2023年度第2回明石市ユニバーサルデザインのまちづくり協議会 議事概要 日時:2024年(令和6年)1月31日(水)13:00〜15:15 場所:明石市役所議会棟 2階 大会議室 1.開会 ○事務局より報告 委員の変更について 当日配布資料について 2.議事 〇事務局より、以下について説明。 議事(1)JR魚住駅周辺地区の基本構想(案)について(資料1、2、3) 委員 魚住駅の北側ルートのまちあるきをした中で、職員のサポートのもとで、詳しく事情や意見を聞いていただいた。 最近も、視覚障害者への情報提供について、たこバスの時刻表を案内する方法に関して明石市から質問があり、配慮していただいている。たこバスの時刻表の場合はスマホを使える人であれば、音声で読み上げができるが、スマホを使えない視覚障害者はちょっと難しいので音声案内があれば良いと思う。 委員 前回のまちあるきは、南の方に参加したが、最近、17号みんな公園にも行ってきた。そこで気づいたことが、公園の前に横断歩道がなく、公園の利用者がコンビニなどを利用する場合は200m離れた西か、400m離れた東の横断歩道を利用するしかない。 元気な人は問題ないが、お年寄りや我々みたいな障害者には辛く、子供であれば、道路を横切っていく可能性ある。 ぜひとも信号は無理としても横断歩道を設置してもらえればと思う。 副会長 インクルーシブ公園である17号池魚住みんな公園付近の横断歩道が離れているとの意見。 この点は、たこバスの停留所の問題も関係すると思っている。事務局資料の中では300m圏内に2つ停留所があるので現行の停留場を利用してほしいということだったが、それはあくまで公園ができる前の話。あれだけのインクルーシブな公園ができると人の流れも変わるし、公園からすぐに南に渡りたいときに迂回する必要があるなどで、公園ができる前とできた後では、状況が違う。 交差点の場所を増やしてほしいという意見や停留所を公園の近くに移動ということも含めて考えられないかとも思うが、どうか。 委員 今の質問について、17号池魚住みんな公園を整備する際には、国道2号の乱横断について検討した。 道路の管理者の兵庫県及び警察とも協議を重ねたが、横断歩道は設置する基準があり、横断歩道の間隔には距離が必要ということが1つ。 さらに横断歩道を作るためには人だまりができるようなスペースが必要になってくる。残念ながら公園の前の国道2号の南側には歩道がなく、人が待機するスペースがないということで、横断歩道の設置が今はできないということだった。 ただ、将来において、国道2号の南側に歩道ができれば、改めて横断歩道の設置を検討することを考えている。 また、停留所の話も出たが、現在バスを利用して公園に行きたいとの要望を確認できていない。将来的に、例えば駅から公園に行くのにたこバスの利用者が増えれば、停留所の位置を変更することは十分検討できることかと思っている。 委員 横断歩道の設置において人の待機場が必要だとのことだが、他の道路では待機場がなくても横断歩道が設置されているところがたくさんある。国道にはできないのか。 委員 確かに昔の基準で横断歩道が設置されているところもある。 しかし、現在の基準だと、歩行者の待機場がないと危険なため、横断歩道の設置はできないとなっている。ご理解いただきたい。 副会長 ぜひ継続して検討いただければと思う。 その中で、たこバスの停留所の件は、停留所が離れているからバスを利用する人がいないということも言えるのではないか。利用する人が出てきたら考えるということではなく、公園ができることでどういうニーズが新たに生まれてくるのかということを、踏み込んで検討をお願いしたいということを申し添えておく。 委員 知的障害は、ユニバーサルのまちづくりというハード面の整備に関して、大きな障害はないと思っており、皆さんがハード面において使いやすくなればなるほど、知的障害の人も住みやすくなる。 その中で、安心できるのは、知的障害のある子は道路などに飛び出す子が多いので、歩道を整備して歩道と車道の区別をしっかりとしていただきたい。 