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更新日:2021年6月21日

記者会見 2021年(令和3年)6月4日

「コロナ禍における認知症支援策について」 「医療と教育に関する権限の移譲について」  

資料 コロナ禍における認知症支援策について(PDF:565KB)

資料 認知症後見支援プロジェクトの推進について(PDF:531KB)

市長

本日は2テーマあります。1つ目は「コロナ禍における認知症支援策について」です。特に大きなポイントは2つありまして、1つはワクチン接種が本格化するに際し、認知症の方などがワクチン接種会場に行くときなどに困難が生じたりします。例えばご夫婦で、片方の方がもう片方の認知症の方に付き添っている場合、接種中にもうひと方を診ることは難しくなります。そういったことに鑑み、明石市としては認知症の方についてのワクチン接種会場への付き添いをしたいと考えております。すでに明石市ではそういったサービスを行っており、その対象範囲を拡大する形で実施したいと考えております。

もう1点は、成年後見についてです。明石市ではすでに成年後見支援センターが活動を続けていますが、親族の方が後見申立をしたいと考えていても、お金が一旦かかってしまうなどの課題があり、そういった中で躊躇するといういう状況も耳にします。そういった中で明石市では、そういったテーマについて市が公的助成をする、税金で助成し場合によっては立替をしてでも、しっかりと必要な方が成年後見を利用いただけるようにしていくというテーマです。

最近では銀行などが認知症の方について、成年後見制度を利用せずにというようなことを言っていますが、本来必要な方にはちゃんと成年後見制度を使っていただくのが筋で、制度が使いにくいからといって、法的に許されないような行為をするのは間違っています。明石市としてはそちらではなく、そのハードルが高いのならハードルを低くすべく、税金で支援してでも本来の姿にしていくという観点で位置付けています。

高齢者総合支援部長

本市では令和2年10月から、「認知症あんしんプロジェク」トということで、様々な支援を実施してきました。令和3年度もこのプロジェクトを推進していく中で、コロナ禍を踏まえ、市民により寄り添った形の事業を実施していきたいと思っています。

まず寄り添い支援サービスですが、これまでも留守番や外出時の見守り、話し相手、外出支援等を実施していますが、本市でも今週から新型コロナワクチンの接種が開始されています。その際に支援員が一緒に同行し、安心してワクチン接種が受けられるような支援をしていきたいと思います。さらに買い物やゴミ出し等、コロナ禍ですので、できるだけ家の中に入らなくても簡単な支援が出来るような、ちょっとしたお困り事にも対応しているようなサービスも対象にしていきたいと思っています。

続いて面会支援ですが、介護施設では現在、コロナ禍で面会が制限されているような状況です。なかなか入所者の方の刺激もあまりない中で、入所者の方が孤立し、その結果認知症が進行するなどの影響も少なくありません。施設側もオンライン面会などで、様々な工夫をされているところですが、今後さらに入所者との面会を進めていただきたく、各施設が工夫されている情報を共有したり、施設や入所者のご家族が安心して面会や交流できる整備が出来るよう、市として支援していきたいと思います。

生活支援室課長

認知症後見プロジェクトの推進についてです。お年寄りの方が抱えておられる悩みのうち、特に寄せられる相談が多いものを記載しています。もともと高齢化が進展しており、このような問題は地域の中でかなりあったんですが、特に昨今のコロナの情勢下で、こういった問題が浮き彫りになっているということです。

特に相談として多いのが、親族と一緒に住んでいなくて、高齢者同士や一人暮らしのお年寄りの方が増えている、あるいは親族の方がいたとしても、遠方にいてなかなか色んな支援を求めにくい、親族も今コロナで生活が大変で、なかなか遠方のおじいちゃんおばあちゃんの助けまでは出来ない、そういった状況が増えています。

明石市では明石市後見支援センターを以前から設けており、基本的にはこういった高齢者からの相談については何でも言っていただければ、然るべきアセスメントをして必要な支援に繋ぐということをさせていただいています。特にコロナの関係等、最近の課題に対して、「認知症後見支援プロジェクト」と題し、新規の施策を含めて大きな4つの視点で支援を進めていくということを考えています。

このうち経済的支援ですが、申立費用の立替、助成は、社会福祉協議会の後見基金というものを明石市独自で設けており、これを活用して後見申立費用の立替、助成を行うものです。やはり遠方の親族等で、明石に来て自分たちでいちいち申立の作業が出来ないという方も多くおられます。その場合は現実的には弁護士や司法書士に依頼していただくしかないんですが、現状裁判所の基準では、その際の費用は申立をした親族の自己負担ということにされてしまいます。

親族としては遠方から、おじいちゃんおばあちゃんが困っているから何とか助けてあげたいけど、コロナで経済的にも苦しい中、弁護士費用、司法書士費用まで負担して支援をしないといけないというところが、親族申立の1つの大きなハードルになっています。

明石市ではこれを後見基金で助成することによって、少しでも親族申立のハードルを引き下げたい、これによって速やかに、本来必要な方に必要な後見を付けられるということを目指しているところです。

次に、生活費の貸付、立替です。後見を付けるのにお金、時間がかかるからといって、後見を付けずに、勝手に銀行と親族の判断で本人の預金を引き出してしまうというのは非常に危険なアプローチです。明石市では、後見基金からそういった場合、後見申立期間中、後見人が付くまで預金が使えませんので、その間に必要な本人の生活費を後見基金から立て替えるということもしています。コロナ禍において、こういった制度をPRして積極的に活用して、本人のお金を変に触らなくてもきちんと必要な支援に繋げられるように、かつ大家さんや病院等の債権者も困らないようにということを調整していきたいと考えています。

