第2回明石市ジェンダー平等の実現に関する検討会 議事概要                    日時:2022年3月11日(金)14:00〜16:00                    場所:市役所議会棟大会議室 1 開会 2 議事 (1) 事務局報告 ※資料1〜資料3に基づき、事務局より報告 ※委員提出資料1に基づき、委員より報告  「あかしSDGs推進審議会」の会長を務めさせていただいた。会議では、多様な市民の声を反映し、長期総合計画を策定した。この会議は高校生をはじめ様々な年齢層を含み、さらに女性が56%を占めたことは素晴らしい点である。多様な人々が参画することで、「いつまでもすべての人にやさしいまちをみんなで」というスローガンを基盤とした計画ができた。このように、ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョンというのは、単に人権を守るだけではなく、住みよいまちをつくり、社会が発展していくために欠かせない要素だが、その中で最も遅れているのはジェンダーの問題である。  現代社会は、基本的には西洋の男性中心の考え方をベースにしながら成り立っている。しかしながら、社会自体が様々な問題を抱え、格差が徐々に拡大し、紛争が絶えない状況である。さらに経済活動の優先により、地球環境が悲鳴を上げている。このような状況を打破するためには、女性が様々な分野で活躍できる社会を作り出さなければいけない。女性の社会参画を保障する制度をぜひつくってほしい。  明石市は、市民参画条例で「審議会の委員の男女別の数が総数の3割を下回らないようにする」というルールを決めているが、もう一歩踏み込み、ジェンダー平等について市の目指す方向性を明らかにするために条例等を策定するのが良いと思う。「共に参画しながら、みんなで協力して良い状況を作り出す」ことを再認識できるような内容を盛り込めると良い。  さらに男女別割合が3割となっている市民参画条例についても、人口の半数が女性であることから、5割は難しくても4割を目指しながら、底上げされていくと良い。  また、組織や会議の中ですべての構成員が発言でき、アンコンシャスバイアスが働かないルール作りをすることも大切である。自分が参加した市の会議では、最初に発言のルールを参加者全員が共有してから進めたものもあった。  各個人にどんな役割を期待するのかも重要な要素である。日本の文化では、「女性は一歩後ろに下がって慎ましく」という価値観が良いものとされてきた。特に年齢層が上の女性にとって、大勢の中で手を挙げて発言するのは難しい。そのようなアンコンシャスバイアスについて、認識する機会をつくることも大切だと思う。  先ほど女性が管理職の昇格試験を受けないという話があった。幹部からは「女性を応援したいが、女性自身が手を挙げない」という話をよく聞く。これは手を挙げられない環境があるからだと思っている。例えば、育児は男女平等と言われながらも、実際は基本的に女性が担っているという調査結果が出ている。また、女性活躍の観点から、外でも家庭でも働かなければいけない。そのような実態は、様々なデータが示している。  つまり、活躍の場が広がったというよりは、女性のやらなければならないことが増えている現状もあると思う。多くの役割を担う女性が手一杯になり、キャリアアップに意識がいかないのではないだろうか。育児・介護・家事に関しても支援制度を設けて、バックアップすべきである。  明石市は子育て施策に注力し、経済的な支援も手厚いが、病児保育をはじめ、子どもが健康問題を抱えたときに対応できる施設が十分でないと感じている。欧米では整っており、例えば研究者が家事や子育てを心配せずに研究に没頭できる環境がある。このようなことも影響し、今女性の理系研究者の多くが海外に流出している。女性が仕事に集中できる環境を整えると同時に、これから責任のある立場になっていく女性職員に対するリーダーシップ教育や先輩女性が助言するメンター制度なども効果があると考える。 (会長)  事務局から条例改正が必要ではないかという説明があり、委員からも全体の基本となる条例等の制定を検討すべきではないかという意見をいただいた。また審議会等の女性比率の数値目標に係る論点も出た。  数値目標を実行するには、環境整備が必要になってくる。特に育児介護などの負担の女性への偏りがネックになっている。都道府県別のジェンダーギャップ指数を、共同通信と共同で算出したところ、関西圏においては男性の育児家事参加の値が低いことが分かった。兵庫県も低く、兵庫県庁職員の男性の育児休業取得率が全国44位。 ※資料4に基づき、事務局より報告 (会長)  前回の検討会での指摘がすべて反映されており、さらに防災の専門委員会もすでに設置されて、議論も始まっている。大変スピード感が溢れる姿勢に驚いた。敬意を表したい。 ※意見交換(行政委員会、市職員、審議会等) (会長)  審議会については、女性割合3割以上という目標がある中、下回っている審議会が多数ある。実際、都道府県版のジェンダー平等指数で、兵庫県の市町村は審議会の女性割合が近県と比べると低いというデータがある。審議会については、兵庫県は9位。全国的には良いが、例えば隣の岡山県が5位で、大阪府が7位、京都府が6位、滋賀県が2位であり、近県はもっと努力をしている。審議会については、まだできることがあると思っている。 (A委員)  まず、行政委員会の女性割合について意見を述べる。  監査委員は女性割合が25%になっている。