それ以外で、一番必要なのはソフト面でのユニバーサルのまちづくりで、心のバリアフリーといったことも合わせることで、まちが良くなっていくと思う。 少しずつ歩きやすい、住みやすいと良くなっていくことは、非常にありがたいことで、今後とも進めていただきたいと思う。 副会長 歩道の整備については先ほどの特定事業の中でも触れられている部分があった。 道路整備について何か意見はないか。 市 魚住駅周辺の道路については、過年度から重点整備地域に設定をし、主に駅に繋がる経路について、歩道の設置などのバリアフリー整備を行ってきた。 この度新たに、道路の拡幅を含め、例えば施設に繋がる視覚障害者誘導用ブロックの整備などを着実に進めていきたいと思っている。 委員 エレベーターの設置について、エレベーターが狭いと感じた。 中尾親水公園のトイレについて、大型ベッドを設置してほしいという意見が印象的だったので、検討をしていただきたい。 また、トイレについて、広さの規格がばらばらと感じており、もう少し広げてもらえるとありがたいし、建物のスペースの都合上無理であれば、他の位置に変更できないか。 副会長 様々な人が一定の距離を取って安心して乗るという意味でもエレベーターのスペースが大事だというご意見と、検討課題になっているトイレの大型ベッドについての意見。 特に魚住駅には、北側も南側もバリアフリートイレが2ヶ所ずつあり、すごいと感じた。一方で、私を含めた参加者の意見として、全てが同じ形状となっているので、様々なニーズを満たすために1つには大型ベッドをつけるなどすればいいのにという意見があった。 事務局 トイレに関しては、TOTOテクニカルセンターを見学するなど、検討を進めているところ。 実際に魚住駅のバリアフリートイレなどの広さを測りに行ったが、設置した当時の基準だと、現在の多様な人が使えるトイレに整備するには課題が多いと実感した。 現在のトイレは非常に多くの機能がついていることで、余計に狭く感じるというところもある。 魚住駅に関しても、例えば現在はバリアフリートイレを男女で分けているが、オールジェンダートイレとして使用できるかなどを考えている。 どのように進めていくかということを含めて検討していきたい。 委員 介助用の大型ベッドをトイレに設置することについては、あらゆるところで会として要望してきた。 現在は、明石駅の「みんなのトイレ」に設置されており、利用しやすくなった部分もたくさんある。計画中の新市庁舎にも設置されるとのことで期待したい。 しかし、既存の施設や商業施設では、まだまだ設置が進んでいないため、改善してほしい。 加えて、以前、伊丹市役所を視察したときに、トイレ以外にベッドを設置した個室が用意されており、すごくいいと思った。大型ベッドをトイレに設置しないといけないという概念ではなく、個室のような設備があってもいいのでは思う。 また、17号池魚住みんな公園の横断歩道に関連するが、先日入口の架橋工事が完了したと聞いたので、その架橋から道路の南へ歩道橋を設置できればと思う。 副会長 重度障害や座位が取れない人で大人となると、身長や体重的にベッドで横にならないとどうしようもない人もいる。大型ベッドや介護ベッドの必要性がまだまだ社会的な認識としてまだまだ浸透してないと思い、社会全体の共通理解にしたいと思っている。 委員 魚住駅の北側ロータリーが、企業や家族の送迎で混雑していることが多く、解消できないか。 また、順次改善されてはいるが、雨の日にズボンの裾が濡れるとの報告があるので、歩道の植栽部分の剪定等の改善をお願いしたい。 委員 魚住駅の北側の国道2号に行くまでが非常に急な坂になっているが、この度歩道に休憩する場所を作るということで、高齢者や障害、体の弱い人に親切な取組みだと思う。 そこで、休憩する場所がどのようなものか、お聞きしたい。 市 ベンチの設置場所について、歩道の幅員は一定幅が必要なるので、幅員を確保しつつ歩道の幅が広い端などに設置するケースもあれば、植樹帯の一部を改修してベンチを設けるケースもある。今後工夫をしながら対応していきたい。 