第3回明石市ジェンダー平等の実現に関する検討会 議事概要                    日時:2022年4月14日(木)14:00~16:00                    場所:市役所議会棟大会議室 1 開会 (市長)  第2回から本日に至る間も、当事者との意見交換に多くの委員にご参加いただき、お礼申し上げる。まずは、すぐにできるテーマということで、市役所内におけるジェンダーバランスの改善に向けて、4月に一定の人的対応などもとった。本日の検討会ではジェンダー平等に関する条例制定と市民参画条例の改正を視野に入れた形で、一定の方向付けをお願いしたい。  もっとも、議会に関わるテーマについては、大変重要ではあるがテーマの性質上様々な調整や議会のお考えもある。統一地方選挙が来年に迫っている状況の中で、拙速に進めるテーマでもないと考えており、本検討会では一定の方向付けのみいただければ大変ありがたい。 2 議事 (1) 事務局報告 ※資料1~資料4に基づき、事務局より報告 ※資料2に関する意見交換 (会長)  当事者の意見交換会については、資料1にポイントを大変分かりやすくまとめていただいた。提言書にも反映させていきたい。  資料2では、着実に女性の管理職、監督職が増えていることがわかった。また、年齢別の男女比率も見える資料になっている。さらに、ジェンダー平等推進室が新設され、推進体制が充実していることは良いことである。 (副会長)  女性の管理職・監督職が増えた要因は何か。 (事務局)  ジェンダー平等について積極的に発信する中で、女性自身の「変わらないといけない」という思いも影響し、より多くの監督職つまり係長職への登用を行った人事異動になっている。今回、一時的に増えているが、継続できるかは、その後に続く職員を育てるためのキャリア支援にかかってくる。キャリア支援をしっかりとやっていきたい。 (会長)  係長級は非常にうまくいっているが、課長級についてはこれからの育成次第であり、キャリア支援や様々な能力評価の仕組みの整備がうまくいかないと、係長になった女性が男性と同じスピードで課長級に進めないということである。やるべきことを進めて、5年後にはこの数値が上がっていることを期待したい。 (A委員)  今回すごく努力をされているが、キャリア支援の体制がとても重要だと思う。今年度又は将来的に考えているキャリア支援の計画等はあるか。 (事務局)  キャリア支援シートの作成を義務づけ、女性職員自身が3年後、5年後に自分がどうなっていくのかを考える機会をつくり、それをもとに上司との面談を実施する流れを検討している。また、女性同士のつながりも非常に大事なテーマである。現在の管理職が係長職の女性職員にもしっかりと目配りをして、声掛けをしていく仕組みも考えていきたい。 (B委員)  前回、特に監督職比率がずっと横ばいであると指摘した。今回、監督職が大幅に増加しているが、女性監督職の数が少ないと管理職が多くならない。監督職を継続的に増やしていくための施策を教えてほしい。 (事務局)  監督職つまり係長職を増やしていくために、まずその前段の主任を増やすことが重要と考えている。主任になるために、筆記試験と面接試験を経て若手を早期に登用する「ポストチャレンジ」という制度があるが、女性職員が試験を受けるタイミングが子育ての時期と重なっており、十分に受験できていない状況も見られた。できるだけ早期に試験勉強に取り組める計画もしている。 (B委員)  今後も、この調子で監督職が増えていく目途はあるか。 (事務局)  適切な人事配置を行っており、女性というだけで能力的に厳しい職員を登用するものではない。今回女性比率が急に上がったように見えるが、これについても、ただ女性だからという理由ではなく、適切な人事評価の中で昇格している。今後についても計画的に進めていく。また、室の中で若手を応援するジェンダー平等推進員を置くことを考えている。まず、職場の中で育成し、相談しやすい体制をとりながら、評価をしつつ、登用していければ良いと考えている。 (市長)  昨年、ジェンダー平等を大きなまちづくりの方向として打ち出した。職員室、そして本人や上司も意識をした結果、これまで監督職になって然るべき職員が、監督職になった経緯がある。つまり、意識の改革によって今回数字が上がった面はある。