資料4 本市の現状及び課題 ~ジェンダー視点からの防災~ 2022年2月 明石市 全般 市は、東日本大震災や熊本地震の教訓などを受けて、「明石市地域防災計画」の避難所の項目にジェンダー視点を取り入れた記述をしているが、 方針的事項にとどまっているため粉ミルクや生理用品等の備蓄物資の整備を除き、具体化が進んでいない。 各委員から様々なご意見、ご提案をいただき、避難者が安心して避難生活を送り、職員も不安なく災害対応に従事できる対策を具体化していきたい。 男女共同参画についての明石市民のアンケート結果 (令和2年3月調査 対象者:3000人有効回答数:1414人) 「男は仕事、女は家庭」という考え方 ・そう思う19%(前回28%) ・そう思わない77%(前回65%) 男性が家事・子育て・介護・地域活動を積極的に行うために必要なこと ・夫婦や家族間でのコミュニケーション ・職場の上司や周囲の理解の推進 ・男性自身の抵抗感をなくす 女性に関する人権についての問題 ・昇給・昇格の格差、男女の待遇の違い ・女性の活躍に対する古い考え、社会通念、慣習が残っている ・男女の固定的な役割分担意識 男女共同参画社会の実現のため行政が力を入れて取り組むべきこと ・子育てや介護中でも仕事が続けられる ・保育や介護サービスの充実 ・時短、在宅勤務等、働き方の見直し 防災の意思決定に係わる女性の参画 現状 ・市の防災会議(委員30名)のうち女性委員が5名 ・市の災害対策本部(本部員20名)のうち女性が1名 ・小中学校(41校)の校⾧先生のうち女性が4名 ・市役所の管理職のうちの女性の割合18.4% ・まちづくり協議会の会⾧(28名)のうち女性が3名 課題 ・女性視点を取り入れた様々な取り組みが必要であるにも関わらず、女性の声が具体的な施策に結びつきにくい 対策案 ・施策の判断や意思決定にかかわる女性リーダーの育成 ・専門委員会による会議の継続実施 ・市役所内に各部局横断的に検討するためのチームの結成 防災の現場における女性の参画 現状 ・地域防災計画の見直しに、計画に関係するすべての関係機関や担当部署に内容の確認を依頼し、女性を含む多様な視点からの検討・見直しを実施 ・女性職員・保健師を被災地支援に派遣(真備町、いわき市) ・女性保健師による避難所への巡回を通じた健康相談など ・地域の自主防災組織等における、女性構成員による避難所設営 防災の現場における女性の参画 課題 ・保健師等女性職員が多い職場は、女性の視点からの対応が十分であるが、女性職員が少ない職場では十分とは言えず、各職場の男女比により、女性の視点からの対策に差が大きい ・災害現場や避難所での女性の派遣・勤務は、安全の確保が重要 ・地域により、自主防災組織の活動状況及び女性の構成員の差が大きく、全市域をカバーできていない 対策案 ・ジェンダー平等プロジェクトチームのような、部局横断的な検討組織 を結成し、男女共同参画の視点に特化した防災対応業務の検証 ・災害現場や避難所における安全確保対策を確実に計画・実行 ・地域の自主防災組織をサポートする避難所運営マニュアルの作成 まちづくり協議会(28校区) ・まち協でジェンダー平等を意識して防災活動を行っているところは少ないと感じる。 ・まち協の防災訓練は、校区内の自治会の参加を得て校区の訓練を行っている。 ・防災活動は、まち協によって温度差がある。活発なところは、災害時に市の職員が避難所に到着するまでの間に、住民により避難者の誘導、受付の設置、避難者の受付まで出来るところがある。 ・標準的なまち協での防災訓練は、住民が避難所となる小学校まで歩いて集まり、防災講座、備蓄品の展示、避難所の開設、救命訓練、炊き出し、消火訓練などを実施している。 ・自治会は、役員が1年交代のため自治会単独で防災活動を行っているところは少ないが、役員の交代周期の⾧いところは継続的な取り組みができており、要配慮者の避難支援までできる地区がある 災害対応に携わる職員等への支援 現状 ・震度5弱以上の地震発生で、職員は指令によらず全員所属職場へ自主参集 ・職員用として3日分を目途として長期保存パン等を備蓄中 課題 ・子育てや介護等をしている職員が参集する場合のサポート体制が整備されていないため参集に相当の困難を伴う ・参集後の職員の勤務体制等が十分に検討されておらず、一度出勤すると長期間家に帰れない場合は、子育て、介護等の家庭責任を有する職員(女性職員が多い)の負担が大きい ・市役所内に、仮眠室やシャワー室等がないため、災害対応で庁舎に寝泊まりをせざるを得ない職員の環境が悪い 対策案 ・参集時のサポート体制、勤務体制、施設整備等の具体化を図る 避難所の運営 現状 ・避難所の運営には、女性の参画を図る(防災計画) ・女性専用の物干し場、更衣室や授乳場所の確保、女性による生理用品の配布、トイレや安全確保への配慮、女性が相談できる場づくりなどの女性ニーズに配慮した避難所運営の実施(防災計画) ・保健師による避難所等への定期的な巡回の実施 課題 ・避難所運営を担う避難部(主に教育委員会)の職員数が限られており必要に応じた女性職員の配置が難しい ・防災計画では、方針を記載しているがそれぞれを具体化した計画がない。 対策案 ・各避難所に女性の職員等を配置できるよう具体的な対策が必要 ・各小中学校ごとに、災害時に利用する施設や配置、臨時で設置する施設の場所、必要な備品などの具体化が必要 避難所運営マニュアルの例 埼玉県「男女共同参画の視点を取り入れたみんなが安心できる避難所運営のすすめ」抜粋 大分県「女性の視点からの防災パンフレット」抜粋 ※大分県では防災VR動画も公開しています。 https://www.youtube.com/watch?v=Cdqls2JFCjI10避難所運営マニュアルの例 避難所の運営 (防衛省・自衛隊の例) 男女問わず職員が安心して任務に専念できる体制を常日頃から整備。 基地・駐屯地内で、子どもを一時的に預かれる体制を整備しています。 女性や子育て世帯に配慮した物資の備蓄 現状 生理用品・オムツ・おしりふき・粉(液体)ミルク・肌着を備蓄 東日本大震災の被災地での検証から、平成24年以降備蓄を開始 課題 ・上記備蓄品で適切か否かの検証が行われていない ・東日本大震災以降の被災地での教訓等を生かした備蓄物資の追加が十分でない対策案 対策案 ・ジェンダー視点から更なる備蓄品の検討を行い必要な備蓄を行う 避難所での生活環境 現状 ・プライバシー確保のためのワンタッチ式間仕切りテントの購入 ・寝起きの際の足腰の負担軽減のための防災ベッドの購入 ※テント、ベッドともに新型コロナウイルス感染症対策のための備蓄品 として購入(飛沫による感染防止のため) 課題 ・プライバシー確保に加え、女性・子ども等に対する暴力等を予防するための対策が十分とは言えない対策案 対策案 ・プライバシー確保や女性・子ども等の安全を守るためのハード、ソフト面の対策を具体化する 被災者への相談窓口 現状 ・被災者への総合的な相談窓口として、被災者相談支援センターを開設 ・保健師職員が避難所へ定期巡回し、健康相談を実施 課題 ・総合的な相談窓口のみで十分か検討が必要 ・DVや性被害などへの相談窓口をどのようにするか検討が必要 対策案 ・総合的な窓口と個別の窓口の設置について、設置場所や設置の時期、相談の方法、相談窓口の担当者など十分に検討する ・復旧・復興時にも、DVや虐待、性暴力の相談を受けるチームを編成し、相談で終わらせないワンストップ型支援を検討 市職員の防災意識 現状 ・防災を「自分ごと」「日常に起こること」ととらえる意識が低く、いざという時の自身の役割や行動を具体化できていない。 ・入庁時の研修で学ぶ機会があるが、それ以降防災についての研修がない 課題 ・特に男性職員は、防災に「女性の目線」を入れるという意識が低く、その必要性を学ぶ機会も少ない。 ・「災害時には性暴力が増える」という認識を持って従事が必要 対策案 ・全職員に対し、女性や子ども、LGBTQ⁺視点や高齢者・障害者等、いわゆる災害弱者になりやすい視点を取り入れた研修等を継続実施し、多様な視点をふまえた防災意識の向上を図る その他の課題認識 【男女共同参画部局の取り組み、課題】 ・今年改訂予定の「あかし男女共同参画プラン」に「防災」の視点を明記 ・全国の男女共同参画センター等で構成される「災害時における男女共同参画センター等の相互支援ネットワーク」(※)を活用。 平常時からのつながり、非常時の連携のあり方を確立する (※)大規模災害時に、全国の男女共同参画センター同士が支え合う仕組みとして構築。被災地 と被災地外とを結び、物資支援、相談員等の人的支援などを想定。平常時の情報交換も。 その他の課題認識 【避難生活・マニュアル】 ・在宅避難、車中泊避難の適切な支援体制や相談体制が必要 ・女性の視点だけでなく、あらゆる災害弱者への支援について、横断的に意見を取り入れる仕組みが必要