委員 魚住駅のみどりの窓口がなくなるということについて、障害者手帳を持っている人だと100キロを超える遠距離移動のときは割引がある。みどりの窓口がなくなるとどうなるのかと思っている。 委員 魚住駅のみどりの窓口は昨年既に閉鎖しており、現在は、みどりの券売機プラスで切符の案内を行っている。 みどりの券売機プラスでは、オペレーターと通信し、割引証や障害者手帳を遠隔で確認することで切符の購入ができるようになっている。 委員 耳が聞こえる人は対応が可能だが、聴覚障害者はオペレーターとのやり取りが難しい。 そういった場合はどうか。 委員 聴覚障害者については、画面表示で手帳の提示位置を案内しており、画面の案内表示に従って切符を購入いただいている。 また、筆談での案内もでき、券売機のカメラに筆談を希望する旨をメモやスマートフォンの画面などで提示していただきたい。 副会長 コミュニケーションは双方向のものなので、文字で見えたとして聴覚障害、手話で話す人がオペレーターにどのように伝えればいいかという問題が起こっていると感じた。 一度使用してもらい、課題についてはこの協議会でも継続して確認していきたい。 委員 社会福祉協議会では、ハード・ソフトの面で言ったらハードではなく、ソフトの面の取組みを進めているところ。特に各地域での福祉学習として、自治会などからの依頼で年間に90件ほど福祉学習を進めている。 一方、社会福祉協議会として課題と思っているのが、学習の内容について、例えば車いす体験や手話体験などの身体障害の内容に偏っていると感じている。 そこで、現在は精神障害や知的障害についての学習について相談をさせていただいている。 委員 明石観光協会では、先ほど話もあった駅前にあるあかし案内所に併設されたユニバーサルトイレの「みんなのトイレ」を管理している。 介助ベッドについて、前提として障害者の介助を目的に設置しているが、あかし案内所は多くの様々な人が訪れるので、「休憩をするのに使いたい」「ちょっと気分が悪くなったから寝たい」などで利用したいと言われることがある。どこまでが適切な利用かの判断が職員としても難しく、そのタイミングで介助ベッドが必要な人が来たときにどう対応するかも、課題だと考えていた。 社会全体として介助ベッドがなぜあるのかを理解することも必要だと思った。 副会長 非常に大切な視点の指摘をいただいた。特に20年前ぐらいから、いわゆる多機能トイレということで、1つのトイレにいろんな機能を詰め込み、一般のトイレではニーズを満たさない人は多機能トイレを使うという形になった。そして、逆に誰にとっても使いにくい状態になっている。 現在、国では、例えばオムツ替えシートやオストメイトの機械を一般トイレの中にも設けていくなど、多機能トイレと言われているものの機能分散を進めている。これまでの多機能トイレはバリアフリートイレとして、そのトイレでないと用を足せない人、更に用を足すのに介護ベッドの必要がある人も使える方向で整理しているように思う。 もちろん気分が悪いからどこかで横になりたいというのは、そのための休憩スペースが別途必要だと思うが、多機能トイレで休憩するというのは、今まで何でもかんでも多機能トイレでということがもたらした悪弊なのかと思う。 機能分散とバリアフリートイレという方向で、全体として整理が進んでいる中で、使い方も含めて、市民に共通理解を広めていくことが非常に大事。 トイレが誰もが使いやすく、我慢しなくて済むような使い方ができればいいなと思う。 副会長 最初に発言のあった視覚障害者の情報提供の部分で、スマホを使えば大丈夫ということだったが、システムの紹介などあればお願いしたい。 委員 最近では、Apple社のiPhoneが視覚障害又は聴覚障害をサポートする機能がマッチしており、ベンチャー企業が様々なアプリを開発している。 その中で視覚障害者に役立ち、無料でダウンロードできる「Be My Eyes」というアプリがある。世界で540万人にサポートしていただいており、道に迷ったときや時刻表が読めないときなどにスマホのカメラで映すことで誰かにサポートしてもらえる。 