第2回(仮称)あかしインクルーシブ条例検討会 心のバリアフリー部会議事概要 場所 明石市役所議会棟2階大会議室 日時 平成30年11月12日(月)14:00-17:20 1 開会   2 部会長挨拶 3 第1回検討後の市の取組について(資料1)  (事務局)   10月21日に実施した街歩きに参加した方から、代表して数名の方に一言感想をお願いしたい。  (委員)   開発された明石駅近辺は、よく整備されていているが、駅より南に行くと歩道から車道に降りる角度が急で、車いすユーザーにとっては危険なところもあった。まちを全体的に見ると、障害者への一定の配慮はなされているが、今回歩いてみて改めて確認できたところはあった。  (委員)   銀座通りでは人通りや自転車の通行も多いので、何か歩行帯のようなものがないと障害のある人は通行が難しいと感じた。観光道路の歩道は広いが、真ん中に樹木があったり、電力会社の大きなボックスが点在していたりしてもったいない。歩道沿いの店舗の軒先が出ていたり、店の前に大きなごみ箱が置いてあるのもよくない。やはり駅周辺は良いが、少し離れるといろいろと課題が見えてきた。  (オブザーバー)   来年11月23日、24日で開催を予定しているB-1グランプリ全国大会は、会場が明石公園と市役所周辺の2会場となる。「さらにやさしいB-1グランプリ」と銘打って、多くの来場者にしっかりとしたおもてなしをしたい。先日の街歩きを踏まえて、ハード対応できるところは当日までにしっかりと対応し、難しいところはソフト面で対応していきたい。また、通りやすいルートの情報も収集していきたい。 (資料2 「1 明石市における総合支援体制の充実」 事務局より説明)  (オブザーバー)   地域総合支援センターについては、もともと高齢者の相談対応を主とする機関がベースになっていることもあり、高齢分野の相談についてはこれまでの経験やスキルもあるが、障害者や児童に関する相談の初期相談対応が難しいという声を聞いている。ただ、相談者のニーズに相談機関が提供できるサービスが適しているかどうかの判断をしていくことが初期相談対応であるとすれば、社会福祉士などの専門職がいる現在の窓口であれば対応可能なはず。それぞれの機関の役割分担や機能がわかれば、いずれ溝は埋まる。保健所などとの話し合いも続けながら解決を図っていければと考えている。  (オブザーバー)   資料に「役割分担について認識のずれがあり、連携がうまくいかないケースがある。」とあるが、あかし保健所も地域総合支援センターも始まって半年なので、一緒に関わるのはかなり問題が複合化したケースであって、課題の整理や解決に向けた取組の優先順位の整理などそれぞれ違った機関や所属から専門職が集まる。例えば、複合化問題の高齢の問題から関わっていくのか、子どもの不登校の問題から関わっていくのか、虐待の場合で精神的に不安定なところがある場合は、入院治療も含めたところから考えていくのかなど優先順位のとらえ方の違いで「連携がうまくいかない」という表現をしている。これについても、事例検討会とか取組案のなかで、しっかりと1事例1事例ずつ積み重ねていくことで解決していけると思っている。もう1つは、各機関がスキルアップすることで、より隙間のない支援につながると思う。また、共通言語を持つために共通連携シートを作成したり、研修会で顔合わせをしたりするなど連携を見える化することも重要である。今後は各機関と連携した取り組みを進めていきたい。  (副部会長)   ぜひ、みなさんから「現場ではこうだ」とか「この問題はどうなっているのか」など、これまで触れられていない部分についてもご意見をいただきたい。難病の話はなかなか議論されにくいところがあるので、気づいたことを伺いたい。  (委員)   何か生活に困ったときに、まずどこに相談に行けばよいか困る。指定難病については保健所から書類が送られてくるので、おそらくここが中心になってくれるだろうと想像して、とりあえず保健所に行く。他に相談に行くところがあるかというとないように思うし、保健所に行ってどんな相談ができるかと言われてもイメージができない。私の子どもも特定疾患があり、書類が送られてくるが、文字だけではどんな支援が受けられるかイメージしにくい。  (事務局)   障害者であれば、明石の場合、困ったときは相談支援事業所とか基幹相談支援センターがあるが、難病で書類が一度にたくさん送られてきたときに、どうしたらいいかわからないからどこかに相談に行くところはあるか。  (委員)   障害福祉サービスが難病患者も使えるようになったところではあるが、どこに相談したらいいのかわかりづらい。