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更新日:2020年10月19日

記者会見 2020年(令和2年)10月15日

「児童相談所の一時保護に関する検討会の設置について」

資料 こどものための一時保護の在り方に関する検討会設置について(PDF:144KB)

資料 乳児の骨折により親子分離を行った事例の経過について(PDF:93KB)

報道担当課長

定刻になりましたので市長記者会見を始めさせていただきます。本日のトピックスは、「こどものための一時保護の在り方に関する検討会の設置について」です。まずは泉市長から説明の方よろしくお願いいたします。

市長

大変重要なテーマでありますので、私の方から皆さんからのご質問にお答えも含めて、お伝え申し上げたいと思っています。お手元の方に検討会の設置に関する資料と、その前提となる、いわゆる親子分離を行った事例の概要の経過をお配りしておるところであります。既にご案内かと思いますが、改めて簡潔にお伝え申し上げますと、本件につきましては時系列で見ていただくと分かるんですが、平成30年8月に本件のお子さんが骨折という形になり、当時明石市はまだ児童相談所を開設する前の時点でございますので、その当時につきましては、兵庫県の県立中央こども家庭センターでの対応のケースであります。一時保護した後に親子分離を継続するという方向での、いわゆる申し立てが裁判所に出された事案であります。明石市としては平成31年4月に、新たに明石市として児童相談所を開設いたしました。全く別の組織であります。明石市の児童相談所としては明石市内の子ども達を所管する立場でありますので、県の方から本件について引き継ぎを受ける形になっています。実質的にはすでに裁判の手続きが進行していた状況でありますので、明石市につきましては、その状況の中でこの間対応してきてしまったということだと認識しております。明石市としては、その後審判が出た後に即時抗告の申し立てをし、それが棄却の決定となった後に家庭復帰という経緯になっております。その後私の方で、本年の先月9月10日に直接当該お子さんのご両親などとお会いさせていただき、率直に申し訳なかったと、大切な1年3か月の間も親子のまさに一緒に過ごす時間を奪ってしまったことについては、本当に申し訳ないとそのようにお詫び申し上げたところであります。その際ご両親の方から、しっかりとした検証をという声もいただきましたので、当然のことでありますので、明石市としてその後指示をし、内部的な検証に付してきた経緯であります。一定程度内部の方から報告が上がってまいりましたので、私の方から改めてご両親の方にお声がけさせていただき、ご自宅にお伺いもと申し上げたんですが、市役所に行きますという形でしたので市役所にてお会いさせていただき、いわゆる内部的な検証についてのご報告を申し上げるとともに、私の方からこれで終わりではなく、しっかりと本件をさらに検証を続けるとともに、明石市の児童相談所として今後しっかりと子どものためになるような一時保護というものを共に検討していきたいと考えておりますので、引き続きご意見等を賜りたいという形でお願いを申し上げ、その後今回の検討会の設置について調整を行い、本日に至った経緯であります。