議会選出の委員を除いて、必ず1名を女性にしていただきたい。そうすれば最低でも女性割合が25%以上、さらに議会選出の委員のうち1名が女性であれば50%になる。  次に固定資産評価審査委員会委員については、女性割合が33%である。おそらく、弁護士、建築士、不動産鑑定士等の職能団体から選ばれているのではないか。士業は女性の割合が少ないが、特に不動産鑑定士は少ないと聞く。そのような中でも3人のうち必ず1人は女性とするよう心がけていただきたい。その他女性割合が0%の委員会があるのは、特に課題だと感じる。中でも選挙管理委員会の女性割合が0%というのはとても残念。  次に市職員の管理職、監督職の女性割合についてだが、監督職に占める女性の割合比率については、短期目標として23%となっている。しかしながら、実際は21.3%前後で向上が見られない状況で残念。監督職が増えないと、管理職も増えないので、監督職の登用は非常に重要なポイントである。女性が活躍できる環境の整備が進まなければ活躍しにくいと思う。まずは環境整備に注力していただきたい。  もう1点は男性にも言えることだが、管理・監督職になりたくない若者が増えてきている。参画の必要性を常に啓発し、研修し、意識づけることがとても大事だと思う。意識付けが一過性のものになってしまうことも多く、継続した取組が必要である。  環境整備の点だが、女性が活躍できる職場は男性も活躍しやすい職場だと思う。特に男性が育休を躊躇なく取れる職場は、男性にとって非常に働きやすい職場である。育休が取りやすく、家庭の事情で休みやすいため、女性も働きやすく活躍しやすい職場になっていく。男女ともに働きやすい職場として、特に男性育休等が取りやすい職場づくりを進めると、女性が管理・監督職として活躍できると思う。 (会長)  特別職・行政委員会の女性割合について、副市長に女性がいない点は前回も委員より「極めて残念で遺憾である」と意見をいただいている。任期や2名という枠、また議会同意人事など様々な障壁はあるが、0%はさすがに低すぎると思う。 (市長)  市長としては、まず定数が1の特別職について男女割合を議論するのは難しいと考えているが、定数が複数の場合は、改選の時期に合わせてできる限りジェンダーバランスを踏まえた上で選任をすることを心がけていく。  議会の同意や推薦をいただく委員会等もある。例えば監査委員4名のうち2名は議会から選出いただく運用であり、選挙管理委員会も議会の選挙による。そのあたりは議会で議論いただきたい。ただし、監査委員の市長選任の2名については、現在両方男性。同様の状況の委員会等については、改選の時期にあわせて、ご指摘の内容を実行していきたい。 (会長)  前向きな発言として受け止めさせていただいた。市長が男性なので、副市長が2人とも男性というのはバランスが悪い。2人とも女性でもいいくらいだと思う。  それぞれ任期があるので、改選のタイミングで意識をしていくということが重要だと思う。市長選任の監査委員は現在2人とも男性なので、次回の改選から男女1名ずつにしていくという話もあった。現在の女性委員は議員2名のうち1名が女性ということだと思う。ここは数値を下げず、現行の数値を高めるような形で、検討していく必要がある。 (副会長)  制度化の議論を考えたとき、特別職や行政委員会等は、任意設置ではなく法律の規定によるものがほとんどで、法律に基づいて選ばれている。選出について要綱や申し合わせ事項などがあるのか教えていただきたい。ルールがないと市長の意向が変わったなどの理由で元に戻ってしまう。  また、議会選出の委員につきルールはあるのか。例えば、議会選出の監査委員は条例で2名になっていると思うが、男女1名1名にするというような内規や申し合わせ事項があるか。  もう1点、選挙管理委員会委員は議会の選挙により決めるが、その基準を作ることも大事だと思う。 (会長)  制度化が、持続的にジェンダーバランスを保つためにも非常に重要。審議会に係るものとしては市民参画条例があるが、特別職や行政委員会委員の選出に関して、内規等はあるか。 (事務局)  行政委員会の委員の選出について、内規等はない。また、議会の監査委員や選挙管理委員の選挙などについては確認できていない。 (市長)  市長になってから11年間で4名の副市長の選任同意を議会に依頼したが、全員男性だった。  また、教育委員会委員については、かなり意識をした。できる限り子どものいる方を委員に選ぶという国の方針もあり、明石市で初めて教育委員の公募を実践し、その中で保護者委員であり、かつ男女割合に配慮した結果、女性割合が50%となっている。  また、公平委員会についても全員男性だったが、改選に合わせて議会の同意を得て、女性の委員に入ってもらった。まだジェンダーバランスを欠いているものもあるので、改選時に合わせて対応していきたい。内規はないが、今後どのように進めるか検討したい。議会選出等については詳細を把握していない。議会で議論していただければ良いと考えている。 (会長)  副会長にお伺いするが、他の自治体で特別職や行政委員会に関する選出の規定を設けている例はあるか。 (副会長)  知らない。あればもっと進んでいると思う。どの自治体も設けていないのではないか。 (会長)  そうなると、先行的な事例を数多く全国に先駆けて実践している明石市がこの課題についても、いちはやく検討をはじめるということかと思う。  議会については、どのようなルールがあるのか検討会から議会にお伺いすることは可能か。 (事務局)  まずは事務局が議会局にお伺いし、お示しできるものがあれば次回検討会時に報告させていただきたい。 (会長)  方針や配慮しているようなことがあれば、教えていただけると大変助かる。  1点確認だが、逆に人権擁護委員は女性割合が7割を超えており、逆に男性が少ないという問題がある。原因はなにか。 (事務局)  想像になるが、人権推進員として活躍されている方に女性が多いことが影響していると思う。次回検討会までに確認しておく。 (会長)  全般的なジェンダーバランスを図る方向で制度化できることがあれば、次回の検討課題として議論を進めていきたい。  次に職員の女性割合について、ご意見いただければと思う。各役職の女性割合について、主任級は増加し、管理職も微増しているが、監督職つまり係長級だけがこの4年間ずっと平行線である。ここにボトルネックがあるというのが明確だと思う。男性育休の重要性について委員から意見があったが、明石市の男性育児休暇取得率は何%か。 (事務局)  育休100%宣言という取組をスタートしたが、それ以前の育休取得率は女性職員が100%であるのに対して、男性職員は16%であった。 (会長)  16%という数値は行政の中では悪くはないが、まだまだ男女のギャップは大変大きい。 (市長)  男性職員の育休取得率があまりにも低かったので、昨年、男女問わず育休取得率100%を目指す宣言を行った。いきなり長期は難しいと考え、少なくとも10日間は育休を取るというパッケージのメニューを用意した。今のところ、取組開始以降は全員取得で進んでおり、市長部局に関しては、男女問わず数日間は育休を取るという意味で100%は実現できると考えている。数日間でいいのかという議論もあるが、まずは庁内の文化として、当たり前に育休を取る風土を作っていきたい。スタートしたところであり、また経過報告したい。 (会長)  100%を目指すということで、引き続きよろしくお願いする。委員からは、監督職・管理職になりたくない人へのアプローチとか意識付けが重要だという意見、手が挙がらないわけではなく、挙げられない環境があるからだという意見があった。その他具体的な改善方法、発言ルールやアンコンシャスバイアスへの取組など意見いただいたが、環境づくりに関しての意見はいかがか。 (B委員)  女性職員が積極的に監督職にチャレンジできるように、市はどんな環境を整えているか。 (事務局)  主任級が監督職になりやすい環境づくりという点では、まだまだできていないことが多い。エンパワーメントを高める研修などについて検討をしている。具体的な方針は定まっていないため、研修やメンター制度など今後の取組について、意見をいただければと思う。 (市長)  大変重要なテーマであり、市長としても反省の多いテーマ。市長に就任した後、部長級の女性がほとんどいない状況を改善すべく、直接女性職員に話をし、部長級の女性を増やした時期もあった。しかし、市役所全体として後が続いていかなければ持続可能なジェンダーバランスになっていかない。  そこでネックになっているのが、監督職つまり係長のハードル。係長は部下がおり、一定の管理責任に伴うような立場になる。例えば、残業をなくし定時に帰るとか、柔軟な休みの取り方ができるなど、トータルで環境づくりを考える必要がある。単なる啓発や研修だけで解決できるとは思っていない。  また、市長には一定の人事権がある。直近の定例人事に間に合わせるのは難しいが、今の問題意識を背景に、庁内で検討して、年度途中でも特に監督職の女性割合に関して、改善する方向で環境整備とセットで対応していきたい。 (会長)  年齢別の円グラフを見ると、36歳から差がつき始めている。全年齢で見ると主任級の女性割合は改善しているが、男性と比べて5年ぐらい昇進のタイミングが遅くなっているので、この時期に職場から離れていることが後々まで響いているということだと思う。36歳から40歳まで、まさしく子育ての負担が非常に重い年代から、主任になれるような仕組みづくりをしていくことが、将来的に監督職を増やすために必要な取組だと思う。 (C委員)  女性が監督職になるのに二の足を踏む理由を研究して、対応することも有効。現状はやはり男性社会。それが一概に悪いとは言わないが、女性にとっては多くのやりにくいことがある。男性管理職と肩を並べてやっていくことに不安を感じている女性もいる。「フォローをしていきます、大丈夫です」とメッセージを伝えることも大変重要だと思う。また、「オールド・ボーイズ・ネットワーク」という言葉があるように、女性が責任のある立場に祭り上げられても、男性はその困りごとなどに気づかないこともある。良い悪いではなく、それは文化のようなもの。その辺を顕在化して、働きやすい環境を整えるという視点も必要だと思った。 (会長)  アンケートやグループトークなどいろいろな方法でより細やかに意見聴取をして、何が必要か洗い出すと、打開策が見えてくると思う。 (事務局)  資料4の10ページに、プロジェクトチームで明石市の職員305名のアンケートをとった結果を載せている。監督職でなく管理職をイメージしての質問だが、「管理職になりたくない理由は何ですか」という問いに対して、男性は「やりがいを感じない」とか、「自分の能力や経験に不安がある」と答えた割合が高く、女性は「自分の能力や経験に不安がある」に次いで「家庭との両立が難しい」という回答が多かった。この点男性も育休をしっかり取るなどセットで考えていかなければならない。