2022年度 第1回 明石市ユニバーサルデザインのまちづくり協議会 議事概要            日時:2022年(令和4年)8月10日(水)13:00〜15:00 場所:明石市役所議会棟2階 大会議室 1. 開会 2. 会長、副会長の選出 〜会長に三星委員、副会長に尾上委員を互選〜 会長挨拶 明石市は、バリアフリーの基本構想に関しては、全国的にも早い時期に策定したが、長い期間改定していなかったところ、新しい課題やまちの変化に伴い、改定を急ごうと取り組み、2020年に「明石市ユニバーサルデザインのまちづくり実行計画」と題し、移動等円滑化促進方針(マスタープラン)を策定し、基本構想を改定していくことを決定した。 そういった中でコロナにより取り組みが止まってしまったところ、これから改めて頑張って取り組んでいければと考えている。 また、ここにきてバリアフリーのステージが変わってきており、個別のバリアフリー施策から体系的・総合的かつ幅の広いユニバーサルデザインを標榜した計画と実行、さらに維持、管理、改善が新しい考え方になってきている。 加えて、LGBTQ+、トイレの機能分散などの新しい課題にも取り組んでいく必要があると考えている。 副会長挨拶) 私は、国のバリアフリー法の制定や、明石市ではインクルーシブ条例やその他いくつかの検討に携わっており、2020年3月に策定した「明石市ユニバーサルデザインのまちづくり実行計画」にも携わった。この実行計画におけるマスタープランは、全国的にも高い評価がされており、いろいろな講座の中でも紹介されているところ。 実行計画は、様々な議論をし、何度もまち歩きをした上で策定したものだが、時代の流れは早く、策定後の数年において、バリアフリー法の改定などいろいろな動きがあった。それらを踏まえ、本実行計画をブラッシュアップするとともに、明石市では2022年4月に明石市インクルーシブ条例が制定されているため、インクルーシブ条例がある明石市ならではのマスタープランや基本構想として改定し実施していくことをこの協議会で進めていければと考えている。 3. 議事 〇事務局より、以下3点について説明。 議事(1)「明石市ユニバーサルデザインのまちづくり実行計画」の概要 議事(2)実行計画策定以降2年間の関連法令や施策等の動向【資料4】 議事(3)実行計画改定のポイント【資料5】 会長) 初めに、事務局に対し、本日の協議会での協議事項について確認したい。 事務局) 資料5】で改定のポイントとしてまとめているが、本実行計画をどのように改定していくのかを協議していただければと考えている。 副会長) ここで、本日机上に配布された追加資料について補足させていただく。 「障害の社会モデル」とは、障害者が日常生活や社会生活をしていくうえで障壁となっているものは、当人の機能障害だけではなく、社会の障壁によって生まれるという、国連の権利条約や明石市のインクルーシブ条例でも採用されている非常に重要な考え方である。 一方で、国のバリアフリー法では「「いわゆる」心のバリアフリー」という言葉が使われており、毎回心のバリアフリーの前には「いわゆる」がついている。これは、世間の中での「心のバリアフリー」は様々な理解があり、特に情緒的な理解になりがちであるが、国においては「心のバリアフリー」を、@障害の社会モデルを理解する、A障害者差別を解消する、B多様な障害特性に応じてコミュニケーションをとる、という3点を指すものとしているため、「「いわゆる」心のバリアフリー」という表現をしているもの。 今回の実行計画の改定に伴い、「「いわゆる」心のバリアフリー」という表現を使用すると、「いわゆる」を何度も使用することとなるため、明石市はインクルーシブ条例を制定していることも鑑み、ずばり「障害の社会モデルの普及」とシンプルな表現してはどうかということで、当日資料として差し替えさせていただいた。 会長) 私流の言い方で言うと、「バリアフリーはやさしさや真心で進めるものではない」と考えている。なぜなら、バリアフリーは、障害当事者を含めたあらゆる国民の生きていく上での生活権での一部であって、権利であると考えているからだ。 しかし、国のバリアフリー法関連のガイドライン等の文書では、私も主体的に参画しているところであるが、そういった表現があいまいで、まるで真心や温かい心で気の毒な人にはこうしましょうというような書きぶりと捉えられかねない部分があるため、尾上副会長の補足があった。 つまり、社会の環境を変えていくことで障害をなくしていくころがポイントであって、真心でバリアフリーをやるというのは論理的にはおかしいと考えている。 〜議事(4)意見交換@〜 委員) 「バリアフリーはやさしさや真心で進めるべきではない」という発言に対し違和感を抱いた。精神障害者は、一見して障害当事者と認識されないが、些細なことで興奮したり、感情を抑えられなくなったりする。その際に、精神障害者は周囲の方のやさしさや真心なしでは、生活に支障をきたすのではないかと思った。 会長) 表現が不適切であったこと、お詫び申し上げる。親切で温かい気持ちをもってバリアフリーを進めることは決して間違いではない。「優しさ、真心、温かい心」は精神障害をはじめとする方々への生きやすさにつながり、共生社会を創る上での重要な要素であると考えている。 