次の2つは、既存の取り組みをさらに発展させるもので、市民後見人の活動支援のために後見基金を活用するということも、本市独自の取り組みとしてやっています。今回、認知症サポーター制度の推進ということで、オレンジサポーターからゴールドサポーターまでランクアップしていただいて、さらにその先に地域で活動したいという方には、市民後見人養成講座とか市民後見人を助けるための後見サポーターになっていただくとか、そういう道があります。認知症施策と後見を連動させて、より手厚い地域での見守りをやっていきたいということです。

記者

コロナワクチン接種の同行支援ですが、申込み方法とか流れを詳しく教えてください。

高齢者総合支援部長

認知症の方は昨年度、認知症あんしんプロジェクトということで、認知症の診断をされた方に給付金2万円を支給しています。今市内に約2500人いらっしゃるんですが、その方に対して、明石の認知症手帳や寄り添い支援サービスが使えるあんしんチケットをお配りしています。その方々を対象に、シルバー人材センターに寄り添い支援を委託していますので、申込みをしていただき、一緒にコロナワクチン接種の会場に行っていただくという流れになっています。

記者

シルバー人材センターに同行支援の申込みをするんですか。

高齢者総合支援部長

そうです。

市長

分かりやすく言うと、明石市は認知症施策をすでにかなりやっています。明石市では、認知症であろうがなかろうが、認知症かどうかのチェックシートを書いて郵送いただいたら、500円相当の図書券をお渡しする形によって、気づきのきっかけを作り、認知症の可能性のある方は病院に行っていただくときの診断費用も無料化しています。

実際に認知症と診断された方については全員認知症手帳を発行し、支援金2万円に加えて、お弁当の宅配を20回分、無料でショートステイを利用できるのに加えて、寄り添い支援サービスのチケットを10枚すでに渡しています。

その使える範囲が当初の想定では、家に行って話し相手になるとかいうイメージだったんですが、家に上がるのも困る方もおられるでしょうし、むしろ使いたいのは、こういったワクチン接種のときに付き添っていただくというニーズを把握しています。

対応いただく方は、シルバー人材センターで、このテーマについて研修を受けた方に登録いただいていますので、そういった方に対応いただき、一定程度の金額がシルバー人材センターから払われるというスキームですので、既存のスキームを今回のワクチン接種に対象を広げる形で利用いただくという趣旨です。

記者

認知症の方からのニーズはあったんですか。

市長

私も高齢者の成年後見とか認知症は自身のライフワークの1つで、付き合いは広いので、かなり声が上がっています。せっかく認知症の支援策をしてくれているけど、要は使い勝手、使いにくい、前もって早く連絡しないといけないとか色々あるんです。

ワクチン接種は日にちが分かっていますから、予め分かった日時に迎えに行って、集団接種会場に付き添って帰ってくるとかは利用しやすいと思いますので、この際こういった形で発信して、より多くの方々にお使いいただきたいと思っています。

記者

後見制度を利用せずに預貯金を取り崩すのは危険ということですが、現状銀行がどこまでやっているのかなど、改めて教えてもらえますか。

市長

分かりやすく言うと、認知症の方は気づかれずに認知症になったりもしますので、分からない状況です。そういった中でその方に一定の預貯金があると、それを取りたい動機が生まれます。

私自身は市長になる前、2000年の成年後見スタート時から、数多くの成年後見人をしていましたし、相談をしていました。そういった中で、数多くの不祥事に出会いました。

分かりやすく言うと、親族や友人が認知症の方の貯金を1000万円単位で下ろしてしまうということが複数回あって、私もその度に走り回ったわけですが、大変リスクが高いんです。やはり認知症なのにお金を下ろせてしまう実態については、まずいと思い続けてきました。

本当は成年後見制度が使いやすくあって然るべきなんです。世界の中で日本の後見制度だけがいびつです。他の国では、必要な場合は成年後見制度が使える制度で、ドイツでもカナダでも人口の1%以上の方が当然に使っています。ドイツでは中学校区単位ぐらいに後見裁判所があって、どなたでも電話をして、隣のおばあちゃんが大丈夫かなと思うと言うと、裁判官が家庭訪問をしてすぐに成年後見人を付けます。それが当たり前なんです。

日本の場合にはそうではなくて、わざわざ誰かがお金をかけて裁判所に書類を出して、随分時間がかかってやっと成年後見人が付くんです。時間もお金もかかるので、多くの方が利用されないわけです。そういった中で事実上、お金が下ろされてしまうリスクです。

悪意がなくても事実上下ろせてしまうから何が起こるかと言うと、例えば分かりやすく例を挙げると、残された親御さんが1人で兄弟が3人いるケースの場合、ある1人が全財産を欲しくなるんです。ないしは悪意がなくても、たくさんもらってもいいと思うんです。でも亡くなってしまうと均等になりますから、生きているうちにお金を下ろすんです。その時に銀行と相談をして下ろしてしまうということは結構ありますで、後でトラブルを起こしています。

こういったことを防ぐためにも、本来の成年後見制度を使っていただくのが筋です。銀行はそういった声に押されて、この度、成年後見を使わなくても認知症でも下ろせますと言っていますが、それは間違いです。本来成年後見を利用される方は、一定判断能力がないから支援がいるんです。その人のためにお金を使うべき人が付かないといけないんです。その人のために使うのではなくて、自分のために使いたい人が下ろしたら駄目なのであって、子供だから親のために動くとは限らない、兄弟がいる場合は、兄弟の仲が悪かったら先に下ろしたい動機が生まれるのでまずいと思います。

