まず、現在の財政状況を確認し、将来の収入と支出の見込みを立てて、事業運営上の財政基盤の健全性の観点から、現在の料金が将来においても適正なものなのかどうかを検証します。この収入と支出の見込みのことを「財政計画」といいます。財政計画を作成するための事務内容は概ね以下のようなものです。なお、以下の説明では、今回改定時の具体的な計画を示していますが、これは市議会常任委員会資料「明石市水道事業財政計画書」及びその付属資料である「経営及び財政収支の計画」(平成15年9月作成)から抜粋(一部再編集)したものです。
1 料金算定期間を決める
何年先までの見込みを立てるかを決めます。水道料金算定要領では「概ね3年から5年」とされています。今回改定時では平成16年度〜平成19年度の4か年としました。
2 水需要など基本的事項の見込みを立てる
収入や支出の見込みの前提になる人口や配水量などの見込みを立てます。今回改定時には、以下のような見込みを立てています。
| 項目 |
前期間 |
計画期間 |
14年度
(決算見込) |
15年度
(計画値) |
16年度 (計画値) |
17年度 (計画値) |
18年度 (計画値) |
19年度 (計画値) |
給水人口(人)
(年度末) |
291,530
(-0.10%) |
291,230 (-0.10%) |
290,930 (-0.10%) |
290,630 (-0.10%) |
290,330 (-0.10%) |
290,030 (-0.10%) |
給水戸数(件)
(年度末) |
123,250
(+0.67%) |
124,050
(+0.65%) |
124,750
(+0.56%) |
125,350
(+0.48%) |
125,950
(+0.48%) |
126,450
(+0.40%) |
| 年間配水量(千立法メートル) |
39,269
(-0.77%) |
38,600
(-1.70%) |
38,700
(+0.26%) |
38,500
(-0.52%) |
38,400
(-0.26%) |
38,300
(-0.26%) |
(下段は対前年度増減率)
【見込みの説明】
(1) 給水人口は、平成10年度以降の明石市の人口の微減傾向が継続するものと予測しています。
(2) 給水戸数は、人口の減少傾向の下においても核家族化などにより増加してきたこれまでの微増の傾向が継続するものと予測しています。
(3) 年間配水量は、人口の減少、経済の停滞及び水道水の節水や再生利用などの要因による平成10年度以降の年間有収水量(需要水量)の減少傾向が継続するものとし、かつ、有収率は過去の実績を検討し、予測しています。
3 経営の計画を立てる
基本的事項の見込みを前提に、水道事業の経営の計画を立てます。現在の財政状況の検証を行い、経営改善計画を立てるとともに、良質な水の安定的な供給が行えるよう、必要な施設の建設、改良や維持、補修の計画を立てます。今回改定時には、以下のような計画を立てました。
(1) 職員の配置
計画期間中に19名の職員を削減する。(平成15年度の133名を平成19年度には114名へ)
(2) 給与費等の削減又は抑制
計画期間中に(1)の職員数の削減、特殊勤務手当ての見直し、緊急時対策業務の体制見直しなどにより給与費の削減を行います。
(3) 浄水場の統合及び配水塔の整備
平成18年4月に伊川谷浄水場を廃止して、3浄水場体制に移行します。これにより計画期間中に約9億2千万円の経費削減を見込んでいます。この計画を立てた主な理由は以下のとおりです。
・水需要が減少している現況及び将来予測から水道事業全体の給水能力に余裕があること。
・伊川谷浄水場の施設設備が老朽化しているためにその維持更新に多額の経費を要すること。
・伊川谷浄水場が利用している地下水の源井の多くは、水位の低下や塩水化によってその利用の継続が困難であると見込まれること。
・伊川谷浄水場の廃止により、給与費をはじめとする管理運営経費の削減が図られること。
また、伊川谷浄水場の廃止を前提として東部配水場の配水池・配水塔施設を整備します。その目的は東部市域におけるより安定的な給水の実現と配水場の老朽化対策です。
(4) 施設の建設、改良、維持、補修
計画期間中に約49億円の工事費を見込んでいます。主な工事は以下のとおりです。(1億円以上が見込まれる工事を掲載しています。)
・明石川浄水場 中央監視設備(受電等)設置 【安定供給の確保・老朽化更新】
・明石川浄水場 東部配水場送水施設(ポンプ等設置及び送水管布設) 【安定供給の確保・経営改善対策】
・明石川浄水場 配水池内部防水改修 【老朽化対策】
・鳥羽浄水場 高度浄水処理施設建設 【水源対策・水質対策】
・東部配水場 配水池・配水塔築造及び機械・電気設備設置 【安定供給の確保・老朽化更新・経営改善対策】
・西部配水場 配水池・配水塔築造 【安定供給の確保・老朽化対策】
・配水管の新設(市内でまだ配水管が布設されていない箇所に新設) 【安定供給の確保】
・老朽管整備事業(老朽管の更新) 【老朽化更新】