また、イクボス研修なども行っているが、女性職員に対してのアンコンシャスバイアスがあり、上司が育児中の女性職員を「係長級に上げるのは難しい」と勝手に決めつけて、機会を与えないケースがあると聞いている。 (会長)  良かれと思っていることが実は女性のためになっていないことがある。意識付けも重要。 (C委員)  主に選任している関係機関の長が男性であることが多いことが原因で女性割合が上がらない状況が続いていると思う。その辺りを意識することも大切だと思った。 (会長)  ルールとして、代表以外のメンバーも可とすれば、充て職が中心でもジェンダーバランスが取れると思う。また、枠が増やせるようであれば、同じ団体から1人ではなくて、ジェンダーバランスを図った上で2人推薦してもらうことも可能だと思う。 (市長)  防災会議では、避難所運営もテーマとして、専門委員会を立ち上げる形で対応している。  指摘いただいたように、例えば各種団体にお願いする場合に、こちらからの指名は難しくても、複数で男女1名ずつお願いできれば、トップが男性であっても、女性が参加することも可能だと思う。できない理由を探すのでなく、できる方向で調整したい。 (D委員)  審議会における障害のある委員の割合は、把握されているのか。もし可視化されていないのであれば、それは条例に明文規定がないからではないかと思った。  また防災会議の専門委員会に障害者が参画をしているのは、とても良い取組だと思う。防災はもちろんだが、様々な施策が障害者も含めたインクルーシブなものになっていくことが大事。つまり障害分野だけの施策に限定するのではなく、様々な施策の中に、当然障害のある市民も関与している状態が望ましい。障害者問題の主流化や様々な施策のインクルーシブ化の視点からも、現状では障害者に係る明文規定がないが、条例改正にあたって障害に関する明文規定を検討してほしい。  世界の障害者人口は15%程度と言われている。しかし、日本政府が発表している障害者人口は7.5%程度である。これは日本の障害者の定義がすごく狭いということを意味している。明石市の場合はインクルーシブ条例をはじめとする様々な条例があり、明石市における障害者という見方をすれば7.5%を超えていると思う。例えば難病については、その制度の谷間にいる人たちもできる限り支援していく方針になっている。このようなことからも15%と7.5%の間をとるわけではないが、1割ぐらいの障害者委員がいても妥当と思う。 (会長)  審議会等における障害者の割合を算出しているか。 (事務局)  女性の割合の把握については、市民参画条例上に規定があり、その規定に基づき集計している。障害者委員の割合は各会議で把握している可能性はあるが、全体の集計がなされていない。委員のご意見のとおり、明文規定がないということも関係していると感じる。 (会長)  となると、明石市市民参画条例を改正して男女割合を少なくともそれぞれ4割以上とし、加えて新しい条項で、明石市の条例に基づく国よりも広い定義による障害者委員が最低1割を下回らないようにするといったような文言があることが望ましい、という意見でよいか。 (D委員)  そのとおり。障害者の定義は全国的には「障害者手帳を持っている人」のイメージであり、限定的な捉え方をしているが、明石市ではインクルーシブ条例をはじめとして必ずしも障害者手帳を持っている人に限らず、機能障害と社会的障壁によって、いろいろな制限を受けている方という広い障害概念で考えられている。しっかりと明文規定を置いてほしい。 (会長)  WHOの規定の15%と日本の規定の7.5%とで約2倍。とても日本の定義が狭いことに驚かされる。明石市では、その独自の定義における市民の障害者割合を把握しているか。 (事務局)  手帳の取得者については把握しているが、それ以外の方の状況は確認できていない。 (会長)  いずれにしても、障害者を幅広い定義でとらえた上で、他の施策が行われているということなので、それに準拠するのがふさわしいだろう。 (市長)  2点申し上げる。一つは、明石市は障害者権利条約に基づく形で障害者概念を考えている。すでに各種条例でも狭い定義ではなく、国際標準の定義に合わせているので、その定義に基づけば7.5%ではなく1割以上いる状況だと理解している。  続いて、新しい審議会などではかなり意識して、例えばSDGs推進審議会では4名の障害当事者に参加していただいている。30名中4名で1割以上となっている。しかし、他の審議会はそこまで意識できていなかった部分もある。今回の議論により、一定程度見える化されることによって施策が進んでいく面もあると思う。ご意見いただければと考えている。 (副会長)  明石市の内規などで国籍について条項を設けているものはあるか。また、現状では各会議の委員にどのくらい外国籍の方がいるか。 (市長)  明石市の長期総合計画、つまり最も重要な計画を作っている審議会の委員には外国籍の方が2名入っている。やはりSDGsつまり性別、年齢、国籍、障害の有無や程度を問わず幅広くという趣旨であり、一定程度外国籍の委員に参加いただいた経緯はある。ただし、国籍という言葉に関して明確な内規があるわけではない。 (会長)  国籍についても配慮した任命をしてきたということか。 (市長)  最近の新たな審議会に関しては意識しているつもりではあるが、国籍問題に関しては様々な立場や様々な意見があり、それらも含めて議論いただきたい。 ※意見交換(ジェンダー平等プロジェクト報告) (E委員)  前回検討会でジェンダー教育推進校について「いいことだと思う反面、手を挙げる学校はあまりないのではないか」と発言した。