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更新日:2021年10月20日

「旧優生保護法被害者等支援条例」 案 (テキスト版)

明石市旧優生保護法被害者等の尊厳回復及び支援に関する条例
(略称:旧優生保護法被害者等支援条例)案

我が国にはかつて、障害者を「不良な子孫」と位置づけ、優生上の見地からその出生を防止する目的で、不妊手術や人工妊娠中絶を可能とする優生保護法という法律が存在した。同法は、子を希望する者にとっての基本的人権である、子を産み育てるかどうかを意思決定する権利を障害者から奪い、今もなお旧優生保護法被害者等の心身に多大な苦痛を与え続けている。兵庫県も、同法の趣旨にのっとり、かつては「不幸な子どもの生まれない運動」を唱導し、障害者の不妊手術を推進した。優生思想が法や施策によって推奨されることで、障害者を社会から排除し、差別や偏見の対象とし、その尊厳や人権を否定することが正当化されるなど、社会全体へ及ぼした影響は根深い。
明石市はこれまで、明石市障害者に対する配慮を促進し誰もが安心して暮らせる共生のまちづくり条例を制定し、障害のある人もない人も、だれ一人取り残さない共生のまちづくりを推進してきた。わたしたちが、社会が生み出した優生思想によって深く傷つけられた旧優生保護法被害者等に対し、その悲しみが続く限り寄り添い続けることこそが、真の共生のまちづくりにおいて重要なことである。
わたしたちは、障害者の尊厳を傷つける事態を二度と繰り返すことのないよう、優生思想と向き合う決意を新たにし、この条例を制定する。

(目的)
第1条 この条例は、明石市における旧優生保護法被害者等の尊厳の回復及び支援に関する基本的な事項を定めることにより、旧優生保護法被害者等に寄り添うとともにその必要とする施策を推進し、もって優生思想を決して認めることなく、誰もが疾病又は障害の有無によって分け隔てられることのないまちづくりを推進することを目的とする。

(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
 (1) 旧優生保護法 昭和23年9月11日から平成8年9月25日までの間において施行されていた優生保護法(昭和23年法律第156号)をいう。
 (2) 旧優生保護法被害者等 次のいずれかに該当する者をいう。
 ア もっぱら優生上の理由により旧優生保護法の規定に基づく優生手術を受けた者
 イ もっぱら優生上の理由により旧優生保護法の規定に基づく人工妊娠中絶を受けた者
 ウ ア又はイに掲げる者の配偶者。ただし、当該ア又はイに掲げる者が優生手術又は人工妊娠中絶を受けたときに当該ア又はイに掲げる者と婚姻関係にあった者に限る。
 (3) 市民等 市民及び市内において事業活動又は市民活動を行う者又は団体をいう。

(基本理念)
第3条 旧優生保護法被害者等の支援は、旧優生保護法の規定及びこれに基づく優生手術、人工妊娠中絶等の措置が、旧優生保護法被害者等に対し、生涯にわたり被害を与える著しい人権侵害であったという基本的認識のもと、実施されなければならない。
2 旧優生保護法被害者等の支援は、障害者の権利に関する条約、障害者基本法(昭和45年法律84号)、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号)、明石市障害者に対する配慮を促進し誰もが安心して暮らせる共生のまちづくり条例(平成28年条例第5号)その他関係法令が示す理念と整合性のある内容としなければならない。
3 旧優生保護法被害者等の支援は、旧優生保護法被害者等の判断能力又は複合的な差別の影響など意思表明の支障となる社会的障壁(障害者基本法第2条第2号に規定する社会的障壁をいう。以下同じ。)の有無、程度等に最大限配慮して、必要な合理的配慮の提供とともに実施しなければならない。
4 旧優生保護法被害者等の支援は、旧優生保護法に基づき優生手術、人工妊娠中絶等を受けた者のみならず、その配偶者に対しても、その状況に応じて適切に行われなければならない。
5 旧優生保護法被害者等の支援は、旧優生保護法が法制度をはじめとした社会全体に与えた深刻な影響を踏まえ、直接的な支援としてだけでなく、共生社会の実現に向けた必要な措置として講じられなければならない。