難病患者の状況と制度がミスマッチであるというのも大きな課題であると思っている。制度はあっても難病患者のニーズにあったものかどうかというと疑問がある。  (オブザーバー)   難病の子どもの場合は、こども健康課が健診のたびに相談に乗っているが、健康面だけではなく、生活面や就学、就園に向けての悩みなど全般的に相談を受けている。難病の方やその他の病気のある方など、市民が来られたら、生活に沿った相談をしたいと思っているところである。地域総合支援センターもできたので、PRの仕方は今後考えないといけないと思った。サービスとのミスマッチというところでは、保健所では人工呼吸器を使っている難病の方の支援に入っている。介護者の休息のために、制度を使って病院などに預けるが、介護者自身が休息できない、本人が環境の変化により体調が悪くなって帰ってくることがある。本当は、在宅で介護者が休息できるような制度があったらいいと思うことがある。  (委員)   周知の部分でいうと、自治体それぞれの取組があるが、難病患者のための生活ガイドブックのようなものがあれば手引書になって良いと思う。制度と当事者感覚としてのミスマッチについては、例えば通院時の介護タクシーがあるが、介護タクシーの利用は経済的なハードルが高い。すでにいろいろな生活課題があるのに経済面での負担がのしかかってくると制度が使いづらい。ガイドヘルパーによる支援も時間の制約があるので、遠い病院に通っている人はその範囲に収まるのかを考えないといけない。通院支援1つでみてもいろんな幅がある。同じ難病患者でも抱えている課題は違うと感じた。  (部会長)   障害とか高齢、児童などの分野だといろいろな機関や事業所があるが、私たち専門職でもそこが何をしているところなのかよくわかっていないことがある。まして、市民にとってはもっとわかりづらいと思う。それぞれの機関が誰に対して何をするところなのか、そして守備範囲はどこまでなのかをそれぞれ明確にしていく努力が必要である。また、守備範囲外の相談を受けた場合は、大事なのは相談者の気持ちを受け止めて、必要なところに照会をかけることがきちんとできれば、連携がうまくいく。 当事者一人ひとりのニーズは千差万別だが、制度を作るときは一般化せざるを得ないため、ひとりのニーズに合った制度というのは実際には難しい。その現状をどういった仕組みで解決していくのかを考えないといけない。 (資料2 「明石市における教育と福祉の連携」 事務局より説明)  (オブザーバー)   この間にいくつか事業所を回って意見を聴かせてもらった中で、学校、家族や子どもが困っている場合に、支援会議がスムーズに開かれていたり、保育所等訪問支援事業という制度を活用したりして、教育と福祉の互いの専門性が効果的に機能したケースもあるという声もあった。一方で課題として、学校現場の各担任の先生まで相談の窓口や福祉の制度や内容が行き届いていないために、保護者から相談があっても適切なところにつなげられていない場合があるという声や、同じ市内であっても、学校や年度によって受けられる支援内容が変わってしまうということで困っている家族や子どもがいるという声もあった。資料の必要な取組案にあるように、一人ひとりの子どもの生活全体や将来を想像して、自分以外のところで持っている情報や関わりを共有することが子どものためになるという意識が共有できればいいと思う。学校現場からの問題意識や困り感に沿って、福祉の窓口や制度を活用するとプラスになるということを伝えていければと思った。  (委員)   現場の教員一人ひとりに、どんな場合にどういった相談窓口を利用できるのかをしっかり周知していかないといけない。特別支援教育の理解度は、学校についても世間一般の保護者についても進んできていると思うが、個別の支援計画や指導計画が、保護者としっかり協議しながら作られているかというと不十分で、児童の家庭での様子や保護者の希望が学校側にうまく伝わってないケースも少なくない。実際に困っているのは当事者である子どもなので、今後、そのあたりをしっかりと取り組んでいかなければならないと思っている。 学校というところは何とかして自分たちで頑張らないといけないという考えに陥りやすい。専門の相談機関の助けを得ないと、結果として教師自身も大変な思いをするし、子ども自身もさらに困ってしまう状況に陥りやすい。まず学校内で協議するところから始めるのは良いが、相談支援事業所などの支援を学校自身が得ていくという考えを持たないといけない。  (委員)   聴覚障害児の教育の場合、小中学校であれば義務教育なので、手話や要約筆記のサポートは割と受けられるが、義務教育でない高等教育になるとエアポケットのように支援が抜け落ちてしまう。