第4回明石市ジェンダー平等の実現に関する検討会 議事概要                    日時:2022年6月3日(金)14:00〜16:00                    場所:市役所議会棟大会議室 1 開会 (会長)  今日は最終回ということで、最後に皆さまから様々な意見をいただき、全4回の議論の結果を提言書という形でまとめていきたい。 2 議事 (1) 事務局報告 ※資料1に基づき、事務局より報告 (副会長)  条例案の構成は、意思決定過程とその他の政策を分けた案であり、メリハリが効いていて良い。どのような議論からこの案になったのか教えてほしい。  また、定義に「意思決定過程」を入れてほしい。インクルーシブ条例では意思決定について「企画立案から評価検証に参画する機会」と書かれていた。今回の条例についても意思決定過程は重要なポイントであり、具体的に記載すべき。広く解釈できるようにしつつ、3章で具体的に限定していくのが良い。  もう一点。推進体制が入っているのは素晴らしいが、進捗状況の報告について記載のないことが気になる。進捗状況の報告は義務化した方が良い。 (会長)  第26条に「進捗状況の管理を含めた必要な体制」とあり、報告を含めた概念ということになる。 (副会長)  それはわかった。後、4章の章名に「その他」とあるが、意思決定過程以外のものであることを明記したほうがわかりやすい。  また、定義の第2条第7号の「市長等」と第8号の「市」は逆にした方が良いと思う。 (会長)  意思決定過程の定義について、副会長の定義はどういうイメージになるか。 (副会長)  インクルーシブ条例のように、計画・立案から評価・検証のあらゆる場面での参画を意思決定過程と位置付けて良いと思っている。 (会長)  今回の条例の「あらゆる場面」とは、市政以外の市民社会まで入っており、計画立案から評価までというと、やや市政に限定された意味合いになってしまうと思う。定義で使うには案の「あらゆる場面」という言葉が最も包括的であり、「計画立案から評価、および市民生活に関わるあらゆる場面」と補足できるとは思うが、逐条解説に記載しても良いと思う。 (市長)  条例を作る際には、条文の文言や他の例規との関係、場合によっては国や県などとの相談結果も踏まえて対応することになる。今日いただいたご意見を踏まえて、しっかり検討する。逐条解説も作り、ご意見の趣旨を記載するようにしたい。 (会長)  副会長のご主旨は「意思決定過程の場面をより包括的に」というものであり、それを定義で縮めてしまうことではないことを確認した。  進捗体制についてだが、この必要な体制とは具体的に審議会を意味しているのか。 (事務局)  計画については、「男女共同参画プラン」という既にある計画をイメージしている。計画において審議会は設けていないが、様々な方のご意見を伺いながら進めていく方向性には変わりはない。その方向性の中で、どのような形が良いか検討したい。 (市長)  明石市では長期総合計画としてSDGs推進計画ができたばかりである。同計画の進捗管理をする機関として「あかしSDGs推進審議会」があり、市民参画の観点からは「市民参画推進会議」もある。テーマ、委員も重なっており、SDGs推進計画、インクルーシブ条例の内容も含めて整理をしたい。 (会長)  第4章の章名については、意思決定過程以外を指し示すもっと良い言葉ということになるが、副会長の意見はどうか。 (副会長)  他の法律も確認する。 (会長)  第2条第7号と第8号の順を入れ替えてはというご意見もいただいている。  条例制定までのスケジュールはどんな感じになるか。 (事務局)  提言を受け、いきなり市議会に上程するのではなく、議会に十分に説明しながら進めていこうと考えている。また、法規審査や市民参画手続も必要であり、これらを経て、条例化を進めていく予定である。早くて今年度の12月か3月議会に上程するイメージになる。スピード感をもって、かつ、委員の皆さまのご意見をお伺いしながら進めたい。 (A委員)  基本理念の次に、4条「市の責務」があり、その次に5条「市民の役割」がある。市の「責務」に対し、市民と事業者は「役割」という言葉を使っているのはなぜか。 (市長)  「市の責務」については、市がしっかり責務を果たすという宣言である。一方、市民や事業者に対して行政が過度に義務を課すことについては慎重なスタンスをとっている。他の条例でも市が責務で、市民や事業者には役割という表現を使うことが多い。  もちろん「市民や事業者も責務を負うべきだ」という意見もあって然るべきだとは思うが、明石市の場合は、市は責務で事業者や市民は役割にし、その後の議論を経ながら、努力義務、法的義務のような順に、段階的に変えていくことが多い。 (A委員)  承知した。後、条例中に「権利」という言葉が入っていることについて、大変感心した。「権利」とは市民の権利であり、個人の権利である。この言葉を使ったことを高く評価したい。  視点が変わるが、条例上市民が権利主体であると位置づけることはできるか。 (事務局)  権利という言葉を直接的に使っているわけではないが、例えば前文から目的にかけて、「性別等による不平等がなく、市民それぞれが自分の意思で生き方を選ぶことができる」「すべての人が個性及び能力を十分に発揮することができる」など「できる」という言葉があり、これらがすなわち市民の権利だと考えている。したがって、条例のすべての部分に権利は根付いている。逐条解説において、そのあたりのニュアンスも考慮した表現としたい。 (市長)  大変重要なテーマだと認識をしている。例えば、明石市では障害者の権利条約を前提として障害者分野に関する条例では権利と書き込んでおり、子どもについても、条例において権利を明確に書き込んでいる。今回は初めてのテーマの条例なので、全体的な調整も兼ね、より幅広く理解を得やすいという観点と、今後につなげるという観点から、現時点ではこの表現にとどめている。自分の思いとしては、もう少し権利について明記し、権利に伴う責務も行政に限らず民間も含めて負うのが望ましいとの考えはあるが、現実的には今回の表現が適切と思っている。 (会長)  前文の最初が人権から始まっているというところは評価できる。  後、条例全体の構成について、意思決定過程と他の施策を分けた趣旨を説明いただきたい。 (事務局)  前回検討会において、骨子案として今回の案つまり意思決定過程と個別施策を分けたものを皆さまにお示したが、まとめた方が良いのではという意見もいただいた。そこで分けたものとまとめたものの両案について、検討会後に皆さまにご意見をお伺いしたところ、今回の案を改めて支持される方が7割ぐらいいらっしゃったのが直接的な理由である。  委員からは「章が分かれていることによって、具体的な方向性が見えて、わかりやすい印象がある」というご意見や「ジェンダー平等において、意思決定過程における平等が特に重要であることから、意思決定過程におけるジェンダー平等について章立てした案が良い」というご意見があった。一方で、分けることでわかりづらくなるという意見もあり、必ずしも今回の案ですべてを網羅できているとは思っていない。今後精査していく中で、なるべくわかりやすい条例になるよう心がけていきたい。 (会長)  まとめるメリットとしては、意思決定における男女平等とそれぞれの施策の対応関係が条文ごとに分かりやい点だと思う。今回の案では、第9条に「参画機会の保障」という表現はあるが、参画機会の保障が施策を進める上でも重要であるとは明示されていない。同条に1項付け加え、「その他ジェンダー平等の推進に向けた基本政策を推進するにあたり、意思決定における参画保障が必要である」と規定しておくと、3章と4章の関係がより明確になると思う。 (市長)  趣旨は承った。今後ご相談させていただきながら、条文修正を進めたい。 (会長)  条例については、皆さまからのご意見を十分にいただいた。あとは様々な過程を経て、より良い、そして日本で初めてジェンダー平等をタイトルとした条例になる。全国的な注目度も高いと思う。良い条例になることを願っている。 (2) 委員報告 ※委員提出資料1に基づき、会長より報告 (会長)  今日に至るまで4回の検討会、そして2回のヒアリングを行ってきた。それらの議論の全体像をこの提言書にまとめて、市長にお渡ししたい。