょうごインフラ整備プログラムに位置づけられているので、他の地区が終われば、明石市と協議のうえ、課題が多いところから着手していきたいと考えている。 会長) 段差解消については、大掛かりなものだと、車道全体を持ち上げたり、逆に下げたりする例がある。また、段差の原因は排水問題によるもののため、透水性舗装を用いることで段差の軽減を図ることもできる。 現場を何度か見て根本的な解決は非常に難しいことは認識しているが、とにかく諦めずに方法がないか検討してほしい。 委員) 例えば、最近は券売機や飲食店での注文などでタッチパネルが導入されているが、視覚障害者は全く利用できないものになってしまっている。また、駅もどんどん無人化されていく傾向にある。 ぜひ、全国的に1つの基準を作って、どんな障害にもマルチに対応できるユニバーサル券売機のようなものを作ってもらえたらと思う。 委員) 私も同じように感じている。スイッチを押すなどしないと音声案内が流れないのではなく、機械の前に立つと表示と音声がすぐに出てくるような機械があればいいなと思う。 もう1点、藤江駅の南側のロータリーに介護車両が止められるスペースが欲しいという意見に、バス以外の車両の停車場所が確保できないとされているが、藤江駅北側の入口に一時的に止められるようなスペースを確保できないのか。 明石市) 藤江駅の南側のロータリー部分は面積が小さいので、現在の空間を再配置してすべての車両を止められるようにすることは、現実的に難しい。 今後、すべての車両を止められるようにすることを考える場合は、用地の確保が必要となるので、長期的な課題にせざるをえないというのが実情となっている。 委員) 現在、藤江地区の基本構想を検討している中での優先順位について、まずは命の危険があるようなものを第1にしてもらいたい。踏切の歩行者用の道幅が狭いという問題や県道の歩道がなくなっている部分があるといった意見があったが、車いすや身体に障害のある方、高齢者などは非常に危険なので、費用はかかるとは思うが第1にやっていただきたい。 明石市) 踏切に関しては、来年度から歩道部分の拡幅を進めていく事業に着手する予定で、藤江駅の改修工事が終わるまでには整備を完了できるように取り組んでいきたいと考えている。 委員) 藤江駅は通勤ラッシュ時に混雑しており、駅舎の改修が終われば構内踏切が廃止され、南北を行き交う人で踏切が混雑する不安があるので、迷惑にならないよう考えてほしい。 バスロータリーについて、広げるなどして介護車両の駐車スペースを1つでも作れないのかと気になった。 明石市) 踏切の歩道部分については、歩行者の数に対して十分な幅を確保できるよう進めていきたい。 ロータリーについて、現在の面積にバスが転回できるスペース、バス停、歩行者の歩道部分を確保しようとすると、一般車両が入るスペースの確保は難しいと考えており、短期的な整備は難しいとさせていただいた。 整備の状況については、今後もできる限り公表しつつ進めていきたいと考えているので、注視いただければと思う。 会長) 周辺で乗り降りするスペースはないのか。 明石市) 基本的には道路になると思う。 南側は、県道718号線と線路が近接しているため、土地を購入するなど以外の方法で確保する場所は難しいと考えている。 北側の道路部分については、仮に駐車スペースを作るとなると道路使用になるため警察との協議が必要となる。また、駐車スペースを作ると歩行空間が減るなど不便になることもあるので、協議しながら検討していきたい。 委員) 藤江駅のバスの本数は減っていて1時間に1〜2本だと思うが、そのためだけにバスの転回スペースとして使えないというのは納得いかない。 車いすの方などが乗り降りする場合は、条件を付けて短時間で乗り降りできるようなことはできないのか。 明石市) 公共交通機関としてバスの安全な運行を考えた場合に、一般車両との混在はできるだけ排除するように整備している。 委員) 現在、藤江駅のロータリーは神姫バスとたこバスが利用しているが、実際のところ介護車両の駐車スペースとして隙間の時間を使って運用することはできる。しかし、最初は運用規則を守られるが、そのうち守られなくなってしまうと大変危険なことになるので、慎重に進めていくべきだと思うし、運用するならばバスの走っている時間などを全て精査したうえで行う必要があるので、非常に難しいと思う。 委員) 警察の立場からすると、事故や犯罪防止を考えてしまうので、バスと一般車両で混雑すると事故の可能性が高まってしまう。いろいろな意見を聞きながら進めていくのが良いと思う。 また、時間を区切って利用することも、守ってくれる方ばかりではないので、一本化にした方が良いと思う。 ◎議事(2)情報共有及び意見交換 〇事務局より、以下について説明 ・次年度の予定の説明 ・策定済みの基本構想の進捗状況について ・電動車いす(WHILL)利用者によるバス乗車体験会について ・「合理的配慮の提供を支援する助成金」について 委員) 最近、道路上にある雨水が流れる部分に白杖や高齢者のつま先が引っかかるというのをよく聞くので、改善してもらいたい。 