後は信託銀行も、そのお金を本人のために使うような組織ではありません。そのお金がなくならないように、引き続き信託銀行に預けていただきたい動機でやっておられますから、それが本人のために有効に使われる保証はありません。そういう意味でも、本来ある成年後見制度が敷居が高い為に使えないのであれば、敷居を低くして税金で補助してでも使っていただくというようなことが大事だと言うのが真意です。

記者

コロナ禍のタイミングでこの支援をするのは、広域に人が移動しにくいこともあるんですか。

市長

コロナ禍だと余計に成年後見制度が必要になってきます。つまり人がなかなか会えませんし、会えるにしても家族限定とかになります。そういう意味では、より本人との信頼関係が作りにくい状況ですから、むしろこういった時こそ、成年後見制度を利用することによって、ご本人にとっての支援者が誰なのかということをしっかり位置づけていくことによって、適正にその本人のためにお金が使用されるようにしていくべきだという考えです。やはりコロナ禍により、より必要性が高まったという認識です。

記者

コロナ禍における、認知症の方をめぐる問題意識を教えていただけますか。

市長

端的に言うと、コロナ禍によって弱いところにしわ寄せが行き続けているんです。これは長期化すると、余計に弱いところ、特に認知症のご本人、家族とか小さなお子さん、そういったところにしわ寄せが行きかねません。コロナ禍が長期化する中で弱いところにこそ行政がしっかりと手を差し伸べていくべきです。そういった中で、認知症の方に付き添えるような対応をしっかり取っていく、認知症の方をしっかりと支援できるように成年後見制度を普及していくという問題意識です。

記者

今あるサービスが使い勝手が悪いという話がありましたが、実際に認知症の方がワクチン接種に行くのに困っているという声は寄せられているんでしょうか。

高齢者総合支援部長

ご夫婦の場合は、ご夫婦で接種する場合、接種している間の見守りや行く道中といったところで、現場や当事者の方からの声もいただいています。

市長

特に夫婦で片方が認知症で、片方の方が在宅支援でショートステイとかヘルパーを活用して対応している場合、2人セットで同じ日に接種を受ける場合があるんです。かかりつけ医の場合はまだ小さいところが多いですが、集団接種会場で受ける場合、片方の方が接種している間は目が離れますので、その時に誰が見てくれるかというテーマで問題意識を聞いています。そこはしっかりと、認知症の方が接種して待っている時間に、一緒にいていただく方が必要だという判断です。

特に認知症の場合には本人支援に加えて家族支援が大変重要で、本人支援の場合は本人はなかなかピンと来にくいですが、ご苦労されているのはご家族なんです。ご家族がなかなか人に助けを求めにくい中で、家族が孤立したり、過度な負担がかかったりしていることがあります。それは望ましいことではないので、まさに家族支援もセットでやっていくというテーマだと思います。

記者

寄り添い支援の対象ですが、在宅でかつ認知症と診断されているかという認識でよろしいですか。

市長

はい。

記者

認知症の人が単独で行くことに対する付き添いは無しですか。

高齢者総合支援部長

基本的には、ご家族の方と一緒に行っていただくということになっています。

記者

本人がいてそこに家族も一緒にいて、その上でそこに付き添うということですか。

高齢者総合支援部長

はい。

記者

片方の方が認知症のご夫婦がいて、もう片方の方は打たない場合、それは付き添いの対象にならないんですか。

高齢者総合支援部長

付き添いは可能です。認知症のご家族の方への支援ですので、ご家族の方が決めていただけたらと思います。両方の方が打たなくても、やはり新しい場所に行かれるというところで見守りというのが必要になってくると思います。そういったところで一緒に付き添っていただいて、介助や見守りをしていただくというところは心強いかなと思います。

市長

そもそも私が想定していたのは、夕方に買い物に行きたいけど認知症の方がいて行けないという時に、このサービスを利用して家にシルバー人材センターの然るべき方に来ていただいて、一定時間話し相手をしている間に、クリーニングを取りに行くとか、晩御飯のおかずを買いに行くとかいうイメージでいたんです。ただ家に上がってほしい方ばかりではないので、利用頻度が予定した程多くない状況の中で、逆に今回の場合は片方の方が接種に行く間、認知症の方が家に残る可能性がありますから、その時間帯を家で一緒に過ごしてもらうというような使い方は十分に想定されると思います。いずれにしても、チケットを10枚全員にお配りする形になっていますから、是非ご利用いただきたいと思います。

記者

後見申立の立替ですが、通常いくらぐらいかかって、そのうち市はいくら立替えるんですか。

生活支援室課長

成年後見人を付けるには、想定しているのは法テラス基準と同じぐらいのイメージで、法テラスを使って弁護士や司法書士が後見申立をするのが、10万円前後ぐらいです。実費を入れて10万円少しぐらいだと思いますが、予算はパイロット事業として200万円を用意しています。実費については後見人が付いた後、本人の財産から回収できるので、一軒あたりの立替額が10万円ぐらいだとすると、20件ぐらいまでは今年のパイロット事業の中でいけるというくらいの見積もりです。

市長

私も数多く成年後見をやってきましたが、何でお金がかかるかというと、裁判所にかかるのは数千円ぐらいなんです、かかるのは弁護士と医者のお金です。成年後見人をつけるにはお医者さんが鑑定書というものを書くんですが、チェックを入れる書類ですが、これに10万円かかるんです。医者と弁護士が書類を書くのに10万円かかる、これが高いんです。

