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更新日:2023年8月1日

料金算定の手順及び料金の使われ方

水道事業は、水道利用者の皆様がお支払いいただいた水道料金で支えられています。
ここでは、お支払いいただいている水道料金がどのようにして決まるのか、その具体的な手順を説明します。

根拠は水道条例

水道料金の金額は、明石市水道条例に規定されていますので、これを変更するには、水道条例改正議案が市議会で議決されなければなりません。地方公営企業法では、議案を議会へ提出する権限は市長にあり、公営企業管理者(水道事業の長)は、その「議案の作成に関する資料」を作成し、市長に送付することと定められています。
つまり、水道事業が適正と考える水道料金を示す資料をもとに、市長が水道条例改正議案を議会へ提出し、市民の代表である議会の議決を得て、水道料金が決定するという流れです。
「議案の作成に関する資料」の作成方法ですが、「料金についての考え方」にもありますが、全国の水道事業体が加盟している公益法人「(社)日本水道協会」は「水道料金算定要領」を作成しており、明石市水道事業もそれに基づいて料金算定しています。おおまかな作業の流れは、
「財政計画を立てる → 適正な料金水準の見込みを立てる → 料金体系を決める」
というものです。
以下では、平成16年4月1日からの料金改定(以下では「今回改定時」といいます。)を例として、詳しい流れを説明させていただきます。

財政計画を立てる

まず、現在の財政状況を確認し、将来の収入と支出の見込みを立てて、事業運営上の財政基盤の健全性の観点から、現在の料金が将来においても適正なものなのかどうかを検証します。この収入と支出の見込みのことを「財政計画」といいます。財政計画を作成するための事務内容は概ね以下のようなものです。なお、以下の説明では、今回改定時の具体的な計画を示していますが、これは市議会常任委員会資料「明石市水道事業財政計画書」及びその付属資料である「経営及び財政収支の計画」(平成15年9月作成)から抜粋したものです。

1 料金算定期間を決める
何年先までの見込みを立てるかを決めます。水道料金算定要領では「概ね3年から5年」とされています。今回改定時では平成16年度~平成19年度の4か年としました。

2 水需要など基本的事項の見込みを立てる
収入や支出の見込みの前提になる人口や配水量などの見込みを立てます。今回改定時には、以下のような見込みを立てています。

項目

前期間

計画期間

  14年度
(決算見込)
15年度
(計画値)
16年度
(計画値)
17年度
(計画値)
18年度
(計画値)
19年度
(計画値)
給水人口(人)
(年度末)
291,530
(-0.10%)
291,230
(-0.10%)
290,930
(-0.10%)
290,630
(-0.10%)
290,330
(-0.10%)
290,030
(-0.10%)
給水戸数(件)
(年度末)
123,250
(+0.67%)
124,050
(+0.65%)
124,750
(+0.56%)
125,350
(+0.48%)
125,950
(+0.48%)
126,450
(+0.40%)
年間配水量
(千立法メートル)
39,269
(-0.77%)
38,600
(-1.70%)
38,700
(+0.26%)
38,500
(-0.52%)
38,400
(-0.26%)
38,300
(-0.26%)

(下段は対前年度増減率)
 【見込みの説明】
(1) 給水人口は、平成10年度以降の明石市の人口の微減傾向が継続するものと予測しています。
(2) 給水戸数は、人口の減少傾向の下においても核家族化などにより増加してきたこれまでの微増の傾向が継続するものと予測しています。
(3) 年間配水量は、人口の減少、経済の停滞及び水道水の節水や再生利用などの要因による平成10年度以降の年間有収水量(需要水量)の減少傾向が継続するものとし、かつ、有収率は過去の実績を検討し、予測しています。

3 経営の計画を立てる
 基本的事項の見込みを前提に、水道事業の経営の計画を立てます。現在の財政状況の検証を行い、経営改善計画を立てるとともに、良質な水の安定的な供給が行えるよう、必要な施設の建設、改良や維持、補修の計画を立てます。今回改定時には、以下のような計画を立てました。

(1) 職員の配置
 計画期間中に19名の職員を削減する。(平成15年度の133名を平成19年度には114名へ)

(2) 給与費等の削減又は抑制
 計画期間中に(1)の職員数の削減、特殊勤務手当ての見直し、緊急時対策業務の体制見直しなどにより給与費の削減を行います。

(3) 浄水場の統合及び配水塔の整備
 平成18年4月に伊川谷浄水場を廃止して、3浄水場体制に移行します。これにより計画期間中に約9億2千万円の経費削減を見込んでいます。この計画を立てた主な理由は以下のとおりです。
・水需要が減少している現況及び将来予測から水道事業全体の給水能力に余裕があること。
・伊川谷浄水場の施設設備が老朽化しているためにその維持更新に多額の経費を要すること。
・伊川谷浄水場が利用している地下水の源井の多くは、水位の低下や塩水化によってその利用の継続が困難であると見込まれること。
・伊川谷浄水場の廃止により、給与費をはじめとする管理運営経費の削減が図られること。
 また、伊川谷浄水場の廃止を前提として東部配水場の配水池・配水塔施設を整備します。その目的は東部市域におけるより安定的な給水の実現と配水場の老朽化対策です。