委員全員の総意という形でまとめるので、細かい点を含めて点検いただき、ご議論いただければと思っている。  まず「はじめに」の部分では、明石市がこれまでSDGsに沿ってジェンダー平等を推進してきたこと、一方で日本はジェンダーギャップ指数が低く、ジェンダー平等を進めることが喫緊の課題であるということ、とりわけこの検討会で、意思決定におけるジェンダーバランスに注目しながら議論を進めてきた経緯について記載している。  「検討に至った背景」については、2020年以降LGBTQ+の当事者である専門職員も配置しながらSDGsの取組を行ってきたこと、そして最近では、きんもくせいプロジェクトを通じて、より一層意思決定に女性が参画することの重要性を深く認識してきた背景について記載している。さらにはジェンダー平等に先立つ形で、明石市においては「すべての人が自分らしく生きられるインクルーシブなまちづくり条例」をすでに策定し、誰一人取り残されないインクルーシブなまちづくりを進めている最中にあるという経緯も踏まえた上で、ジェンダー平等の実現に関する検討会が設置された旨を記載している。  3ページの「検討の内容」では、これまで我々が検討してきたことについて簡単に振り返りたい。ジェンダー平等の定義についても議論をし、「A意思決定過程におけるジェンダー平等の実現」が何よりも重要であるという点についてはかなり時間を割いて議論した。「B多様なアイデンティティを持つ人びとの意思決定過程の参画」では、ジェンダー平等とともに様々なアイデンティティを持つ方を参画させていくことが必要であり、複合差別の視点、交差性の視点を併せ持ちながら、ジェンダー平等な意思決定の参画を保障することが私たちの検討課題になっている。そして、課題解決には、当事者の声に耳を傾けるということが非常に重要になるので、様々なアイデンティティを持つ人々として、LGBTQ+当事者の方と障害当事者の方との意見交換会を踏まえて、検討してきたことを述べている。  次に「4 女性の意思決定過程への参画」では、本検討会の最重要テーマについて我々が検討してきたことが記載されている。なぜ意思決定過程に女性が参画することが必要なのか、ジェンダーバランスが必要なのかという背景について、ここで述べている。女性の参画を保障するだけではなく、それを可能にしていく環境整備が必要であり、アンコンシャスバイアスが働かないようなルールづくりや女性が活躍できる環境整備を同時に進めることによって、意思決定過程における女性の参画が実質的になることを謳っている。  「5 女性副市長の登用」では、かねてより副市長に女性を登用するべきという提言があったにもかかわらず、5年たってもまだ実現されていない事実を大変重く受け止め、喫緊の課題であるということを述べている。外部登用や全国公募も含めて検討すべきではないかという踏み込んだ内容になっている。  「6 市職員の女性管理職等割合の引き上げ」では、データに基づき、年齢階層ごとの男女比率を検討してきた。係長レベルまでは増えているが、それより上にいくほど少なくなってしまうという問題が明らかになった。そこをどう解消し、キャリア開発を含めてやっていくのかという問題を議論したところである。それを踏まえて、市の管理職比率の目標値を引き上げて定めるとともに、確実に実行されるよう様々な施策を行うことを述べている。  そして「7 審議会等委員の多様性の向上」については、審議会等の委員会の構成員の多様性を向上させるという内容を、少し踏み込んだ形で記載している。明石市市民参画条例においては、男女別の割合の下限が3割であり、それを4割にする条例改正を提案することを記載している。さらには、10人以上構成員がいる審議会においては、10人ごとに1人以上の委員を障害者とすることを具体的なルールとして示している。そのためにも、必要とあれば、条例の文言についても多様な委員構成を求める内容にすることも併せて提言をしている。その他、防災委員会など充て職が多い会議であっても、枠を増やし代表以外の人選も可能にするなど、様々な工夫が可能であり、それを含めた具体案も提案している。  「8 ジェンダー平等を掲げる新たな条例の制定」では、この検討会のゴールの一つとして議論をし、中身について意見をまとめた。