ちなみに私は、成年後見人のケースでお金をもらったことはないです。全部タダでやっていました。必要な方に必要なことをするのに、何でお金をとるのかと私は思います。私は弁護士も医者もお金を取るなという考えで、お金を取るのがまずければ、法テラスがそういったテーマについては税金で負担するとか、医師会もそこはもっと安くしてもらわないと。だから成年後見制度が使えないのであって、医者と弁護士が過度なお金を取るのは私は問題だというのは昔から言っているんです。他の国はこんなことはないです。制度の中でやっている介護保険だって、介護保険制度のチェックを入れてもらうのにそこまで費用はかからないですから。当然必要なことに対しては全体の制度の中に位置付けるべきなのに、わざわざ使う以上は使うものがお金を払えみたいな発想をするから、弁護士や医者のお金をご家族に負担させてしまう、そんなお金払えないという形で制度を使わない、結局銀行がだったら黙ってやりましょうかと言って、銀行と話をしてしまって下ろしてしまう、それで不正が起こるという悪循環だと思うんです。ちゃんと制度を作るべきだというのが私のかねてからの主張ではありました。

生活支援室課長

一点補足ですが、お医者さんの鑑定については、正規の鑑定を依頼すると結構高いんですが、どう見ても後見が必要だろうというような症状が進んだ人については、鑑定書ではなくて診断書という形になります。本当に安いお医者さんは5000円台で作ってくれますし、普通に3枚組になっていて1万5000円ぐらいで書いてくれるお医者さんもいます。ケースによって鑑定が必要なものは本当にこちらも費用を覚悟するんですが、必ずしもお医者さんに10万円払わないといけないということではないです。

市長

そこはその通りです。ただ成年後見というのは、本人ができることは精一杯していただく前提で、足りない部分を支援するんです。ところが日本の場合は、成年後見制度の場合、後見という一番状況が厳しい方と、保佐というそこまででない方と、かなりしっかりしているけど少し支援がいる方という3つあるんです。本来は補助という本人が色々なことをできるけど、大きな契約などをする時だけは助けてというのが本来の姿ですが、これをしようとすると返ってお金がかかってしまいます、微妙なので。

逆にそこまで能力がなくもないのに、みんな一番重たい類型の成年後見でやってしまうと何が起こるかというと、結局いろんなことを本人が自分でできなくなってしまうという逆の効果が生まれています。本当に成年後見については、そもそも法律の制定時から、根本的な間違いが続いているというのが私の認識ですが、日本の場合には大変不幸な状況になっています。ドイツやカナダではこんなことはないです。

記者

親族申立制度は全国初とありますが、本人への立替補助はしていて、親族へは初めてというのはどういう意味ですか。

生活支援室課長

本人申立の場合は、後見で、すでに本人が判断能力をなくしている場合は、本人は申立できませんが、補佐とか補助とかの場合は、本人も法テラスを使って申立ができます。あるいは法テラスに代わって、本人のために費用助成をしてくれるという制度も他に聞いたことはあります。

ただ親族は基本的に自己負担なので、例えば親族が生活保護水準の生活をされていて、でもやはり自分が申立をしてあげたいという場合、法テラスを使い、かつ生活保護とかで親族が償還免除を受けられる場合のみ、公的な助成としては国が親族のお金を出してくれるという仕組みはあります。ただ、生活保護を受けるような人が電車賃を払って、明石まで打ち合わせに来るとかはなかなかできないので、公的に本当は自己負担をしてくださいとされている、親族が負担すべき費用を助成するというのは全国初だと認識しています。

 

「医療と教育に関する権限の移譲について」

資料 医療と教育の権限を(パネル)(PDF:380KB)

資料 医療と教育に関する権限の移譲について(PDF:510KB)

資料 公開質問状(PDF:393KB)

市長

先だって、明石市は政令市を目指すという趣旨の会見をしました。しっかりと説明をしないと真意がなかなか伝わりにくいテーマだと思います。改めて明石市長として10年やっていく中で、中核市となった明石市ではありますが、医療と教育について権限が不十分であるが故に、それがあればもっと出来るのにと思うような、なかなかもどかしい状況が続いていて、特にコロナ禍においてそのことをより痛感している状況にあります。明石市長としては、いわゆる医療と教育についてもしっかりと責任を果たしていきたい、そういった権限があれば市民の命をもっと守れるし、子供達の未来をしっかりと応援出来るのに、その権限がないが故に本当にもどかしいというのが正直であります。

地方自治体の権限でありますが、いわゆる都道府県、全国に20ある政令市、中核市、今は特例市がなくなりましたので、その他の一般市町村になりますが、大きく今4類型に分かれています。分かりやすく言うと、日本では警察は都道府県ですが、アメリカの場合警察は市がやっていますから、アメリカだと明石市が警察を運営しているわけで、国によって様々です。どうしても日本で暮らしていると、日本が当たり前だと思いがちですが、逆に日本は大変いびつな異常な権限分配の国です。

例えば明石市は法改正をしていただいて、2018年に中核市に移行し、保健所を自ら設置し、動物センターも作りました。その翌年には、政令市の要件とされている児童相談所も、中核市ですが明石市は作りました。そして保育所やこども園などについても対応しています。

問題はまず教育からいきますが、中核市になった場合、学校の先生方の研修だけが中核市です。でも採用や人事異動や処分は、全て都道府県か政令市なんです。なのでどんなことが起こるかというと、学校における不祥事に対してそれが先生であった場合、裁判をされて被告になるのは市長ですし、賠償を払うのも市長です。実際その先生を処分できるのは都道府県か政令市で、調査すらできません。不祥事に対して防止する権限がないという状況にあります。

明石市は今年の4月から少人数学級化をさらに進めましたが、クラスの人数を決めるのも都道府県、政令市です。障害のある子供達にもっと先生を加配して、より子供達に寄り添った教育をしようと思っても、それを決める権限は都道府県と政令市です。私の場合問題意識として、障害のある子供達に寄り添うような教育をと思っていますが、その権限は、明石市は中核市なのでまだない状況です。そういった意味で、教育に関する権限が移譲されれば、明石市としてはさらに少人数学級化も出来ますし、加えて障害のある子供達への支援も充実化出来ますし、不祥事や様々ないじめ、体罰などについても対応がよりしやすくなるのが明らかであります。