他にも様々な方法があり、視覚障害者向けのアプリが開発されてきているので、もっと全国に広まるといいなと思っている。 副会長 IT技術はどんどん活用する範囲広がってきており、様々な場面でこのような情報交換をしていただければと思う。 一方、デジタルデバイドといわれているが、スマホが使えない人が取り残されないように、たこバスの情報提供の方法などを考えていただきたい。 〇事務局より、以下について説明。 議事(2)次年度の予定について 委員 藤江校区まちづくり協議会は、令和2年に藤江近隣の6自治会と連名で、藤江駅の南側の改札口と駅構内のバリアフリー化の要望書を出したところ、この度実際に計画が進んでいるということを聞き、非常に嬉しく思っている。 明石市や山陽電鉄からも詳細を聞いたが、藤江駅南側の改札口の設置と駅構内のトイレも含めたバリアフリー化を、令和6年度で計画を立て、令和7年度に着工、令和8年度に供用と聞いている。 ただ、計画において、現在藤江駅の構内にある踏切を廃止するとされている。そもそも藤江駅南側の改札を要望した理由として、駅西側にある踏切が危険であるため要望した。また、迂回することで移動距離が長くなることは、高齢者や障害者に優しくない改修ではないかと懸念している。 1月19日に明石市に構内踏切の廃止について撤回するよう要望を提出したところではあるが、今後検討いただきたい。 委員 来年度、以前から要望をいただいていた藤江駅のバリアフリー化にとりかかるところ。 この度、構内踏切に関して意見いただいているが、構内踏切に関しては、藤江駅に限らずまだ複数ある。一昨年には、身体障害者が電車から降りた後に構内踏切で死亡事故が発生したこともあり、駅構内踏切の安全性には課題があるという認識を持っており、今回の藤江駅の計画においても、構内踏切の廃止を含めている。 詳しい内容については割愛するが、引き続き、明石市や地元、また基本構想にあたっては分科会とも検討を進めていきたいと思っているので、よろしくお願いする。 会長 本日は時間のこともあるので、課題として来年度でしっかり議論していきたいと思う。 〇事務局より、以下について説明。 議事(3)情報共有及び意見交換 市役所新庁舎におけるUDの取組み(当日配布資料1) 道路のバリアフリーに関するガイドラインの改定(当日配布資料2) 会長 ガイドラインについて補足する。 奈良県で不幸な死亡事故が発生したことを受け、奈良市で様々な実験を行っている。 概ね国と共通した結論ではあるが、一部の寸法等においてガイドラインとは異なる結論が出ていることは、国土交通省において把握しておいていただきたい。 奈良市で行っていたことが情報として入っていないことは遺憾ではあるが、結論としては共通点も多く、若干異なる部分は国交省とも議論のうえ、地元は地元で判断できればと考えている。 委員 1月に改定となり、通知があったというところで、会長の意見については、機会を見て本省に投げかけてみる。 会長 市庁舎の検討について、協議会のメンバーも参加しているようだが、どのように選定し、誰が参加したのか。 事務局 ASK(明石市障害当事者等団体連絡協議会)に声を掛けていただき、参加できる人を募った。 委員 市庁舎の計画については、障害者に対して非常に手厚い対応していただいている。 情報交換も様々行っており、伊丹市役所のバリアフリーが相当進んでいるということで、団体で見学し、様々な意見交換をして、その結果が先ほどの説明に結びついている。 障害者の団体としては、市庁舎のバリアフリー等において十分な情報交換をして、進んでいると理解している。 会長 全国的に見ても非常に画期的な取り組みで、ここまで丁寧にUDをやっているところは他ないと思うので、今後も進めていただきたい。 実施設計はどのような段階か。 市  現在実施設計を取りまとめているところで、今年度中に実施設計を終了させる予定。 来年度から施工業者の選定を行い、来年度の後半から工事に着手する。 まずは、立体駐車場の解体から行う予定となっている。 