明石市合理的配慮の提供を支援する助成制度を進める取り組みについて 明石市では、2016年4月施行の障害者配慮条例に基づき、民間事業者等が筆談ボードや点字メニュー、スロープといった障害のある人に合理的配慮を提供するための費用を助成する制度(別紙参照)を実施しています。この度、障害のある人がお店を利用しやすくするため、お店が提供する合理的配慮を分かりやすく表示するステッカーを作成しました。また、障害当事者であるあかしユニバーサルモニターに意見を聞き、助成制度を活用している事業者にもアンケートを実施しました。この取り組みは、条例施行から5年を迎えるにあたり、12月3日〜9日の障害者週間に合わせて実施したものです。 つきましては、下記のとおり、取り組み内容をご報告します。取り組みについてのご意見がございましたら、別紙にご記入ください。合わせて、2021(令和3)年度の協議会内容を検討するにあたり、コロナ禍での地域の状況や気づき、取り組み案等がございましたら、別紙にご記入いただきますようお願いいたします。 記 1.あかしユニバーサルモニターに意見を聞き取り(令和2年10月) 障害のある人が生活の中で不便に感じていることや改善案などを意見として出す「あかしユニバーサルモニター」に、よく買物に行くお店やその理由、配慮してもらってうれしかったこと、行きづらいお店や改善してほしいことなどを電話やメールなどで聞いた。 【主な聞き取り内容】 回答者19人(対象者20人) @日常でよく行くお店はどんなお店か? 近所のスーパー、コンビニエンスストア、ドラッグストア、パン屋、大型商業施設、ファーストフード店、ケーキ屋、飲食店など Aその店によく行く理由は何か? 家から近い、価格が安い、駐車場が広い、商品の種類が多い、店内がバリアフリー、ゆっくり買い物できる、接客が良い、など Bよく行く店はどんな配慮をしてくれるか?(対応の内容、うれしかったことなど) ・視覚障害があるが、入店するとすぐに店員が声をかけ対応してくれる。 ・おつりを渡すときに声をかけて丁寧に手渡ししてくれる。 ・杖を持っていると店員がレジからサッカー台(袋詰めの場所)まで買ったものを運んでくれた。 ・立ち飲み処だが、足が不自由なのを知って椅子を置いてくれるようになった。 ・自作の「耳が聞こえません、筆談と指さしを」のカードを見せるとすぐに対応してくれた。 ・事前に電話して店が対応できる時間帯だと買い物をサポートしてくれる。 ・通路が狭く車いすが通りづらいときに、店員が後ろから押してくれた。 ・必要な物をメモに書いて見せると店員が取ってきてくれる。 ・買いたい本がなくて注文すると、店員が丁寧に聞き取り入荷後に電話で連絡をくれた。 C 行きたいけれと行きづらい、いけない店はどんな店か。何が改善されたら行きたいと思うか ・店員の対応が冷たいとき。言葉は丁寧でも迷惑そうな対応をされると買い物したくなくなる。 ・店内に人が多いと落ち着かない。 ・メニューに写真があれば知的障害の人は分かりやすい。 ・視覚障害があるので、店内に入っても店員が誰も声をかけてくれないと状況が分からないので困る。 ・店の入り口に10cmくらいの段差があり、杖で歩くのはしんどい。手すりかスロープがあれば入りやすい。 ・耳が聞こえないことを店員に伝えても、同じようにしゃべり続けられると、もう行きたくないと思う。筆談や身振りを自然にしてくれるとうれしい。 ・視覚障害があり、店内の点字ブロックの上に人が並んでいたため、歩くのが大変だった。 ・スーパーの陳列棚に何があるかを表示するボードが天井近くにあるため見づらい。目線に近い場所にあるとわかりやすいと思う。 ・売場の配置の変更や、特売品等をいつもと違う場所に置かれるとわからない。 ・店舗の扉が開き戸タイプのものは車いすでは開けにくい。自動ドアや引き戸だと使いやすい。 ・建物の中にあり、階段はあるがエレベーターがない店は行きづらい。 D合理的配慮の助成制度や市内の店舗利用についての意見 ・店舗が集合しているところでは、視覚障害者はどこに何のお店があるのかわからない。案内する人、気軽に声をかけてくれる人がいると助かる。 ・聴覚障害があり、みんながマスクをしていると話している内容が分からない。レジ袋やポイントカードの有無などがすぐに分かるように、筆談ボードの他にコミュニケーションボードが広がると良い。聴覚障害者だけでなく、だれもが配慮してもらえるようなサービスがあれば良いと思う。 ・合理的配慮の助成制度を利用している店がどこにあるか、一目で分かるような表示をしてほしい。 ・メニューに写真があれば知的障害の人は分かりやすい。 ・飲食店で「ヘルプマーク優先座席」のようなものがあれば、気兼ねなく座れて助かる。 2.ステッカーの作成と配布(11月) 点字メニューや筆談ボード、簡易スロープなどの合理的配慮のあるお店や事業者が市民の人に分かりやすいように、ステッカーを作成しました。「筆談ボードあります」等全6種類、直径8センチ円型のステッカー 2016年から現在までに合理的配慮の提供を支援する助成制度を利用し、点字メニューの作成や、筆談ボード、折りたたみ式スロープなどの購入、簡易スロープや手すりなどの工事を行った事業者にステッカーを配付し分かりやすい場所への掲示をお願いしました。 