もう1枚の資料は、検討会についてであります。まさに児童相談所における一時保護につきましては、国の方でも厚生労働省が9月18日を第1回として、国における検討をまさに始めているところでありますが、非常に重要な問題であり、明石市としてはそれを待つことなく自ら検討会を立ち上げ、本年度中には一定の結論を見出し、新年度からはそれに基づく運用の改善をしていきたいと考えており、そういった観点も含めて検討会を設置した経緯であります。検討会の委員につきましては、現時点においては6名の方に内諾をいただいておるところでございます。固有名詞も書かせていただいていますが、元裁判官の方や弁護士の方、加えて児童相談所の所長経験者などを中心にと言いますか、お願いをしております。記載はしておりませんが、いわゆる6名中3名が弁護士であり、3名が児童相談所の所長経験者という形になります。なお、うち1名の弁護士につきましては、ご両親の代理人弁護士の方でありまして、ご両親の意向をしっかりとこの場にていろいろご発言願いたいと私からもお願いしているところでございます。やはりご両親の納得なくしては前に進めないと思っておりますので、しっかりとご両親の気持ちに寄り添うような検討をしていきたいと考えているところであります。非常に大きなテーマであり、さまざまな論点がありますけれども、特にという意味においては大きく3点ばかり考えております。いわゆる一時保護に関する検討会の設置に際し最大のポイントは、子ども目線と言いますか、子どものためにどうするのがいいのかというところだと思っております。もう1つはもちろん検証は当然大前提ですが、検証に留まることなく運用の改善、言い換えると国の法律改正を待っておれませんので、国の法律改正を待たずして運用でできることはしていくというふうに考えております。特に強い思いとしては、記載の3点についてはぜひ実現したいと思っております。まず1点目については、一時保護の後速やかなる対応にて、第三者のチェック、いわゆる第三者の目を入れていく、これは絶対不可欠なテーマだと思っているところであり、これがないことにより、これが不十分であることが問題を生じさせていると私は考えている立場であります。2つ目ですが、いわゆる親子分離的な状況になったとしても、しっかりと親子の面会の機会を確保する、原則が面会可能であって、例外的に制限すべきだと私は考えておりますが、実際は逆になっております。原則会わせない、例外的に会わせるという運用ですが、それは原則と例外が反対だと私は考えており、原則はちゃんと面会ができるというあたりの運用を心がけたいと思っております。最後にこれは明石ではすでに実現しておりますが、一時保護中のお子さんが、明石の一時保護所ではそれまで通りの小中高校に通っていただいておりますが、聞くところによりますとおそらく全国で明石だけだろうと思います。このあたりもすでに明石市では実現しておりますが、これを大原則として打ち立てて、全国の一時保護所に広めていきたい、そういった見本を示したいと考えており、3つ目のテーマについてもしっかりと位置付けをしていきたいと考えている立場であります。私自身が市長になった動機の1つとして、弁護士時代から児童虐待の事案などに接する機会が多く、当時から日本社会における児童相談所のあり方に強い疑念を持っている立場として、市長になってもっとしっかりした虐待防止、児童相談所を作りたいという思いもあって市長になり、その後昨年4月に児童相談所の開設に至ったと自分では認識しています。ただポイントは児童相談所を作ればという話ではなくて、その運用面も含めてまだまだ課題は多く、我が明石市においてもまだまだ課題が多い状況でありますので、しっかりと運用改善を目指していきたいと考えております。

記者

ご両親への思いを改めてお聞かせください。

市長

率直に申し訳ないと思います。私も子どもがいますが、特に本件につきましては、生まれて間もない2か月から1年3か月もの長期にわたり、親子で共に過ごす時間を奪ってしまったわけですから、それは本当に申し訳ないという気持ちです。それこそ寝返りをするとか、ハイハイをするとか、そういった場面に立ち会うことなく、1歳半ばを迎えてしまったことについてはご両親に申し訳ないし、当該お子さんに対しても申し訳なく思っています。

記者

今回の件が起きたきっかけにもなると思いますが、現行制度の問題点について市長のお考えを教えていただけますか。

市長

率直にお伝えすると、少し大きめな話になりますが、とにかく子どもをめぐる私たち社会の法制度とかシステムがあまりにも貧弱、子どもに冷たすぎるというのが最大の原因だと思います。一番の原因は国です。国がちゃんとした法律を作っていない、国がしっかりとした予算を確保していない、最大はそこだと私は思っています。その結果何が起こっているかというと、法律が未整備なので、一時保護というものがいわゆる現場の判断に任されてしまっています。これは大変問題です。現場が全責任を負う形で対応せざるを得ませんので、躊躇する場合があります。本来は毅然と保護すべきなのに、保護した結果責任を負う立場になりますので、結局一時保護が遅れる、つまり救える命が救えない原因はここが大きいです。逆に、保護してしまうと今度は長期間の分離という形になってしまって、自らチェックする機会を持てない状況のままで、本来保護すべきを保護せず、本来保護しなくてもいいものを保護し、長期間分離している状況が今あって、その最大の原因は仕組みです。例えば、私自身弁護士資格もありますが、刑事弁護の場合などそうなんですが、逮捕するには基本的に裁判所の令状があって身柄確保なんです。その後も3日後には必ず改めてのチェックが入ります。それを続ける場合でも、その10日後にはさらなるチェックが入ります。最大でも3週間、23日で起訴しない限りは基本的に釈放なんです。刑事の場合を見ても、逮捕するのは警察でもそれをしっかり決定するのは、別の裁判所と機関が決定し、その都度都度それを続けていいかどうかチェックする仕組みになっているわけです。例えばアメリカのカリフォルニア州でも、3日後にはチェックが入るんです。他の国ではある意味ちゃんとチェックシステムを作っているんです。私たち日本社会はチェックせずに、児童相談所にすべての責任を負わせてしまっているというあたりが、その両面ですね、保護すべきなのに保護が遅れる、保護しなくてもいいのに保護を続けてしまう、この問題にあると思います。さらに、これはぜひお伝えしたいんですが、児童相談所は基本的には一生懸命頑張っているんです。頑張っていますが、あまりにも職員の数が少ないんです、あまりにも予算も少ないんです。その結果、手が回っていないことが多いわけです。それがもっとしっかりと充実した体制であれば、保護を毅然とし、保護した後も速やかに、それが妥当かどうかを判断する資料集めとか、いろんなことができるわけです。明石市の場合、国が定めた基準の定員配置の2倍以上の職員を配置しているんです。国の基準を守っていたのでは子どもを救えるわけがないんです。明石市は2倍以上、明石市が自腹を切って職員配置をしていますし、明石市としては精一杯、優秀な、心ある職員を配置しているつもりではありますが、それでもまだ回りきれていないのが正直なところであって、あまりにも国の基準はひどすぎる、その状況で児童相談所にすべての責任を被せて、ある意味そこを批判するだけでは何も解決につながりません。抜本的にはしっかりとした法律を作ることと、しっかりとした予算を確保すること、この2つは不可欠だと思います。それを前提に、明石市長としては国に対する思いはありますが、それを愚痴るのではなくて、明石から出来ることをしていきたい、特に今回明石市も当然責任を負っていますので、しっかりとその責任を果たす意味でも、早急に検討して、法律がなくても第三者的なシステムを入れて、速やかに第三者にご意見を賜わる機会を作っていくことは可能だと思いますし、原則として子どもが一時保護中に親と会える、学校に行ける、大原則だと思いますので、そこらへんは打ち立てていきたいと考えています。