ここで一番重要な点は、意思決定過程におけるジェンダー平等の推進と実質的な参画保障という強い言葉を示すことである。そして、ジェンダー主流化の視点という文言も記載すべきであり、明石市の重要なインクルーシブな理念も盛り込むべきである。そうすることで、多様性の重要性、インクルーシブを多層的に進めていく方向性の一つを示すことができる。また、意思決定過程以外に力点を置いて進めている施策として、防災、教育、家庭・社会、職場に言及している。さらに、今まで明確でなかった推進体制について、その進捗管理を含めて推進体制の充実を示し、計画との連動についても示すことで、今後明石市がジェンダー平等を進めていく全体的な見取り図を盛り込んだ条例になると思う。  「9 諸外国の例に基づいた選挙制度の考察」については、検討会でも時間をかなり割いて議論してきた。検討会における参考資料を盛り込む形で、諸外国の制度について例示している。現状日本の地方選挙においては大選挙区制がとられているが、その前提において、取りうる方法について思考実験をし、A案からD案まで示している。この議論は結論には至っていないため、課題として議論してきた根拠に言及のみしている。法的な問題もあり、果たして本当に運用できるのか、様々な懸念も示されている。様々な案のメリット、デメリットについても今後さらに精査し、日本の地方選挙にふさわしい制度について、引き続き議論する必要があるということを確認したことを記載している。  「10 その他の意見」として、今後も留意すべき点としていくつか皆さまからいただいた意見を入れている。多様な意見、多角的な視点ということに関して、意を尽くしているのかチェックしていただければと思う。  そして、最後に委員全員の氏名、所属を一覧として載せ、参考資料として全2回の当事者との意見交換についての論旨を入れることで、全14ページの提言書になっている。 (A委員)  非常に素晴らしい提言書であり、このような提言書にまとまったことを嬉しく思っている。  3ページの「検討内容等」で、検討にあたっての基本的な考え方が@からCまであるが、Bのところが多少気になる。「多様なアイデンティティを持つ人びとの意思決定過程の参画」と書かれているが、「アイデンティティ」とすると個人の自己定義のような印象を与える。ここでは自己定義というよりは、様々な属性を持つ方が、例えば女性の中でも多様性があることや、男性であってもみんなが優遇されているわけではないことなど、つまり交差性のニュアンスを少し入れるような書き方になれば、わかりやすい。  アイデンティティ、つまり自分自身をどう定義するかではなく、社会がその人をどのように決めつけているのかという視点で、多様な属性を持つ人たちが一般的なカテゴリーに当てはまる健常者より意思決定に参画しにくい社会の問題を取り除く必要があり、様々な障壁があっても、参画できるようにしなければいけないという意味では、アイデンティティという言葉ではなく、もっと違う言葉で表現できて、男女それぞれに多様性があるということを付け加えられれば良い。 (B委員)  様々な意見を丁寧にまとめていただいた。素晴らしい提言書ができ、お礼申し上げる。自分が述べた内容も含まれていることも確認している。  「9 諸外国の例に基づいた選挙制度の考察」だが、項目が書いてあるだけであり、この議論に参加していない第三者が見ると議論の流れが分かりにくいと思う。他のテーマのように少し文章で説明し、「以下のような4つの議論も出てきたが、課題もあり、今後深めた議論が必要だ」という説明を加えた方が、議論に参加してない人には見やすいと感じた。 (副会長)  自分も同意見で、「9 諸外国の例に基づいた選挙制度の考察」については、文章でうまくつなぐ方向で修正できればと思う。加えて、政治分野、特に議会におけるジェンダー平等について、残している課題があることを説明するのが良い。また、議会のあり方におけるジェンダー平等の必要性について記載すべきであり、それから政治分野における男女平等、あるいは様々な議会の取組で女性の議会参加につながる議会サポーターなどについても記載すれば良い。