今、県の難聴児を持つ親の会とも連携しながら教育委員会に訴えているが、予算のこともあり調整が難しいところがある。必要なサポートを受けられれば、聴覚障害児でも教育も受けることができる。一方で大学では支援が充実していて、大学内でボランティアや手話や要約筆記をしてくれるところもある。そういった配慮をしてほしい。  (委員)   突発的に疾病や障害を持つと、とたんに生活ができなくなり、入院のために学校に通えなくなることもある。自分が難病になったのも高校生のときだったが、そういったときの教育の保障がなかなかない。私が入院した病院は、院内学級はなかった。いろいろな制度の隙間もあるが、突発的なことに関しての教育と福祉の連携というのを少し気に留めていただきたい。多感な時期の子どもはみんな一律で行っているところから外れるというのはかなりのストレスになる。  (委員)   あおぞら園にも就学前の知的障害、発達障害のある子どもたちが通園してきている。保育所等訪問支援事業や相談支援事業もしている。我々と学校、幼稚園、保育園との連携というところでは、平成26年から始まっている計画相談というのがあって、障害のある子どもから大人まで、相談員が個別支援計画とサービスの計画を立てたうえで、事業所を探してサービスを受けている。おそらく、相談員がその子どもたちのキーパーソンとなる。キーパーソンとなったうえで、他機関との連携をし、その子を中心にして、それぞれの支援者がその子に対して一緒に支援をしていくことになるが、ニーズに対する相談員の数が足りていないと思う。最近は、みんなが一生懸命動いているところなどを、行政が校長会、園長会という場で発信してくれているので、かなり理解度が深まっている。支援に入ったときの受け入れもだいぶ良くなってきている。制度は厚生労働省から出てきたもので、すごく整っていて理想的だが、現実的には収支は伴わず赤字で、人材の問題もあってなかなか充実していない状況である。  (副部会長)   心のケアネット会議であったのだが、不登校や思春期のリストカットなどの精神疾患とラベルを貼られる課題を持っている子どもの支援というところでも、もしかしたら家庭と学校と本人との間にズレがあって、いろんな問題があるのではないかと思うが、これについては、保健所のほうで今どのような課題があるのか。  (オブザーバー)   この4月から精神保健をあかし保健所で担当し始めて、不登校の子どもでリストカットの問題や家族関係の調整が必要なケースが非常に多いというところを目の当たりにしている。不登校で精神疾患があり治療が必要な子どもを治療に結びつける場合、精神科のハードルがかなり高いし、本人が通うのもハードルが高い。また、家族にしても自分の子どもは違うという認識があるので、そこをうまく説明して、治療を受ける気持ちになるまでにかなり時間を要する。  (部会長)   誰が困っているかというのも大事だが、本当は何を困っているかの方が大事。資料の絵にも泣いている子といじめている子がいて、どちらかに焦点をあてがちだが、学校であればそのクラスの雰囲気や対応の仕方そのものに支援が必要という事例も出てくる。何に困っているかをしっかり見ないとぼやけてしまうことがある。心配なのは、むしろ親も本人も学校の先生も困っていない事例。困っている事例は目立つが、困ってない方がかえって怖いというときもある。まったく支援が要らない子どもというのはいない。すぐに支援が必要な子どもと、クラスの子どもたちのダイナミズムと教員との関わりの中で、おのずと改善されていくものとそうでないもの、もう少しプロフェッショナルが関わらないとうまくいかないものがある。その判断をどうするのかというのが問われてきているのが今の状況ではないかと思う。  (オブザーバー)   学校側はどこかに相談できるならしたいし、支援してもらえるなら支援してほしいと思っている。そう意味では、成功事例を共有できたら本当にいいと思う。ただ、実際に相談に行ったけれども、「手一杯なので学校でなんとか頑張ってください。」というようなリアクションもあったと現場からは聞いている。当然、先生方もがんばっているし、すべてがリクエストどおり応えられるとは思わないが、相談したからには、かなりの決意を持ってしていると思うので、そこはきちんと応えていただきたいと感じる。でないと、児童相談所の関係でも来年に向けて連携していこうという中で、一方で失望感のようなものも漂っているところもあるなと感じた。  (副部会長)   おそらく、例えば、保健所と地域総合支援センターとの連携でも、教育委員会と児童相談所との連携でもありがちな話で、どちらも一生懸命頑張っているので、冷たい対応をされると苦しくなる。私見だが、定期的に協議する場がないために一回のコミュニケーションのもつれが、その後の連携にまで影響を及ぼしてしまう。この辺りは協議の場をむしろ現場レベルで、教育と福祉の連携でも、先ほどの総合支援体制の中でも顔をつき合わせて信頼関係を持つ場を定期的につくることが大事だと感じた。 4 条例の構成案(資料4 事務局より説明) 5 第2回検討会の進め方(資料5 事務局より説明) 6 意見交換(課題抽出の補足) 7 意見交換〜条例イメージの共有〜  (1) 相談・連携  (副部会長)   保健所では健康相談を、地域総合支援センターでは生活支援を担当していることから、課題に対するアプローチが異なる面がある。そういった背景を踏まえて、課題意識はあるか。  (オブザーバー)   例えば、ひきこもり支援の中で、地域での居場所づくりなどにも取り組んでいるが、地域総合支援センターだけでそれができるわけではないので、多機関が連携し取り組んでいく意識付けができないかと思っている。  (副部会長)   障害福祉計画には書かれているのか。書かれていないからインクルーシブ条例に書くのか。  (オブザーバー)   直近の障害福祉計画(第5期)は、昨年に策定しているので条例検討の経過には関連していない。条例と障害者計画及び障害福祉計画は、関連し重なっている関係と理解している。条例が関連分野の計画の基本的指針という役割を担うのであれば、その内容を具体化するのが計画になると考えている。条例の理念が障害者計画をも包み込む面もあるし、条例が検討段階に入ったことで条例の理念や施策の方向性を視野に入れて、策定中の第5次障害者計画に一定の内容を盛り込んでいけると思っている。  (委員)   地域総合支援センターは、地域からあがってくる幅広い相談にワンストップで対応していくと謳っているが、少ない人数でこれだけのことに対応していくのは難しいのではないか。マンパワーの面で、現状はどうなっているのか。  (オブザーバー)   現在は、センター職員は6センター合わせて84名、加えて事務方の担当部署職員が10名という体制。  (オブザーバー)   国の定義では、まず一次相談に相談支援事業所があり、二次相談に市の相談窓口があり、三次相談として基幹相談支援センターがあるということになっているが、実態としては基幹相談支援センターが一次相談を受けている現状がある。 また、資料にある「相談機関が一体となって」という言葉の意味は、「関係のある機関の人間すべてが参集する」ということか、あるいは必要に応じて関係機関に照会をかけるなどして解決を目指すということかをはっきりさせた方が良い。 個人情報の取扱いが、連携の障害となるケースが少なくない。例えば子どもの支援に関しても、学校側は個人情報保護の観点から外部に情報を出せないという事情もある。この問題を解決しないと関係機関同士での情報の共有はできない。確か生活困窮の支援会議においては、参集する人には守秘義務を課している。条例で情報共有の重要性を謳うなら、個人情報保護の観点や守秘義務に関してもあわせて規定していく必要があるのでは。そうすれば実質的な連携も少しずつ進んでいくかもしれない。  (副部会長)   そもそも「一体」とはなんなのか、つなぐとはどういう意味なのか、機関ごとに個人情報の認識の差があるときにどのように揃えたりするかなど、いろいろな論点がある。  (部会長)   相談連携というテーマを福祉局だけの課題ではなく、庁内全体の課題としてとらえないといけない。どの機関、あるいはどの部署が上位になって、それ以外のところがどういう形で関わっていくのかを曖昧なまま進めてしまうと、結局しっかりと機能しなくなってしまう。 次に、相談のワンストップ化について。「ワンストップ」というと聞こえは良いが、スタッフの専門性に差異がある状況で、一体どういうワンストップをやっていくのか。具体的なスキームを決めて実施しないワンストップでは、相談する側にもデメリットがある。関係機関の連携というのもどこまでの範囲を想定するのか、そのあたりを含めて条例検討の過程でしっかりと考えていかないといけない。 それと、障害者総合支援法の枠組みに従って、指定特定支援事業所が一般的な相談を受けるということは事実上無理である。自治体の現場における相談支援に関する委託業務と本来基幹相談支援センターに求められる業務をどう整理し、役割分担していくかが重要で、さらにワンストップ窓口として設置されている地域総合支援センターとの連携をどうするかをしっかりと考えていかないといけない。 