会長 実施設計段階でも当事者から意見を募る場面があるかと思うので、可能な限り当事者参加をお願いしたい。また、色合わせや配置の細かい部分などの仕上げの施工段階あたりで当事者参画を行い考慮できることを聞いていただきたい。 今行われている関西空港でも、詳細設計で意見があれば修正できたのにという話があったので、今後も当事者参画を続けていただきたい。 市 先ほど説明をした意見交換やTOTOテクニカルセンターの施設見学会については、実施設計の段階で進め反映した。今後引き続き検討する事項についても、意見交換を継続して行い進めていきたいと考えている。 会長 それでは、最後に学識関係者の委員にコメントをいただきたいと思う。 学識 新庁舎に関しては、直接意見を述べさせていただいている。 当事者の参画は行っているが、実施設計の段階からだと修正しにくい部分が結構あったので、今後の建替えや修復においては、まず計画策定段階で意見を聞くようにしていただきたい。 今回の市庁舎についても様々な意見を伝えたが、言い足りなかったと感じている部分は、サイン計画を作成することが難しいということ。様々な他の庁舎を見たが、わかりにくい庁舎もあり、簡単そうで難しいと感じている。 また、新庁舎周辺にある市民会館や新しくできる消防署、駐車場などのランドスケープを考えることも大事な点だと思っている。 魚住については、前回も言ったが、ビフォーアフターを残していただきたい。問題点や解決・改善方法の知見が継承されないことはもったいないので、デジタル的に残していくのが一番良いかと思っている。 また、魚住は勾配がきついので、地図に勾配がわかるようなものを記載いただきたい。 トイレ問題について、コンビニなどとも協力して気軽に借りられるようにできればと思う。 地元の問題としては、自転車が車道の通行となるが、道が狭かったり、歩道が取れなかったりで、毎日ヒヤヒヤするので、どのように共存していくのが良いかという問題がある。 続いて、視覚障害者へのサインだが、アイ・コラボレーション神戸が「NaviLens」という2次元コードを読み取ると情報を伝えてくれるアプリの実証実験を行っており、非常に面白い取組みだった。 また、災害時において、特定経路が避難経路になると思うが、準特定経路のような形で複数の避難経路を作っていく必要があるという意見があった。 最後に、この20年間でどんどん移動しやすいまちができているのは本当にすごいことだと思っている。 学識 まず新庁舎のことで気になったことがあったのでそれをコメントさせていただいて、能登の地震の状況を踏まえて、明石での取組みについて話せればと思う。 新庁舎について、1つは、基本設計・基本計画の段階で空間のゾーニングとしてのわかりやすさをどこまで配慮されたのかというのがちょっと見えないと思っていたが、実施設計からの参加だったということで納得した。これから大きな建物を建てるときは、基本構想や基本計画の段階から当事者が参画することで、空間としてのわかりやすさというのを最初から工夫できれば、ずいぶん変わってくるのではないかと思う。 次に、具体的なところでは、カームダウン・クールダウンスペースを2ヶ所設ける計画になっているが、この配置が本当にここでいいのかというのを当事者に確認しているのかということと、スペースの仕様について、簡易なものを予定されているのかというふうにも読み取れる中で、それでいいのかというようなところを、今からでも検討の余地があるので、ぜひ当事者と相談しながら、より良いものになるように計画されたらいいのではないかと思った。 災害のことも絡めて話をするが、明石市の基本構想の前のマスタープランでは、積極的に避難所となるだろう学校を生活関連施設に位置づけたのは、画期的だったと改めて地震の現場に行って思っている。 今回、錦が丘小学校でエレベーターの整備が短期で位置づけられているが、避難所として利用したときに、例えば車いすトイレの増設が可能かなども含めて、もう一度避難所としてバリアフリーにしなければならないことはないのかとチェックするといいのではないか。 