記者

申し立てをしたのは県ですが、今回第三者委員会で検討するのは市に移管されてからのことですか。

市長

基本的には本件について全体を前提とした上での検討に入りますが、ただ実際“明石市”ですので、兵庫県が県として対応したことについて明石市が出来ることは限界があろうとは正直思っています。

記者

そうすると、市に移管されてからの市の児童相談所の判断等について検証するということであって、県の一時保護や申し立てまでは検証できないですか。

市長

シンプルな話として県が申し立てをしたわけですが、それが裁判所において否定されているわけですから、申し立てはすべきではなかったと私は思っていますので、私としては兵庫県として検証すべきですし、ご両親にお詫びすべきだと考えています。

記者

検討会の目的の部分は市長の思いなのか、それとも既に検討委員会のメンバーにこういうことを検討してほしいということまでおっしゃっているんですか。

市長

もう伝えています。検討委員会のご意見も踏まえながら調整した内容としての3点でありますので、基本的にはこの3点を含む形で議論が進んでいくと考えています。

記者

今回9月に市長が謝罪されたということですが、内部での調査を踏まえてどこまで市として認めたのか、虐待はなかったと認めたのか、それとも市としての対応に誤りがあったということでしょうか。

市長

明石が児童相談所を作る前からの引き継ぎ案件ですが、引き継いだ以上責任を伴うのは当然でありますので、引き継いだ時点で、本件についてしっかりと精査し直すべきだったと私は今は考えています。それを精査することなく、そのままの延長線上で対応してしまい、結果において1年3か月もの間、長期間にわたり親子で過ごす時間を失わせたことの責任は重たい、加えて一時保護の期間中に、もっとしっかりと親子のまさに愛情の時間としての面会の時間をちゃんと対応することは出来たはずですので、それが大変不十分、月1、2回の面会で十分であるはずがありませんので、そのあたり大いに反省すべきだと思っています。

記者

当時県の虐待が疑われるとした判断に関しては、市としては判断しかねる、引き継いだ段階での対応をもう一度精査すべきだったのか、その対応の部分に問題があったと考えているという解釈でよろしいですか。

市長

虐待については、裁判所で認定されていないわけですから、それは虐待はなかったという理解でいいと私は思います。虐待があった前提で申し立てをして、それが否定されたことを通して分離の必要なしになったわけですから、その結論が出ているのに虐待があったかのような前提に立つのは間違っていると思います。虐待は認められていないという前提だと思っています。そこは、私は当然そう思っていますが、ただこの間関わったいろんな担当の者が、当初からの流れに随分、言葉を選ばないといけませんけど、引きずられたという経緯がありますので、その辺りは私としては、しっかり関わった者が改めて振り返り、自らの対応についてしっかりと、それを踏まえた今後の対応に活かしていく必要があると思っています。私としては、シンプルに裁判所で申し立てが否定されたわけですから、そのように受け止めるのが自然だと思っています。