それから、資料には「行政と関係機関の連携不足」とあるが、はっきり言うと行政内部の連携が一番難しい。法的な制度も仕組みも縦割りになっていることから、連携が難しくなっている。連携不足となる理由の1つは、情報をオープンにできていないということ。一方で、ケースを問わず完全にオープンにできるか、すべての支援者が守秘義務を守るための訓練ができていて、常にそれを意識できているか、ということもしっかりと議論をしないといけない。 もう1つは、それぞれの機関で持っているアプローチの仕方、専門用語、方法などが異なり、シートの様式も違うということ。まず連携の前提ができていない。明石市で今以上に連携を進めるのであれば、様式や用語などの共通化にまで踏み込まないと言葉だけで終わってしまう。  (事務局)   個人情報の取扱いについてだが、法律相談の中でも問題提起が多い。問題意識は持っている。児童虐待の場面における要保護児童対策地域協議会や生活困窮者自立支援法に基づく会議に参加する際には法律上守秘義務が課せられている。近いうちに介護保険法に基づく地域ケア会議についても守秘義務が法制化される見込み。このように、法律は縦割りで守秘義務を課していこうとすると思われる。すべての分野をまたいで総合相談をしていこうとするのであれば条例で会議の根拠づけをした上で、個人情報に関する条文を設けておいていただけると整理しやすい。  (副部会長)   相談に行った人がたらい回しされないように、責任を持って取り組む相談支援のチームを作る。それが安心して相談できる体制づくりであり、それができていないから問題が起こっている。  (委員)   自分たちの事業所でも計画を立てている。明石市ではサービスを利用する人には原則計画を作ることになっていて、自分たちが1次的な相談を受けている。ヘルパーの利用、生活保護の申請、成年後見制度を利用するといったサービスにつながらない動きについて、基本相談の部分と一般相談の部分の違いがわかりにくい。何をもって一般相談というのか、どこからが基幹の役割なのか整理をしてもらえるとありがたい。あと、1次的な相談員で解決できないケースを基幹でどこまで整理ができるのかなど個人の課題を普遍化させていくような仕組みを考えていける場があれば、相談員からの声ももう少しあがってくるのではないかと思う。  (部会長)   おっしゃるとおり。これから新たに大きな仕組みを作ろうとするときに、これまで作ってきた仕組みや解決されていない課題を踏まえて考えていく必要がある。  (2) 支援  (委員)   障害者の暮らしを考える「暮らし部会」が自立支援協議会の中にあり、この部会では当事者が感じている課題を吸い上げることが本来の役割と考えているが、毎回のように上がってくる課題としては事業所で働く人がいないということで、かなり深刻な状況。インクルーシブな社会というか障害者活躍というところでいうとヘルパーは必要不可欠な人材。福祉人材の確保の必要性について条文に盛り込むのは意味がある。また、配置した職員をいかに定着させるかという部分を明石市の中で考えてほしい。   就労についてだが、「あくと」にも就労したいという当事者がくる。それと同じぐらい企業からもいい人を紹介してほしいという相談が多くなっている。労働力不足と障害者雇用率上昇が影響していると感じる。明石市でも障害者雇用率未達成ということで、このたび障害者採用を実施されたが、作文と面接という形で試験を実施したと聞いている。確かに知的障害者でも文章が書ける人もいるし、どうしても文章が書ける方や面接でしっかりした受け答えができる方の評価が高くなるところがあるのかなと思うが、インクルーシブという観点で言うと、こういった採用試験のあり方についても考える必要があると思う。 条文の中でも障害者を雇用するということについてはしっかりと触れてほしい。  (副部会長)   大きな論点がいくつかあった。障害者就労で自分が前から引っかかっていることだが、今の国の問題は、霞が関の官僚と同じ働き方をしなければそもそも入口には入れなかったというのが問題としてある。また、障害者は介助者なしでバリバリやる人ならばOKだが、そうでない人はコピー取りなどの仕事で終わっている。特別支援学校の高等部でもそういう訓練をさせられている。市が10人雇用するという場合も市役所の職員の働き方に障害者が合わせるという条件を付けたうえでそれがフルでできる人材なのか、できなければコピー取りをしてくださいという話になる。このような就労のあり方自体がインクルーシブではないのではないかと前から思っている。