2022年度 第2回 明石市ユニバーサルデザインのまちづくり協議会 議事概要 日時:2023年(令和4年)3月28日(火)13:00〜15:10 場所:明石市役所議会棟 2階 大会議室 1.開会 2.議事 〇事務局より、以下3点について説明。 議事(1)計画改定のポイントについて 議事(2)パブリックコメントの報告 会長) ありがとうございます。 意見交換を始めるにあたって、まずは私から補足をさせていただく。 1つ目は、西明石駅について、車椅子の方などが、駅の南側に降りるルートがないことが課題となっている。 国のガイドラインや解説では、大きな駅においては全国的に入口からホームまで1ルート確保することとなっており、それが大体実現してきている。そこで、今後国としては、複数ルートを選べるように、また、車椅子の方が健常者の方と基本同じルートを通れるようにとの考え方でこれから整備をするようにしているところ。 本市の計画においても、この問題の解決が望まれるところだがすぐには解決できないという事で、市としての今後の課題ということを明記して、西明石駅改善を長期課題としてあげている。 2つ目は、学校について、国公立の小・中学校は第一次避難所となっており、車椅子や目の不自由な方々も避難できるよう、法律でバリアフリー化が義務付けられた。今後は、私立の小・中学校、国公立や私立の高等学校、高専、大学についてもバリアフリー化していく必要がある。 3つ目に、新しい課題として、男女のトイレの区別をしないトイレが課題となっており、今の流れでは、性同一性障害の方々への配慮として拡充していく方向で進んでいる。 そういったところで、意見交換に移りたい。 〜議事(3)意見交換@〜 委員) 西明石駅について、南側や東側は整備を行っているが、北側はなにもしていないのではないかとの意見が地元からあるようだが、北側についても長期的な課題として認識しているか。 事務局) 東口北側周辺部分も長期的な課題として認識している。 委員) 明石のまちは道のでこぼこが多いことで歩きにくく、車椅子なども通りにくいとの声をよく聞く。西明石でも多くあると感じるので、修繕をするとよいのではないか。   事務局) 具体的な場所について指摘いただければ、道路部局とも連携をしながら改修していく。   委員) 現在、明石駅及び西明石駅において、ホーム柵の設置が進んでいると聞いている。西明石駅は、新幹線の西明石駅との連携が多いと思うが、新幹線の西明石駅においてもホームドアの設置は進められるのか。   委員) ホーム柵の計画について、西明石駅の在来線の5番6番ホームに2023年11月に設置の予定となっているが、少し計画が遅れているところ。3番4番ホームには、さらに5年後ぐらいの2028年、2029年頃に設置予定と聞いているが、工事の進捗具合によっては遅れることも考えられる。 一方、新幹線については、今のところ計画等は立っていないので、今後の検討の参考にさせていただきたい。   委員) 新幹線についても検討をお願いする。 委員) JRと山陽電鉄の券売機で切符を買う際に困った場合、無人駅ではインターホンでやり取りしないといけないが、聴覚障害者はインターホンが使えないため、今後も対面での応対を希望する。 また、遅延による振替輸送の際に、山陽電鉄は無人駅が多いので、改札での対応に戸惑うという話を聞く。振替輸送の際の対応について、わかりやすい方法があればと思う。 今後もそういった対策を考えていただきたい。   委員) 山陽電鉄においては、無人駅に必ずインターホンを設置しているが、利用できない方にはご迷惑をおかけしている。現在、一部の駅では、インターホンにモニターとカメラを設置して遠隔センターと直接対話できるようにしており、その他の駅にも順次整備を進めているところ。整備が進めば少しは緩和されると考えている。 また、どうしても困った場合は、車掌などの乗務員に 声をかけてもらえれば、乗務員から別の係員を派遣することもできるので、対処法の1つとしていただきたい。 会長) いずれも全国的な課題である。 双方向でコミュニケーションが取れるシステムについては、少しずつ広がってきている。 無人化問題については、先日、国のバリアフリー評価会議近畿分科会があり、意見聴取や議論を行ったところ。非常に厳しい意見もあったが、不便さだけでなく安全問題にもかかわってくる問題なので、鉄道事業者の方をはじめ参考にしていただきたい。 委員) 1点目、西明石の開発について、官民一体となったかなり大きな事業であるが、その中のパブリックコメントがかなり少ないと感じている。県内の他市における、100億円以上の事業では、3000件を超える意見があったと聞いている。 原因としては、パブリックコメントの募集に問題があると考えており、ホームページや広報誌には載っているものの、なかなかたどり着けない。 方法を変えたり、ポスティングなどをすれば、より多くの意見や良い意見が出てくる可能性もあると考える。 