みんなの財政白書あかし2024 マンガとコラムでよくわかるお財布事情 明石市 1 明石市の財政のはなし 子どもたちにも分かりやすく市のお金の流れについて紹介するマンガ。 お金の使いみちをどうやって決めているのか、市議会の役割や対話を通じたまちづくりを描いています。 2 明石市の財政状況を見てみよう@ 子育て支援の充実などには、多くのお金が必要となりますが、市はこれまでどのようにやりくりしてきたのか、財政状況を見ていきましょう。 お母さんセリフ=広報紙で予算や決算の記事は見かけますが・・明石市の財政状況ってどうなんですか? 市職員セリフ=現在の財政状況は良好です。その理由を説明していきますね。 @決算(黒字と赤字の状況) 令和5年度は黒字になりました。 ◆決算の状況 市職員セリフ=会社とは違って常に黒字がいいわけではないんです。時には市民サービス向上のために貯金を使うことも重要となります。 平成26年度から令和5年度までの収支(黒字と赤字)の状況のグラフ 令和4年度は7.2億円の赤字、令和5年度は0.3億円の黒字 ◆貯金(基金)の見込みと現状 市職員セリフ=平成26年度当時の今後の見込みでは、貯金残高はマイナスとなっていました。この10年間は、市民サービスの向上とともに財政健全化(収入の確保や支出の見直し)に取り組んできました。 平成26年度から令和5年度までの実際の貯金と、財政健全化の取り組み前の貯金の見込みのグラフ 令和5年度の実際の貯金は119億円、財政健全化の取り組み前の貯金の見込みはマイナス36億円 財政健全化に取り組んできたことが、子育て支援などに使えるお金を確保できた一つの要因です。 ・職員の給与の見直し 64億円 ・電力・ガス料金の削減 8億円 ・施設照明のLED化による電気代の削減 2.5億円/年 ・土地の売却や貸付 67億円 2 明石市の財政状況を見てみようA 市にはどれくらいの貯金と借金があるのかを確認します。 市の貯金を「基金」、市の借金を「市債」といいます。 A貯金と借金の状況 貯金は増加し、借金は減少しています。 ◆貯金(3つの基金)の状況 平成26年度から令和5年度までの推移のグラフ 令和5年度は119億円の貯金 市職員セリフ=これらの貯金は、財政健全化の取り組み(平成26年度〜令和5年度)として、令和5年度に70億円を確保するという目標がありました。次の目標は、令和15年度に100億円を確保することです。 ◆借金の状況 平成26年度から令和5年度までの推移のグラフ 借金は減少傾向 お父さんセリフ=なぜ市は借金をするんですか? 市職員セリフ=施設の整備費の全てを税金で払うと、他の市民サービスのお金が不足するからです。また、何年も利用する施設なので、建設後に利用する市民の皆さんにも公平に負担してもらうためです。 ◆市民一人あたりの貯金と借金(他市との比較) 県内29市の比較のグラフ ・明石市貯金5.1万円、借金36.4万円 ・県平均貯金20.0万円、借金49.0万円 2 明石市の財政状況を見てみようB 市の収入と借金のバランスは、財政状況を知る上で重要です。 2つの指標をもとに、市の財政状況を確認します。 B借金の現在と今後の負担状況 県内29市平均を下回り良好な状況が続いています。 ◆実質公債費比率(令和5年度4.3%) 1年間の収入に対して、何%が借金の返済に使われたかを表す比率です。 平成26年度から令和5年度までの推移のグラフ 令和5年度の県内29市平均は8.1% ◆将来負担比率(令和5年度21.5%) 1年間の収入に対して、借金の実質的な負担の割合を表す比率です。 平成26年度から令和5年度までの推移のグラフ 令和5年度の県内29市平均は24.7% お母さんセリフ=どちらの数値も、現時点では問題なさそうですね。今後はどうなんですか。 市職員セリフ=今後は、古くなった施設等の改修経費が多くなり、市の財政への影響が大きくなります。では、市の施設がどれくらい古くなっているか見てみましょう。 ◆資産老朽化比率と将来負担比率(令和4年度) 近隣市との比較のグラフ ◆学校施設等の資産老朽化比率(令和5年度) 保育所62.8% 幼稚園69.2% 小学校59.9% 中学校60.4% 明石養護学校72.5% 明石商業高等学校57.4% 小学校区コミセン73.2% 中学校区コミセン72.7% 市の平均59.6% こどもたちセリフ=学校や幼稚園は古いんだね。 3 市の決算を見てみよう(お財布の中身) 市には、目的に応じて「会計(お財布)」が大きく3種類あります。 お兄ちゃんセリフ=なぜ、明石市の「お財布」を3種類に分ける必要があるんですか。 市職員セリフ=使いみちをはっきりさせるため、目的に応じて「お財布」を分けています。これからの説明は、一般会計を中心に行います。 