記者

今回の第三者委員会について、今後の対応の在り方について資料に書いてあると思いますが、もちろん当時の対応についても正しかったかどうかという検証は、改めてこの委員会でなされるんでしょうか。

市長

そこは率直なところ、明石市としては明石市の対応が間違っていたということを率直に、それを前提にお詫び申し上げ、内部検証においても明石市の対応が十分でなかったという形の中で、内部検証の結果も改善が必要と出ているわけですから、結論はもう出ている、明石市の対応が間違っていたという結論になると思います。県につきましては、私としては県自身が検証すべきだという立場です。

記者

今回市で予定しているのは、今後のあり方についての検証が主なテーマとなるのでしょうか。

市長

基本的に対応が誤っていたことを前提に、対応を誤らないためにどうすればいいかという形になっていくと思っています。もちろん、明石市が引き継いだ時点に、県の対応があったにしても、そこでどういった精査とか対応があったかという議論はあってしかるべきですので、その辺りは委員の中からもそういったご意見があれば、そういったご意見はしっかり向き合っていくのは当然だと思っています。

記者

内部調査ですが、引き継いだ時にきっちり精査すべきだったとか、あるいは面会の機会を確保すべきだったとか、そういう内容が内部調査の報告に含まれていたということでよろしいですか。

市長

そうですね。それも含む形で、内部検証でも反省すべき点が多かったことを前提に、改善が必要だという形になっておりますので、それはそのような受け止めでいいと思います。

記者

第三者を入れて今回検討会を設置するというのは、市長自身がこれでは不十分だという思いがあったんでしょうか。

市長

不十分といえば不十分なんです。何が不十分かと言うと、謝って終わるわけではなくて、こんなことを繰り返さないためにしっかりどうすればよいかということも含めて、対応してこその責任だと思います。内部検証で反省しお詫びしたから終わるわけではなくて、しっかりそれを踏まえた対応を具体化してこそ反省だと思っていますので、やはり今回のようなことを繰り返さないために、明石市としてちゃんとやるべきだと思っています。

記者

では今後に活かすための検討会と、そういう意味ですか。

市長

基本的には間違ったことをした明石市として、二度と間違いを犯さないためにベストを尽くすということも含めた責任の取り方だと思います。

記者

今回の検討会のねらいを改めて教えていただきたいのと、今、厚生労働省、国でも検討していると思います。明石としてのある意味「明石モデル」ということになると思いますが、どういう影響を与えていきたいと市長自身は思っていらっしゃいますか。

市長

明石市の施策としてもご理解いただいていると思いますが、今の日本社会は、あまりにも子どもたちがかわいそうなんです。子どもの貧困もそうですし、子どもの虐待もそうなんです。これは私たち大人の責任だと思うんです。そういう意味では本当に不十分が続いていて、それを何とかしていきたいという強い思いを持っています。そういった中で、例えば養育費の立て替えの問題などにもつながりますが、国を待っていられないので、明石市から始めるという中で、いろいろな施策をやっています。特にこの虐待は私も児童相談所設置の前に、市長に就任後に13か所、全国の児童相談所・一時保護所をまわって来ましたが、ひどいものです。だから、本当に児童相談所や一時保護所が虐待現場のような状況です、現実日本は。そういう意味で、私は改めて愕然として、こんな状況を放置していいわけがないと改めて強く思い、明石市としてそうではない児童相談所・一時保護所を作ろうと思ってきたつもりであります。ただまさにご案内のとおり、そういった思いは持っていたつもりでありますが、対応において、大変まだまだ不十分な状況にあることが明らかになったわけですから、しっかりと明石市としてやれることを精一杯やっていきたい。特にしつこく言いますけれども、一時保護というものは毅然とやるべきなんです。子どもが死んだ後に子どもに謝っても遅いんですから。子どもが亡くならないように、子どもの安全最優先で一時保護が必要な時は毅然と保護すべきです。なので、明石市では例えば人口30万人ですが、定員30名の一時保護所なんです。人口1万人に1人は、東京の7倍、兵庫県の10倍です。他の一時保護所は、そもそも一時保護するにも入れないような状況なんです。だから結果において、保護していないんです。保護すべき子どもを保護せずに放置しているのが、今の日本なんです。そうでありながら一旦保護してしまうと、それこそ長期間、場合によっては1年以上、本件もそうですが、1年以上にわたって、その状況を漫然と続けてしまっている、その結果貴重な時間と本当に大事な愛着形成の時間を奪ってしまっているのが現実にあるわけです。これをしっかりと、ちゃんと一時保護した後に第三者の目を入れてチェックして、もし間違った時には速やかに家庭復帰できるような仕組みを入れてこそ毅然と保護できるのであって、ここは同じ話であって、毅然と保護するためにも保護した後にしっかりとしたチェックシステムを入れるのが必要だという立場です。これはもう前々から、もう10年以上前から言われ続けていて、国も議論のテーマにあげながら対応していないんです。全国の児童相談所にアンケート調査をすると現場は反対なんです、仕事が増えるから。児童相談所はただでさえ仕事が多いのに、これ以上仕事が増えることはごめんなさいと、そっちまで手が回りませんという状況です。だから私が言いたいのは、ちゃんと児童相談所に本来必要な人員配置、ちゃんと基準を見直すべきで、今の何割増しでは足りないです。今の国の基準の3倍ぐらいは絶対要ります。明石市は現に2倍以上にしていても足りないわけですから。特にコロナの後、学校が再開になった後、一気に一時保護の事案が増えました。そういうのは気づかれにくいテーマですが、現実なんです。まさにそういった時こそ、子どもたちにしわ寄せが行きかねないわけですから、コロナ対策としても、国としては早急に、全国の児童相談所・一時保護所の人員強化を図っていただきたいと私は本当にそう思っています。