選挙制度の検討については、それほど議論をしていないので記載すべきか悩みどころ。 (会長)  むしろ議会のテーマが我々の検討の初期の目的で、それが条例に置き換わったというのが実態である。議論していないことは書けないが、この後意見をいただければ提言書に盛り込むことができる。  候補者男女均等法の取組についても触れていないので、国全体の取組の中で、明石市としてもやるべき課題があるという現状認識を示した上で、検討した諸外国の制度、それから具体的な改革案について示すことができれば良い。 (C委員)  これだけの様々な意見をコンパクトにまとめていただき、感謝する。 「諸外国の地方選挙制度を踏まえた選挙制度の改善案」の部分だが、私も具体的に言葉を補足したほうが良いと思った。後、課題の最後に「マイノリティをマイノリティ枠に留める形になるのは良くない」とあるが、例えば括弧書きで「一般候補者リストと包括候補者リスト、いずれかを選択して登録を認めるような工夫は考えられる」という内容を付け加えても良い。 (会長)  一般論としてマイノリティの方が目立ってしまう。特殊性があるからである。マイノリティの枠で「あなたはマイノリティとして」というふうに選出されることがその強調を助長すると、マイノリティ性が悪目立ちすることにもつながる。確かにマイノリティの人たちが今まで参画できていない現状を踏まえると、参画できるための制度保障は必要だと思う。しかし、マイノリティを必要以上に目立たせるものであってはならないということも同時に重要である。  さらにマイノリティ以外の人たちにおける多様性が必要である。男性・高齢・健常者・健康・異性愛のシスジェンダーな人を一般とする価値観自体を変えなければならない。一般とマイノリティの二項対立自体を打ち破るようなやり方が必要だが、非常に難しい。マイノリティ性を目立たせない方法があれば良いが、正直難しいと思う。 (C委員)  候補者に対して両方の枠に選択権を与えることによって、少しは目立たないようになると考える。このままではマイノリティをマイノリティとして枠にはめてしまうところが強調されすぎているので、そこを払拭するような文章がどこかに入る必要があるのではないかと思う。 (会長)  難しいが、提言書に落とし込めるかどうかは考えたい。 (市長)  D案についての課題の書きぶりについて、マイノリティをマイノリティ枠に留める形になるのはよくないとの認識はそのとおりだと思う。ここの書き方については工夫がさらに必要である。ご検討いただけるとありがたい。 (C委員)  条例案では、市や市長の責務が中心になり、市民や事業者については役割をお願いする形になっている。条例としては、このような形でやむを得ないところがある。しかしながら、地域コミュニティや企業において、ジェンダー平等は非常に遅れていると感じており、意識を浸透させなければいけない。条例には役割としか書けないので、地域コミュニティに対してジェンダー平等に向けた支援を実施することについて、提言書でもう少し具体的に記載する必要がある。例えば小さなコミュニティ活動に対して、市が出前講座を実施し、啓発をしていくという内容はあってもいいと思った。  また、職場でジェンダー平等を進めることが非常に重要である。やはり日本は遅れている。具体的には、例えば男性の育児休業が進めば、ジェンダー平等が進んでいくと思っている。男性の育児休業の取得に力を入れている企業などに、そうなった経緯について発表してもらう機会を与えるなど周知や啓発を行うことで、育児休業の取得を推進していくことなどを提言するのが良い。 (会長)  今いただいたご意見は盛り込みたい。実際、男性育休を取った企業に助成金を出している自治体はある。 (市長)  今日は最終回であり、今日の意見も含めて、提言書にまとめてもらえるとありがたい。提言に基づいて市としても取り組んでいくが、その中で条例の制定や改正の手続を進めていく可能性が高い。当然パブリックコメントをすることになるし、市の広報誌でも特集記事を組み、多くの市民の皆さまにこのテーマを一緒に考えていただきたいと思っている。加えて、キャンペーンとして駅前のフラッグや横断幕を通じて、ジェンダー平等について周知することも考えている。