3.事業者へのアンケートを実施(11月) ステッカーの配布とともに、合理的配慮の提供を支援する助成制度について事業者にアンケートを実施しました。(回答数177/対象374) (1) アンケート項目 @助成制度を利用したことで何か変化はありましたか? 障害のある人とも積極的にコミュニケーションできるようになった、46 障害のない人にも喜ばれた、42 合理的配慮の具体的なイメージができた、39 特に変化なし、43 その他、13 A障害のある人への応対について、困っていることはありますか? どのように声をかけたら良いのかわからないことがある、46 障害のことを本人に尋ねていいのかわからない、43 障害のない人以上の特別なサービスを求められ対応できないことがある、4 特になし、19 その他、13 Bステッカーを貼る場所 レジ周辺、62 入口付近、58 その他、14 C助成制度に対する意見 ・筆談ボード、高齢者の方にも喜ばれました。 ・とても感謝しています。手すりがとても必要な方が多く、全ての人に喜ばれています。安心感が増したと声が届いています。 ・色々取り組んでもらって接客しやすくなりました。 ・今後も、障害のあるお客様を気持ち良くお迎え出来る様、努めて行きます。 ・助成制度があるということをもっと広く知ってもらえればと思います。当店も知り合いからお伺いして利用させて頂いたので。商店街単位で案内を配るのも良いと思います。障害のある方の安心した生活の為にも助成制度が広く認知されればと思います。 ・この制度は介護サービスの人との会話から知りました。まだまだ認知度が低いのではないでしょうか。この制度の利用で1人でもお客様の利用が増えるのは嬉しいです。 ・手すりやスロープがある事で転倒が防げています。ありがたいです。 ・まだまだ助成制度がある事自体を認知していない個人事業主が多いと思います。もっとPRすれば障害のある方が利用しやすくなると思います。 4.制度の利用について事業者に呼びかけ(11月) 市内の約1200の事業者に、制度の周知と活用をよびかける文書を送付しました。このうち、47件の事業者から新たな申請をいただきました。 5.広報あかしでの周知(12月) 広報あかし12月1日号で合理的配慮の提供を支援する助成制度やステッカーを作成したことを掲載しました。 6.「あかし手話チャンネル」で取り組みを紹介(12月) 今年度から始めた動画「あかし手話チャンネル」では、広報あかしに掲載している情報をろう者職員が手話で発信しています。12月1日の手話チャンネルで合理的配慮の助成制度について紹介しました。市のホームページ(下記のアドレス)から見ることができます。 https://www.youtube.com/watch?v=obL44-RygnM&feature=youtu.be 7.「海峡のまち明石」vol.1219(明石ケーブルテレビ)で取り組みを紹介(12月) 「誰もが暮らしやすいやさしいまちへ」をテーマに、ステッカーの作成や事業者や、当事者へのインタビューなど、合理的配慮の助成制度の取り組みを紹介しました。市ホームページ(下記のアドレス)から動画(YouTube)を見ることができます。 https://www.youtube.com/watch?v=PRhnlpWYElg 8.まとめ 2020年は新型コロナウイルスの感染拡大により、障害のある人もない人も、事業者や各種団体の活動も大きな影響を受けました。昨年までと同じように外出したり、集団での活動や行事を開催したりするのも難しい状況となりました。障害のある当事者の方からは、「買い物に行くのもスーパーが混んでいると心配」や、「みんながマスクをしていると表情や話している内容が分からない」、「楽しみにしていた行事が中止になってさみしい」などの声がありました。以前から、「障害のある人も行きやすい配慮のあるお店が分かるような工夫があれば良い」という声を多くいただいていたことから、コロナ禍でも取り組めるステッカーの作成やアンケートを行うにあたり、障害当事者や事業者など多くの方々にご協力をいただきました。 ユニバーサルモニターへの買いものに関する聞き取りでは、店員さんの対応が回数を重ねるごとに良くなっていることや、障害のある人に細やかな配慮をされている例がいくつもありました。 ステッカーを作成し、事業者へのアンケートとともに送付した際にも、多くのご意見をいただきました。助成制度を利用することで「障害のある人と積極的にコミュニケーションできるようになった」や、「障害のない人にも喜ばれた」と回答した事業者が多いことは、やさしいまちづくりが進んでいる表れでもあります。その一方で、「どのように声をかけたら良いか分からないことがある」や、「障害のことを本人にたずねていいのかわからない」との声もあり、さらにお互いの理解を深められるような交流や学習の場を作ることが求められています。また、合理的配慮の助成制度を知らない事業者もあることから、ホームページや関係団体への連絡等さまざまな方法を活用して、さらに制度の周知に取り組んでいきます。