2点目、点字ブロックについて、現在の点字ブロックは、車椅子ユーザーにとっては非常に不便なものとなっている。 これも他市の事例になってしまうが、視覚障害者と車椅子ユーザーが話し合いをして、両者ともに使いやすい点字ブロックの使い方を工夫した事例があるので、明石市でも行っていただきたい。 また、動線について、もう少し工夫をして使いやすくすることで、障害者、健常者、高齢者などのみんながわかりやすくなるのではと考えている。   会長) 補足すると、万博のパブリックコメントは1000件近く出てきており、一昨年の関空に関しては千数百の意見が出ている中で、本計画のパブリックコメントは非常に少ない。 この点、市はどのように考えているのか。   事務局) いくつかの計画においてパブリックコメントを行ったことがあるが、市における計画関係全般について、パブリックコメントいただきにくいというのは感じているところ。 市としても、計画は市にとって重要であると認識しているため、より分かりやすく、理解していただけるような形で実施できればと考えている。 会長) 明石市に限らずだが、パブリックコメントの数は少ない。 意見がないのではないので、いろいろと工夫をしていっていただきたい。 点字ブロックについてはどうか。 市) 視覚障害者誘導ブロックの形状については、道路の移動等円滑化基準でその形状が定められており、原則基準に則って整備をしている状況。 ただし、各利用者間で基準が最適だと言えないという意見もお聞きしている。 国の基準で決まっていることであるので、基準等の見直しがあれば対応してまいりたい。 会長) 国の基準に携わっていたため、少し補足させていただく。 ガイドラインを作成した20年前に、車道と歩道の境界について、視覚障害者からは5〜15センチの段差があってもよい、車椅子ユーザーからは段差をゼロにしてほしいとの意見等があり、どのように歩み寄るかの議論があった。 視覚障害者は、2センチであれば不安ではあるが、杖があればなんとかなるだろう、車椅子は2センチを超えると上がることができない、ということで、結局、間をとって歩み寄れたのが、今のガイドラインの基本である段差2センチだった。 しかし、現在では、やっぱり車椅子が上がりにくい、ベビーカーのコマの直径が小さいと段差に当たってしまうなどの問題が出てきており、今後も継続して検討していく必要がある問題である。   委員) 明石市では、新庁舎の建設を計画中であるが、明石市ユニバーサルデザインのまちづくり実行計画の内容は基本的に新庁舎建設の計画に反映されるという理解でよろしいか。 委員) 基本的には明石市ユニバーサルデザインのまちづくり実行計画に則って新庁舎を建設していくということになると考えている。 委員) 新庁舎の設計に携わる事業者にはまちづくりに関する資料は読み込んでもらっているのか。 委員) 明石市ユニバーサルデザインのまちづくり実行計画が今年度改定されるので、改定された計画を確認のうえ設計いただく形となると思われる。 委員) 新庁舎の資料を見ると、基本的なバリアフリーについては当然網羅しているが、明石市らしい庁舎というものを見ることができない。 明石市は、全国に先駆けて様々な条例を作成するなど基本的な理念が先進的であるので、それに伴った設計を考えていただきたい。 私はこの庁舎が明石の福祉、インクルーシブなどを具現化した作品になると思っており、令和5年度は実施設計を行うとのことなので、ぜひ前向きに考えていただきたい。   委員) 委託している設計事務所は全国規模であり、明石のことに非常に精通しているかと言われれば、そうとはいえない部分もあると考えている。明石市らしさというものは、インクルーシブや海のまちなど様々な側面があると考えているが、今のご指摘を踏まえ、委託する市側がソフト面も含めて考えて進めていきたい。 会長) 参考にお伝えしたい。 万博や関西新空港は、計画・設計・施工の全ての段階で、当事者と一緒に考えるということで進めており、専門家だけでは出てこない意見が様々出てきているため、設計に対して、市や当事者が話し合ってなるべく参画していただきたいと考える。 委員) 明石市では、LGBTQの当事者を職員として採用し、今回の新庁舎においても意見交換を行っているところ。 会長) それは素晴らしい取組で、今後も参加し話し合っていっていただきたい。 委員) 最後の意見について、計画の作成段階における参画も重要であるが、具体的に整備を行う段階での参画も非常に重要であるということを最近実感している。 例えばトイレは多様な方のニーズが集約される場であるので、作りこみをどのように行うかという部分は、お互いに折り合いをつけて新しい形を作っていく必要がある。最後に設計を形にするのは設計の専門家であるが、その前段階の考える場に多様な方々に参加いただくことが本当に大事だと思っている。 