もっとも、特別な措置をしたのではなく、今回本来監督職になって然るべき職員について対応したので、来年からも同じように増加し続けるかというとそう簡単にはいかない。今後については中長期視点で採用段階からしっかりと意識し、その後もキャリアの見通しをつけながら環境整備をやっていきたい。  子育て時期と重なる時に性別バランスが大きく崩れている傾向は把握できる。さらなる環境整備が不可欠であり、皆さまからご意見をいただきたい。 (C委員)  各段階別の人数とパーセンテージが示されて、しかもそれが性別と年齢ごとに分かれており、非常に分かりやすい資料である。  先進的な女性のキャリアパスを進めているある自治体が分析した結果、女性があまり昇進につながらない部署ばかりを回っていたという事実があり、例えば、男性職員が市の中でも財務や企画系など重要とされている部署を回っているのに対して、女性職場は対人業務などの部署に多く就いている。そうするとキャリアパスにおいて男女で差がつく。その結果、女性が自信を持てずに「自分が上にいってもいいのか?」というような気持ちになってしまうという研究結果があった。自分が昇進してもいいと思えるキャリアパスが形成されているのか検討してみると良い。 (会長)  いわゆるガラスの壁と言われる。明石市における人事配置に関する配慮は「男女でチャンスが異ならないように、男女ともに分け隔てなくキャリアアップができるような部署に配置する」という意味での配慮を既にしているのか。 (事務局)  明石市においても企画調整の部署に男性の割合が多い面はあると思うが、しっかりと女性も参画をしている。今後、配置部署についても考えていくべきだと思っている。 (市長)  市役所における部署は全部大事ではあるが、一般的に予算編成をする財政部局、大きな企画調整をする政策局あたりが、全体に目配りをすべき立場にあり、極端に男性職員に偏っている傾向は現にあったし、改善の途中である。この度の新年度予算の編成協議の場に全員男性職員が集まったため、仕切り直して、女性の職員も入ってもらってから検討を再開するということもあった。部署ごとのジェンダーバランスも当然必要だと思っているので、それも意識しながら今後やっていきたい。大変重要な指摘だと思っている。 (D委員)  係長級に就いた男性職員は、残業しなければならない、休んではいけないというような責任感を持つのは自然なことだと思うが、おそらくその年代は、同時に家庭における育児との両立をしなければいけない世代である。例えば育児休暇をとるなど職務と家庭とのバランスをどれだけ取っているか気になる。男性が仕事以外のところに割く時間をどれだけとっているのかについても見ていく必要がある。 (会長)  明石市の男性の育児休暇取得率について、現状と方向性について説明してほしい。 (事務局)  本市では昨年の8月に育休100%宣言をした。それまで女性職員の育休取得率100%に対し男性は16%でかなりの乖離があった。育休を取ると無給になるなど様々な問題もあり、なかなか取得が進まない中、せめて10日間だけでも家庭と向き合うように「10Daysプラン」を作成した。男性職員も子どもができたら育休取得プランを作成し、上司と面談する方法を導入したところ、それ以降、短い期間の職員もいるが100%取得予定となっている。 (市長)  10日間については100%の給料を補償する仕組みにしている。男性職員自身がプランを作り、上司と面談する形をとることによって、短期間ではあるが、女性のみならず男性も100%の育休取得が続いている。しっかりと継続していきたい。もちろん強制はできないが、環境整備を進めていきたいという趣旨である。  もうひとつは、働き方改革である。現在は「管理職だったら夜中まで働け」という時代ではないが、一定の責任ある立場に就くとトータルで業務を見なければいけない関係から、柔軟に時間のやりくりができない悩ましい部分がある。意識改革と働き方改革をセットにして、中長期的な視野で進めていきたい。 (会長)  女性にだけ発破をかけても進まない。さきほど女性たちのキャリア支援のネットワークの話があり、メンターシップなども充実されていくと思うが、同時に上司が女性職員を支援すること(スポンサーシップ)も必要である。 ※資料3及び資料4に関する意見交換 (会長)  続いて、資料3「(仮称)あかしジェンダー平等推進に関する条例骨子案」及び資料4「明石市市民参画条例改正案」について意見をお願いする。 (副会長)  資料4については、今までの議論の中でこのような方向になるというのは良いことだと思う。  資料3と資料4との関係もあると思うが、全体の体系図、つまり総合計画、自治基本条例、インクルーシブ条例、市民参画条例とジェンダー平等条例がどう関係しているのか教えてほしい。総合条例としての位置づけということで気になった。  また、市民参画条例では推進会議と公表が大事なポイントになっている。ジェンダー平等条例については計画や目標値は作るのか。作るのであれば、どの部署がチェックするのか。  それから、条例中「市」とあるが、これは市民や議会を含まず行政のみを指しているのか。 (市長)  条例は基本的にすべて同じで上下関係はない。ただ、明石市においては憲法的役割としての自治基本条例を制定しており、これが一番根幹にある。  「市」の定義については、自治基本条例では行政だけでなく、議会も含む定義になっている。自治基本条例に基づく条例がいくつかあり、市民参画条例も自治基本条例中で「別条例で定める」とされている。また、議会については議会基本条例が制定されている。つまり、憲法的立場の自治基本条例があり、それに基づいて市民参画条例などがあり、議会には議会基本条例がある。  また、計画については長期総合計画が10年ごとにつくられており、今年の4月から第6次としてSDGs推進計画がスタートする。同計画においては、目標年次2030年に向けて「多様性をしっかり踏まえたまちづくりをしていく」ということが謳われている。  つまり、条例では自治基本条例が重要であり、計画はSDGs推進計画が重要という認識である。今回は、自治基本条例の1つの分野としてジェンダーを位置づける総合的な観点と、すでにある市民参画条例を改正する形で、反映していく整理である。 (会長)  自治基本条例に基づき「市民参画条例」があるのは理解できたが、ジェンダー平等条例とインクルーシブ条例は横並びであると思う。それは市民参画条例の下に属するイメージなのか。 (市長)  「自治基本条例」はまちづくりの根幹であり、憲法的存在。ジェンダーやインクルーシブは、まちづくりの根幹の理念の一つの切り口であり、この3月にインクルーシブ条例を制定し、今回のジェンダーもそれに続くものだと思っている。したがって、他の個別条例よりは、網羅的で総合的な指針になるような位置づけである。市民参画条例も大変重要であり、条例に基づく市民参画推進会議を開催し、市民参画条例の改正などについて議論いただくことが必要と考えている。 (会長)  市民参画条例には推進会議があって、そこが推進体制になっているが、インクルーシブ条例はどのような推進体制になっているのか。 (事務局)  インクルーシブ条例については、誰一人取り残さず、すべての人に係る包括的なものであるとともに、これまでの経緯もあり、障害者施策の内容が色濃く出ている。  進捗管理については、当事者参画を切り口として個別施策に当事者の視点が入るように、「インクルーシブアドバイザー制度」を設けており、この制度により当事者参画を通じたまちづくりが広がっていくという仕組みを作っている。 (市長)  インクルーシブ条例については、このジェンダー平等条例と同じく所管もジェンダー平等推進室であり、内容も大変密接に関係している。インクルーシブ理念のキーワードである「多様性」もこの検討会で具体化されており、例えば、委員が10名以上の場合には障害当事者が1割以上入るといった議論もある。まさにインクルーシブ条例を踏まえた具体化であると理解しており、様々な条例が一体となり、まちづくり、意思決定過程に多様な民意が反映されていくと考えている。 (会長)  推進体制を考えるにあたっては計画が重要。ジェンダー平等推進に係る計画はあるが、それを監督する審議会はないとのことであった。長期総合計画にジェンダー平等推進に係る計画も位置づけられると思うが、今回ジェンダー平等条例ができるのであれば、その中で計画を位置づけ、かつその計画に意見を述べ、進捗状況を監視する審議会が位置づけられるのが、体系としてわかりやすい。 (D委員)  今回は基本的な条例なので、計画や手順、施策について、そこまで詳細には書いていないことは理解できる。