(4) 施設の建設、改良、維持、補修
 計画期間中に約49億円の工事費を見込んでいます。主な工事は以下のとおりです。(1億円以上が見込まれる工事を掲載しています。)
・明石川浄水場 中央監視設備(受電等)設置 【安定供給の確保・老朽化更新】
・明石川浄水場 東部配水場送水施設(ポンプ等設置及び送水管布設) 【安定供給の確保・経営改善対策】
・明石川浄水場 配水池内部防水改修 【老朽化対策】
・鳥羽浄水場 高度浄水処理施設建設 【水源対策・水質対策】
・東部配水場 配水池・配水塔築造及び機械・電気設備設置 【安定供給の確保・老朽化更新・経営改善対策】
・西部配水場 配水池・配水塔築造 【安定供給の確保・老朽化対策】
・配水管の新設(市内でまだ配水管が布設されていない箇所に新設) 【安定供給の確保】
・老朽管整備事業(老朽管の更新) 【老朽化更新】
・建設改良事業(長期の使用で能力低下した老朽施設について、当初の能力を維持できるように改良整備を行うなど) 【浄水処理改善・安定供給の確保・安全対策・老朽化対策】

(5) 第2次経営改善実施計画
 経営改善実施計画(平成14年度~平成16年度)を見直して、平成16年度から平成19年度を計画期間とする「第2次経営改善実施計画」を策定し、計画期間中に各改善項目の達成に向けて取り組んでいきます。これにより計画期間中に約12億4千万円の経営改善効果を見込んでいます。
・水道料金の適正化
・職員数の削減
・水道情報提供の実施
・職員研修の実施
・日直業務の見直し
・浄水場施設形態の見直し(3浄水場体制への移行)
・老朽管更新計画の策定、実施
・廃止源井等の用地処分
・動力費の節減
・水道サービス公社への委託業務の見直し
・組織の見直し(5課から4課体制へ)
・給水課サービスセンター業務の見直し
・休日等の窓口サービスの拡充
・水質検査機能の充実
・貯水槽水道の管理指導充実
・事務事業評価システムの確立、実施
・利用者との協働システムの確立、実施
・水道事業経営調査委員会提言内容の実施

4 財政収支の見積もりを立てる
 2の基本的事項を前提として、3の経営の計画を実行する場合の収入と支出の見込みを立てます。このとき、収支を経常的な経営活動に伴う収支(収益的収支)と将来にわたる安定給水が確保できるよう水道施設を整備、改良するための収支(資本的収支)に分けて見込みを立てます。これは、保有する資産などの資源を使って行う事業活動と、施設・設備などの資産を形成するための事業活動とを区分するという公営企業会計の考え方によっています。今回改定時には以下のような見込みを立てました。(単位:百万円)

項目

前期間

計画期間

  14年度
(決算見込)
15年度
(計画値)
16年度
(計画値)
17年度
(計画値)
18年度
(計画値)
19年度
(計画値)
収益的収支 -505  -901 -817 -861 -746  -770
資本的収支 -1,488 -1,537 -1.432 -1,747 -1,706  -1,670
補填財源 1,782  1,831 1,813 1,862 1,906 1,959
当年度過不足 -212  -607 -436 -746  -546 -481
繰越留保資金 1,030  818  211 -225 -971 -1,517
留保資金残額 818 211  -225 -971 -1,517  -1,998

【見込みの説明】
(1) 収益的収支
 収益的収入は、主に水道料金収入です。2の水需要などを前提に現状の水道料金体系での収入の見込みを立てます。その他の収益的収入としては、施設分担金(水道メータの新設や増径のときにいただくお金)などがあります。
 収益的支出は、現在の給水を行うための費用で、施設を動かす動力費、浄水処理を行うための薬品費、設備等の修繕費、メータの検針や料金の収納、配水場などの施設管理、電算処理などを委託するための委託料、水道部職員の給与費(ただし、施設を建設するための業務に従事している職員の分は除きます。)、兵庫県水道用水供給事業から水を購入するための費用、施設等の減価償却費などが含まれます。
 この収益的収入から収益的支出を差し引きしたものが収益的収支です。
(2) 資本的収支
 資本的収入は、主に企業債、工事負担金です。企業債とは、国などからの借金(長期の借入金)のことです。工事負担金とは水道本管(配水管)を新たに布設する場合などにいただくお金です。
 資本的支出は、主に、3の経営の計画の(4)でみた施設の建設、改良の費用、水道メータや水質検査機器など長期に使用する機器の購入費、企業債の返済(元金)のための費用です。
 この資本的収入から資本的支出を差し引いたものが資本的収支です。
 なお、施設の建設等の工事のために企業債によって資金を調達すると、その返済のための費用は料金収入で賄っていくことになりますが、これは将来の財政負担となりますので、資金事情を十分考慮した発行が必要です。一方、長期に使用する施設の建設費等は、企業債の返済費用を将来の水道利用者にも負担していただくことにより長期的な利用者の公平性を図るという積極的な側面もあります。
(3) 補填財源
 資本的収支の不足額を補てんするために用いられる、減価償却費など現金支出を伴わない支出によって企業内部に留保される資金をいいます。
(4) 当年度過不足
 補填財源を加えた単年度の資金の過不足です。
(5) 繰越留保資金
 これまでの収支の積み重ねにより水道事業内部に留め置かれている資金です。
(6) 留保資金残額
 その年度の決算時に水道事業内部に留め置かれる資金です。