令和5年度決算(歳出) 2,101億円 一般会計1,285億円(61%)、特別会計609億円(29%)、企業会計208億円(10%) ・一般会計 基本的な行政サービス(教育・福祉・子育て・防災・ごみ処理・消防・道路の整備など)を行う市の一番大きな会計です。市民の皆さんに納めていただいている税金などで賄っています。 ・特別会計 保険料など特定の収入を特定の使いみちにあてるため、一般会計とは分けています。特別会計には、病院にかかるときに必要な国民健康保険、介護サービスを受けるときに必要な介護保険などがあります。 ・企業会計 水道や下水道は、民間企業と同じように、水道料金や下水道使用料など自らの収入で運営されています。 3 市の決算を見てみよう(歳入@) 市の歳入にはどのような種類があり、どれくらいの金額なのかを見てみます。 ◆歳入(1年間の収入) 令和5年度歳入決算額1,295億円の内訳を表している。 歳入は過去10年間で約300億円増加しています。 お兄ちゃんセリフ=市の歳入には税金だけじゃなくていろいろな種類があるんですね。 市職員セリフ=市税のように市が集めるお金だけでなく、国や県からのお金も使いながら財政運営をしているんですよ。実は歳入の半分以上が国や県からのお金です。 平成26年度から令和5年度までの歳入の推移のグラフ 3 市の決算を見てみよう(歳入A)市税 歳入の中で最も大きな割合を占めるのは「市税」です。市税の内訳や過去からの推移を見てみましょう。 令和5年度決算額464億円の内訳を表している。 市税は過去10年間で約58億円増加しています。 お父さんセリフ=市税収入は増加し続けているんですね。 市職員セリフ=令和5年度の市税収入は過去最高となりました。市税収入は、安定的な財政運営を行っていく上で重要な収入となっています。 平成26年度から令和5年度までの市税の推移のグラフ 市職員セリフ=市税は、使いみちが特定されていないお金(一般財源)です。市民ニーズに対応するために必要なお金となります。 コラム1 人口と税収の関係 人口が増えると、市の税収は増えるの? 正解ですが、それだけではありません。 人口の増加率、個人市民税、固定資産税を近隣市と比較したグラフ 人口が増加しているのは明石市だけだが、個人市民税、固定資産税はすべての市で増加している。 市職員セリフ=人口が減少している市でも、個人市民税・固定資産税は増加しています。 ポイント1 人口以外の要因も ・給与の増加 ・定年年齢の引き上げ ・働く女性の増加 ・土地の価値の上昇など ポイント2 人口増による税収増も ・事業所税 人口30万人以上で課税(令和5年度17億円) ・地方交付税 人口1人につき約10万円の増加(概算) コラム2 ふるさと納税 ふるさと納税は、市の財政にどのように影響しているの? 明石市民が他の自治体に寄附をすると、税収は減少します。そのため、市が受ける寄附金を増やすことで、収支がプラスになるように取り組んでいます。 ◆明石市への寄附額(歳入の増加額)の推移のグラフ 明石市への寄附額は年々増加しています。 ◆他の自治体への寄附額(歳入の減少額)の推移のグラフ 明石市民の他の自治体への寄附額は年々増加しています。 ◆これまでの収支の推移のグラフ 令和元年度からは実質的な収支が黒字になりました。令和5年度決算は約5,000万円のプラスとなっています。 お母さんセリフ=明石市民が他の自治体にふるさと納税をすると税収が減ってしまうんですね・・。市への寄附額が増えるような取り組みは何かされているんですか。 市職員セリフ=返礼品の充実 1種類(平成29年度)やじるし542種類(令和5年度)で、赤字から黒字へ 寄附額は少しずつ増加し、実質的な収支はプラスとなっています。寄附金は、「子育て」や「やさしいまちづくり」などに活用し、さらに住みやすく、選ばれるまちになるよう取り組みを進めています。 3 市の決算を見てみよう(歳出@) 市の歳出にはどのような種類があり、どれくらいの金額なのかを見てみます。 ◆歳出(1年間の支出) 令和5年度決算額1,285億円の内訳を表している。 歳出は過去10年間で約300億円増加しています。特に民生費は、約250億円増加しています。 家族セリフ=民生費って何ですか。 市職員セリフ=民生費は、保育所運営などの子育て支援や、障害者への支援、生活保護、高齢者の支援などです。 平成26年度から令和5年度までの歳出の推移のグラフ 3 市の決算を見てみよう(歳出A)民生費 市の歳出の半分以上を占める「民生費」。子育て支援の経費も含まれ、財政にも大きな影響があります。 ◆民生費の内訳 平成26年度から令和5年度までの民生費の内訳を表したグラフ こどもたちセリフ=私たち子どものために使われているお金について教えてください。 