今回の改定案を見た時に、インクルーシブ条例が柱になって、全国的に見てもこの明石の「明石市ユニバーサルデザインのまちづくり実行計画」が素晴らしいものになっていると改めて感じた。 大きいプロジェクトが動くときは、計画をアウトプットする最大のチャンスなので、積極的に参画の場を作っていただき、整備を進めていただきたい。     〜議事(4)意見交換A〜 委員) 山陽藤江駅について、東側の明石方面に向かう際に、ホームに階段しかないので、車椅子の方は、一度西行きの電車に乗って江井ヶ島駅にいって、東行きの電車に乗り換える必要がある。できるだけ早く改修をして、藤江駅から東行きの電車に乗れるようにしていただきたい。 また、県道718号の歩道が非常にでこぼこで、小学校や病院へ行く際に危険なため、海側の細い道を通っているが、その道も危険な道である。 今回の改定で、藤江駅周辺地区として移動等円滑化促進地区に追加いただき、再度町を見直していく中で、高齢者や障害者にとってバリアが多い町で、外に出ていくことが難しい地域だと感じた。 1日でも早くバリアを解消し、誰も取り残さない、みんなが外に出て自分の好きなことができるような生活環境を地域と一緒に整えていただけるとありがたい。   委員) 山陽電鉄の駅に関して、明石市内では、大蔵谷駅、藤江駅、西江井ヶ島駅、魚住駅と車椅子の方のためのスロープやエレベーターが完備されていないので、順次改修している状態。具体的な日程については現段階では申し上げられないが、最終的には全駅をバリアフリー化する計画である。 今回、藤江駅が新たに移動等円滑化促進地区に追加されることもあり、より力を入れて進めていきたい。 委員) (県道718号の)朝霧二見線につきましては、現在3地区で歩道の拡幅工事事業を進めているところ。 こういった事業を進めるにあたり、兵庫県では「社会基盤整備プログラム」を作っており、現在事業を進めている3地区の後に藤江地区を進める計画となっている。道路の拡幅は、市民の方の用地の提供の協力なしには進まない問題であり、かなりの時間がかかってしまうことにはなるが、最終的には解決するものと考えている。 一方で、歩道の拡幅を待っていられないような緊急を要するような箇所に関しては、大きな事業とは別にできることは進めていきたいと考えているので、個別に明石まちづくり対策室まで相談いただきたい。 会長) それでは、これまで発言されていない市民委員の方に発言いただきたい。 委員) 一般的な意見となるが、ユニバーサルデザインのまちづくりといえば、身体障害者を含めみんなが住みやすい町だと感じている。道路などの問題に関しては、まちあるき等で問題が見つかれば順次改善していこうとのことなので、ぜひ進めていっていただきたい。 また、西明石の開発に関して、にぎわいづくりにはアクセスも重要になってくるので、道路の計画など総合的に考えて計画を進めていただきたい。 委員) 社会福祉協議会では、身体障害や知的障害、精神障害の理解を市民の方に広げるために様々な講座を行っている。 まだまだ十分ではないと思っており、今後も活動を継続していくので、引き続き協力いただきたい。 委員) 観光協会では、ユニバーサルツーリズムを促進しており、観光事業者が車椅子体験やアイマスク体験などを通じて、どのようなおもてなしができるかを考えることで、ソフト面でのバリアフリーに繋がるよう取組を進めている。 この協議会等を通じて、当事者の意見を取り入れて反映できるのかが大きなポイントとなると感じているので、今後も受け入れる側が当事者の方が本当に必要なことがわかるように、ユニバーサルツーリズムを推進していきたい。 委員) 自身が普段の生活において不自由に感じることがなかったので、当事者が不自由と感じていることなどをこういった意見交換の中で周知いただく機会が必要だと感じた。 会長) 商店等におけるバリアフリーや障害者雇用、雇用環境などには、課題が多く存在している中で、商工会議所は非常に大事である。 ぜひとも協議会での意見等を持ち帰って、商工会議所としてできることを検討していただきたい。 委員) 承知した。 会長) その他事業者の方などから意見がございましたら発言いただきたい。 委員) 明石市ジェンダー平等推進室で行っている取組を絡めて1点お願いしたい。 現在、ジェンダー平等推進室では、男性トイレにもサニタリーボックスを設置しようという取組を行っているところ。サニタリーボックスは、生理用ナプキンや尿漏れパットなどを捨てる専用のごみ箱のことで、女性用トイレには当たり前に設置されている。実際、高齢の方や前立腺の手術を受けられた方などは、外出の際に尿漏れパットや大人用のオムツを着用されることもあり、交換しても捨てる場所が無いと大変お困りだとの声もいただいている。 そこで、まずは公共施設からとのことで、市庁舎や駅前の案内所、コミュニティセンターなどに設置しており、賛同いただけた商業施設にも取り組んでいただいている状況。 