記者

それを国にも働きかけていかれるのですか。

市長

働きかけていきます。今度、国の担当の局長にも近々お会いするアポイントを取らせていただきました。私としては明石で始めますので、それも含めて国の方で早急に法整備、すぐに法律ができなくても、運用に関しての改善策をお示し願いたいということはお願いするつもりです。

記者

今回については、明石市としての対応を検証するということでしたけれども、引き継ぎのところは、引き継いだ後の精査が足りなかったかどうかというところからの検証が始まるのか、そもそも引き継ぎのなされ方とか、県が絡むところの検証も入るのでしょうか。

市長

そこは先ほどもお伝えしましたが、11月2日に第1回検討会を予定しておりますので、この後速やかに各委員さんから改めてテーマ設定のご意見を賜りますので、それを踏まえて対応することになるだろうと思います。その中でおそらくご両親の代理人弁護士の方からすでに一部聞いており、よりしっかりとした検証というテーマを伺っておりますので、そこをご相談して進めていきたいと思っています。

記者

具体的にはそこの引き継ぎの部分がどこからかというところも、検討会で協議して決めるということですか。

市長

決めるというよりも、逆にシンプルで明石市は間違っていたんです。私としては県も間違っていたわけです。県自身は一時保護については議論は分かれると思いますが、少なくとも申し立ての時点で、申し立ての必要はなかったと私は思っておりますし、少なくとも明石市としては引き継いだ4月1日の時点で、本件について改めて振り返って精査すべきだったという立場です。だからそこは検討会の立ち上げについても、そういった方向で整理されると思っています。

記者

第三者チェック制度の創設ということで、具体的な話は今後の検討会だと思いますが、新年度から外部のチェックの機能を市として創設するということですか。また、市長がお考えになっている外部というのは、どういうところを指すんでしょうか。

市長

もちろんそれ自体を議論していくわけですから、この瞬間に結論というのは早すぎますが、大きな方向性として各委員の皆さんにお伝えしているのは、一時保護したら速やかに一時保護したことを、いわゆる児童相談所の関係者以外、児童相談所の内部ではなく、外部の方にお伝え申し上げたいということです。その後一定期間内、その一定期間というのは2か月という長期ではなくて、もっと早い段階でご意見を賜る機会をしっかりと設けて、そこで一定のご意見があれば、自らそこを立ち返って、途中ででも一時保護を解除して家庭復帰の道を探っていくというような制度設計で、各委員には既にお伝え申し上げているところで、一定程度その方向でいくだろうと私は思っています。

記者

そこでおっしゃっている外部というのは、外部の有識者のことを指すのか、児童相談所以外の内部の部局のことを指すのでしょうか。

市長

そこもこれからの議論になると思います。両方の要素がいると思うんです。そこは一定程度、児童相談所の実務というものが、一定程度分かっていることが必要な面があります。しかしながら、いわゆる身内ではなくて、ちゃんとご意見を言っていただける立場という部分が必要ですので、その辺りまさに、どういった方が適任かというところも、議論になってくるかと思います。一般的に言えば、明石の児童相談所の職員ではない、他の児童相談所の所長であったり、所長経験者であったり、元家庭裁判所の裁判官であったりというような方々も想定され得ると思っています。そこも今後議論になっていくと思います。その時に数多くの方にご連絡ご意見を賜る方がいいのか、ある意味一定程度ですけど、早い段階でご意見を賜った方がいいのかというあたりも議論になってくるかと思います。