(市の責務)
第4条 市は、基本理念にのっとり、関係機関、関係団体等(以下「関係機関等」という。)と連携し、旧優生保護法被害者等の支援に関する施策を策定し、及び実施するものとする。
2 市は、前項の施策が円滑に実施されるよう、当該施策の実施に係る体制の整備に努めるものとする。

(市民等の役割)
第5条 市民等は、基本理念にのっとり、旧優生保護法被害者等が受けた被害やたどってきた歴史に対する理解を深めるとともに、市及び関係機関等が行う旧優生保護法被害者等の支援に協力するよう努めるものとする。

(相談、情報提供等)
第6条 市は、旧優生保護法被害者等に対し、旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律(平成31年法律第14号。以下「一時金法」という。)に基づく一時金の請求手続に係る問題その他の旧優生保護法被害者等が抱える問題についての相談に応じ、必要な情報の提供及び助言を行うとともに、法律、医療又は福祉に係る機関その他の関係機関等との連絡調整を行うものとする。
2 市は、前項の規定に基づく相談、情報の提供及び助言並びに連絡調整(以下「相談等」という。)を総合的に行うための窓口を設置するものとする。
3 市は、相談等を行うときは、明石市個人情報保護条例(平成13年条例第1号)の規定の趣旨にのっとり、個人情報を適切に管理しなければならない。
4 市は、この条例に基づく支援が旧優生保護法被害者等に適切に提供されるよう、それぞれの障害及び社会的障壁の内容に応じて必要とされる合理的配慮を踏まえた周知及び広報を行うものとする。

(被害調査への協力)
第7条 市は、旧優生保護法に基づく優生手術等(一時金法第2条第2項各号に掲げる者に係る生殖を不能にする手術又は放射線の照射をいう。)に関する調査その他の措置を講ずるものとする。
2 市は、前項の調査その他の措置を行うために必要があると認めるときは、関係機関等に照会して、必要な事項の報告を求めることができる。

(市民等の理解促進)
第8条 市は、特定の疾病又は障害を有すること等を理由として、優生手術、人工妊娠中絶又は放射線の照射を受けることを強いられるような事態を二度と繰り返すことのないよう、すべての市民が疾病又は障害の有無によって分け隔てられることなく相互に人格及び個性を尊重し合いながら共生する社会を実現することの重要性等について、市民等及び医療、福祉又は教育に係る関係者の理解を深めるための施策を行うものとする。

(支援金の支給)
第9条 市は、次に掲げる市民に対して、除斥期間(民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)による改正前の民法(明治29年法律第89号)第724条後段の規定をいう。)にかかわらず、300万円の支援金を支給するものとする。
 (1) 第2条第2号アからウまでに掲げる者であって、令和3年7月1日からこの条例の施行の日まで引き続き市民であるもの
 (2) 前号に掲げる者に準ずる者として、次条第1項に規定する審査会が支援金の支給を必要と認める者
2 前項の規定による支援金の支給は、1人につき1回に限り行うものとする。
3 前2項に定めるもののほか、支援金の支給に関し必要な事項は、別に定める。

(旧優生保護法被害認定審査会)
第10条 市は、支援金の支給要件その他必要な事項を審査するため、旧優生保護法被害認定審査会(以下「審査会」という。)を置く。
2 審査会は、委員5人以内をもって組織する。
3 審査会の委員は、旧優生保護法に基づく被害問題に関し、優れた識見を有する者のうちから市長が任命する。
4 前3項に定めるもののほか、審査会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

附 則
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。

お問い合わせ

明石市政策局市民相談室

兵庫県明石市中崎1丁目5-1

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ファックス:078-918-5102