明石市障害者の差別の解消を支援する地域づくり協議会 平成28年度 年次報告(案) 平成29年○月 明石市障害者の差別の解消を支援する地域づくり協議会 目次 T 地域づくり協議会の活動経過 1  第1回協議会 議事概要 1  第2回協議会 議事概要 4  第3回協議会 議事概要 7  第4回協議会 議事概要 9 U 障害者配慮条例に基づく市の取組 11  1 合理的配慮の提供支援に係る公的助成制度 11  2 啓発の取組 12  3 研修の実施 12  4 相談対応 13 V 次年度の協議事項について 15  1 条例の施行状況に関する協議事項 15  2 障害者計画に位置づける差別解消施策 18 資料編  地域づくり協議会の委員構成  第1回協議会 資料  第2回協議会 資料  第3回協議会 資料  第4回協議会 資料 T 地域づくり協議会の活動経過 第1回 日時:平成28年5月29日 午後6時〜8時 会場:806AB会議室 1 地域協議会の運営について ○協議会の設置目的及び設置根拠、今後の主な協議事項を説明。 (主な意見) ・市の施策全般をこの配慮条例で議論することはできるのか。また、合理的配慮を超えた施策提案はできるのか。 →(事務局)障害者配慮条例第6条に障害者計画との関係について規定しているとおり、本協議会で協議した差別解消のための施策について、本市の障害者計画にも反映していくことになる。また、各分野における差別事例についても協議し、どのようなことが差別に当たるかを明確にしていくことも今後の検討課題の一つと考えている。 2 相談体制についての報告 ○条例に基づく4つの相談窓口と今後の相談員研修について説明。 (主な意見) ・第三者(障害のある人の状況を見兼ねた市民など)からの相談もこちらの窓口でよいか。 →(事務局)「見兼ねた市民」というのは障害者の支援者枠で相談できるが、あっせん申立てはできない。ただ相談の段階では資格がないから相談できないという形にはせず、広く受けていこうと考えている。 ・相手方が個人の場合と団体(法人や企業など)があると思うが、商売をされている方の周りの反応はどうか。 →(委員:民間事業者)現時点では障害者差別解消法の話題はないが、点字メニューや筆談ボードなど助成制度に関する声かけをすると前向きにとらえてもらえているように感じる。差別に限らず店舗に対する苦情はよくあるが、何度注意しても聞いてもらえない、会話にならないというような所もあり、商店街の中だけでは解決しづらいので市から何か指導をしてもらえたらとも思う。 ・相談の流れの中に調整会議というものがあるが、相談担当者は市の職員か。また、関係機関というのは弁護士会など市以外ものか。 →(事務局)相談担当者は市の職員。また、関係機関は市以外の機関で、例えば商店が当事者になるような事案であれば、関係機関としては商工会議所等となる。事案ごとに判断していくことになる。 3 職員対応要領及び障害者差別解消ガイドラインについて ○職員対応要領とガイドライン案の概要を説明。 (主な意見) ・ガイドライン以前に、障害者差別解消法が4月から施行されていることを一般市民はほとんど知らない。人権教育推進員が草の根的に人権教育を行っていると思うが、障害者差別についての啓発に関して特に一年目である今年はどのような方法を考えているか。 →(人権推進課長)今のところ計画はできていない。今後課の中で進め方に  ついて協議していきたい。 ・ガイドラインの具体例は7分野に分かれているが、他にも必要ではないか。例えば安全・安心・防災関係、文化、政治、経済など。 →(会長)おそらく国もこのような分け方になっている。行政のシステムの中で統括される省庁や官庁の仕組みに基づき、権限がどこに及ぶかを踏まえた分野別とされていると思われる。他にも必要な分野が考えられる場合には本協議会で議論し決めていきたい。 ・市立図書館などの指定管理者についても公の施設である以上は同じ基準で対応すべきではないのか。 →(事務局)例として出た市立図書館は、ちょうど前年が見直しの時期だっ  たため担当部署から相談があり、図書館で障害者に配慮していくという内容を指定管理の条件の中に入れている。指定管理先の職員は指定管理先の法人の懲戒権で罰則が与えられるため、法的には別主体となってしまうことからこの対応要領を直接適用することは法的には難しいためこのような書き方になっている。しかしながら、委託や指定管理の担当部署とも相手方と交わす文書の中には注意書きを入れてもらうよう調整している。 