・建設改良事業(長期の使用で能力低下した老朽施設について、当初の能力を維持できるように改良整備を行うなど) 【浄水処理改善・安定供給の確保・安全対策・老朽化対策】
(5) 第2次経営改善実施計画
経営改善実施計画(平成14年度〜平成16年度)を見直して、平成16年度から平成19年度を計画期間とする「第2次経営改善実施計画」を策定し、計画期間中に各改善項目の達成に向けて取り組んでいきます。これにより計画期間中に約12億4千万円の経営改善効果を見込んでいます。
・水道料金の適正化
・職員数の削減
・水道情報提供の実施
・職員研修の実施
・日直業務の見直し
・浄水場施設形態の見直し(3浄水場体制への移行)
・老朽管更新計画の策定、実施
・廃止源井等の用地処分
・動力費の節減
・水道サービス公社への委託業務の見直し
・組織の見直し(5課から4課体制へ)
・給水課サービスセンター業務の見直し
・休日等の窓口サービスの拡充
・水質検査機能の充実
・貯水槽水道の管理指導充実
・事務事業評価システムの確立、実施
・利用者との協働システムの確立、実施
・水道事業経営調査委員会提言内容の実施
4 財政収支の見積もりを立てる
2の基本的事項を前提として、3の経営の計画を実行する場合の収入と支出の見込みを立てます。このとき、収支を経常的な経営活動に伴う収支(収益的収支)と将来にわたる安定給水が確保できるよう水道施設を整備、改良するための収支(資本的収支)に分けて見込みを立てます。これは、保有する資産などの資源を使って行う事業活動と、施設・設備などの資産を形成するための事業活動とを区分するという公営企業会計の考え方によっています。今回改定時には以下のような見込みを立てました。
| 項目 |
前期間 |
計画期間 |
14年度
(決算見込) |
15年度 (計画値) |
16年度 (計画値) |
17年度 (計画値) |
18年度 (計画値) |
19年度 (計画値) |
| 収益的収支 |
-505 |
-901 |
-817 |
-861 |
-746 |
-770 |
| 資本的収支 |
-1,488 |
-1,537 |
-1.432 |
-1,747 |
-1,706 |
-1,670 |
| 補填財源 |
1,782 |
1,831 |
1,813 |
1,862 |
1,906 |
1,959 |
| 当年度過不足 |
-212 |
-607 |
-436 |
-746 |
-546 |
-481 |
| 繰越留保資金 |
1,030 |
818 |
211 |
-225 |
-971 |
-1,517 |
| 留保資金残額 |
818 |
211 |
-225 |
-971 |
-1,517 |
-1,998 |
(単位:百万円)
【見込みの説明】
(1) 収益的収支
収益的収入は、主に水道料金収入です。2の水需要などを前提に現状の水道料金体系での収入の見込みを立てます。その他の収益的収入としては、施設分担金(水道メータの新設や増径のときにいただくお金)などがあります。
収益的支出は、現在の給水を行うための費用で、施設を動かす動力費、浄水処理を行うための薬品費、設備等の修繕費、メータの検針や料金の収納、配水場などの施設管理、電算処理などを委託するための委託料、水道部職員の給与費(ただし、施設を建設するための業務に従事している職員の分は除きます。)、兵庫県水道用水供給事業から水を購入するための費用、施設等の減価償却費などが含まれます。
この収益的収入から収益的支出を差し引きしたものが収益的収支です。
(2) 資本的収支
資本的収入は、主に企業債、工事負担金です。企業債とは、国などからの借金(長期の借入金)のことです。工事負担金とは水道本管(配水管)を新たに布設する場合などにいただくお金です。
資本的支出は、主に、3の経営の計画の(4)でみた施設の建設、改良の費用、水道メータや水質検査機器など長期に使用する機器の購入費、企業債の返済(元金)のための費用です。
この資本的収入から資本的支出を差し引いたものが資本的収支です。
なお、施設の建設等の工事のために企業債によって資金を調達すると、その返済のための費用は料金収入で賄っていくことになりますが、これは将来の財政負担となりますので、資金事情を十分考慮した発行が必要です。一方、長期に使用する施設の建設費等は、企業債の返済費用を将来の水道利用者にも負担していただくことにより長期的な利用者の公平性を図るという積極的な側面もあります。
(3) 補填財源
資本的収支の不足額を補てんするために用いられる、減価償却費など現金支出を伴わない支出によって企業内部に留保される資金をいいます。
(4) 当年度過不足
補填財源を加えた単年度の資金の過不足です。
(5) 繰越留保資金
これまでの収支の積み重ねにより水道事業内部に留め置かれている資金です。
(6) 留保資金残額
その年度の決算時に水道事業内部に留め置かれる資金です。
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