明石市) 最近はできるだけ段差がないような縁石などを使用しているが、どうしても段差があるような部分が出てきてしまう。今後も既存の部分などを放置することなく、少しずつにはなると思うが最新の形で改善していきたい。 委員) 魚住の道路で問題があったところをすぐに綺麗に変えていただけたことはよかった。 券売機について、やっぱり聴覚障害者にとっては使いづらい部分がある。最新の機械に慣れていないことや、わからないときにインターホンを使ってコミュニケーションがとりにくいこと、自分の声で話せる人と話せない人がいることなど、使いづらさにも個別性がある。 今後の機械の開発では、無人化されたときにインターホンがあってもインターホンでコミュニケーションを取れない人もいることなども考えて、いろいろな要望があることを考慮していただきたい。 会長) 今は鉄道の駅の機器のことであったが、それだけではなく、新庁舎などの市のありとあらゆるものについて、聴覚情報や視覚情報など、情報提供が漏れることがないようにしていくことが大事なので、忘れないようにお願いしたい。 普段は何も考えず道などを歩いており、気づくことは少ないが、様々な視点があることを考えて勉強しながらまちづくりについて考えていきたいと思う。 委員) 問題提起として、銀座商店街の建築工事に伴って、歩道の3分の2ぐらいを占有して非常に歩きにくく危険になっている。市役所の方には、毎日通っている方もいるので、そういったことに気付いてほしい。 委員) これまでの意見を聞いて、藤江駅の基本構想について、駅前ロータリーの件を意見交換できたことは有意義だとは思うが、バスのスペースしか取れないと口頭で説明するだけではなく、図面や現状について丁寧に情報提供することが建設的な対話には必要不可欠だと思っているので、事務局などと連携を図ってもらって、今後は気をつけていただきたい。 来年度以降の明石市役所の建替えに伴い基本構想に着手するということで、既に経路のチェックなどもしているようだが、バリアフリー法に基づく基本構想なので、積極的に重点整備地区内の生活関連施設についてもバリアフリーチェックをしていただきたい。特定事業とすることは難しいとは思うが、みんなで課題を共有しておくプロセスが大事だと考えている。まちあるきがあれば、建築物もチェックの対象としていただきたい。 また、明石市役所の建替え工事については、事前に当事者の方の意見を伺っているかとは思うが、再度みんなで確認しておく必要があるのではないかと思う。 進捗状況の報告等について、民間施設がエレベーターのサインを再整備したり新たに追記いただいたことはとても素晴らしい事例で、このような事例を協議会の場で共有することはとても有意義だと感じている。 また、たこバスの大型電動車いすのWHILLの乗車体験について、神姫バスさんのノウハウを他の事業者の方に伝えていただきながら、当事者の方も参加する研修をされていることは大変素晴らしいことで、他の自治体にもぜひ見習っていただきたいなと感じた。 3.副会長総括 副会長) 今回議事に上がった藤江地区は、地元の住民要望という形で設定されたいかにも明石市らしい地区だと感じている。今日の意見交換の中では、藤江駅が無人駅ということもあり、券売機やインターホンの使いやすさなどが議論に挙げられていた。この問題は無人駅に共通することなので、いろいろな当事者の声を聞いて解決方法を一緒に探っていくような、明石市らしい検討を進めていただきたい。 加えて、藤江地区では道路の特定事業も大きなテーマになっている。私も実際にまちあるきに参加して、電動車いすが車道側に流されそうになったのを覚えている。晴れている時でも危なかったので、雨であれば命がけになると思った。横断幅員や勾配など、一部改修というレベルを超えて改善していかなければならいので、ひょうごインフラ整備プログラムに入っていることは大きな前進だと感じている。大きな工事なので時間がかかるのはわかるが、安全な歩行や命に関わるテーマなので、プログラムの中でも優先順位を高めていただければと思っている。 後半では、WHILLの利用者バス乗車体験会の紹介があったが、バスの運転手は車いすらしくない近未来のデザインに戸惑われたのかなと推察した。WHILLは単体だと50kgだが、一般的な電動車いすは80kg〜100kgぐらいある。それに人が乗ると150kgぐらいにはなるが、普段からバスに乗れている。WHILLの方が軽いのが事実である。また、可搬式のスロープもメーカーによって違うが、耐荷重が250kg〜300kgのものが多いので問題ない。当事者と事業者が一緒になって取り組むことで理解が進むし、実際に体験して資料にしていくことの大切さを感じている。 また、進捗状況の報告で、溝蓋や段差解消が報告されていたが、段差解消についてうまく一部をかさ上げして段差を修繕したとすることが多い中で、今回はきちんと兵庫方式(歩車道境界ブロック)で改修されていることを嬉しく思った。 最後に、基本構想は作って終わりではなく、継続改善が命なので、今回は藤江地区の基本構想が策定されるが、実際にやってみて課題が出てきたら改善していき、一緒に前進していければと思う。 4.閉会 以上