また、啓発セミナー、フォーラムなどの企画も十分ありうる。このテーマをまち全体で考えていくような機運を高めていきたい。 (D委員)  「市職員の女性管理職等割合」の関係で質問がある。市役所職員はどれぐらい残業しているのか。男性の育休取得を推進し、女性が管理職になるためには残業の問題を解決する必要があると思っている。つまり、残業しないような仕事の仕方、働き方改革という根本的な方向性を全体に取り入れる動きが必要だと思っている。 (事務局)  明石市の場合も、必要に応じて時間外勤務をしている。特に現在は全庁をあげてコロナ対応しており、どうしても時間外勤務が発生してしまっている。そのような中でも、水曜日はノー残業デーにする取組を数年継続しているところである。ご指摘のとおり、管理職が時間外勤務をせざるを得ない状況が続くと、女性管理職のなり手が増えない原因になり、大きな課題と認識している。今後も意識をして取り組んでいく。 (市長)  残業というのは、大変重要なテーマである。残業するのが偉いという発想ではなく、残業せずにその時間内に効率よくやるのが良いと考えている。管理職だから遅くまで残らないといけないわけではない。しかし、まだまだ課題はあり、今回の提言を踏まえて、さらに残業削減の取組を進めていきたい。 (会長)  6(5)の所に「残業の削減を含めて」と文言を足したい。 (D委員)  「9 諸外国の例に基づいた選挙制度の考察」というタイトルに唐突感がある。市に関するテーマが大項目に出ている他のテーマにあわせて「議会におけるジェンダー平等の多様性を実現するための考察」などにするのはどうか。市のどこの部分を取り上げているかという切り口で文言にするとつながりが良い。 (会長)  議会におけるジェンダー平等と多様性は構成員だけの話ではなく、様々な環境整備、人材育成が必要で、この検討会で全く議論しなかったテーマも多い。したがって、「議会におけるジェンダー平等」とするのは難しい。しかし、タイトルを変更した上で、あくまで意思決定における参画の流れで議会が出てきたという立て付けにすれば、今回の検討の実態に近いと思う。  本格的に議会におけるジェンダー平等、それから多様性となれば、やらなければいけないことは他にもあり、全く議論してこなかった点も多くある。別の検討会において議論が進められるべき課題だと思っている。 (副会長)  検討会の資料も提言書の後ろに入れても良いと思う。 (会長)  検討会のホームページにすべて議事録と資料が公開されているが、再度それを付けることも可能だと思う。特に管理職のところの資料は入れても良いかもしれない。 (副会長)  選挙のところで公選法の1人1票を前提にしているが、現在の公選法を変えることを提言として課題の中に入れても良いのではないか。 (市長)  これまでも明石市の取組から法律が変わったことがある。例えば、自分が市長になったときは中核市の条件は人口30万人であったが、地方自治法の改正を働きかけ、要件が緩和され、中核市になることができた経緯がある。また、成年後見制度についても、法律上は成年後見制度を利用すると公務員になれなかったが、明石市では同制度を利用しても公務員になれる条例を作り、その後法律が追随して改正された例もある。 (会長)  公選法の1人1票のところの解釈を少し緩やかにしたり、法を改正したりして、リスト制のようなことが実施しやすくすべきという趣旨で提言したい。 (副会長)  8ページで「市、市議会」になっているが、条例案によると市の定義に市議会が含まれているので、修正した方が良い。 (会長)  市議会は明示するべきなので、「市長等、市議会」と記載するのが良いと思う。 (E委員)  全体的に非常にポイントを分かりやすくまとめていただいている。  「7 審議会等委員の多様性の向上」(1)Aに「委員10人ごとに1人以上の委員を障害者とする」と記載があるが、1人以上というこの「以上」に運用上留意していただきたい。10人ごとということは、19人でも1人になるので、1割よりもかなり下がってしまう。「以上」なので、別に2人でも構わないはず。