4 合理的配慮提供支援の助成金制度の利用状況報告 ○新設された公的助成制度の趣旨及び概要を説明。 (主な意見) ・事業者の規模に限らず助成金の交付対象となるのか。 →(事務局)要綱上の定めはないが、制度設計上対象の想定はあるため、それとあまりにかけ離れている場合にはご遠慮いただくケースも考えられる。今後運用していきながら内規を固めていきたい。 5 障害理解に関する研修・啓発の取組について ○研修・啓発について今後の取組方針とパンフレットの構成案を説明。 (主な意見) ・パンフレットについて、イラストだけではなく漫画にできないか。 ・漫画も含め文字ではないものは知的障害の子にもわかりやすい。ほかにもスマートフォンやタブレットなどにも配信できないか。 ・リーフレットにはふりがなはあるが、「配慮」とか「促進」という言葉は小学生には難しいように思う。説明する文章もかなり長い。今後啓発用DVDを作成する際には、小学生向けのものも必要では。 →(事務局)今回の条例に先立って制定している手話言語・障害者コミュニケーション条例に基づく施策推進協議会においても、知的障害の方への配慮という部分でわかりやすいパンフレットなどを作ることが課題としてあがっている。今回のパンフレットを漫画でというのは難しいが、いろいろな方法を検討していきたい。 第2回 日時:平成28年8月23日 午後3時〜5時 会場:103ABC会議室        協議テーマ:障害理解の研修・啓発などの普及 1 今後の地域協議会の進め方について ○主な協議事項を確認し、今後の協議テーマやスケジュールを説明。 (主な意見) ・「2見直しに向けた検討の方向性」について「点検及び評価」となっているが、評価とはどういうふうにするつもりか。例えば3段階評価なのか。 →(事務局)今のところ3段階評価のように点数をつけてする評価は考えていない。実際の取組を事務局や関係者から報告し、委員の協議の中で確認し、できていない課題を整理していくことが重要だと考えている。 2 障害理解の啓発に関する取組報告 ○市職員の研修及び市民、事業者への周知・啓発の取組について説明。 (主な意見) ・市民タウンミーティングの参加人数が4回(7〜8月に実施)で95人と少ないように感じる。どのような方法で広報したのか。自治会の福祉部会などと連携して開催すればもっと広がるように感じる。 →(事務局)今回は自治会の回覧板を中心に啓発をし、12000部チラシを配布した。数は少ないが回覧板のチラシを見てこられた方もいた。タウンミーティングだけでなく、何かの集まりにこちらから足を運んで啓発するのも有効な方法だと感じている。 (会長)行政だけでなく各障害者団体の方が説明に行くという方法も当事者の声を届けるという点で有効だと感じる。 3 委員報告(第1回) ○バス事業者の障害理解の職員研修の取組について委員(交通事業者)より報告。 (主な意見) ・地域と地域の民間企業と基幹相談支援センターと社会福祉協議会がうまくリンクできた結果ではないか。障害を軸にしながらまちづくりに広がっていることが大切。今回の研修の成功は、交通事業者側がモットーとしている接客と差別解消という方向性が合ったというところが大きいのではないか。 4 「障害理解の啓発」をテーマとした課題について ○外見からわかりにくい障害への理解促進、情報発信の方法について協議。 (主な意見) ・本人が了承できる方法で発信していくべき。知られたくないという感情も理解できる。私たちにはわからない感情を持っていると思うので教えてほしい。 →(当事者の委員)なぜ障害のあることを周りに伝えないのかというと、小  さいころから主張しない事を教育されて育ってきたということもあると思う。本当は障害を隠したいが、隠すと配慮してもらえないというジレンマもある。だからこのようなマークがあるし、みんなが経験していることを自分も経験したいと思っている。 (支援者の委員)精神障害者の作業所の方が就職をするときに病気を公表 する人としない人がいる。伏せて就職した場合、継続的に働くことが難しいが、気持ちとしては公表したくない人が多い。 ・内部障害の友人に意見を聞いたところ、公共機関にはイスがなく、電車で席も譲ってもらえず辛いなど様々な困りごとがあるという。また、あまり知られていないハートプラスマークなどの表示マークは、周知を徹底していかなければ意味がない。不幸な誤解や偏見はなくなって欲しい。