記者

今現在、2か月という一時保護期間があって、それを超える場合は家庭裁判所の審判が必要という法制度に変わってきています。市長の言われている第三者のチェックというのはそれを待つことなく、だいたいどれくらいの期間にチェックを入れるというイメージなんでしょうか。

市長

あまりイメージが先行してしまうと、これからの議論になりますが、2か月というのはあまりにも長すぎます。1か月でも長いと思っていますので、その辺りも踏まえてご議論賜ることになろうかと思います。特に子ども時代の1か月というのは長いですし、赤ちゃんの1か月というと、それこそ寝返りしたりハイハイしたりしますので、そういう意味では大人の1か月とは違う1か月です。愛着形成において大変重要な期間ですので、可能な限り速やかにとは思っています。そうはいっても実務でちゃんと運用できないといけませんので、市長がいくら強い思いがあるからといって、実務で実際できないような形になってしまうとかえってまずいですので、実務上可能な範囲の中での速やかな対応ということになると思います。

記者

実務を圧迫するような行為があってはならないということですが、実質2か月あっても、その2か月の中で本当に虐待があったのかどうかを調べるというのはかなり大変な作業です。特に疑われるから最初に保護すべきであって、場合によっては警察機関であったり臨検であったり検察とかも入ってくるということも考えられますが、それらとの交通整理がうまくいかないと、結局今お話を伺っているのは市の児童相談所内部で完結する場合を想定してお話しされていると思うんです。そうなってくると関係機関との調整というのは市の運用だけでクリアできるものなんでしょうか。

市長

今のご質問の前提として、私も例え話で時々話してしまうので悩ましいですが、子どもにとって親と別々と過ごす方が良いのか、親子一緒に過ごす方が良いのか、基本的には子どもの安全なり生育環境にとって望ましいという観点から対応するわけです。そういった中で、いわゆる虐待があったか否かの刑事事件としての手続きをしているわけではなくて、一定程度それが平行しながらでもご家庭に復帰して、ある意味お帰りいただくけれども引き続き一緒にやりましょうという形で、いわゆる児童相談所や子育て支援の担当の職員などが家庭訪問を継続したりしながら、ある意味一緒にお子さんに関わっていくという方法もあるわけです。別にいわゆる刑事事件の事実認定をして処罰する手続きではなくて、お子さんにとって望ましい環境を探っていく話ですから、そういう意味では家庭復帰するにしても、家庭復帰してさよならではなくて関わっていくんだと思います。逆に一時保護を継続するにしても、親と会う機会をしっかり保証していくという形になろうかと思いますので、そういう意味では子どもにとって何がいいのかという観点で個々のケースに対応していくものだと思っていますので、そういった中で場合によっては、虐待案件で刑事事件になるケースもありますから、そこはもう警察としっかり連携しながらやっていくのかなと思います。

記者

今回家庭裁判所の審判申し立てをして結局最終的に1年3か月かかりました。1年を超えるケースというのは、結構レアです。私が取材する限り、いろいろな識者に聞いてみると、家庭裁判所の審判自体が遅すぎるのではないかという意見もあります。市内部の運用で一時保護を見直すという動きがあれば、そういう長期化するような家庭審判を避けるような傾向になってしまうんではないか。今回のような、市内部でこういうことがありました、その反省に基づいて行っていますというのはいいんですが、必要な時に審判申し立てを鈍るような動きになってしまうのではないかという懸念があります。例えばそこをセーフティーネットというような、そういうものは何かお考えとしてありますか。