障害者と一言で言っても、障害種別も多様であり、性別や年齢なども様々である。障害当事者の多様性ということも含めて、「以上」というところを、運用上ご留意いただきたい。  もう1点「10 その他意見」というタイトルをもう少し積極的な表現にしたほうが良い。通常、「その他意見」というのは委員の間で意見が分かれたもの、事務局と意向が違うものを紹介することが多い。しかし、ここで紹介されている意見は、ネガティブな側面はなく、むしろジェンダー平等や多様性社会へ向けた取組というポジティブな意見である。特に、当事者の実質的な参画を保障するための環境整備、定期的な意見交換、多様な人が立候補できる環境整備については、当事者との意見交換の中で出された非常に重要な指摘である。これらについて検討会では異論は何もなく、むしろ非常に重要な意見、指摘がまとめられたと思っているので、もっと積極的なタイトルだとありがたい。 (会長)  「その他意見」については、1行開ける形で少し整理しているが、(1)(2)という形でまとめて出すことによって、より充実した内容が書けると思う。最後の投票に関しても、出てきた意見として記号投票、不要な性別欄の廃止の2点について、具体的な取組として言及すべきと思う。 (市長)  私の思いとしては、様々な障害のある方が投票しやすい環境整備を、ぜひ選挙管理委員会にてご検討いただきたいと強く願い続けている。しかし、それを市長が言うことは、いわゆる選挙の公平性との問題も関係するため難しい。 (会長)  では、選挙管理委員会を明示し、選管として取り組むべきこととして具体例も挙げたい。また、選挙人名簿の性別欄は不要であるとともにアウティングにつながる危険性にも言及し、運用を改める提言もしたい。  さらに立候補者が戸籍と異なる性自認を持って社会生活を営んでいる場合において、性別を確認しない自治体や性自認で可とする自治体もあったが、最近むしろ戸籍が強化される国の流れがあり、それが理由で立候補できない状況を生まない工夫についても記載しようと思う。  審議会等における障害者の参画については、母数によって割合が変わってくるので、「以上」という文言の重みをつけるようにする。また、障害者における多様性、性別、種別については、当事者ヒアリングでも何度もご指摘を受けた。一言で「多様性」という3文字に落とし込むと意味が薄まってしまうため、3(1)Bに、障害の有無だけでなく、障害種別、また男女の中における多様性、交差性ということを記載したい。  また、アイデンティティという言葉は英語と日本語では意味が少し異なり、日本語では自己定義の意味合いが強いという意見もあった。英語では他者が属性を差別する歴史の中で造られた意味合いも含まれるが、カタカナになるとわかりづらい。「多様な属性」という表現が日本語ではニュートラルな言葉だと思う。少し言葉を補い、障害、男女、その他セクシュアリティー等の多様性と交差させて考えていく必要がある。 (市長)  市長としては、障害種別もかなり意識している。障害当事者が1人の場合、車いす当事者など手話や要約筆記などを必要としない方が入ることになりがちである。実際には様々なニーズがあるため、幅広い方の参画が必要だと考えている。10人のうち1人で良いという意味でなく、より多い方が望ましく、幅広い障害種別の中から選出することを考えるべきという観点をいただければ、運用上それを心掛けていくことができる。 (A委員)  「9 諸外国の例に基づいた選挙制度の考察」に関連して、議会における男女平等や参画という意見が出た。「10 その他意見」に「みんなが投票できる選挙にすべき」という内容があるが、これはどちらに入れるべきか。 (会長)  「10 その他意見」の上から3つ目、4つ目の意見が意思決定を支える環境整備のテーマで、一番下が選挙における権利のテーマである。これらは議会におけるジェンダー平等を補完する重要な点である。これらをまとめて「9 諸外国の例に基づいた選挙制度の考察」とするか、今のままとするか。選挙における権利のテーマのみ9に移し、強調するという方法もある。その方が9に実質的な提言も加わり、良いとも思う。検討したい。 (F委員)  まとめていただいたことを感謝する。  