そういった観点から、教育についての権限委譲を求めていく立場です。これは実際出来ることです。具体的には大阪府が、豊中市、箕面市、池田市などに権限移譲をしていますので、全国的に見ると実例があります。兵庫県が明石市に権限を移譲いただくことは簡単で、兵庫県がそのように言っていただくだけで、明石市は権限移譲を受けられる立場にあります。文部科学省は、県と市でよく話し合ってくださいというスタンスですので、国はこのことについて反対はしていません。兵庫県次第であります。

もう1つの病床については、明石市は保健所を設置していますので、相談に応じ、検査をし、感染確認までは出来ます。感染確認した後のフォローも当然やるべき立場ですが、問題は重症病床です。つまり病床や病院の許認可権は都道府県か政令市ですから、明石市に病院に対する権限はありません。しかしながら明石市長としては、権限がなくても出来ることはするという形で、幸いにして明石の民間病院のご理解ご協力を得て今対応しているところですが、これが権限があれば、もっと早い段階で対応が出来たと思っています。そういう意味では明石市に権限があれば、救えた命はあったのではないか、市長としては権限がないが故に救えた命が救えなかったのではないかという思いに駆られていて、やはりしっかりと医療に対する権限も責任を果たしていきたいというのが私の真意であります。

そういった関係で、医療と教育の権限を明石市が行使するための方法はいくつかあります。まず法改正です。これもよく難しいかのように誤解されていますが、難しくありません。地方自治法を変えるだけです。数字の5を3に1か所変えるだけのことです。実際私は2011年の明石市長選挙に立候補するときの公約に、明石市が中核市に移行することをあげました。当時明石市は人口が30万人なく、地方自治法上の要件を満たしていませんでした。なので私はその翌年2012年に全国市長会にご相談し、全国市長会の代表として国地方制度調査会に行かせていただき、そこで明石市は中核市になりたいので、人口要件30万人を20万人に変えてくださいとお願いしたところです。それが認められ、地方自治法の3の数字が2に変わりました。その結果明石市は、30万人人口を待つことなく、2018年に中核市になったわけですから、同じことです。2012年にやったことをもう1回やって、3を2に変えられるんだから、5を3に変えるだけですので全然難しくありません。

ただそうは言っても法改正には一定の時間を要しますので、待ったなしの状況で、私としては先に権限移譲をやろうと思っています。そういった観点で明石市としては、県の判断で出来ることですから、早急に兵庫県に明石市への権限移譲を求めたいと考えています。そうであれば、すぐに来年からでも教育と医療の権限を行使出来るようになるという趣旨であります。

お手元に資料を配布していますが、兵庫県の方から権限移譲を求める項目について問い合わせがありました。兵庫県も、積極的に権限移譲を進める趣旨でご連絡いただいており、6月2日までに回答ということでしたので、明石市としては、兵庫県に教育と医療の権限についての移譲を求める書類を送ったところで、これから兵庫県においてこのテーマについて検討が始まると理解しています。もっとも、こういった権限のテーマにつきましては、担当部局だけで結論が出せるものではなく、やはり兵庫県のトップたる方のお考えが大変大きいのは明らかです。この度8月1日から新たな知事になるということですので、明石市長として、兵庫県知事の立場に立つ可能性のある4人の立候補予定者に対して、昨日付けで公開質問状をお送りし、本日それぞれの事務所にその旨のご連絡をし、ご理解とご対応をお願いしますということをお伝えしたところでございます。

テーマとしては今お伝えしたように、3つのうちの1つが、まさに医療と教育に関する権限移譲についてのテーマで、権限移譲をしていただけるか、しないか、少なくとも明石市と協議をしていただけるかという3択でご質問させていただいているところであります。

2つ目は井戸知事とも大分話をしているところですが、この市役所のすぐ隣は兵庫県の土地ですが、長らく課題であった砂利揚場が撤去となり、これから県市連携でこの空間活用が始まります。兵庫県もかねてから、その空間を単なる広場ではなく、より公性の高い空間にしたいという趣旨で、数年前から明石市の方に何か案があったら言ってほしいと言われ続けてきました。私としてはこの市役所の問題もありましたので、慎重な姿勢をとっていましたが、この春あたりから、明石市から積極的に県に、県立図書館の移転も含む形で複合型の文化施設をお願いしたいということを井戸知事にもお伝えし、資料も直接お持ちし説明申し上げたところです。

なお兵庫県立図書館は、残念ながら47都道府県中、様々な分野においてランキングは下から1、2位ばかりです。ほとんど使われておりません。将来においてもかなり課題が多いということを、県の図書館の検討会そのものが示しておられるぐらいの状況ですので、そういう意味においては、県立図書館の移転を含む形で、この隣に県立の文化施設を含めて、県市連携で対応していきたいという趣旨であります。質問としては、そういった施設整備をするのかしないのか、少なくとも明石市と協議するのかという形でさせてだいております。

最後の3つ目は、今回のコロナのいわゆる休業補償などについても、まん延防止については明石市長としては、井戸知事に明石市も入れてほしいと言った経緯などもあります。その際井戸知事は、そうする場合には一定の協力金の負担もお願いするけどいいかと言っていただいたので、私は応分の負担はしますとお答えをしました。そういったことも踏まえて、県としては地方負担のうちの1/3が市、2/3が県という整理で、いわゆる休業補償の協力金の対応を取ってきた経緯もあります。そういった中で、明石市長としてはそういった負担割合の問題も伴いますので、これまで兵庫県につきましては事前にご相談をいただいた経緯もあります。引き続きしっかりと市の負担を伴う場合には、当然私としては過度な負担でない場合も県市連携事業については、相談の上で対応していきたいと考えております。