言葉の使い方で気になるのが「施策」と「環境の整備」。市が直接進めることができないところは、環境整備という形でモデルを示して、それに向かって進んでいくというイメージだと理解している。  一方、市が主体のもので、すでにある条例や他の計画等に連結できるところは、必要な施策という形で具体的に考え、逆にそれがないところは環境整備に留まっているように見える。言葉の使い分けに意図があるのか。 (事務局)  まず市が実施するものは、個別施策としてある程度、具体的なところまで意識して実施していく意味合いを込めている。施策と環境整備という違いについては具体性の有無にある。環境整備にもハード面だけでなくソフト面もある。表現については今後検討していきたい。 (市長)  そういったことも含めて、今後もご提案いただきたい。条例もいくつか種類があり、例えば給付条例など条例に基づいて金銭給付をするような場合には、かなり具体的なことを規定する。一方で理念的なテーマについては、一定程度抽象的にならざるを得ない面がある。また、市と市以外の民間に係る表現は異なり、市はできる限り責任を果たす観点からしっかりと書き込んで約束をすることが重要だが、民間にいきなり強制するのもよくない。過渡期の状況でもあるジェンダーのテーマについて大きな方向性を伝えたうえで、市として支援の意味で環境整備をするという規定ぶりが、現実的だと考えている。  推進体制についても、いろいろ議論がある。最初から会議体を作る方法もあり、明確な方向性や数値が見えてくるテーマであれば作りやすい。ジェンダーのテーマについては、市役所内のジェンダーバランスでさえ過渡的の状況の中で、クリアな形で数値目標を立て、すぐに進捗管理をすることができるかというと悩ましい面もある。今日の案では、若干そこは控えている。議論いただきながら、一定の方向付けをしていただければと思っている。 (会長)  ジェンダーに関する計画は既にあって、そこに数値目標も出ていた。計画との関係については条例に規定する方が良い。 (C委員)  若干違う観点からの質問になるが、明石市の男女共同参画センターとの協力でこの条例の推進体制を強化していくというような考えはないか。 (事務局)  男女共同参画センターを所管する男女共同参画課は、この検討会にも参加している。この条例を絵に描いた餅にしないためには男女共同参画の推進計画を位置づける必要性があると思う。次期計画の策定に当たっては、この検討会や条例を意識して検討していく。男女共同参画課の本来の役割でもあり、しっかりと一緒に進めていくものと考えている。 (会長)  男女共同参画センターと連携して施策を実施することになると思う。また、市民の意識啓発という意味では非常に重要な役割を果たしていると思うので、条例に位置づけることでセンターの事業も一層発展するのではないかと期待する。 (C委員)  男女共同参画センターが、市と協働してジェンダー平等を進める主体であることが明確になればいいと思った。ただし、センターの位置付けは、委託、市の直営など様々な形があり、役割も異なってくる。 (市長)  男女共同参画センターとジェンダー平等のテーマは極めて密接であり、一緒にしっかりやっていくという方向で間違いない。ただし、明石市の場合、男女共同参画センターは駅前近くのビルにあり、生涯学習と男女共同参画、市民活動支援という3点セットで進めてきた経緯がある。啓発に重点を置いて対応してきているので、ジェンダー平等のテーマを市民と一緒に啓発したり、共同作業をしたりといったところは得意分野だと思う。ただ、市の政策決定を行う部署としての位置づけではなかったので、今回政策局に、新たにジェンダー平等推進室を立ち上げて、全庁的かつ関係機関も全部網羅する形で総合的、俯瞰的に明石市としてジェンダー平等を進めていこうという思いがある。  もう一つは、男女共同参画については、国の法律に基づいて、計画が策定されてきた経緯がある。今回、名称をジェンダーに変えることを視野に入れながら、整理をしていくべきと考えている。市役所も縦割りの面があり、かつ、男女共同参画センターは指定管理制度を導入しているため、急な方向性の転換は難しい。ソフトランディングを視野に検討すべきと考えている。 (会長)  この条例の範囲にもかかってくるが、市民を巻き込む主体として男女共同参画センターは非常に大きな役割を持つ。市民の意識啓発を含めて、役割も明確にした方が良い。 (E委員)  基本理念における「すべての人」には障害者も入っていると思うが、もう少し多様性が読み取れるような条文が必要だと思う。また、女性と障害の交差性・複合差別の問題があるが、これまでの日本では、女性政策と障害政策においてお互いのことが忘れられて、エアポケットになってきていたと感じる。この条例においてもインクルーシブ条例と連動するなど工夫が必要である。  条例骨子案では、防災及び災害に係る基本施策の条文のみ障害者について規定されているが、逆にここにだけ書かれていると他では対象にならないとの印象を与えかねない。  もう1点、基本理念や「性別等に起因する権利侵害の禁止」に係る内容だが、障害者女性へのアンケート調査でDVシェルターがバリアフリー化されていないということを聴いた。その女性はシェルターが使えず、ショートステイを利用して生活していたが、障害者施設は隔離施設でないため、加害男性が追いかけてきて関係を断ち切れなかったそうである。このように障害者女性がDVシェルターを使えない問題があったりする。あるいは「家庭及び社会における取組」で、障害者が家族を形成することをイメージした施策がない。防災及び災害における取組だけではなくて、DV被害者の支援、家庭及び社会における取組においても障害者女性に留意していることが読み取ることができる条例であってほしい。 (会長)  プロジェクトチームの報告においてもジェンダー平等とインクルーシブの二段構えでやっていくとされている。多様性への配慮については基本理念に入れるべきで、加えて各論で障害者、外国人等について列記するか検討することになると思う。 (A委員)  基本理念で「すべての人」と書いてあるのはとても良い。そこに多様性が読みとれるような文言が必要だと思った。また、「事業者」「民間企業等」の用語については統一した方が良い。民間企業等よりは広く事業者という表現が適していると思った。事業者への働きかけ方についても、ある程度踏み込んだ内容で条文を検討したほうが良い。 (会長)  事業者が一番包括的な表現で、その中に民間企業が含まれるので、すべて「事業者」に統一した方が一貫性があるということだと思う。「事業者並びに」などの表現で事業者と民間企業の関係がわかるような文言にすることもできそうである。 (副会長)  これまでの議論の中で、「意思決定」とは行政内部だけでなく、事業者などまで広げると理解している。意思決定の条文に、事業者などが入るべきだと思う。 (会長)  ジェンダー平等を目指す計画がすでにあるのに、現在の条例案では計画との関係性について抜けてしまっている。この条例の理念にも「あらゆる主体が意思決定においてジェンダー平等を目指す」ことを入れるべきだと思う。 (市長)  庁内のプロジェクトチームにおける5つのテーマのうち、意思決定過程がこの条例の主要テーマの1つになっており、残りの4テーマについても基本施策として規定している。もちろんそれ以外のテーマも重要なので、それらのことを基本理念に盛り込むよう整理している。ジェンダー平等はすべてに関わるテーマであることは当然であり、市役所以外も無関係ではない。基本理念と各論のいずれに反映させるのかを今日の議論を踏まえて対応していく。 (会長)  経緯はよく理解できた。基本理念で「あらゆる場において意思決定に参画することができる」と既に書いてあるので、意思決定過程の部分においても、理念に即してあらゆる場への参画を充実させることが必要。また、基本施策についての経緯は理解できるが、なぜこの4テーマなのかという疑問は残る。基本的な総合条例なので、網羅的であるべき。ジェンダー主流化の視点から、「施策の評価」や「ジェンダーの偏りに係る是正」という内容が条例に入ることによって、4テーマ以外のあらゆる施策に、ジェンダー平等の視点を反映させることができるのではないか。インクルーシブ条例に基づき、あらゆる施策においてインクルーシブな理念を横串で刺すことも必要。推進体制も独立した項目として、常設の審議会を設けて進捗体制を図るなど計画との関係性を整理した条文を入れるべきだと思う。  