適正な料金水準の見込みを立てる

ここまでの作業で、料金算定期間の収支の見込みが立ちました。この収支の見積もりでは、水道料金以外の要素は経営改善の視点から検討を加えた状態となっています。そして「料金についての考え方」でもみたように、水道料金は、「公正妥当なものでなければならず、かつ、能率的な経営の下における適正な原価を基礎とし、地方公営企業の健全な運営を確保することができるものでなければならない」とされています。つまり、ここまでの経営改善効果も見込んだ財政収支の見積もりが均衡していれば、現状の料金水準は妥当であると判断することができます。逆に均衡を欠いているようであれば、この法の要請から外れ、料金水準は適正を欠いているとの判断に至ります。
今回改定時の財政収支の見積もりでは、そのままの料金水準では平成19年度には、約42億円の累積欠損金(累積赤字)を生じ、約20億円の不良債務(※)が出ることとなり、収支は著しく均衡を欠くに至る状態でした。
したがって、水道料金の改定を行うことを予定し、適正な料金水準の見込みを立てる作業に入りました。
先に立てた財政計画に基づいて、計画期間中の給水のために必要な総費用(原価)を見込み、これを財政計画の前提とした水需要に基づく収入でまかなうことのできる適正な料金水準を検討し、平成19年度に累積欠損金を解消することを目指して、平均20.14%の料金引き上げという改定資料を作成いたしました。

(※)「不良債務」とは
前項4の財政収支の見積もりの表の「留保資金残額」がマイナスの場合、不良債務の発生を示します。不良債務とは、流動負債(短期間のうちに支払うべきもの)が流動資産(短期間のうちに換金しうるもの)を上回っている資金状態のことで、支払能力を示します。不良債務が解消されない場合には、長期的な資金繰りが不可能となります。

料金体系を決める

最後に、適正な料金水準の見込みに基づいて、料金体系を決めます。明石市では、用途別口径別の二部料金制・逓増料金制の料金体系をとっています。
(1) 用途別
一般用、湯屋用、工事用等で異なる料金体系としています。主に、用途別の使用者の負担能力等を考慮して、異なる料金体系としているものです。
(2) 口径別
設置されている水道メータの口径によって異なる料金体系としています。水道メータの口径は、予定される使用水量に応じて決められます。(使用水量の多い箇所ほど口径の大きい水道メータが設置されます。)口径の大小によって水の流量に差があり、水道施設の利用度も異なるということから、口径別に異なる料金体系としています。
(3) 二部料金制
二部料金制とは、基本料金(使用水量に関わらず一定金額)と従量料金(使用水量に比例した金額)からなる料金体系のことです。基本料金と従量料金の割り振りは、基本的には、水量の増減に関わらず固定的に必要とされる経費を基本料金でまかない、水量に応じて増減する経費を従量料金でまかなうという考え方によります。しかし、この考え方では基本料金が高くなりすぎるため、生活用水への配慮から、一般使用者の基本料金を低く抑える措置がとられています。
また口径25㎜以下では、一定の使用水量までは従量料金がかからない基本水量制がとられています。
(4) 逓増料金制
従量料金では、使用水量が増えるほど1立方メートルあたりの料金単価が高くなる料金体系としています。これを逓増料金制といいます。もともとは、高度経済成長に伴い、水需要が急増した時期に、大口需要の料金に新規水源開発等に伴う費用の上昇傾向を反映させるとともに、水需要の抑制効果を期待して取り入れられました。

今回改定時には、使用水量に応じた負担の公平性の観点から口径25㎜以下の基本水量を見直すとともに、周辺事業体と比較すると強くなりすぎていた逓増度を緩和することを基本方針として、料金体系を決めました。

水道料金の使われ方

水道使用者のみなさまからお支払いいただいた水道料金は、その他の収入と合わせて、水道水をつくるための経費など水道事業にかかる全般の費用に使用しています。具体的な使われ方については「決算・予算の内容」をご覧ください。

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