障害によって取り除くべきバリアや必要な配慮は違ってくることを理解してほしい。 ・タウンミーティングでの障害者が地域に溶け込みにくいという発言が印象に残っている。お互いを理解するには接する機会を増やしていくしかない。私の地域のまちづくり協議会では、絵の鑑賞、制作を通して約50名が交流している。施設の方も地域に対して積極的に開放していくということが必要ではないか。 ・高齢者大学やヒューマンフェスタなど人が集まっているところに足を運んで取り組むべき。地域で啓発のキーパーソンを作るためにも、まちづくり協議会で勉強会をしたり、商店街にも啓発してほしい。 ・知的障害を皆さんにわかってもらうために、育成会で知的障害の疑似体験ができる取組をしている。行政や地域でもぜひ体験して欲しい。 5 地域協議会あっせん部会に関する要領案について ○あっせん手続きの概要と申立ての要領、部会の要領について説明。 (主な意見) ・人権推進課は条例に関して何か取組はしていますか。人権教育推進員は市の人権啓発のリーダーなので条例を知らないことには話にならない。しっかり情報提供してほしい。 →(人権推進課長)手話体験やアイマスク体験に加え、障害がテーマの人権塾などをしている。障害者差別解消のテーマについても積極的に情報提供していきたい。 ・あっせん部会についてメンバーの選び方はどうなっているのでしょうか。その時によって人が変わりますか? →(事務局)親会(地域協議会)の中から学識経験者と弁護士にはいってもらう。事案に応じて解決に適した方に入ってもらう(商業系、福祉系など)。まだケースが上ってきてないので具体的にはお答えできない。ケースによって人が変わる。 第3回 日時:平成28年11月17日 午後2時〜4時 会場:806AB会議室        協議テーマ:相談事例への対応 1 相談体制の対応状況 ○平成28年4月以降の相談対応件数等を報告。 (主な意見) ・相談事案がどのように終了したのか。具体的に知りたい。 →(事務局)公表できる範囲の相談事例を2件紹介する。 @ 身体障害者の団体から天文科学館を利用したいという申し出があった。車いす利用者70名位が1時間半で見学したいというのを断っても差別に当たらないかという相談。客観的に見て対応できないことは明らかなので、人数の調整を相手方(団体)にしてもらうことを提案した。途中でスケジュールが変更となり、結果的に天文科学館を利用しないことになった。 A オストメイトの方から施設のプールを利用したいという申し出があった。医師からも許可が出ている。万が一を考えて断るのは不当な差別にあたる可能性がある。結果、プールを使用できることになった。 ・当事者からの直接の相談は19件のうち何件ぐらいか。 →(事務局)当事者からの相談は「雇用」の1件と隣人とのトラブル1件。前者は雇用主と直接話し合うのはしたくないと言われた。後者はその後連絡がない。連絡があれば、今後の近所付き合いのこともあるので、当該地域の住民を対象に間接的な啓発を提案したい。 2 相談事例の報告(「性別」の取扱いについて) ○市の施設利用に関わる相談事例についての対応を報告。 3 相談ニーズの把握と相談につながる仕組み(グループ討議) ○困っている人を相談窓口につなげるための方法について討議。 (討議での主な意見) ・まだまだ相談窓口のことを知らない人がいる。広報を使っても増えないのならば、個別に丁寧にまわって周知していくしかないのでは。窓口で相談を待っているだけではなく、窓口があることを知らせる努力をするべき。声を拾うための活動をして、当事者から声をあげてもらうことで健常者の意識も変わっていくと思う。 ・トラブル未満の困りごとは多いと思うが、それを話せる人がなかなかいないのではないか。地域の人間関係をお互いに深めることが大切。普段から関係がない人にいきなり「こんなことで困っている」というのは難しい。条例ができたからではなく、隣近所とのつながりを深めていくことで困りごとを気軽に相談できるようになってほしい。 ・困りごとを相談につなげていくためには、相談を受ける側が内容を踏まえて、必要なところにつなげていくことが大切だと感じる。相談を受ける側のスキルが求められることになると思う。 ・市民に開かれた相談窓口ということなら「障害に関連して困ったことがあれば相談してください」という形にした方が相談はしやすいはず。もちろん差別とは関係ない相談も寄せられるとは思うが、「差別に関する相談」という看板ではどうしても難しい印象を持たれてしまう。 ・当事者が相談を受ける「ピアカウンセリング」という形を導入することが、困りごとを相談につなげる一つのきっかけにはなると思う。当事者ならではの共感を活かす仕組みも大切。 ・いろんなことで不便なことや困ったことがあっても、なかなか相談するところまでいかない人が多いように思う。相談に行っても「しょうがない」という気持ちに当事者はなっているのではないか。 ・当事者が直接、相談したり相手方とやり取りするのではなく、間に相談員や関係機関が入ってくれると相談が進みやすいと以前に関わったケースで感じた。どちらも、言いたいことを言えるようになるには、間に人が入っていた方がいいかもしれない。 ・当事者だけでなく、地域や団体や家族など、周囲のいろんな人がつながりを作って、いろいろなルートで相談できるようになるといいと思う。すぐに差別かどうかわからなくても、お互いに話をしていくなかで気づくこともあると思う。敷居の高さを感じずに相談できるようになってほしい。 (会長総括) ・障害者がいろんな委員会や運営委員会に一人でも入るように条例で規定するというのもやっていいのでは。 ・一般的な困りごとの中に差別が潜んでいることが多い。行政が感性を上げていく必要がある。 4 年次報告の項目案について ○地域づくり協議会の活動報告の概要及び項目案について説明 第4回 日時:平成29年2月16日 午後2時〜4時 会場:806AB会議室        協議テーマ:合理的配慮の推進 1 公的助成制度の実施状況について ○公的助成制度実施状況と制度を利用した事業者の声を報告。 (主な事業者の声) ・日常的にお客様として障害のある人が来店しているのは事実だが、障害のある人にどのように接したら良いのかまだわからないことが多い。 ・筆談ボードの導入により、聞こえないお客様とも積極的にコミュニケーションがとれるようになった。一度利用されたお客様は筆談ボードがあることで安心されて、再来店につながっている。筆談に限らず、ケーキのメッセージなどを伺う際にも活用している。 ・せっかく導入したツールなので、もっと多くのお客様に利用していただきたい。利用が少ないとスタッフの意識も薄れていってしまう。 2 条例をきっかけとしたまちの変化について(グループ討議) ○条例施行から約1年を振り返って、身の周りの変化などについて討議。 (討議での主な意見) ・地元のまちづくり協議会の役員にも条例のことを知ってもらうため講演会を行った。企画段階から当事者に参加してもらってはどうかと提案したが、役員も障害のある人とどんな話をしたらよいかわからなかったようで、今回は実現しなかった。今後、毎年ステップアップしながらやっていきたい。 ・ほかのまちづくり協議会でも出前講座等を活用してもらえるよう、積極的に発信していけばよいのではないか。 ・知的障害のある人は外見からは分からない。自閉症で落ち着きがなく、走り回ったり突然飛び跳ねたりすることもあるので、周りの人は驚くが本人にとっては一連の行動である。特性などを理解してもらうには時間もかかるが、障害とは何か、差別とは何かをもっと考える機会があればいいと思う。自分もいつか障害をもつことになるかもしれないという気持ちで考えてほしい。 ・従業員が障害者の方にも対応できるように研修を開催したり、参加させたりしている。障害者対応は高齢者対応につながるものでもあり、これからますます求められるものだと感じている。特に視覚障害者への対応についてはいろいろな声をいただいていて、工夫もしているが難しいと感じることも多く、これからも対応力を向上させたい。 ・市や事業者の取組はすばらしいと思うが、一般市民の障害理解がまだ十分に深まっていないように感じる。今後も幅広い啓発をお願いしたい。 ・助成制度を利用したお店に筆談ボードが置いてあるおかげで、一歩踏み込んだコミュニケーションができるようになったと感じている。ただ、筆談をしているのに話されたりすることもあり、障害について十分理解できていない人もいるので、丁寧な啓発を続けていってもらいたい。 (会長総括) ・身体障害に比べ、知的障害や発達障害、精神障害の人への支援は難しいことが多い。例えば電車に乗っていて声を出す人がいると、横にいる人はたいていどこかに行ってしまうが、もっと一緒になって活動していく機会を設けて経験を増やし、馴染んでいくのが大切である。 3 年次報告案について ○地域づくり協議会の活動報告に加え、市の取組と現状の課題、今後の協議事項を整理して掲載する旨報告。 (主な意見) ・相談員研修の対象となる「相談員」とはどのような人か。 →(事務局)障害者施策担当、障害福祉課、発達支援センター、基幹相談支援センター、の4つの相談窓口の職員のこと。様々な相談の中に潜む差別の兆しをキャッチできるよう、研修を実施していきたい。 U 障害者配慮条例に基づく市の取組 1 合理的配慮の提供支援に係る公的助成制度  平成28年4月に障害者配慮条例に基づき、「合理的配慮の提供支援に係る公的助成制度」を創設した。民間事業者や自治会等が障害のある人への配慮を提供するための環境整備に係る費用を助成するだけでなく、制度利用を通じて事業者等の障害理解の促進を目指す制度として実施。商工会議所や各業種団体に直接制度の案内をするなど、積極的な制度の運用を行った。  (1) 制度を利用できる団体(助成対象区分)    民間事業者、自治会等地域の団体 など  (2) 助成の対象になるもの(対象経費区分)   @ コミュニケーションツール作成費(上限額:5万円)   点字メニューやコミュニケーションボードの作成費、チラシの音訳経費等   A 物品購入費(上限額:10万円)    筆談ボード、折りたたみ式スロープなどの購入費   B 工事施工費(上限額20万円)  簡易スロープの設置や手すり取付などの工事施工費  (3) 申請件数及び助成金額  平成28年度で150件の申請があり、2,828,235円を助成した。一番多かったのが筆談ボード購入の助成で、111件の申請があった。 経費区分 内容 申請件数 助成金額 コミュニケーションツール作成費 点字メニュー 23件 286,225円 物品購入費 折りたたみ式スロープ 9件 774,360円 筆談ボード 111件 771,876円 工事施工費 手すり取付 4件 436,134円 段差解消 2件 399,800円 誘導マット設置 1件 159,840円 合計 150件 2,828,235円 2 啓発の取組 (1) タウンミーティングの実施  平成28年7月下旬から8月上旬にかけて、障害のある人とない人の交流の機会として、条例の考え方等の共有と意見交換を目的としたタウンミーティングを開催した。市内4か所(本庁地区、大久保地区、魚住地区、二見地区)で開催し、95名の市民が参加した。  参加者からは、「内部障害や難病等の外見からはわかりづらい障害のある人が配慮してもらうためのマークがほしい」「障害がない人に条例のことを積極的に周知できるような取組が必要」などの意見が出された。 (2)出前講座等  事業者やサークル、地区社協など幅広い対象者から申請いただき、障害者配慮条例や共生のまちづくりについてわかりやすくお伝えする講座を実施した。高齢者大学や人権啓発イベントなどからも要請があり、それらを含めると平成28年度で21回実施した。 3 研修の実施 (1)市職員を対象とした研修 @ 対応要領を周知する研修  障害者差別解消法の施行に合わせ、市で障害者配慮条例に基づき作成した「明石市障害者差別の解消の推進に関する職員対応要領」を周知するための研修を平成28年7月に実施し、192名の職員が参加した。対応要領の趣旨や背景を伝えるだけでなく、職員アンケートから見えてきた内容を共有し、窓口・電話対応のロールプレイを実施するなど、職員ができる合理的配慮を具体的に理解してもらいやすいよう内容を工夫して実施した。 A ユニバーサルマナー研修  市職員が様々な人の目線で考え行動できる状態を目指し、入口としての研修として、高齢者や障害者への接し方をマナーとして身につけるというコンセプトのユニバーサルマナー検定を職員研修に取り入れ、実施した。  平成27年度から平成28年度にかけて6回実施しており、3級講座を197名が、2級講座を49名が受講した。 B その他の研修   市職員の新人研修のカリキュラムの中に「障害理解」をテーマとした内容を組み込んでもらい、共生のまちづくりのために市職員として求められる役割等について研修を実施した。  また、職員対応要領の研修を受け、精神障害者への窓口・電話対応について別途研修実施の依頼があり、ロールプレイをその部署の内容にアレンジして実施した。 (2)民間事業者を対象とした研修   明石商工会議所と共催で事業者を対象とした研修会を平成28年9月と平成29年1月に開催した。