市長

繰り返しお伝えしているように、当然子どもにとって必要であれば毅然と保護をし、親子分離状態を継続するわけであって、本件の検討があるからといって保護が躊躇されたり、子どもにとって望ましくないのに家庭復帰を急ぐわけではありません。子どもにとってより良い仕組みづくりをしていくイメージですから、自らした一時保護、一時保護の継続についても第三者の目を入れて改めて立ち返る、児童相談所だって誰も悪気はないんです。皆さん全員が子どものためを思っているわけです。子どものためにという前提が皆さん一致してしまっていて、だからこそ振り返りにくいわけです。関係した方々それぞれが、皆一生懸命子どものために精一杯頑張っているわけです。それが見ようによっては違うように見えたり、結果、思い込みや勘違いがあってしまったりするわけであって、そこはこのテーマについては違う目、第三者の目をできるだけ入れていくテーマだと思います。加えて、どっちが正しいではなくて、繰り返し言いますけど、いわゆる一時保護した後に一時保護して親子分離になっているから漫然と分離ではなくて、むしろ分離しているがゆえに余計親子の愛着形成を貴重な時間であればもっと密に、面会の機会を設けるとかしっかりと親子が一緒に過ごすような支援をしていくということを合わせて入れるべきであって、分離したケースは分離でいいということではないと思います。どちらにしても子どもさんの状況に応じた、より丁寧な支援も含めた対応が必要だと思います。よく介入と支援と言うんですが、分けられるはずもなくて、両方合わせてやっていくんだと思うんです。介入ケースで親子分離したからといって支援が得られないわけではないです。支援を継続しているケースでも、毅然と介入して分離が必要になる場面もあるわけですから、そのためにはより充実した人的体制とか専門性の向上とかも含めたテーマだと思います。明石市ではすでに国基準の2倍以上の配置をしていますから、今回の検討を踏まえて、当然必要な人員配置をする予定でありますので、そこはセットだと思っています。そうでないと今で大変なのに、新しい業務を加えると他の部分にしわ寄せがいくと意味がありませんので、そこはしっかり対応したいと思います。

記者

2年前の一時保護ガイドラインには、家庭裁判所で申し立てが却下されたケースも書かれておりまして、それによるとやむを得ないときは一時保護できると但し書きで書いてあります。ただ確定していない下級審の審判とはいえ、一時保護の期間の更新を不当とする司法判断が出ていることは一定程度尊重されるべきであり、継続の要否については慎重に検討される必要があると書かれています。今回明石市が主体となったこととして即時抗告しましたが、なぜやったのか私はすごく疑問なんですが、それについて慎重な検討がされたのか、あるいは市長はこの件をご存知だったのか、教えてください。

市長

そこは結論から言えば即時抗告はすべきでなかった、すべきでなかったけど即時抗告したことについては本当に申し訳なく思っています。これは明石市に移管された後のことですので、即時抗告すべきでないにも関わらず即時抗告をしてしまったことについては、私自身も本当に忸怩たる思い。本当に大いに反省すべきだと強く思っています。

記者

市長はご存知でしたか。

市長

即時抗告前の相談はなかったので、後で聞いて、即時抗告すべきでなかったと思いました。

記者

取り下げもできますよね。

市長

そうですね、おっしゃる通りです。それにも至らなかったことも含めてお詫び申し上げました。それは直接ご両親にもお話ししました。ご両親からも聞かれました。「市長、そうであれば取り下げてもらったら」とも正直言われました。そこは、そこまでの判断をできなかったことも含めて私の責任だと思っています。

記者

そういうことも検討会の中には入っていますか。

市長

そこは内部検証で、基本的には即時抗告すべきなかったという整理でいいと思います。

記者

コロナのあと一気に一時保護が増えたという話がありましたが、明石市を例に挙げていただくと人数はどれくらい増えたんでしょうか。

市長

即座に数字まではあげられませんが、私が聞いているところでは若干前提があるんです。明石の児童相談所の特徴はいくつもあるんですが、そのうちの1つは、明石市ではいわゆる通報元は学校現場が多いんです。なぜかというと、できるだけ気づいた場合には連絡をいただきたいので学校で一定のマニュアルを作っていまして、一定程度あたる場合には児童相談所に連絡いただくような仕組みを導入したんです。一般的に全国の児童相談所だと教育関係からは1割ちょっとのはずですが、明石市では3割程度のカウントがあります。それを前提に、いわゆる学校に行っていなかった子どもが学校に行ったことによって、学校現場で子どもの異変や気になるあたりを把握されたので、一気に児童相談所に連絡がありました。私が聞いているところでは明石市が児童相談所をスタートして以降、一番多い一時保護の人数が学校再開後続いているという報告を受けております。

記者

今回のように月1~2回面会というのが少ないという実情もおっしゃっていただきましたが、現状、児童相談所と対立する保護者のケースについては、面会機会を制限するような運用がなされたりすることがおきているんでしょうか。