しかし、ユニバーサルデザインのまちづくりを進めるに当たっては、バリアフリー法やガイドラインに則り、障害当事者の意見を聞くことが義務であることを認識することで、「障害の社会モデル」を意識することが重要であると考えている。 委員) 2020年3月策定の「明石市ユニバーサルデザインのまちづくり実行計画」は単に「ユニバーサルデザイン」を促進するための計画ではなく、「障害の社会モデル」の普及を核として、明石市が総合的に進める理念等を示したものと理解している。その中で、明石市で計画されている総合交通計画や災害時の避難計画等との整合性を意識して検討していただきたい。 会長) バリアフリーやユニバーサルデザインは手段であり、最終的な目的は障害当事者の社会参加及び自立であることを忘れないように検討を進める必要がある。 事務局) 他の計画と整合性を取って改定を進めていきたいと考えている。 委員) 実行計画の中に「あかしユニバーサルモニター制度」等について記載されており、私も当事者参画は重要なことと考えている。そこで、明石市は4月に「インクルーシブなまちづくり条例」を制定していることもあり、今後新設される「インクルーシブアドバイザー」も追記してはどうか。 事業者が行っている介助の研修など、今ではスタンダードとなってきているため、もう少し見える化してもよいのではないか。 移動等円滑化促進地区において、33ページ以降の生活関連経路が示された図面の中で、明石市は魚住や松が丘など勾配が急な場所もあるため、生活関連経路上の勾配について図面でわかるように工夫できないか検討していただきたい。 現在の実行計画では、小学校の通学路を生活関連経路として指定していないが、指定してはどうか。 近年、徒歩や車いすでまちなかを移動できるウォーカブルシティが重要となってきている。これからの超高齢化社会の中で、歩いて暮らせるまちを意識して、ベンチを設置するなど休憩できる空間整備について実行計画に記載するのがよいのではないか。 インクルーシブ広場について、県立の「明石公園」では検討が始まっており、魚住の「17号池魚住みんな公園」では設置されると聞いているので、インクルーシブ広場に関しても実行計画に記載することを検討していただきたい。 事務局) 改定の中で、前向きに取り組んでいきたい。 まずは、勾配に関して特に目立った部分から検討をしていきたい。また、公園の「インクルーシブ広場」に関しても、どのような表記が適切か検討を行っていきたい。 委員) 我々当事者団体も明石市の緑化公園課に何度もヒアリングを受けており、公園内のクールダウン施設や芝生などが整備された良い広場が出来るのではないかと期待している。実行計画への記載ぶりに関しては、庁内で整理していただきたい。 〜議事(5)意見交換A〜 委員) 2021年の4月にバリアフリー法の改正があり、公立小中学校が特別特定建築物としてバリアフリー化の対象にすることが義務になった。これをきっかけに小学生、中学生にもバリアフリーに対する意識が広まれば幸いである。 当日配布資料の1ページ目に「心のバリアフリー」に関する「教育啓発特定事業」を追加とあるが、小学校、中学校にもこの事業を展開していけたらと思う。 資料5の5ページ目の移動等円滑化整備ガイドラインの改定の中で、公園出入り口の車止めの形状、配置について見直されているが、昨今の車いすは多種多様であり、各々の体型に合わせて作成される車いすもあるので、そういった部分も配慮して見直しの検討をしていただきたい。 事務局) 配布資料では「教育啓発特定事業」について、具体的に示されていないが、現在小学校、中学校で年にいくつか教育事業を行っていると聞いているので、それらを含めて位置付けられればと考えている。また、公園の車止めに関しては、公園の規模なども踏まえながら、関係課と調整のうえ、検討していきたい。 会長) 通学路の交通安全対策は十分に対策されているが、車いす利用者への配慮はまだ十分ではないため、車いすの方も安全安心に通学できるような経路の整備を行う必要がある。 委員) その点では、JR西明石駅の東側出口付近では、朝と夕方の通勤通学でかなり混雑しており、小学生や車いすの方が危険ではないかと感じている。 委員) JR西明石駅の東側は花園小学校や望海中学校などの通学経路になっているが、JR西明石駅周辺の開発に伴い、道路等の整備も予定しているので、安全な通学路の設定を行っていきたい。 委員) 実行計画では、ハード面、ソフト面の両方でバリアフリー化が計画されているが、移動等円滑化促進地区におけるハード面のバリアフリー化はいつごろ終了する予定なのか、スケジュール等を教えていただきたい。 事務局) 今年度はどの地区から優先的に基本構想を策定するか検討する予定。原則、各地域の開発時期等を勘案して具体的な事業の進捗に合わせて進めていく予定。何年度までにといった目標設定ではなく、具体的なまちづくりに合わせて各地域のあり方を検討していくイメージをもっていただきたい。 会長) 時期に関しては、基本構想において、短期、中期、長期の目標を設定するため、計画のスケジュールが明確となる。 