市職員研修としても導入しているユニバーサルマナー検定の3級講座とあわせて、市が実施している合理的配慮の提供を支援する助成制度など条例に基づく取組を紹介する内容で実施し、57名が参加した。   平成28年9月実施時には障害者体験をしながら街歩きをする体験イベントを研修会後に開催した。 (3)市民を対象とした研修  @ 民生児童委員への障害理解の研修  障害福祉専門部会に所属する民生児童委員を対象に、障害者配慮条例や合理的配慮について具体的に伝える内容の研修を2回実施した。また、障害福祉専門部会では知的障害者の疑似体験や障害者相談員との意見交換会など、幅広い障害理解の機会を確保している。  A 高校生を対象としたユニバーサルマナー検定の団体受講  明石西ロータリークラブの協力を得て、職員研修でも導入しているユニバーサルマナー検定の3級講座を、市内高校生を対象として平成28年10月に実施し、高校生(高専生徒含む)60名が参加した。 4 相談対応 (1)相談事案への対応  障害者配慮条例に基づき4つの相談窓口(福祉総務課障害者施策担当、障害福祉課、基幹相談支援センター、発達支援センター)を設け、障害を理由とした差別に関連する相談を受け付けた。平成28年度の相談件数は28件で、内訳としては障害のある人9件、家族3件、行政職員6件、事業者7件、支援者1件、市民2件となっている。いずれの相談も、あっせん申立てや調整会議の開催には至らず、相手方との調整を希望しない案件が多数を占めた。   相談窓口を所管する担当課で定期的に集まり、相談対応の状況などについて情報共有を図るとともに、今後の相談体制のあり方についても協議した。 (2) 相談員研修 @ 第1回相談員研修会(平成28年7〜8月 22名参加)   法律と当市の障害者配慮条例の概要説明など4つの相談窓口で実施。 A 第2回相談員研修会(合同)(平成28年10月 30名参加) 講師提供の事例をグループで討議し、相談支援の視点などを共有する。 B 第3回相談員研修会(合同)(平成29年2月 27名参加) 各相談機関の業務内容を相互に報告して理解する。 V 次年度の協議事項 1 条例施行後の変化とこれからの各取組に関する協議事項 (1)障害理解の普及  @現状と課題 (現状) ○職員を対象とした職員対応要領研修(192人参加)、ユニバーサルマナー研修(209人参加)を実施し、障害に関する基本的な知識や対応について学んだ。 ○事業者を対象に出前講座の実施や明石市が作成した障害者配慮条例啓発用パンフレットの配布や説明を行い、条例の理念や合理的配慮の具体例等について周知を進めている。 ○市民タウンミーティングを市内4か所で開催し、障害当事者や家族、地域の人たちが日常的に感じていることや必要な配慮等について意見交換を行った。また、自治会やボランティアサークル等の団体に対して出前講座や啓発用パンフレットの配布等を行い、周知を進めている。 (課題) ○全職員に条例の理念や基本的な対応方法等について、周知徹底するのは研修のみでは不十分であり、日々の職務の中で継続的な情報共有や対応の検証が必要。 ○事業者の規模や事業内容等によって必要な配慮や対応等も異なるため、現在事業所で行われている取組例について情報提供や助言等が必要。また、助成制度を活用して筆談ボードや簡易スロープを設置した事業者の状況把握が必要。 ○市民タウンミーティングの参加者は障害当事者や家族、支援者が多い。障害のない人たちへの効果的な情報発信が必要。  Aこれからの協議事項 ○事業種別や規模等に関係なく、事業者が情報交換や相談を行えるための仕  組みについて ○障害のない市民が障害当事者と交流し、意見交換やお互いの情報を共有で  きる場について (2) 相談助言に関する体制整備 @ 現状と課題  (現状) ○条例施行後、相談窓口としては4つの窓口(福祉総務課障害者施策担当、障害福祉課、発達支援センター、基幹相談支援センター)を設けて連携して対応している。 ○平成28年4月から平成29年3月末日までの相談総数は28件をかぞえ、相談者の内訳は障害のある人9件、家族3件、行政職員6件、事業者7件、支援者1件、市民2件となっている。 ○現時点では、相談者が相手方との調整を希望する相談事案がないため、現時点では、関係当事者への助言及び調整による解決、または助言及び調整では解決できない場合のあっせんの申立てによる事案はない。  (課題) ○平成28年4月に実施した差別と思われる事例募集において1ヶ月間で集まった事例件数が94件だったことからみると、表に出てこない実際の該当事例はもっとあると思われるが、それが相談にはつながっていない。 ○相談窓口の周知や条例の基本理念などについて、理解が定着していない。 A これからの協議事項 ○相談窓口の趣旨や役割の周知方法や、生活の中での障害に関連する困りごとや悩みごとを相談窓口に気軽に相談できるための取組について ○困りごとや悩みごとを相談につなげていくために、地域の社会資源(相談支援事業所、自治会、当事者団体など)との協力、連携方法について ○相談者の困りごとや悩みごとの中から差別にかかわる「きっかけ」を適切に早目にキャッチすることのできる相談員のスキルの向上について (3)合理的配慮の推進  @現状と課題  (現状)   ○平成28年4月の障害者配慮条例施行と同時に「合理的配慮の提供支援に係る助成金制度」をスタートさせた。点字メニューや筆談ボード、簡易スロープなどの環境整備を想定しており、平成29年3月末時点で151件の申請があった。 ○障害者差別解消法に基づき整備した明石市障害者差別解消に関するガイドラインの別冊の中で分野ごと(商品・サービス/福祉サービス/公共交通機関/住宅/教育/医療/雇用)の合理的配慮の具体例を示した。   ○障害者配慮条例の啓発用パンフレットにおいて、障害種別ごとに必要な配慮を掲載した。  (課題)   ○助成金制度を利用した店舗などを障害のある人が積極的に利用していく仕組みづくりの検討。   ○分野別で必要な配慮について、各分野の関係団体等により周知が必要。   ○合理的配慮という言葉自体が広く市民に浸透していない。  Aこれからの協議事項   ○様々な分野における合理的配慮の具体例を集める方法や情報発信の方法について   ○助成制度を利用した事業者に継続して配慮を提供してもらうために必要な取組について (4)分野別の差別解消の推進 @ 現状と課題 (現状)   ○平成27年4月に差別に関連すると思われる事例収集の取組を行い、手話言語・障害者コミュニケーション条例の検討の中で出されたコミュニケーション場面の事例を加えて以下のような分野ごとの事例集計を行った。   【公共交通機関、公共的施設・サービス等32件、情報・コミュニケーション19件、 福祉サービス9件、商品・サービス20件、住宅4件、医療4件、教育5件、 雇用11件、その他46件、合計202件】 ○分野ごとの事例が差別に該当するかを判断する参考資料として、職員対応要領と差別解消ガイドラインを作成した。 (課題) ○現状の職員対応要領と差別解消ガイドラインだけでは、当事者間の微妙な事情が絡む具体的な相談事案の内容は判断が難しい。 ○相談窓口に寄せられる事例の数が少ないために、実態に即した判断に苦慮する。  Aこれからの協議事項 ○各分野における障害に関連していると思われる事例について、「正当な理由」や「過重な負担」も考慮し、個々の場面で障害のある人に対する相手方の対応がどういう点で差別にあたるのか ○事業者や関係機関が各分野において感じている障害者差別に関わると思われる課題について 2 障害者計画に位置づける差別解消施策 (1)条例と障害者計画との関係   ○条例第6条では、市長は、障害を理由とする差別の解消に関する施策について、明石市障害者計画(障害者基本法第11条第3項の規定に基づき策定された計画をいう。)に定めることになっている。   ○本地域協議会の所管事務として「障害を理由とする差別を解消するために必要な施策について、市長に意見を述べること。」(条例第15条2項(2))が明記されていることから、地域協議会の当該意見を踏まえて差別解消のための必要な施策を障害者計画に反映することになる。 (2)障害者計画における差別解消施策の位置づけ   ○障害を理由とする差別の解消は、障害のある人の自立と社会参加にかかわるあらゆる分野に及んでいるため、障害者計画における差別解消施策は、計画における基本施策の一つであるとともに分野横断的な課題として位置づけられる必要がある。   ○本市の障害者計画は平成26年から30年までの5ヵ年計画として策定されている。本年(平成28年度)は「中間年」にあたり、次年度から今後の新しい計画の策定に向けて本格的な検討が行われていくことになる。   ○上記の考え方に立って、次年度の地域協議会の活動を推進しながら関係団体や関係機関との連携を図り、障害福祉課をはじめとする庁内関係部署との協力・連携により新しい障害者計画の策定に向けて取り組んでいく必要がある。