市職員セリフ=自分の身近なところから知ることは大切ですね。民生費の中に「児童福祉費」という経費があります。児童福祉費について見ていきましょう。 ◆児童福祉費の内訳 主に子育て支援のためのお金で平成25年度と比べて2倍以上増加しています。 市職員セリフ=安心して子育てができるようにサービスを拡充してきたことが、児童福祉費の増加した要因です。 令和5年度決算額267億円の内訳のグラフ 市職員セリフ=歳出のうち児童福祉費の割合は他市より高い水準ですが、最近はどの自治体も増加しています。 コラム3 土木費 子育て支援にお金を回すために土木費を削減したって本当? ◆土木費の推移 平成25年度181億円やじるし令和5年度82億円(マイナス99億円) 平成24年度から令和5年度までの土木費の推移のグラフ 市職員セリフ=@下水道事業が企業会計へ移行(土木費から諸支出金へ) 約30億円の支払い科目の変更がありました。 A明石駅前再開発などの事業が完了 平成28年度138億円のうち明石駅前再開発73億円 市職員セリフ=下水道事業への負担を諸支出金に科目変更したことによる減少で、市の負担が減ったわけではありません。 ◆土木費の構成割合 歳出のうち土木費が占める割合を近隣市と比較したグラフ 明石市の土木費は、他市と同じ水準であることが分かります。 市職員セリフ=近年、道路の陥没事故などインフラの老朽化に対する安全対策が重要性を増しています。明石市では、インフラの安全性を確保するため、定期的な点検やこまめな補修、計画的な更新を行っています。 コラム4 予算の使いみち 市民一人あたりの予算はどのように使われたの? 市民一人あたりの歳出額418,946円(中核市62市中50位) 市民一人あたりの歳出額の内訳(目的別)を表した図 コラム5 お金の使いみち@ 私たちの税金は、どのようなサービスに使われているの? 税金の使いみちを表した図 ゴミ処理、高齢者への支援、こども医療費など コラム6 お金の使いみちA 一般会計から介護保険(特別会計)にいくら負担しているの? 令和5年度で39億円負担しています。 ◆介護保険制度 介護保険は、介護が必要な方や介護する家族の負担を社会全体で支えることを目的につくられた制度です。 介護保険料の負担割合を表したグラフ 一般会計の負担額は増加している。 平成12年度11億円、平成20年度20億円、平成30年度32億円、令和5年度39億円 ◆65歳以上の要介護認定 要介護・要支援認定者数は、令和5年度は平成12年度の4.5倍に増加 要介護。要支援認定者数の推移のグラフ ◆介護保険料(3年ごとに改定) 介護保険料が増加する要因 要介護認定等による利用者の増加に伴い、介護保険事業費が年々増加しているからです。 年々増え続ける介護保険事業費 平成12年度57億円、平成20年度122億円、平成30年度208億円、令和5年度245億円 介護保険料は、全国平均とほぼ同じです。 明石市の介護保険料6,200円、全国平均6,225円 お父さんセリフ=保険料は少しずつ上がっていますね。 介護予防のための取り組み ・栄養改善、口腔機能改善などの介護予防教室 ・体操など介護予防活動を行う「自主グループ活動」 ・高齢者等の通いの場づくりの支援など コラム7 家計簿 家計簿に例えてみると 一般会計の決算を月収40万円の家庭の家計簿に置き換えて説明します。 ◆明石市の決算を家計簿に例えると 歳入、歳出を家計簿に置き換えた図 食費、学費・医療費、ローン返済が毎月の支出の6割を占めています。 銀行からの新たな借入2万6千円に対して、ローン返済が3万6千円と、借金の返済は進んでいます。 資産は多くはありませんが、借金も多くはなく、堅実な家計管理となっています。 夫婦セリフ=家計簿になるとすごく分かりやすいですね。 市職員セリフ=市の財政を市民の皆さんに分かりやすくお伝えできるようにこれからも取り組んでいきますね。 4 今後の明石市の財政はどうなるの?@ これまで、市の財政状況を見てきましたが、次は、財政運営を進めていく上での今後の課題について確認していきます。 お母さんセリフ=将来も市の財政状況は大丈夫なのか気になります。今後の課題はあるんですか。 市職員セリフ=老朽化した公共施設等の整備費や、福祉や医療にかかる経費の増加など、財政状況に大きな影響があります。 @今後の課題 ◆公共施設等の老朽化 多くの公共施設が、建築後40年経過しており、老朽化が進行しています。 施設の建築年別割合のグラフ すべての公共施設等をこれまでと同じように維持することは財政状況から難しい状況です。 年間で財源が約23億円不足する見込み 施設の老朽化度合いや利用状況などを把握し、今後の方針(更新・統廃合など)を定めた公共施設の計画を、市民の意見を聴きながら令和7年度に改定します。 ◆福祉や医療などにかかる経費 今後も、少子高齢化の影響により、市の負担は増加する見込みです。 平成25年度から令和5年度までの経費の推移のグラフ 10年前と比べて福祉や医療の経費が増えています。 4 今後の明石市の財政はどうなるの?A 将来も健全な財政運営を行うため、今後の財政見込みや貯金(基金)残高について、推移を見ていきましょう。 A今後の財政見込み 令和6年度見込みから令和15年度までの収支を表した表 令和11年度から収支差引額がマイナスに転じる お母さんセリフ=収支差引額が、令和11年度以降マイナスとなっている原因は何ですか? 市職員セリフ=マイナスの原因は市役所新庁舎やごみ処理施設の整備に伴う借金の返済が多くなるためです。収支を改善する取り組みもあわせて行い、令和15年度の貯金100億円の確保を目指します。 新庁舎とごみ処理施設の借金の返済額について 市民生活や生活環境を支える両施設は、老朽化が激しく、保全費用の増大などで建替えが必要となり、市民や市議会等の意見を聞きながら、取り組みを進めています。 ・新庁舎 費用202億円 うち借金182億円 借金返済額 年最大10億円 ・新ごみ 費用529億円 うち借金320億円 借金返済額 年最大18億円 費用は予算の上限額 ◆今後の貯金(基金)の見込み 令和6年度見込みから令和15年度までの貯金の見込みを表したグラフ 令和15年度の貯金残高は85億円 収支を改善するために 歳入を増やすために ・市税収入の確保(収納率の向上等) ・人口の維持増加による地方交付税の確保 ・ネーミングライツ(命名権)の導入など広告料収入の確保 ・ふるさと納税の獲得強化 ・未活用の土地の売却、土地貸付 歳出を減らすために ・業務の効率化等による人件費の削減 ・公共施設の配置適正化 ・目的を達成した事業の見直しなど 4 今後の明石市の財政はどうなるの?B 市民の皆さんが安心して住み続けたいと思うまちであるためには、市の財政も持続可能であることが必要です。そのため、財政運営上の目標と取り組みを定めています。 B10年後の目標と取り組み 目標(1) 財政基金を70億円以上維持すること 地震などの災害時に必要とされる財源の確保のため 目標(2) 3基金残高の合計100億円を維持すること 災害のほか、新たな取り組みなどに必要となる財源の確保のため 取組(1) 未来志向の対話と共創 ・民間企業などとの連携により市の課題の解決を目指す ・「選ばれるまち」に向け、未来に向けた投資 ・職員の挑戦を後押しできる体制づくり 取組(2) 歳入の確保 ・市税収入等の確保 ・未活用地の売却や財産の貸付 ・広告料収入やふるさと納税など財源の確保 取組(3) 持続可能な財政構造の確立 ・公共施設の配置適正化による将来的な負担の縮小 ・貯金(基金)の積み増しなど、今後の財政運営への備え ・デジタル技術の活用、選択と集中、スクラップ・アンド・ビルドの徹底 検証 ・今後の収支見込みを毎年度公表 ・財政状況の検証 ・取り組みや目標の見直し 市職員セリフ=明石市の財政状況の説明は理解できましたか。これからも、市の財政に関心を持ってくださいね。 こどもたちセリフ=今日は、市の財政についてたくさん教えてくれてありがとうございます!私たちも市の財政のためにできることから取り組んでいきたいと思います。 今後の持続可能な財政運営に向けた取り組みを進めていきます。毎年度、公表します財政状況をご覧ください。 コラム8 明石の財政のために 私たちにも何かできることってあるのかな? タウンミーティングや検討会などを通じて、市民の皆さんから実際にいただいたご意見をまとめています。 ・市議会を傍聴する ・ごみ減量、ごみ分別 ・明石の良いところをSNSにアップする ・タウンミーティングや市民参加型のイベント、アンケートに積極的に参加して情報を得る ・地域活性化のために明石市内のお店やサービスを利用する ・地域コミュニティや高年クラブの活性化 ・学校や地域への出前講座に参加する ・地産地消、明石の野菜や魚を食べる ・地元でおいしい飲食店を見つけたらみんなに共有する ・地域の清掃活動やボランティアに参加する ・学校のものや図書館の本、公園の遊具などを大切に使う ・市の財政に興味を持って調べる みんなの財政白書あかし2024は、賛同いただいた企業様からの企業版ふるさと納税を活用して制作されています。 広告 日本管財株式会社 株式会社サカイ引越センター 富士建設工業株式会社 みんなの財政白書あかし2024 発行 明石市総務局財務室財務担当 〒673-8686 明石市中崎1丁目5−1 電話:078-918-5011 FAX:078-918-5125 E-mail:zaisei@city.akashi.lg.jp