委員) 短期、中期、長期で計画のスケジュールを示すのではなく、具体的に何年に事業が終わるのか示す必要があるのではないか。 会長) 市の財政等との調整などもあり、詳細計画まで決めるのはなかなか難しいが、概ね何年までに事業が終了するか等、大まかなスケジュールは実行計画の中に示していきたい。 副会長) 現状を整理すると、2020年3月に策定された「明石市ユニバーサルデザインのまちづくり実行計画」の中で、移動等円滑化促進地区が設定され基本方針が示されたところ。コロナウイルスにより協議会が中断しなければ、継続して基本構想へと着手し、重点整備地区を定めて具体的な事業計画を策定する予定であった。今回、ようやく協議会の再開が可能になり、基本構想の策定に向けた取り組みが進み始めたところ。 会長) なお、現時点で策定済みである「マスタープラン」は明石市における基本的な考え方や方針を決定するものであり、「基本構想」は短期、中期、長期と具体的な事業計画を定めるものである。 委員) 山陽電鉄藤江駅周辺は、昔は大変賑わいのある地域であったが、現在は地域が閉鎖的になってしまっている。山陽藤江駅は北側にしか改札口がなく、利用者の半分ほどは駅南側に住んでおり、地域の高齢化が進んだ現在では、踏切を渡って北側の改札口に向かうことや、駅構内の移動が困難な状況となっている。そのため、駅のバリアフリー化については、非常に期待しているところ。 他方で、山陽電鉄の好意により、駅舎の一部を借りて「藤江駅前オアシス」を開設している。買い物の途中での休憩や住民の憩いの場として地域の活性化につながっている。 今回、地域からの要望がきっかけで藤江駅周辺を移動等円滑化促進地区に指定する検討を行っていくとのことで、大変ありがたく思っている。 事務局) 改定する実行計画で移動等円滑化促進地区に位置づけていきたいと考えている。 委員) 駅舎を貸し出すことで賑わいが戻ってきていることは嬉しく思っている。また、藤江駅のバリアフリー化に関しては、今現在具体的な計画にまでは至ってはないが、社内で検討中であり、順次進めていきたいと考えている。 委員) 西明石分科会と本協議会との今後の関わり方を教えて頂きたい。 事務局) 資料7に西明石分科会メンバー(案)を示しており、メンバーはまだ決まっていないが、西明石地域に関係のある団体、事業者で構成したいと考えている。 委員) 承知した。 委員) 話すスピードが速く、協議についていくのが大変だった。また、資料を示す際は、手話と資料を同時に見ることができないので、資料を確認する時間をいただきたいと思う。 山陽電鉄の駅には無人駅があり、JR魚住駅では駅員がいない時間帯がある。トラブル時には駅員が不在の時でもインターホンで会話ができるが、聴覚障害者は、インターホンを押しても役に立たない。そのようなことについて、もう少し配慮してバリアフリー化を進めていただきたい。 委員) JRは今まで多くの駅でバリアフリー化を進めてきたが、全ての駅で全てのバリアフリーができているわけではない。JR魚住駅は時間帯によって無人駅になり、その時はインターホンで対応している。聴覚障害者の方々にとってはバリアになっていると分かったため、時間はかかるかもしれないが、対応策を考えていきたい。 委員) 山陽電鉄では駅にカメラを設置しており、係員がモニターで監視している。カメラに向かってジェスチャー等で合図して頂ければ、係員が駆けつけて対応できるようになっている。 委員) 小中学校等で福祉教育やバリアフリー教室があり、手話や視覚障害者、聴覚障害者の疑似体験が行われているが、精神障害の体験は難しくほとんど行われていない。育成会の中で精神障害者の疑似体験ができる取組を行っているので、今後はこのような新しい取組を加えていただきたい。 会長) 聴覚障害の方への対応では、今後は情報機器なども活用し、双方向のやり取りができるようなバリアフリー化も進めていく必要がある。 精神障害者の疑似体験ができる取組は、これまで聞いたことがなく大変興味深いため、またご教授いただきたい。 委員) 山陽電鉄藤江駅は住民の意見を基に、ユニバーサルデザインのまちづくり推進モデル地域から移動円滑化促進地区に位置づけられることはとても画期的である。実行計画には、「ユニバーサルデザインのまちづくり推進モデル地域」を指定する取組もあるので、今後の活用を期待したい。 基本構想において、具体的な事業計画を記載する際には、民間事業者の事業を計画の中に位置づけていく必要があるため、必要な民間事業者等を分科会メンバーに加えてはどうか。 〇事務局より、議事(6)今後のスケジュール【資料6、7】について説明 4.副会長総括 副会長) 明石市では、インクルーシブ条例が施行・運用されており、実行計画と連結させて進めていくことが重要である。先ほどの話で、聴覚障害者が職員にカメラ等で困っていることを伝えることは大事であるが、聴覚障害者に対して職員がその後どのように対処するかが伝わらなければ、聴覚障害者は不安になってしまう。情報発信は双方向で伝わることが重要であり、今後は情報発信のバリアフリー化を意識し、技術革新も踏まえてユニバーサルデザインのまちづくりを検討していかなければならない。 住民の声を活かした明石市ならではの計画にしていきたいと考えている。 5.閉会 以上