もう一つ、採用したからよかったではなく、継続的にジョブコーチ的に障害のある人とない人が本当に働きやすくなるように、定着支援をしないと環境を維持できない。  (委員)   ここ数年の就労支援では、精神障害者や発達障害者が多い。精神障害者は働き出すと波があるなどがあり、働き方に対する配慮が必要である。そういった意味で配慮を市としてどう整えていくかという論点から背景を考えていく必要がある。あと障害者の就労を5年の期間とすることはいかがなものかと思う。今は民間企業労働者が不足している中で外国人を含め取り合いになっている。そういった意味では、障害者が選ぶ側に立っている。生活と暮らし、就労をどうしていくかといった規定を条文の中で盛り込んでほしい。  (委員)   支援者向けの研修を実施してほしいという声がある。働く障害者の障害種別も様々で、視覚障害者なら全盲の人もいれば見づらい人もいる。また、街に出ればどんな苦労があるか、どういう支援が必要か、具体的に何が困っているかなどそれぞれ異なる。研修をする上でそういったことがわかる冊子があればいいと思う。  (副部会長)   福祉の研修センター的なものは明石市にはあるのか。つまり、現場で働いている支援者が学びなおしたり課題について議論し合うことを促進したりするような部署、市全体の福祉に係る支援者や学校の先生も福祉を学べるようなセンターがあったほうがいいのでは。  (オブザーバー)   自分は精神保健福祉士だが、福祉専門職の現実というのは自助努力に依存しているのではないか。研修に参加する人はどんどん参加していっている。一方参加しない人もいるが、そういう人は参加する人との情報量の差が生じる。自分自身もそういった研修に来ない人が何をしているか知らない。  (副部会長)   明石の中でそういう研修を受けている福祉の現場にいる職員と研修を受けずに働いている職員の差は開いているのか。  (オブザーバー)   個々の能力は支援を受ける側からすると見極めづらい。支援を必要とする方からすると目の前にいたら支援者という認識がある。違う支援者に相談したら差が出てくるのかどうか判断がしづらい。後になってみて前の人はそんなことを教えてくれなかったということがわかる。支援者側も自分が知識不足や経験不足ということを認識しづらい。  (副部会長)   教師の研修センターがあるように、福祉人材にこういうことは学んでおいてほしい、どんな相談が来てもこれだけは最低限知っておいてほしいという基盤を伝える部署を、インクルーシブ条例を契機に考えていく必要があるのではと思った。  (部会長)   研修についてはしっかり考えていかないといけないが、兵庫県社協は優秀な研修センターを持っているので、そことの連携も含め考えていけばよい。何もかもしようとするとお金もかかるし大変なので、活用できない部分を明石市でどうするか議論すればよい。   就労定着については障害者の就労だけでなく、一般の福祉職でも問題になっている。やめる人が多いため制度はあっても使えない現状がある。実際にはサービスそのものがないからではなく、サービスの支給決定の問題、事業所がない問題、事業所はあるが職員がいない問題が大きい。これらの問題を整理して、それぞれについて明石はどう展開していくか考えていかないといけない。国がやっていない事業をする必要はない。今国がやっている事業をうまく展開し、相談支援がしっかり機能すればよい。明石の中で検討して具体的な取組を展開していく。障害者の就労については合理的配慮を民間事業者にも義務づけている。合理的配慮はバリアフリーだけでない。雇用環境もそう。いろいろな事例を国のガイドラインで公にしている。それをどこまでやるかが問われている。  (3) 教育  (副部会長)   知的障害児や発達障害児など支援が必要な児童の教育については、教育の話と支援の話が混ざっている。すべての子どもの学習権を保障するという教育的配慮の中で、支援が必要な子がいる場合、学校は全部責任を取ろうとする。抱え込めない場合、特別支援学校に行くようにと校長が就学前相談の段階で言ってしまうことがある。学校だけで抱え込まず、教育の部分は学校がしっかりやって、支援の部分は関係機関と一緒に考えて支え合いながらやれば、普通学校でも学び合うことができるのではと思う。明石ではそれができているのか。  (委員)   教育支援委員会では、この子どもには特別支援学級がよい、普通学級がよいなど一定の判定は出るが、保護者の思いをまず受け止めるスタンスを取っている。学校側も受け入れる限りは、その子に応じた対応ができるよう、ハード・ソフト両面からしっかりと考えるようになっているが追いついてない部分はあり、不安な中で学校側が苦労しているという面はある。 