以上の3点を公開質問状の形でお伝えしております。なお期限につきましては、6月17日木曜日までに回答をお願いするという形でお送りしたところです。

記者

公開質問状ですが、もし回答が満足いくような内容ではなかったらどうされるんですか。

市長

それは満足いくような内容が返ってくると今は信じています。少なくとも固有名詞は言いませんが、前向きな回答で、すでにお電話いただいた方もおられますので、全員が全員満足がいかないこともないだろうとは信じています。

記者

もし満足がいかなければ、ご自身が出るということも考えているんですか。

市長

それはかなり強引なご質問で、今日の趣旨は明石市長としては市民に対し更なる責任を果たすためにも、医療と教育の権限を持って、しっかり責任を果たしたいという趣旨です。そのために政令市移行、人口要件緩和の法改正もありますが、より早いのは権限移譲ですから権限移譲を求めている、それで県知事候補の方が4人揃って権限移譲するに丸を付けていただければいいのではないかと思っています。

記者

権限移譲の手段の中に、政令市移行と権限移譲のほかに合併とありましたが、これはどういうことですか。

市長

今政令市が20市ありますが、今なっているところは合併を経て政令市に移行されていますので、一般論としては政令市移行として合併という方法はこれまでも採られてきた方法です。書かない方が不自然なので、書かせていただいています。特に私からコメントする立場ではないという認識です。

記者

そもそも政令市の目的と、今回明石市が目指すことが合致するのか、お考えを伺えますか。

市長

そこは大事なテーマです。いわゆる政治行政というものを、どのように対応していくのが望ましいかというところにつながるテーマなんです。私は一貫して、いわゆる市民に近い仕事は、市民に近い行政がするのが望ましいという考えの持ち主ですから、基本的に俗に基礎自治体と言われるところが、しっかりと教育、医療、福祉を含めて対応していくことが、市民にとって幸せだと考えています。他方、国家というものは、外交や防衛や貿易などがありますから、当然国家としての対応は必要ですし、全国的なセーフティネットをしっかり位置付けるのは国の仕事ですから、基本的に国と基礎自治体は私は必要だと思っています。

後は広域自治体と言われる都道府県の役割をどう位置付けるかは議論が割れるところですが、歴史的に見た場合、河川、高速道路を含む道路、鉄道などのハード整備のテーマは、明治維新の後は都道府県でした。つまり小さな単位ではなくて、広域的なハード整備が必要な時代には、都道府県というのは大変有効かつ有意義だったと思いますが、一定程度そういった段階が過ぎた段階においては、より身近な所に寄り添っていく、基本的には人口20万人から50万人ぐらいをベースにして、しっかりと行政運営をしていくことが望ましい形です。

基本的にヨーロッパはそういう形です。だからイギリスやドイツにおいても、大体20万人から50万人で児童相談所があるわけです。それぐらいでないと駆けつけて助けられないからなんです。やはり都道府県というのは、エリアも広いし人口も多すぎるので、寄り添ったり駆けつけたりするのは苦手なので、そういう意味では市民に寄り添えるのは基礎自治体です。

近時議論になっていますが、政令市の横浜市長や神戸市長などは、さらなる権限を求めて特別自治市という形で国に声をあげ続けておられます。私は賛成です。基本的に政令市が都道府県並みの権限を行使した方が、市民にとっては幸せという考えの持ち主なので、私からすると中核市でなかった段階で市長選に立候補し、中核市に移行し、中核市の要件を超えて児童相談所を作りました。後は医療と教育の権限があれば政令市並み、でもまだまだ不十分ですから、政令市に加われば、特別自治市について共に国に働きかけていきたいと考えています。

記者

県立図書館を砂利揚げ場の跡地にということですが、県立図書館はどういうところが足りないとお考えですか。

市長

県立図書館の検討委員会とかが自ら認めておられますが、予算も少なく来る人も少なく、47都道府県中ほとんどのランキングが最下位か下から2番目ぐらいで並んでいますので、そういう意味では県立図書館の位置付けが大変もったいないと私は思っています。明石市は本のまちという形で展開しており大変好評です。これも私が市長に就任したときに、駅前に図書館を持ってくることに対して多くの皆さんが賛同いただいたわけではないんです。私としては本というのは紙切れではなく、歴史を越え国を超え、まさに想像力の宝庫で、優しさであり勇気であると、本を大事にするまちは必ず良いまちになるという中で、駅前に図書館を面積を3倍にして位置付けて絵本を買い揃えた経緯であります。大変好評です。そういった中で、近隣の神戸市とか加古川市も積極的に図書館に力を入れ始めておられると認識していますので、兵庫県も同様にもっと図書館に力を入れていただきたいと考えています。

記者

どういった複合施設か、図書館以外にも何かお考えはあるんですか。

市長

たくさんありますが、もちろん海のまちですから、そういった海の要素とか文化芸術もあります。兵庫県は平田オリザさんと組んで、豊岡で展開しておられます。私は去年も行きましたし、平田オリザさんと色々話もしていますので、平田オリザさんの協力を得ながら、明石の地でさらなる展開をいただくことは、私の中ではあります。ただその辺りは県との相談ですし、基本的には県立の施設ですから、明石市としてはお願いする立場です。