学校も様々な用務に手をとられており、必要性は感じながらも積極的に手を挙げづらい状況であることからの発言だったが、小学校4校、中学校2校の希望があったと聞いた。性の多様性について授業や講演会を行うなど今年度も既に取り組んでいる学校があると伺っており、現実、子どもの悩みや教師の問題意識があり、そのような背景から応募があったのだと思う。事務局の丁寧な説明や、学校の意欲がもたらしたものだと思い、敬意を表したい。  学校行事や生徒指導など学校の教育活動全体の中で、ジェンダーの視点を入れて取り組んでいくのが望ましい。推進校が先駆的に取り組めば、市内全体に広がっていくのではと期待している。  また、制服問題について議論が始まっているが、この議論には保護者や地域の方々の意見も非常に重要である。家庭や地域に広げていく必要があることからも、今後も学校の果たす役割は非常に大きい。 (F委員)  資料4の24ページ「意思決定過程」におけるジェンダー平等施策について、前回の議論を踏まえてジェンダー平等の推進に関する条例を検討するという内容が入った。とても大事なことだと思う。「条例の制定を検討する」とあるが、検討会が終わるときには「制定する」や「制定を目指す」といったもう一歩進んだ表現になれば良い。特別職、行政委員会、様々な検討会など、ジェンダー平等の推進の対象範囲についても明記すべきである。少なくともこの検討会が最終的な提言を行う際には、第一段階として条例作りには言及したい。  条例については、これまでの議論から4つぐらい定めることになるのではと考えている。  1つ目は、ジェンダー平等の推進に係る対象範囲について。ぼんやりとした話で終わらせないためにも、行政委員会や特別職を対象にしていくことになると思う。副市長について「最低1人は女性」という規定も考えられるが、明記するとすればどこに書くのかが検討課題。さらには条例で規定したうえで、具体的な規則や要綱などに反映させる作業が必要だ。  2つ目は、数値目標。充て職がある場合であっても、それ自体を柔軟に考えて、かつ、数値を満たすために委員の数自体を増減することも含めた方法を明記しても良いのでないか。  3つ目は、環境整備。環境整備すべきことを法規範化するほうがいいのではないかと思う。  そして最後に、障害者におけるインクルーシブとの調和や、様々な条例、規則、要綱などの修正や検討をしていくことを宣言する。  このような内容を、条例という形で議会のコンセンサスを得ていくプロセスが必要。資料では、24ページの6項目の1つとして位置付けているが、条例については別に1ページ設けて、重要性を1ランクあげるような見せ方ができると良い。 (会長)  ジェンダー平等の推進に関する総合的で包括的な条例を制定することで、このジェンダー平等プロジェクト自体を推し進める基盤ができると思う。  対象の範囲について、この条例は意思決定に関するジェンダー平等の推進に係るものになるので、特別職、行政委員会、審議会はもとより、ありとあらゆる機関が包括的に対象になると思われ、議会や企業も対象になると思う。  ある程度数値も示した方が良いということで、ジェンダー平等という中で女性割合が3割というのでは、根拠が薄く効力も低いのではないかという意見だと思う。女性割合が5割、あるいは4割から6割といった規定を明文化していくことが必要。  その上で、枠を増やしたり、専門委員会を設置したりといった具体的な手法についても言及できると良い。数値目標があっても実行計画がないと絵に描いた餅になってしまう。  そして、今回の条例はジェンダー平等の総合的かつ包括的な条例になるため、障害者は対象とならない。インクルーシブ条例などとの調和を書き込むことによってカバーしていく方向性が良い。ジェンダーと多様性という2段構えの方針を示すことで担保されると思う。 (B委員)  ただいまの意見に全面的に賛成する。 (副会長)  行政委員会や審議会では、数値目標を決めて具体的に動き出すために、内規があると良い。  難しいのは社会や企業に対してである。具体的なイメージが必要。例えば資料4の19ページで公共調達インセンティブについて記載がある。明石市では入札などについて条例による優遇措置みたいなことは実施しているのか。他自治体では実施しているところもあり、優良企業を表彰する制度や認証制度などもある。 (会長)  女性活躍推進法に規定があり、ワークライフバランスにおける優良企業には少し加算があるはず。 (事務局)  公共調達の加点も実際あり、子育て応援企業であることなどを加点項目にしている。 (会長)  条例に記載があれば、それを受けて具体的な公共調達に係るガイドラインができていくと思う。今はワークライフバランスについての加点だけかもしれないが、「女性が会社を先導している企業」のような項目で、女性社員の割合が高い企業や幹部に占める女性割合が高い企業に対して、優先的な取扱いをするといった手法もある。 (市長)  様々な条例を制定してきた中で、市の責務を書くのは簡単で自らに義務を課せば良いが、民間については基本的に市が民間を応援するという書きぶりが多い。事業者や市民の役割といった規定をし、義務を課すことなく、「大事なテーマなので一緒に頑張ろう」というニュアンスで規定したり、関係機関の連携を定めたりしている。  つまり、まず市は責任を持って対応することを自らに課し、民間や企業を含めてしっかりと市が応援し、環境整備していく。その中で先ほど議論いただいたような、加点などの様々な方法がある。