現在、スクールカウンセラーなどの専門家の配置が進んでいるが、各学校に配置することはなかなかできない。必要に応じて支援者や専門職が学校訪問してくれるなど、学校側の求めている連携も含めマンパワーの充実が含まれる条例であればありがたい。   関係機関の情報共有についても必要だとは思うが、それぞれが持つ支援計画をただ一本化するだけでは機能しない。支援者が常に集まって情報共有するのも難しいので、本人の特性などの基本情報は共通様式の文書等で共有し、それぞれの場所における指導の部分に関してはそれぞれの専門部署で記入していく。そうすることで保護者との共通理解を図り、お互いの様式をそれぞれが積極的に活用できるものにしていく。現状では、現場の教師は事業所が行っていることを知る機会がない。それぞれの教師が児童について必要な情報を具体的に落とし込んで、それを理解して指導していくことが必要。   話題になるのが不登校の生徒を卒業後どこがどう対応していくかということ。明石が先導的にそういったところを教育と福祉部門の中でどこかが担っていく。常設でなかったとしても、そういったことが後押しされるようなものになればよい。  (委員)   明石の現状としては、知的障害児と発達障害児の受け入れについては、保護者の意見を優先してくれる。ただ保護者の送迎や付き添いが必要となり、保護者の負担は増えることになる。現在、特別支援学校を増やしていこうという署名活動も実施されているが、明石市にも知的障害や発達障害のある児童を受け入れられる学校があればよいと思う。インクルーシブでないかもしれないが、保護者も求めており、児童も成長が促される。   あと医療的ケアの問題だが、医療的ケア児を充実してケアしようという話をすると看護師の確保などお金がすごくかかると言う人がいる。ただ、まずインクルーシブについて考えるときには、お金ありきで考えないで、理念、理想、障害者にとって、といった視点で考えてほしい。  (部会長)   普通学校に通うことを条件付きで認めるケースがあるが、保護者にとって負担が大きいだけでなく、インクルーシブとは言えない。お金の問題ではなく、理念として求めていくべき部分は何かという視点で議論をしていきたい。もう一つはその前に教員がどう対応するのかといったマンパワーの問題がある。特別支援学級の担当は一定のスキルを持っていることが当然で、そうでないと特別支援学級に行ったのに必要な支援が受けられないということになりうる。そうなるとインクルーシブというビジョンが展開できない。特別支援学級の教員のスキルやレベルをどう上げていくかという議論をしっかりしていかないと障害者権利条約や障害者差別解消法の理念と異なったものをつくることになってしまう。   あと義務教育終了後の話はとても大事。支援者と学校の進路指導の先生が連携して、早くから進路を先導できるか。これは今の仕組みでもできる。  (4) 意識啓発  (委員)   障害者差別解消法ができて3年ほどになるが、いまだに障害者が差別を受けている現状が多々ある。飲食店にFAXで申し込んだら手話で対応できないと言われ、断られ、イベント会場や宿泊施設で当事者だけではダメと言われ、断られる。こういった問題が今後も出てくるだろう。障害者自身も法律への理解を深めるとともに、スキルを上げて、そういった場面に遭遇しても相手を説得できないとダメだとも思う。  (委員)   地域のある精神障害のある人との関係で、自分は親近感を持って接していたつもりだったが、その人は自分が家に来るのではないかと心配しているという話をあとで聞いて、一歩引いてしまったという経験がある。お互いにバリアフリーになるいい方法があればいいと思った。  (部会長)   障害の有無にかかわらず人と人との距離感は難しい。精神障害の特性の部分でもある。しかしその経験が次の機会に活きてくると思う。  (委員)   意識啓発が一番難しい。医療、福祉、保健の施策だけになりがちだと思うが、福祉というのは特別なものではないということを街の中に溶け込ませていくような文言が条例の中にあればよい。敷居が高くならなくなるようにすれば意識啓発につながる。  (副部会長)   意識啓発のテーマは条例で書くだけでなく、例えば来年B-1をやるときに精神障害者のように人と付き合うのが苦手な人がそうでない人とチームを組むためにどうすればいいのかということを実際に議論するような場が必要である。それは障害理解のためでなく、障害のある人とない人がお互いをわかり合い、一緒に何かをやる機会として大事。障害のある人とない人の医療福祉の壁を越えたチーム形成がどうできるかというのも意識啓発の一つである。