ただやはり拠点となるような文化的な施設を位置付けていただくかどうかで、随分展開が違います。規模感とか内容については応相談だと思いますが、別に図書館でないといけないとは言っていません。やはり井戸知事としては、副知事時代からの長年の課題とご本人が言っておられますので、その砂利揚げ場の撤去まではやられたわけです。その後に別に単なる広場を作りたかったわけではなくて、そこに市民県民に喜んでもらえる施設をというのが井戸知事のお考えだったわけです。ただ井戸知事はこの7月で退任なさいますので、井戸知事の一定の方向性を踏まえて、県としても一定の施設整備はしていただきたいと思っています。知事が変わった途端に、これまでの話はなかったことにと言われるのは困るという立場です。内容はこれから相談すればいいと思います。

記者

中核市の権限を拡大されるのではなく、あえて政令市の要件緩和の方法も考えられています。中核市のまま権限を拡大するという方法もあると思いますが。

市長

おっしゃる通りです。法改正で法律と運用が変わればなれます。あえて言うと、政令市になって付いてくるのは都市計画なんです。都市計画の決定権は政令市にあって中核市にないんです。だから教育と医療で全てではなくて、それ以外にもあります。そういう意味では、政令市の方がよりまちづくりはしやすくなりますから、もちろん政令市の方が有り難く思いますが、時間がかかりそうなので、すぐに出来るのは権限移譲です。権限移譲はすでに大阪で実例がありますし、すぐに出来ることです。医療についても、横須賀市や藤沢市などは神奈川県から移譲を受けていますから、医療も教育も実例はあるんです。県次第なんです。簡単に言ったら、今回8月からなられる知事が明石市にどうぞと言っていただけたらすぐにでも出来ることですから、そういう意味では権限を拡大しなくても個別です。

記者

公開質問状の件ですが、回答次第では特定候補を推すこともあるということですか。

市長

それはそうです。私としてはそんなことはないと思っていますが、4人のうち1人が権限移譲をする、施設整備をする、必ず事前協議する、他の3人が全部しないということであれば、それはその方を応援することになると思います。でもそんなことにはならずに、私は4人が全員前向きな回答をいただけると信じています。

結局政治家たるものは施策なんだと思うんです。明石市長としては、その知事がどういった方に担がれたか、どういった経緯で出たかということは無関係ではありませんが、明石市にとってある意味しっかりと権限を移譲いただけるとか、明石市の長年の課題であったこの周辺地域について、しっかり県立の施設を整備いただけるかどうかというのは大きなテーマです。ちゃんと明石市にとってやっていただく知事であれば、その方をしっかり支えていきたいという思いです。だからまだ分からない段階でいろんな要素で判断するべきではなく、明石市長としては明石市の市民と明石市のまちの未来にとってプラスの方をしっかりと応援し、その方に知事になっていただくのが良いと考えています。

記者

医療、教育の権限が移譲された場合、最初に手を付けたいところはそれぞれどういうところですか。

市長

やはりもどかしいのは、明石は少人数学級をすでにしていますが、学校の先生の採用は県なんです。市としては明石市独自でやった人数分のお金をもらっているんです。だから明石市立の小学校、中学校なのに、箱は市だけど中で働いている先生は兵庫県に採用されて、兵庫県の人事権で動くわけです。完全にずれていて、明らかに間違いです。こんな間違いをいつまで続けるのかと思い続けています。そういう意味では教育については、少人数学級化はすぐにできます。人事権があれば、採用すればいいわけですから。クラスについても少人数学級にできるわけです。

あとは障害児教育です。インクルーシブ教育といいますが、ヨーロッパなどは障害のある重度の子供には先生が1人付くのは当たり前です。でも日本の場合には、障害があってもその子供に対する手厚い教員配置はされていません。特別支援学級についても、定数基準があまりにも不十分なので、障害のある子供たちがそこで有意義に過ごせていないのはつぶさに見ています。教育に対する権限があれば、速やかに少人数学級化をし、障害児に対するより手厚い支援をしていく、加えて不祥事がないような教育現場に変えていくことは可能だと思います。処分も権限が今ありませんから、処分権限も無い状況はしんどいわけです。

医療については当然病床確保です。都道府県知事や政令市の市長であれば、病院の開設許可権がありますから、病院を作ることも潰すことも出来ます。ベッド数を変えることすら出来るんです。ただマスコミも、そこを出来ないかのように報道していますが、権限行使をしてベッドの内容を変えていくことは十分出来ることです。だからコロナであれば、コロナのために病床を転換するというようにしっかり対応します。それをしなければそのベッドを、病床の数を減らせばいいだけですから、コロナに対応する病院のベッドを将来増やし、協力しない病院のベッドを減らすことをクリアに打ち出せば、多くの病院は協力いただけるのは明らかだと思いますので、全然難しくないです。私に権限があれば、病床なんかひっ迫していません。そこは本当にもどかしくて仕方がないです。

繰り返し言いますが、日本は1000人当たりのベッド数が世界トップなんです。アメリカやイギリスの4倍も1人当たりのベッドはあるんです。感染者数は、アメリカやイギリスの1/10以下です。1割しか感染者がなく4倍もベッドがあるのに、病床がひっ迫するというのは政治家の怠慢そのものです。このことは本当にもっと問われて然るべきだと思えてなりません。

記者

病床数の確保は、今後コロナで感染者が続いていくだろうということを見越して、コロナ専用の病院を作っていきたいということが根底にあるんですか。

市長

コロナもすぐに終わるわけではないですし、コロナのみならず、地域医療というものをちゃんと地域の市民のニーズに合ったように支えていくのは、当然中長期的には要ります。つまり市民のための医療機関であるべきですので、その辺りは問題意識は強く持っています。

明石市はおかげさまで、コロナについても民間病院の協力も得られ、様々なクリニックも含めて往診にも対応いただき感謝しています。今回のワクチン接種についても、多大なるお力添えをいただいており、先日も医師会の会長と話をしましたが、更なる協力をお約束いただいておりますので、明石市につきましては医師会は大変ご協力いただいていると認識しています。