当事者との意見交換で非常に参考になったのは、審議会や市議会において意見を言う機会が定期的にあることが非常に重要という意見である。また、当事者も非常に多様であり、様々な人たちが十分に参画できるようなコミュニティーができることも、本当の意味で参画するためには重要であるという意見が出ていた。この条例にも当事者がしっかり参画できるようなコミュニティーづくりや定期的に意見を聞く場の確保など、市の意見に対してボールを返すだけではなく、当事者団体からの自発的な政策提案や、課題を出せる場があれば、市民参画という理念を活かした画期的な条例になると思う。 (副会長)  推進体制について独立させるのは良い。諮問・答申だけではなく、自分たちのコミュニティーがあり、意見を言える場が必要だと思う。インクルーシブ条例と連動させて広げていただきたい。 (会長)  市民参画条例には様々なことが書かれており、審議会だけでなく、意見交換手続やワークショップ手続、公聴会、それから政策公募その他市民参画手法、政策提案手続、すべてにおいて基盤が整備されているのは本当に素晴らしい。 (市長)  推進体制については、別立ての項目として位置づけたい。この条例制定後、他の条例にもこの条例の趣旨を入れていくことも必要になってくると思うが、今回、一気に他の条例の改正までするのは難しいと思っている。自治基本条例や市民参画条例を踏まえながら、またインクルーシブの観点も何らかの形で読み取れるように網羅していきたい。さらに、このテーマは網羅的で総合的なテーマであることを読み取れるように修正し、次回までに意見をいただけるようキャッチボールを続けていきたい。 (B委員)  基本理念に書いてあるように、多様性や個人の尊厳、それから性の尊重、生殖における健康など非常に大事だと思っている。また、教育における取組については、子どもたちの年齢に応じた適切な性教育も非常に重要であり、書き込んでいく必要があると感じた。 (会長)  性教育は、ジェンダー教育の中でも非常に重要であり、規定ぶりについても検討いただきたい。  ジェンダー平等の定義については、書くべきだと思う。方向性がぶれないよう、言葉を補う必要がある。基本理念の中でだいたい意味は読み取れるものの、明確にする必要がある。  「性別等による差別的取扱いを受けることがない」という内容が書かれているのは非常に重要な点である。ここに差別の定義を置けるとなお良い。国際法上はすでに女性差別撤廃条約で差別の定義が書かれており、それを持ってくる方法もある。あるいは同条約の表現でなくとも国際規範との整合性を十分配慮した上で何らかの文言を入れることができれば、非常に画期的な条例になると思う。 (事務局)  条文化する際には、「ジェンダー平等」など必要な文言の定義が必要と考えている。差別については、定義化は考えていなかった。検討したい。 (市長)  明石市の条例は、特に障害者分野については、国内法だけでなく障害者権利条約を参考にしている。定義は議論が割れることもあり難しい部分だが、次回までに整理したい。 (副会長)  「市」に議会も含まれるのであれば、市の責務に議会の役割をもっと書いた方が良い。後、意思決定過程の項目の構成については、特別職の職員の後に、通常の法律の作り方だと議会を規定する。意見として述べておく。 (市長)  明石市の自治基本条例における「市」は議会を含んでいる定義になっている。条例によって、読み方が悩ましいテーマであるが、改めて1つずつの定義を意識しながら整理をしたい。 (事務局)  自治基本条例においては、市、市長等、市長という表現で使い分けをし、それぞれ定義もされている。そういった観点を踏まえ、それぞれの条文の適切な主語について再度検討する。 (D委員)  障害者という言葉は防災、災害のテーマにしか出てこず、客体として登場している。意思決定の機会に携わる主体としての立場ではなくて、あくまでも配慮しなければならない属性の一つとして女性、乳幼児、高齢者、障害者が挙げられている。ここはやはり参画をするという立場から、「市民との連携のもとで実施する」「多様な人材が主体的に関われる」というところが重要になってくる。  一方、明石市の地域防災計画においては「避難所の運営については、女性の参画を図る」とある。