あえて条例で書く必要性については議論の余地があるが、まち全体でジェンダー平等を推進することを理念として明記することは、十分あり得ると考えている。 (会長)  民間企業に対してはもちろん理念的な方向付けになると思うが、公共調達に関しては市の責任である。取組としてガイドラインを示すのは非常に重要なことだと思う。 (C委員)  昨日、金融機関と近畿経済産業省が主催の「SDGsシンポジウムin姫路」が開催された。今後温暖化による大規模災害が多発していく中、企業においてSDGsに関する取組がなされないと、世界経済が破綻するという報告書もあった。  SDGsの中にはジェンダー平等のテーマがあり、企業にとっての機運は今からより高まると思う。160名ほどの参加者だったが、皆メモをとって、一生懸命聞いておられた。そのような中、行政がジェンダー平等に取り組むというのは良いタイミングだと思う。  趣旨に賛同する企業トップによるメッセージは必要だと思う。楽天など多くの大企業でも取り組まれており、好事例として紹介されたりもしている。市民に馴染みのある地元企業の好事例を紹介するのも良いかもしれない。  「SDGsで企業はもうかりまっか?」というテーマだったが、実際に利益に結び付くことが多い。経営にとってプラスになることもアピールしながら事例紹介ができると経営者がその気になるのではないか。 (会長)  条例で企業に対する強いメッセージを発信し、インセンティブを付けることができるということだと思う。  「ジェンダー平等プロジェクト報告書概要版案」については、我々の意見を十分に盛り込んで修正されたため、最終案として検討会として強く賛成するということでよろしいか。 ≪委員 賛成≫ (会長)  このプロジェクトを力強く進めていってもらいたい。行政委員会、管理職・監督職、審議会のテーマなど難しい点があり、特に市議会の同意や任期といった問題もあるが、制度化する仕組みがあると、より一層進むであろうという意見もあった。その点、検討いただければと思う。審議会については、市民参画条例を改正して、数値も変え、障害者についても言及することが必要との意見であった。事務局で検討いただければと思う。  また、総合的なジェンダー平等の条例も必要であるという意見をいただいたので、その方向で議論を深めていきたい。次回の検討会にて条例案の骨子を事務局より提出してほしい。  管理職、監督職の数値目標についてもいろいろと検討した。女性活躍推進法の下で明石市特定事業主行動計画として義務づけられていると思うが、こちらの数値も4年前に作成されたものである。今回の条例と行動計画の内容を合わせていく必要があると思うので、条例制定に併せて特定事業主行動計画の改訂が必要な場合には、それも示してほしい。 (2) 委員報告 (会長)  続いて、委員提出資料2について私から説明する。前回、委員より「世界ではどのような仕組みで議会におけるジェンダー平等と多様性を確保しているのか」という説明があった。諸外国の事例を参考に、明石市をはじめとする日本の市議会で仮に進めるとすると、どのような案が考えられうるのかという思考実験のような形で三つほど案を出させていただく。  A案はフランスの県議会で、男女ペアで立候補して、有権者はペアに対して1票を投じるという仕組み。日本で実施する場合、自動的に男女同数の議会が常に実現できるということになる。加えて、多様性を確保するという観点から、男女の性別プラスアルファで障害や年齢など様々な属性を組み合わせた上でペアにする、つまり同じ属性同士ではない組み合わせにすることで多様性を確保する。そのような案も考えうるのではないか。  B案は台湾の地方議会を参考にした例である。台湾には4人に1人は女性でなければならないという規定がある。当選順序に並べたときに、男性、女性、女性、男性の場合には4人のうち2人が女性のため、この場合にはこの4人が当選する。一方で次の例は男性、男性、男性、男性で、1人も女性がいない。この場合は、1人は女性でないといけないので、上位3人は当選するが、4人目の男性を飛ばして次点の女性の方が当選するという仕組みになっている。定数を満たすまでこのやり方を行うのが台湾のやり方である。なお、現在台湾はすでに女性が4分の1以上いるため、このルールを使う必要がない。  C案は、ルワンダの案を少しひねったものである。男性候補者リスト、女性候補者リスト、障害者候補リストに、有権者はそれぞれに1票ずつ投じる。仮に、男性リスト14人、女性リスト14人、障害者リスト2人であれば、それぞれ得票順に当選していく。立候補枠については、障害者は障害者リストから立候補してもよいし、男女リストから立候補してもよいというように選択できる方法もあると思う。  また、男女という区分に対して違和感を持つ方もいる。その場合は、非常にゆるやかな形で設定することも考えられる。つまり、どのリストから立候補してもいいし、選挙ごとに変えることもできるなど男女のリストを強要するような形にしない配慮も必要だと思う。  諸外国の例を日本の自治体選挙に当てはめたときに、考えられる制度について、論点を整理した。実施するに当たっての法的な論点については、副会長からご説明いただく。 (副会長)  これまで日本の選挙制度はほとんど変わっていない。ただ、戦前には連記制があったり、半数改選があったり、今とは違う制度もあった。選挙制度を動かしながら、政治のあり方を考えるのはとても大事なことだと思う。  これまでは立候補における平等性を重視していたが、結果の平等性にまで踏み込めるかどうかが大事なことだと思っている。