また、突然男性トイレにサニタリーボックスが設置されても疑問に思われる方もいるため、明石のパパたこのイラストを用いたステッカーも作成・配布している。 市民の方からも、良い取組で助かっているとの声もいただいているので、ぜひ広めていただきたい。 会長) 本協議会では、初めての取組の紹介だったので、大変興味深い。 ぜひ市と話し合っていただいて広めていっていただければと思う。 ちなみに、メンテナンスや費用的にはどんなものか。 委員) 女性トイレには当たり前に置かれており、使用頻度も女性ほど多くないと思われるので、大きな負担にはならないと考えている。また、特にトラブルなども起こっていないと聞いている。 会長) ぜひ進めていただきたい。 委員) 障害について、皆さんの理解を深めるということで1つ。 既に2年ぐらい経っているが、山陽電鉄に知的障害を中心にした理解促進を進める「私のことを知って下さい」というポスターを作っていただいた。 最近ネットで改めて取り上げられたことで、非常に反響があり、他の交通事業者の方にも広がってきているようであるので、ポスターの取組を進めてよかったと感じている。   委員) 2点お願いしたい。 以前、明石駅の周辺で食事をしようとしたが、点字メニューを置いているとことがほとんどなく、とても苦労した。啓発していただき、1件でも多く増やしていただきたい。 また、男性トイレは小便器の数は多いが、大便器の数が少ないことが多い。トランスジェンダーの方は、大便器のみを利用する方も多いと聞いているので、そういった意見も取り入れていただき、西明石の開発を進めていただきたい。 会長) それでは、これをもって意見交換は終了とさせていただく。 事務局から改定案の提示があったが、承認ということでよろしいか。 (反対意見なし) 特に、反対意見がないようなので、承認とさせていただく。 最後に、少し大阪万博について。 大阪万博では、現在7つの委員会があり、バリアフリーガイドラインや交通関係、接遇に関することなどについて議論を重ねているところ。 万博に携わっている委員から、本日の総括を兼ねて、一言ずついただけたら。 委員) 万博において、ハードの整備として、以下の3つのポイントが大きな発展と考えている。 1つ目が、同一動線であるという点。多様な人の動線を分けずに、できるだけ同一動線で会場の中が移動ができるように計画が進められている。 2つ目が、完全ジェンダーフリートイレをベースに会場内のトイレが整備されようとしている点。 3つ目が、カームダウンクールダウン室を会場内にかなりの数を整備することとなっている点。 ソフト面については、計画・設計・施行・運営のプロセスの全てで当事者参画できるよう努力しており、設計者や施行者などの実際に物を作る人に対して直接当事者が参画することがポイントになっていると考えている。 明石市においても、新庁舎の建設や西明石の開発などのビッグプロジェクトがあるとのことなので、直接参画の場を作ることが今後のユニバーサルデザインのまちづくりに必要だと考えている。 3. 副会長総括 副会長) 全体の総括も兼ねて発言させていただく。 本日の協議会では、活発な議論が行われており、明石市だからこそ活発な意見交換が行われると感じた。 例えば、点字ブロックについて、視覚障害者、車椅子のそれぞれの立場からもう一度あり方を検証すべきではないかというようなことや、インターホンは聴覚障害者が使える状況にあるのかなどの発言があった。 このように、まだまだ国の基準やガイドラインは抽象的な部分もあるので、具体的に検討しなければならないことが残っている。 次に、先ほど紹介があった山陽電鉄のポスターのように、全国的にモデルになるような明石方式のようなものを、協議会を続けていく中で作っていければと、改めて思った。 そのためには、先ほど発言があったとおり、当事者参画を全てのプロセスで行っていく必要がある。 例えば、オリンピックパラリンピックで作られた新国立競技場では、車椅子座席の近くににあるコンセントが車椅子からでも挿しやすい高い位置にあった。コンセントは足元にあることが多いが、ちょうどいい高さに設置されているので何故か確認したところ、施行段階で車椅子ユーザーが確認することで、床の近くだと介護者がいないと使えないとの意見があり高さを変えたとのこと。 また、万博では、床材と点字ブロックについてモックアップでの検証を行った。すると弱視の方は、木材と黄色の点字ブロックと同じ色調となり、弱視の方はわかりにくいということが判明したので、点字ブロックの横線に黒い線を引いたり、そこの部分だけ黒くするなど工夫することで、見やすさが段違いに変わった。 最後に、今後も協議会は続いていくので、当事者からの提案を受けて事業者も一緒に向き合っていただき、明石から全国に誇れるものを発信していけるようになればと思っている。 4. 閉会 以上