「避難所の運営は女性の参画を図り、生活環境やプライバシーなど女性のニーズに配慮する」とあるのに対し、高齢者、障害者については「きめ細やかな対応に努める」としか書いておらず、参画を予定している内容ではないと感じた。条例を制定するのであれば、地域防災計画も合わせて修正した方が良いと思った。  もう1つは、災害が発生した後の方が実は混乱が多く、当事者や市民の参画が要求される場面が多いので、災害に係る取組においては、女性だけでなくインクルーシブの対象になる方々の参画を求める文言にした方が良い。 (会長)  検討会の流れからすると、防災に係る意思決定についても条例で規定するという方法はあると思う。また、客体として様々な属性に配慮した施策も必要である。意思決定と運営両方で災害前、災害時、その後の復興で整理してもらえればと思う。 (市長)  条例については、今日いただいたご意見を踏まえて、早急に整理修正した上で、改めて皆さまにお送りし、さらにご意見をいただく形で対応したい。スケジュールはタイトだが良いものを作りたい。  繰り返しになるが、基本施策については、庁内の議論と議会の報告を踏まえて作成した庁内プロジェクトの報告書でのテーマを元にしており、例示的に規定している。例えば「明石市こども総合支援条例」では、養育費などの個別テーマについて例示しており、直近の改正でヤングケアラーや子どもの意思決定権も追加している。同様に、基本施策はあくまでも現時点におけるテーマとして整理するのが現実的だと思っており「当事者が客体ではなくて、主人公であり、意思決定の参画主体である」ということを読み込めるよう修正し、改めてご意見をいただきたい。 (会長)  リプロダクティブヘルスライツについてなど、もう少し基本施策を充実させた方が良いテーマもある。他方、総合条例に個別施策があるのも不思議な感じがする。随時アップデートされていくなら納得できるが、推進体制の条文にうまく落とし込んでいければ良いと思う。 (市長)  「明石市犯罪被害者の支援に関する条例」は私が市長に就任した年に制定したが、その後3回も改正しており、犯罪被害者当事者の声を踏まえて項目を増やしている。最初は全体の合意の得られやすいテーマに絞り、1回目の改正で300万を市が立て替えて払う立替金制度を作り、2回目の改正で再提訴する時の費用を補助する制度を作り、また3回目の改正で精神障害での関係で裁判にならなかった人の遺族への支給制度を作った。改正ごとにテーマを増やしていった経緯がある。今回、どこまで網羅的に書き込めるかという論点と思うが、場合によっては基本施策としての各論を無くす方がいいのかもしれない。そこも含めて整理した上でお示ししたい。 (会長)  条例が機動的にバージョンアップされていく明石市ならではの手法だと思う。何をどこまで規定するのか、次回さらに議論を深め結論を出したい。 (2) 提言書の内容確認 (会長)  検討会終了後に提言書を出すことになるため、これから盛り込む内容について残りの時間で意見交換をしたい。次回検討会で会長案をお示しする予定であり、ご意見いただけると大変助かる。 (D委員)  提言書で細かいことまで記載する必要があるのか疑問である。現場では細部についていろいろな問題が起こると思うが、大事なのはやはり幹の部分だと思う。基本理念、基本方針、あるいは施策の大枠などが提言できれば十分ではないか。 (副会長)  ジェンダー平等と言うと、制度的にクオータやパリテの議論になるが、それについてのメリットやデメリット、実現の可否は入れたい。一方で、すぐにできることも提案していきたい。当事者との意見交換では投票時や立候補時のハードルの高さに係る意見もあったので、そういうところも論点になる。これは各自で書くのか。 (会長)  会長案として示す予定である。十分に議論を尽くせなかったことも論点として出すことはできる。選挙に参画するための障壁やその支援について承知した。 (E委員)  自分はずっと障害者専門の分野だけで明石市と関わってきたので、全体の体系を今になって知った。明石市全体が目指しているものや、ジェンダー平等などの様々な施策の関係性を表す見取り図のような分かりやすいものが最初にあったら良いと思った。  後、LGBTQ+と障害当事者の両方に共通しているのが、審議会などへの参加の前提になる「安心して発言できるコミュニティー」の確保や定期的に意見を聞いてもらう機会の確保など日常的に当事者のエンパワーメントにつながるような機会が必要であるということである。