能登の方では、他の自治体と同じように多くの学校が一時避難所になっており、私自身はまだ輪島・珠洲に入っていないが、輪島・珠洲といった壊滅的にやられた地域では、避難所のキャパがオーバーして、ひどい状況になっているというふうに聞いている。 能登の真ん中辺りよりも南のエリアにある七尾市は、ここもかなりの被害を受けていて、多くの人が学校に避難をしているが、学校設備が非常に立派なところが多く、車いす用トイレや体育館に柔道場が整備されているなどのハードがかなり充実していることによって、教室なども活用して車いすを使っているような高齢者もそれなりのスペースをもって避難生活を送られている様子を見ることができた。一方で、ダンボールベッドなどがかなり不足しているようで、スペースは十分確保されているが、就寝する機能としてはまだかなり劣悪な状況が残っている。 とはいえ、やはり学校などのハードにトイレや比較的余裕のある多目的スペースなどを持っておくということが大事だなということを、改めて能登の地震の現場で感じたところ。 その他、能登の被害状況で高齢者や障害者の状況を中心に被災地を回っているが、1.5次避難所といわれるものが県立の体育館等で設置されており、そこに高齢者で見守りや介助が必要な人が多く移動してきて避難している。そこでは2m×2mのポップアップテントと呼ばれるものが整備され、その中で1人ないし2人ずつ入って、DMATという医療系と福祉系の人が入り、見守り活動をしながら、次の避難所を探しているという状態。 自宅では、高齢の夫婦で自立的な生活を営まれていた人が、避難所で環境が大きく変わってしまうことによって、軽度の認知症を患っていたことがわかって自立的な生活のレベルが下がってしまい、介護度が進んでしまうというような問題もたくさん生じている様子だった。高齢者の避難をどう考えるのかというのは正解がないが、いわゆる劣悪な環境だが自宅の方が良いのか、環境はある程度整っているが慣れてない場所に移動する方が良いのかというのは、非常に大きな問題で、日ごろからどのようにしていかないといけないのかというのを考えて備えておくことが大事だと思っている。 その他にも、知的や身体障害者のグループホームや入所施設を回っているが、断水がかなり広いエリアで広がっているので、これから入浴の問題が大きな問題になるのではないかと思っている。 10数人規模の小さなグループホームだと、外部からの支援が入ることで、週に1回程度の入浴をすることが少しずつ可能になっている。しかし、入所者が100人以上の規模の施設では、少しの応援で対応できる規模ではないため、2ヶ月3ヶ月と入浴できない状況が続いてしまうのではないかという状況で、その点について問題提起をしていかないといけないのではないかと感じている。 あまりニュースでは取り上げられていないが、金沢市に近い内灘町では、砂丘の段丘の上にできた住宅地であるということもあり、液状化で住宅の基礎がやられてしまい、集落全体が壊滅しているという状況というようなことも見せていただいた。 輪島・珠洲などの被害がひどかったところから金沢市周辺に障害者の受け入れの依頼が散見されるが、受け入れ体制の情報が整理されていないため、障害者の2次避難がうまくいっていないという状況も確認できており、こういったことは平時からどのように体制を作っていくのかを考えておかないといけないことだったと思う。 関西においても、南海トラフが予想されている中で、具体的に備えていくことが必要だというのと、障害者や高齢者も、慣れない環境に移動して生活することを訓練しておくことも、必要ではないかと改めて感じた。 私が関わっている大阪府摂津市では、水害を想定すると市外に避難しないといけないということがわかっているので、今年は私の研究の一環として、疎開避難訓練を行った。特に、新しい環境が苦手な自閉症を持つ子供がいる家庭の人が疎開避難を訓練しておくことも実験的に取り組み始めているが、そういったことが全国で相互に行われるような取組みが必要ではないかと思っている。 3.