市長

対立していなくても、そもそも面会の頻度も運用上極めて少ないと私は認識しています。だからといって頻度がどうこうということまでの裏付けまでは取れていませんが、いずれにせよ争っていようがいまいが、親子なのですから、子どもにとって親と会うことが子どもの精神上とかいろいろな要素でマイナスであれば当然会わないのであって、親が会いたいから会わすわけではなくて、子どもにとって望ましいかどうかが観点で、子どもにとって親御さんと会ったほうが望ましいという判断であれば、ちゃんと親御さんと会う機会を調整していくんだと思います。その場合も結局、日程調整したり、立ち会ったりなので、職員の手間ひまも含めてセットです。そういったことをすると、他の業務に響いたりするなかで、結局だんだん頻度が少なくなってしまって、そこは前提としての発想が、原則が面会可ではなくて、例外的に面会を認めているかのような発想が前提にあると思います。私はそれ自体を変えていく必要があって、基本的にいくら良かれと思って一時保護したとしても、お子さんにとっても、また親御さんにとっても自由に会する制限、すなわち権利制限があるわけですから、それが善意でやっていくからといって裁量権、すなわち行政が自由にできるものではなくて、やはり一定のルール化を図っていかないと、かえって不幸な結果とか過ちが長期化することにつながりかねません。ここは声を大にして言いたいんですが、厚生労働省関係者も第三者のチェックの発想が少ないです。良いことをしてるんだからいいじゃないかという発想で、それが児童相談所が子どものことを思ってやれば、例外的にできてしまう発想が強いんです。それは非常に危うい発想で、やはり一定程度の面会を止めるとか、親子分離を長期化する場合には、ちゃんと早い段階で第三者にチェックというのか、第三者の意見を踏まえた自らに対する検証という機会を設けていく仕組みが不可欠であって、いわゆる裸の権力といいますけれども、行政が裸の権力を行使するような状況にすることは、逆に危ういし、それが責任を伴ってしまいますので、かえって適正な権限行使を躊躇することにつながる面があります。やはり仕組みづくりが必要だと、かねてから私は思っている立場で、明石で児童相談所を作って1年半になりますけれども、改めて我が事として、切実に今回の反省も踏まえて、やるべき責任を負っているなと思っています。あと、今日特にお伝えしたいのは、通学です。明石では、一時保護所から元の小学校、中学校、高校に通っていただいていますが、おそらく全国で明石だけだと聞いています。本来子どもが学校に行きたくて、行ける環境を作るべきなのですが、今回も厚生労働省の論点には入っていますが、昔から論点に入っているだけで、できたら良いねで止まっています。これは全く間違いで、親御さんからしてもいろいろなケースがあって、確かに身体的・暴力的な虐待がないわけじゃないですけど、いわゆるお母さんとかがしんどくなってしまって、ネグレクト状態の場合などは逆にゆっくりしていただくか、お子さんをお預かりするようなかたちで一時保護所で栄養のある食事を提供し、楽しい時間を過ごしてもらい、学校に通ってそれまでと同じように友達と日々を過ごしていくということが、逆に親との信頼関係につながったり、親子の復帰を促したりできるわけです。原則としてお子さんを隔離して、神隠しのような、いきなり親と分離し、クラスメイトとも分離することが常態化している日本というのは異常です。本当に異常で、こんなに不幸なことは無いです。であれば結局、子どもたちは一時保護所が嫌になるに決まっているわけです。私も弁護士自体から数多くの事件の中で、一時保護の経験をした子どもたちの声を聞いていましたが、ほぼ全員がろくでもないと言っていました。現状、今でも、日本全国の一時保護所は、私語厳禁や、男性と女性が絶対に会うこともないよう運用をしているところが数多くあるわけです。刑務所以上に、人権侵害しまくっている一時保護所だらけです。そんなところで一時保護する前提で、親御さんが納得するわけもないし、子どもだって行きたくない。そういった一時保護所では、そもそも前に進めないので、一時保護所というのは、安全・安心の子どもたちの居場所であり、親御さんにとっても、ある意味しんどい時に、そこで一種、預かってもらうかのような運用もあるわけですから、一時保護所の待遇改善というか、子どもたちの目線に立った一時保護所のあり方というものは、検討していく必要があると思います。明石では原則、個室で運用していますけれども、他の児童相談所は4人、5人、10人とかいうかたちで、子どもたちを詰め込んでいるような状況が常態化してしまっていて、こんなことをいつまでも放置していいわけではないと、本当に私としては思っています。今回、明石市は通学のテーマについても、ルール化を明確にした上で、他の一時保護所にもぜひ運用を広めていただきたいと強く願っている立場です。

 

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