資料2-2 なるほど!ザ・配慮通信 vol.53  発行:2025年(令和7年)8月インクルーシブ推進課 内線:2605 あかしインクルーシブアドバイザー制度活用例~防災訓練~ 「あかしインクルーシブアドバイザー制度」とは、建物の改修や市民が参加するイベントの運営などを実施する際に、計画段階からアドバイザーとして障害当事者や有識者に意見を出していただき、より効果的なバリアフリー化を進めるための制度です。  今回は、地域の防災訓練に、障害当事者と有識者に参加していただき、次回以降の訓練や有事の際により良い対応ができるように意見交換を行った事例を紹介します。 災害時のトイレ設置訓練・使用体験 7月27日に、人丸西部連合町内会が主催する「災害用簡易トイレとトイレテントの設置訓練」が忠度公園で行われました。  アドバイザーとして障害当事者と有識者が参加し、簡易トイレの使い心地や設置に関する課題、改善案などを話し合いました。 感想】 ・便座が低く、手すりもないため、立ち上がるのが大変。(視覚障害・下肢不自由) ・テント内の構造やトイレの位置が分からないので、座るときは後ろから支えてもらい、立つときは前から引き上げてほしい。(視覚障害) ・テントのファスナーを閉めると外の状況が分からず、不安になる。(聴覚障害) (写真 簡易トイレのテント、テントに入ろうとしている人) 【課題】 ・入口の足元に10cmの仕切りがあり、引っかかる。(視覚障害・下肢不自由) ・簡易トイレの使い方は、手話や口頭説明では分かりにくい。(聴覚障害) ・車いすユーザーや子ども(ベビーカー)と保護者が一緒に入れる大きさ(2m×2m程度)のテントも必要。(有識者) (写真 意見交換会の様子) 【改善提案】 ・ブロックやパレットを使ってトイレ部分を底上げし、40cmほどの高さにすると、身障者用トイレと同じ高さになる。(有識者) ・使用手順を文字やイラストで表し、テント内に貼っておくと分かりやすい。(聴覚障害) ・テントには鍵がないので、安心して使えるよう、防犯ブザーやホイッスルを設置するとよい。(有識者) 体験後の意見交換では、障害当事者ならではの視点による感想や課題が多く出ました。改善提案も建設的で、町内会の方々からは「今回の訓練結果や意見を次回以降に活かしていきたい」との声がありました。 2ページ目 コラム ~心のバリアフリーについて~ 「バリアフリー」の「バリア」とは、「社会の中にある障壁」のことです。  段差などの物理的なバリアだけでなく、人の心の中にも偏見などのバリアがあり、そのような心のバリアをなくすことを、「心のバリアフリー」といいます。 「心のバリアフリー」は、優しさや思いやりとは違います。 障害のある人の困りごとを理解することや、障害のある人が障害のない人と同じように設備やサービスを利用できるよう行動することが、心のバリアフリーにつながります。 (画像 国土交通省のポスター 広いスペースのバリアフリートイレを必要としている方が困っています。必要のない方は一般トイレをご利用ください。) (画像 国土交通省のポスター エレベーターを必要としている方にゆずりましょう。~優先利用にご協力ください~)    【ケーススタディ】 こんなときどうしますか? ①車いすユーザーが店の段差の前で困っている。 ・「お手伝いしましょうか?」と声を掛け、頼まれたら、段差を上がれるように支援する。 ・自分では介助できないと判断したら、「お店の人を呼んできましょうか?」と声を掛け、頼まれたら、お店の人にサポートを求める。 ②電車でヘルプマーク※をつけた人が立っている。 ヘルプマーク※ 病気や障害で支援が必要な人が、周囲に分かってもらうために身に着けるマーク 「座りますか?」と声を掛け、「はい」と答えられたら座席を譲る。 ③エレベーターが混み合っていて、ベビーカーユーザーが、乗れなくなっている。 「乗りますか?」と声を掛け、「はい」と答えられたらエレベーターを譲る。 「〇〇しましょうか?」「何かお手伝いできることはありますか?」など、声を掛けることから、心のバリアフリーは始まります。  何に困っているか、どのような支援が必要かは人によって異なります。本人に声を掛けずに支援すると、相手の求めていない結果になるかもしれません。  まずは、声を掛けて、意思を確認することが大切です。 また、支援を申し出ても断られることもあります。しかし「支援をしたい」という気持ちは伝わっています。そういうときは、そっと見守りましょう。