副会長総括 副会長 まず、新庁舎の報告について、図面において多機能トイレという名称を使っているが、図を見ると機能分散された車いすも使える広めのトイレということなので、車いすでも入れるという意味でバリアフリートイレとするのが良いのではないか。 また、エレベーターの関係で聴覚障害者の故障時の対応が非常に大切。閉じ込め事故などの際にインターホンのみだと相手が応答してくれているかわからない状態が長く続いてしまう。例えば米原市役所だと、エレベーターのモニターに「係員が向かいます」というような表示ができるように契約を行っているとのこと。ぜひ、閉じ込め事故に遭った際に聴覚障害者だけが余計に恐怖を感じることのないようにしていただきたい。 その上で、今日の会議は、改めてよかったと思った。 ユニバーサルデザインのまちづくり実行計画の最後はちょうどコロナが始まった頃だった。 取りまとめも大変で、合わせてインクルーシブ条例を検討し、2022年に制定された。それらが具現化してきたなと、今日の会議を通して感じた。 特に、魚住地区のまちあるきで状況把握を行い、課題を指摘したことで、例えば案内表示や照明の交換など、できることは素早く対応いただき、一方で課題も議論をしたということに意味があると思う。 特に、協議会のまちあるきとは別に参加者で友人を連れて別の日に点検に行ったという話を聞き、地元住民の熱心な姿に感動した。 さらに、次年度計画ということで藤江地区の基本構想を策定するとのこと。マスタープランを作り、各地区を丁寧に当事者や市民が参画して、基本構想に練り上げていく、本当に全国のモデルになるような取り組みが明石で進んでいると思う。 冒頭にも言ったが、「あのとき苦労したけどユニバーサルデザインのまちづくり実行計画をみんなで作ってよかったな」と思った今日の会議だった。 会長 もうちょっと副会長からお話いただきたい。 まず、この間、関西空港で、トイレの機能分散、つまり一般トイレをわずかに広げて多くの車いすの人が使えるようにする話の詳細に関して。 もう1つが、エレベーターの袖問題について、お願いしたい。 副会長 関西空港でTOTOにトイレのモックアップのモデルを作ってもらい検証した。関西空港の新しいエリアに実際に付いているので、機会があれば見に行っていただければと思う。 機能分散の中では車いす対応簡易型便房と言われたりする、電動車いすは難しいが手動車いすぐらいなら入れる一般トイレが、機能分散ということで作られてきている。しかし、どれぐらいの奥行きや仕様だったら使えるのかという詳細は決まってなかった。 関西空港のときにモックアップで検証したら、最初考えられた奥行1.8mだと、便器があってその手前のスペースに車いすが入ると後ろの扉が閉まらない。あるいは中が狭くて車いすから便器に移乗できない状態となった。 奥行きが2mあるだけで全然違い、1.8mだと、車いすバスケットボールなどで使用するスポーツ用の短い車いすだったら大丈夫だが、JIS規格の手動車いすだったら駄目だったというようなこととかがわかったりしている。ぜひ関西空港に見に行っていただければと思う。 次に、エレベーターについて、籠の大きさは大事だが、エレベーターの両方に袖があると、車いすだと斜めに入るしかない。斜めに入ってしまうと、例えばベビーカーと車いすで一緒に入ろうと思うと入りにくくなる。袖がなかったら壁に平行して入ることができるので、すごく乗り降りがスムーズだったりする。両袖なしが車いすの立場からは一番良いが、視覚障害者にとってはちょっとわかりにくいという場合があるので、せめて片袖というのが良いというのが、関西万博での議論で得た共通理解というふうに思っている。 特に機能分散のときの車いす対応簡易型便房といわれるものの仕様は、ぜひ当事者を交えてチェックをしていただきたいというのと、エレベーターについては片袖をぜひ検討いただければと思う。 会長 関西万博で改定したガイドラインがあり、これは4年前のオリンピックの競技場のガイドラインをしのぐものとして作っており、大抵のことはガイドラインに載っているので参考にしていただきたい。 4.閉会 以上