ただ他市では、ワクチン接種のスピードを上げたくても、医師会がハードルになっていてなかなか対応できないというところもあります。一般的な市長は医療に対する権限がありませんから、全く権限がない状態では単なるお願いなんです。でも権限があるのはお願いではありません。それはそのお願いを聞いていただけなければ権限を行使するということが前提になりますから、それがまさに権限なんです。そういう意味では、適正に権限を行使すべきだと私は思っています。

記者

少人数学級を進めていきたくて、進めていけばそれに応じた教員が必要になる、そのために採用権限があった方がいいということですか。

市長

そうです。あと数だけではなく質なんです。結局採用の時に、どんな人に先生になっていただくかという部分も大変重要です。明石市の職員は明石市が採用しますから、一定の方向性を示して、私から言えば市民のために頑張る職員をということですから、目線が国を見るのではなくて市民を見る、決められたことを当たり前にするのではなくて、自分の頭で考える人を取って欲しいと言っています。

そういう趣旨で言うと、やはり採用は大きいです。どういった人に働いてもらうか、学校の先生も同様で、そういう意味では人事権があれば、採用も人事異動も出来ますから、そこで働かないとか子供にとって望ましくなければ、それは子供のために毅然と人事異動をすべきなわけですから、そこは大きいと思います。

記者

インクルーシブ教育の充実化は、ご自身の体験があってそれが動機になっている部分はありますか。

市長

それは大変大きいです。自分自身の子供の頃の悔しい思いです。私の子供時代は、障害がある者は生まれてくるなという本当に醜い時代でした。まさに優生保護法の時代ですから、私の弟も生まれた時に、生まれてるのに病院からそのまま殺しますと言われたぐらいです。その頃は、障害で生まれた子はそのまま亡くなってもらうというのが兵庫県の方針で、その方針に従ってうちの弟は死ぬ予定でした。家に連れて帰ると言ったら、病院の先生から障害が残りますが本当にいいですかと言われ、構いませんと言って弟は死ぬことなく今も生きていますが、そういった中で当時の兵庫県は、障害がある状況で家に連れて帰ってきた家族に対して冷たい仕打ちの時代でした。

行政も冷たかったです。死んどけばよかったのにどうして生きたままおるんやというような、本当にそうでした。私は子供時代に、そういった理不尽な兵庫県で、私は明石で育ちましたので、このまちをそんな冷たい障害者に仕打ちするまちではなくて、障害がある者に寄り添うようなまちにしたいというのは一貫した思いです。そういった中で私が市長になり対応したかったですが、権限がなくて特別支援学級などの加配が出来ないんです。やはり権限があれば出来る状況です。

加えて2年前、私が市長選にもう1回出る形になって立候補した時に、発達障害の子を抱えた親御さんがマイクを握っている私に駆け寄ってきて、「市長、市長をもう1回やってください、この子が大きくなるまで市長でいてください」と何人に言われたことか。その親御さんは、私のために動いたのではなくて、自分の子供が今後ちゃんとやっていけるかどうかを私に賭けたんです。私はあの時、改めて発達障害のあるお子さんや親御さんに対してしっかり責任を果たすのが自分の使命だと思い、今に至っている認識です。そういう意味で、今回の権限も私にとっては自分にとっての使命、責任だと思っています。

記者

教育権限があれば、教育に対しても市長自らが採用に関われるということですか。

市長

しかもそれも専門性がいるんです。結局今の人事は、そういった特別支援学級に福祉の素養や専門性の高い先生が入ってるかどうか…なんです。当然そういったところには、より障害者教育とか障害者福祉に専門性があり、心ある方が入っていただいた方が望ましいんですが、率直なところそうとも言い難い状況を何度も目にしていています。障害ある人に寄り添える教員が、ちゃんとそういうクラスの担当をすべきだとかねてから思っている立場です。

私に権限があれば、ちゃんと福祉に手をあげて、そういったことをやりたい先生にやってもらいたいと思います。そういったことは他の国では当たり前です。日本という国が、いかに子供達にお金もエネルギーも使わずに、心もないかであって、他の国では障害のある子供に先生が付くのは当たり前です。日本ぐらいです付けていないのは。そういう意味では、いい加減日本という国も、子供達や障害あるものに寄り添うような社会になっていくべきだというのが私の思いです。

記者

量だけでなく質も充実させたいというのは、専門的な部分ということですか。

市長

そうです。やはり専門性がいるんです。本当にそこは慎重になって、悔しく思うのは、専門職の対応があまりにも劣悪なんです。そういった中で、明石市は例えばDV相談員なども正規待遇にして給料も上げましたが、それこそ300万円ぐらいの待遇で専門職を採用している国というのは本当ないです。他に専門性があるんだから、一般行政職より給料が高くて当たり前なのに、本当に一般行政職の半分以下の給料でやってというのは、専門職の活用として間違っています。

日本の場合には福祉職も心理職も劣悪な待遇です。心理職だって、世界の中で最も待遇が低いのは日本ですから。そういう意味では、いかに日本が専門職に対して冷たい対応をしているかです。それは専門職にとって良くないだけではなくて、専門職の専門性を必要としている、障害のある人や心のケアを必要とする人にとって望ましくないことですから、そこは変えていきたいと強く思います。私に権限があれば、そこをしっかりとした待遇で、正規として位置付けて、ちゃんと市民のために働いてもらいたいと思います。

繰り返しますが、政令市になると言うとすぐに大きくなりたいみたいな誤解がありますが、そういうことではないんです。市民に対する更なる責任を果たしたい、そのためには権限がいるということです。

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