その重要性についても触れてほしい。  最後に、投票する際の問題についてである。成年被後見人の選挙権の欠格条項が削除され、記名でなく丸をつける記号式投票制度も生まれた。多様な人に立候補してもらうためには、多様な人間が当たり前に投票できることが必要であるということについて触れてほしい。 (F委員)  当事者との意見交換では「自分たちの声を聞いてもらえる場がなく、大事な場面に自分たちがいない」という意見が多く出ていた。コミュニケーションやコミュニティーを必要としていると感じた。そういう方々が条例を見たときに「自分たちもしっかりこの中に入っている」ことを感じられるものだと良い。大きな方針が示されて、誰ひとり取り残されないような表現の工夫が条例上できれば良いと思う。理念に基づく施策を進めるための仕組みや多様な方々の参画方法などを具体化するのかが一番大事だと思う。 (B委員)  市民が一番直結するのはコミュニティー。コミュニティーにおけるジェンダー平等のあり方を提言することが必要だと思っている。  それからもう一つ、よく問題になっているのが職場におけるジェンダー平等である。職場や事業所、企業内におけるジェンダー平等に関する環境整備について何らかの提言をすることも必要だと思う。また、議員もジェンダー平等で多様性がなければならない。そのために、何ができるのか提言をすることが重要だと考えている。 (A委員)  条例を制定し、委員の定数のジェンダーバランスなどは実現していくと思うが、ジェンダー平等がなかなか実現しない原因である社会の根底にある人々の考え、アンコンシャスバイアスにどう立ち向かっていけるかがポイントの一つだと思っている。コミュニティーを活用し、発言の場を持つなど当事者の意見を聞くことが大切である。  また、女性は子育てと家事をずっと担っていて、今も担わざるをえない状況がある。そこを社会全体としてどうフォローできるかが、ジェンダー平等を実現するための重要な視点だと思っている。女性だけではなく、障害者など様々な立場に置かれた人たちの生活における負担の軽減にもつながる。 (G委員)  これまで当たり前と思っていたことの中に問題がある。無意識や無関心が一番問題で、どう切り込んでいくかが重要。条例や提言によってくさびを入れることで、意識化できるようにすることが大事だと思う。教育の場における性別分担意識もなくなってきてはいるが、細かく見ると気づいていないことも多い。今の当たり前に目を向ける方向性が示されると良い。 (C委員)  多様性や交差性の観点が抜け落ちないようにすることを強調しておきたい。一言で女性、男性といっても、女性の中で全員が異なる立場におり、私たちと障害をもつ女性たちは全然違う差別の経験をしたり、外国人女性は日本人女性が全然経験しない差別を受けたりするのが現実である。女性を一括りにしないような提言になれば良い。ジェンダーとインクルーシブではなくて、ジェンダーそのものがインクルーシブになるような環境整備や自分たちの意識を作っていくことが必要と思った。  当事者の話を聞いて、意思決定ということは非常に高い水準のテーマであることを感じた。日常的な場で自分の意見が言えて聞いてもらえる環境があって、当事者団体での活動が社会に広がっていき、最後に当事者団体を代表できる人が生まれるといった流れがあることを学んだ。当事者団体をサポートする環境整備が必要。エンパワーして自然に「自分ならできる」という気持ちが持てれば良いと思った。 3 会長総括 (会長)  多様な意見ありがとうございます。なるべく完成度の高い提言書にしたいと思う。次回検討会でさらにご意見をいただいて、そこから最終的な提案書を作り、そして市長に手交したい。 4 今後のスケジュール   第4回検討会 6月3日(金)14:00から (市長)  条例については、今日いただいた意見を踏まえて、新たな案を委員の皆さまにお送りしたい。それに対して、改めてご意見をいたき、次回検討会で再度お諮りしたい。  提言書については、次回検討会で内容が固まるとは思えない。さらにご意見をいただいた上で、会長に一任していただき、まとめるイメージを持っている。次回検討会で終わりでなく、その後もご意見をいただくイメージで対応いただければありがたい。