議会にはほぼすべての重要な権限があり、議会の賛成がなければ地域は動かない。その理由は、議会は多様性に基づく公開と討議を行う機関として権限を有しているからである。多様性に基づかず、また公開討議をしない議会であれば、議会と呼ぶべきでないと思っている。  地方自治の本旨、法律の範囲内で条例を定めることができることは当たり前のことだが、そもそも法律は地方自治の本旨に基づいて成り立っており、地方自治の本旨に基づかない法律には従わず条例を定めてもいいのではないかという議論も成り立つと思っている。  議会の改革が進み、議会基本条例などが制定されてきているが、現状ではまだまだ大きな問題がある。選挙制度としては大選挙区単記非移譲式という、世界では珍しい制度設計になっている。また、性別や年齢など大きな隔たりがあるのが現状である。現状を打開するための議論も検討会の役割と考えている。  さらなる一歩として、多様性を実現させるためにはどうしたらいいかどうか。これは第1原理として議会の存在意義の確認である。第2原理は現行法の解釈だが、現行法の逐条解説でも、ほとんど解説されていない。選挙に関する文脈でいうと公職選挙法の12条と36条であり、12条では、市町村の区域を選挙区とするとあり、選挙区を条例で細かく設置することは可能である。  次が課題だが、36条では一人一票に限ると規定がある。通常は一人一票でなければならないというのが法的な解釈である。そこをどう考えていくか。A案のペア方式であれば一人一票だが、その他の留意点について考えていきたい。  第3原理として機会の平等がある。それを超えて「社会における鏡のような議会」ということで、女性議員の半数の実現、結果の平等への解釈、考え方を変えていけるかどうか、ということがポイントになってくる。先ほどC案として、男女別名簿、さらに障害者名簿も入れ、別々に投票する方法をとるのであれば、全部で3票になる。それぞれのリストごとに票数が分かれてくるため、結果の平等の部分で「私は何票取ったのに落選だ」という議論が起こり得る。これについても考えなくてはならない。  性別ペアについては、政党選挙を念頭に置いた制度設計になっておらず、各個人がペアになる場合は、それぞれ相手を見つけなければいけない。政党に属している場合はある程度可能かもしれないが、ペアを見つけられない人に対しての保障が課題としてある。  憲法の規定から考えると同時に現行法における課題があるので、法律の改正が必要なのか法解釈でできるのかといった落としどころが分からない。  今後は現行法の問題点、解釈変更と改正の可能性、そして短期的、中期的、長期的な議論について、バックキャスティングの考え方で「女性が半分になったら、こんな政治ができる」というイメージを膨らませた議論をしていきたい。人権論ももちろん大事だが「社会にとっても議員にとっても大事」というメリットを明確に打ち出すことも重要。先ほど「SDGsは儲かりまっか?」みたいな話があったが、「こんな社会にしたらいい」「こんな政治をしたらいい」という議論を兼ね合わせて、現行法の体系を考えていきたい。まだ着地点がはっきりしておらず、留意点をお話させていただいた。 (A委員)  私からは、4つ目のD案を提示させていただきたい。  A案は、もしペアが探せなければ立候補できず、被選挙権を侵害する可能性が出てくる。  B案は票数では落選する人が繰り上がって当選するため、平等感の問題や本来落選する人が当選することによるプライドの問題もある。  C案は一人一票制に反する可能性が高い。確かに現在、必ずしも一人一票でなく、小選挙区比例代表並立制などで1人2票ある。趣旨等から憲法等に反しないと解釈されるわけだが、このC案は抵触の度合いが大きいと感じる。  以上から新たな案を提示する。議員の定数の何割かは普通名簿を作り、加えて普通名簿とは別に多様性名簿を作り、そこに障害者や女性など多様な人を入れる。これを全体の3割にするのか、4割にするのかは検討課題である。このような形であれば、女性をはじめとする多様な方が議会に入ってきて目的も達成されると思う。この場合は一人一票制に抵触する可能性がかなり軽減されると考える。 (会長)  C案もD案も一人一票という点では同じだが、リストの対象者が、男、女、障害者という分け方ではなく、一般と多様性という2種類に分けて自己申告で登録するということだと思う。イメージとしてはC案をひねった形。D案を加えて4つの案が並んでいるが、柔軟に議論する必要があると思う。前例がないところに、最大限何ができるかという発想になるので、想像力を膨らませ、ご意見いただければと思う。 (副会長)  ジェンダー平等にすぐつながるかどうかわからないが、連記制度はあり得える。 (会長)  その場合、法律を変えないといけない。C案、D案は、例えば比例区、小選挙区を別枠でとらえているように、選挙区の概念を地理概念から解放した上で、選挙区(リスト)ごとに1票という解釈をしている。いずれにしても、解釈を伴った上でのギリギリの案であることは否めない。 (F委員)  頭の整理ができた。A委員からもD案が提案され、まだまだ検討の余地があり、いろいろな可能性があるということを実感した。副会長の説明で気づかされたが、地方自治の本旨に基づいていない法律であれば、束縛されることなく制度を設計できるということ。どのような制度であれ、落選議員が「不当な結果だ」と争うことはある。チャレンジするときには一定程度の反発は仕方がない。何よりも、地方自治の本旨は何かという根本的な部分も大事だと実感した。