さきほどから議論になっている、「9 諸外国の例に基づいた選挙制度の考察」については目指すべき議会のあり方をしっかり前面に出して、諸外国の事例などはあくまで例示的なものとして記載すれば良いのではないか。 (会長)  「9 諸外国の例に基づいた選挙制度の考察」(2)は、資料として扱っても良いかもしれない。資料を充実させるのであれば、諸外国の例示は資料にして、(3)で検討内容を記載し、(4)で留意事項を記載すると、全体のバランスが良いかもしれない。  他の委員の方からも資料を参考資料という形で入れることも検討する。 3 会長総括  提言書については、本日のご意見を踏まえてこれから修正する。一度は確認いただく予定だが、最終的には会長一任ということで進めさせていただきたい。(委員一同 異議なし) 4 今後のスケジュール  ・今後は提言書の内容を確認の上、市へ提出いただく。  ・詳細なスケジュールや提言書の内容については、追って委員に共有する。 5 各委員あいさつ 6 会長あいさつ  4回に渡って、皆さまと充実した議論ができたことを改めて感謝申し上げる。第1回検討会において、「ジェンダー平等を進めるために1番重要なのは、トップが決断力を持ってそれを進めることである。それがないと進まない。」という話をした。今回は、毎回市長に参加いただき、そして明石市を支える非常に有能なスタッフに囲まれて、本当に充実した提言書、そして条例案にたどり着けたと思っている。改めて皆さまに感謝申し上げたい。  意思決定における女性参画や多様性ということが主軸であったが、女性だけではなく、多様性、交差性まで議論できたのは、明石市においてインクルーシブな取組の蓄積があったからこそだと実感している。女性の参画保障については、誤解を受けてバッシングを受けたこともあった。また一番悪いことに、数だけ合わせて登用し、環境整備をしないこともあった。数合わせ的に女性が登用され、うまくいかないと「女性はやはり能力がないから、ふさわしくない」という結論になり、後進が続かないことになる。このような女性活躍の失敗の歴史も日本の各地であった。明石市では、最初からインクルーシブの考え方を持ち、意識啓発を含めて環境整備をしていく土壌があるため、結果が伴うと思っている。本人が参画できるためのエンパワーメントや育成、周りからの支援があることを前提として、参画できる人も多い。そういったことに目配りした提言、条例案にしたい。  形ばかりの女性登用をすると、すぐなり手不足になってしまう。それを解決していくためには、評価軸が変わっていく必要がある。これまでは、男性で健常者かつシスジェンダーの人たちを標準とした評価基準が作られて、それ以外の人は評価されず、能力がないかのように思われてしまっている実情があった。例えば残業できないと能力不足のように思われてしまっているのは、評価軸が誤っているからである。男女問わず活躍を促進し、インクルーシブな職場になることは、これからの時代のモデルとして全国に対して強力なメッセージになるのではないか。  他方、議会のテーマについては、具体的な提案までたどり着くことができず宿題という形になった。ただ、基礎自治体である市における検討会で、議会についてここまで踏み込んだ検討ができたのも明石市が初だと思う。進めていくためには、やはり当事者を巻き込むことが必要になってくる。議会関係者や主権者である明石市民との意見交換を丁寧に進めることが大切である。次なる取組として、明石市ならではの多層的な参画保障のもとで、新たな議会の役割とそこにおける構成員の選び方ということに話が発展できれば、大変嬉しく思う。また、それを今後とも期待したい。そのような基盤づくりができた重要な検討会に参加いただいた委員の皆さん、また支えていただいた事務局の皆さま、本当にありがとうございました。 7 市長あいさつ  ご多忙の中、ご協力いただきありがとうございました。  条例につきましては、丁寧な手続きを経て、議会の方にご判断をいただくが、市としてはこれまでの議論を踏まえて、しっかり丁寧に説明し、提言についても、市の責務において実現していくことを約束する。ゼロからのテーマをここまで検討いただき、本当にありがとうございました。