ジェンダー平等のための検討会ということで性別にフォーカスして議論や検討をしてきたが、根本的には地方自治の本来のあり方を見直そうとして議論しているということに気づかされた。 (会長)  地方自治の本旨に立ち返って、かつジェンダー平等を実現する仕組みという視点で検討しないといけないということだと思う。 (F委員)  ジェンダー平等は地方自治の本旨そのものだというところまで言えると良い。 (副会長)  住民自治、団体自治という2大テーマがあるが、多様性については、おそらく住民自治のテーマ。政治的決定に多様性が入っている必要がある。一部の人の議論だけで進めてはいけないというのは基本的な方向性であり、多様性の議論からジェンダー、障害者の議論に広がってくると思う。 (会長)  鏡のような代表という考え方は当然賛成だが、とりわけマイノリティの方を少し過大に代表させているという点についてはどう思うか。 (副会長)  大事なことについては、総数にとらわれず、政治の舞台に登場させるべきといった理論は成り立つと思っている。 (会長)  多数者の代表という観点であれば、例えば障害者であれば15%ということで一定の人数がいるが、ものすごく少数である属性は必ずしも代表者を政治の舞台に送れない。逆に多様性という観点であれば、ごく少数であっても代表が認められる属性もあり得るという考え方だと思う。 (市長)  これまで新しい分野に取り組むときには、国の所管省庁に直接行き、擦り合わせをしながら進めてきた。  2つほど例を挙げる。まず明石市では上限300万円の立替支援金を犯罪被害者に支給をしている。これについては、制度上賛否両論があり、法務省や警察庁などと擦り合わせをした上で、若干修正しながら条例化した。  もう一つは、成年後見を利用すると公務員を失職したり、選考を受けられなかったりする規定が地方公務員法にあったが、明石市では「成年後見を利用しても失職しなくてよい」という条例を制定した。当時は総務省が明石市に対して法律違反だと言ってきたが、その翌年に議員立法で地方公務員法が改正され、明石市の条例の後追いになった。  市としてはこの議論も総務省などに問い合わせしながら、論点整理をしたいと思っている。もっとも、今日も多様な意見が出ており、既に多くの論点があるため、テーマごとに議論の濃淡はあると思う。具体的にできることは条例に規定したいと思うが、このテーマについては今後も幅広く議論を継続するイメージを持っている。 (G委員)  現実的に明石市で実施するときのメリットとデメリットをもう少し整理する必要があると思った。実現できれば嬉しい案ばかりだが、進める際の壁も含めて考える必要がある。仮に法律的な部分がクリアできても、議会の反対などがあれば推進は難しい。進めるに当たっては基準を決める必要があるが、その基準により従来と異なる落選者が出てくることに非常に強い抵抗感があるとすれば、進めるのは難しいのではないか。また、今の政治家はだいたいが年長の男性だと思うが、その慣習を壊し、「誰でも市民の代表になれる」というように規範を変えていかなければいけない。  先ほどのD案は非常に良いと思ったが、マイノリティをマイノリティ枠にとどめるような形になってはいけないだろう。デメリットを除去したうえでベストな案を検討していく必要があると思った。 (会長)  B案は非常に難しいと思っている。場合によっては票数の多い男性議員が落選し、票数の少ない女性議員が当選するというケースが生じるので、裁判にも耐えられない。おそらく選挙管理委員会を所管する総務省でもこれは相当難しいという見解になるのではないか。  A案は一人一票という部分はクリアできるが、ペアのうち一人が辞職やお亡くなりになった場合の補欠選挙をどうするかといった仕組みまで考えなければならない。ペア制を導入しているフランスは最初から代理人を選んでいる。ラテン系の国でよく行われている制度で、当選した人は辞職した場合の代理人を選挙のときに指定している。代理人も同じ性でなければならず、何かあったとしても対応できるという仕組みがあった上でのペア制度になっている。日本はそれができない。  C案やD案は日本の法制度の中ではまだ実現しやすいと思う。一人一票という概念を広げ、地理的概念ではない形の選挙区・比例代表と同じものである。すなわち日本の制度に既にある。デメリットとしては、例えば障害者枠を作ったときに、障害者の代表という特定枠の代表だけになってしまわないという懸念がある。  どのような制度が序列を設けず、かつ、限定的な代表にならず、あくまで住民全体の代表であるという前提の下に、多様性を実現できるかという点については、障害当事者との意見交換で深めていきたい。 3 会長総括  本日の議論についての懸念点や優れた点について、次回以降意見をいただきたいと思う。  本日の大きな収穫としては、ジェンダー平等実現に向けて総合的かつ包括的な条例を制定することで、委員の意見が一致したことである。あらゆる意思決定過程に女性やマイノリティの方を入れていくための条例制定ということになると思う。次回は条例骨子案をもとに、さらに具体的に検討していきたい。 4 今後のスケジュール  ・当事者との意見交換日程については以下のとおり   @LGBTQ+当事者等との意見交換    日時:2022年3月17日(木) 10:00〜 ※オンライン   A障害当事者との意見交換    日時:2022年3月28日(月) 15:30〜 ※オンライン  ・第3回検討会は4月14日(木)14:00〜16:00。条例骨子案につき検討