第16回明石市障害者の差別の解消を支援する地域づくり協議会 議事概要 日時:令和5年11月29日(木) 午後2時〜4時 場所:勤労福祉会館第4会議室 1 開会挨拶   インクルーシブ推進室長からあいさつ 2 資料の確認 3 委員交代の報告   進行を北野会長に交代 4 議題  (1)市の取り組み報告     インクルーシブ条例についての動画上映   【資料1】【資料2】について説明    (2)障害者差別解消法の改正について    【障害者差別改良法改正(合理的配慮義務化)】パンフレットの説明     意見:「点字資料の表記(リーフレット)と口頭説明(パンフレット)が違ったため、点字資料の中で該当ページを見つけられなかった。表記は統一し、点字資料と墨字資料でページ数が違うなら『墨字の』などの注釈をしてほしい。」 (3)障害当事者の体験談 「視覚障害者にとっての、郵便や宅配の不在票の問題について」  視覚障害者は不在票の存在に気づきにくく、内容を読むこともできない。点字があったとしても読めない視覚障害者が多い。電話しても音声ガイダンスで伝票番号を入力するように言われる。番号を見ることができないので無理だ。オペレーターに繋がったら「近所の人に見てもらってほしい」などと言われた。顧客の人間関係に依存するのではなく、事業者が視覚障害者に対応してほしい。  (4)意見交換「私たちにできることは?」   「障害のある人にとっての、郵便・宅配に関する困りごとと対策」をテーマに各グル    ープで意見交換を行った。     【グループからの報告】 Aグループ  特に困りごとがないという声も複数あったが、聴覚障害のある委員から、不在票の対応が電話のみのところがあって困るという意見があった。また、不在票に情報が多すぎてわかりにくく、身内の高齢者なども手続きせずにそのまま置いていることもある、高齢者でなくても、音声ガイダンスに沿って長々と手続きするのが大変だという意見もあった。  その中でも、特に聴覚障害者の困りごとについて話を深めた。  電話でしか手続きできない際に、電話リレーサービスを利用するケースもあった。聴こえない人と聞こえる人をつなぐインフラとして整備された電話リレーサービスをもっと多くの人に知ってもらいたい。  また、聴覚障害があっても補聴器を付けていれば音は認識できるのでインターホンに気づけるケースもあるが、在宅時は補聴器を外していることが多いため、家にいるのに不在になってしまうこともあり、再配達手続きの回数が増えてしまう。再配達の手続きをした時間帯には補聴器を付けて、聞き逃さないように気を張って待っているので結構疲れてしまうとのことであった。  事業者にできることとして、例えば宅急便の伝票は元払いが青、着払いが赤というように色分けされているので、配達先が視覚障害者であれば緑、聴覚障害者であればオレンジというように伝票の色を分けることで配慮が必要であることを認識してもらってはどうかという意見があった。   Bグループ  制度が業者によって違い、複雑で理解しにくいという困りごとについて考えた。  知的障害などで、本人が理解して受け取ることができないこともある。事前に登録しておいて、代理で受け取るというシステムがあればいい。  当事者は、できるだけ時間指定を利用することで不在を避けることができる。ピンポイントに時間指定できれば、そのときに支援者と一緒に応対できる。時間の指定がもっと細かく設定できればいいという意見もあった。  また、不在票の様式が業者によってバラバラで、どこを見ればいいか分からないという問題があり、様式を統一してほしい、全配達業者で配達方法を一元化して指定できるアプリなどもあればいいとの意見があった。  支援者にできることとしては、当事者の話を聞いて代理で受け取ることだが、個人情報保護の問題や犯罪リスクもあり、事業者にどうやって認めてもらうかという懸念もある。 Cグループ  体験談で報告された困りごと(視覚障害者は不在票の処理が困難)について話し合った。  ヘルパーやコンビニ店員に確認してもらうという方法が挙がったが、ヘルパー利用者が少ない、コンビニ店員に確認してもらうのも恥ずかしいという問題がある。  配送ドライバーにこちらから連絡して持ってきてもらうという方法も挙がったが、なかなか時間が合わせづらいという問題がある。  郵便局等にあらかじめ住所と電話番号を登録し、再配達が発生したら電話連絡があるようにするシステムを作ってほしいという意見があった。  宅配ボックスを利用する手もあるが、「宅配ボックス利用のお知らせ」が届いても、不在票のようなものなので解決にならない。  郵便局は視覚障害者への理解がない。日本郵便あるいは運送会社が視覚障害者を雇い、意見を聞くか、協議会を設けて視覚障害者の意見を聞く場があればいい。 Dグループ  再配達の時間指定の幅が広い、手続きが煩雑、視覚障害者は不在票の処理が困難、再配達の依頼電話をしても聞き取りづらいなどの困りごとがあった。  当事者は、民生委員など地域で支援してくれる人とのつながりを持っておくとよい。また、スマホのアプリは今いろいろあり、画像認識して読み上げるアプリもあるので、万能ではないにしろ、利用するのがよいという意見があった。  支援者の立場では、個人情報保護の問題や、人間関係の希薄さ、構築の難しさがあるので、そもそも支援しにくいという意見があった。事業者にも代理で受け取ることを認めてもらう必要がある。  事業者にしてほしいことは、音声が流れるボタン等がついた不在票を作ることと、聞き取りづらい自動音声を聞き取りやすいものにすることである。今、側面に切れ込みがある不在票があるが、不在票だと分かってもその先に進めない。工夫してあっても、それで解決とはならないという意見があった。 Eグループ  不在票の情報量が多すぎるという問題について話し合った。  シンプルなフローチャートで手順を説明するようになっていればよい、また、全配送業者で同じ様式、大きさ、材質の不在票に統一してほしい、注文の段階で、備考欄に必要な配慮を書いて配送業者に伝えられるようにしてほしい、音声が流れる不在票があればいいとの意見があった。  当事者ができることとしては、支援者の確保をする、また、スマホなどを使って自分で対応できるようにするのもよいのではないかという意見もあった。 支援者ができることとしては、当事者の困りごとに対してアドバイスできるようにする、ということだった。 【会長まとめ】  自分でもインターネットで買い物をするので、不在票の読みにくさや再配達の手続きの煩雑さはよく分かる。  しかし、配送業者の労働環境が過酷で、余裕をもった配送ができないのも理解できる。 アマゾンの置き配を利用するのもいいが、物によっては盗難リスクもあり、全ての場合で使えるわけではない。  代理で受け取る仕組みを作ってほしい。  配送業者・行政・当事者団体を交えた話し合いの場をもって、当事者の声を伝えられるようにしたい。  配送業者ごとに不在票の様式がバラバラなのも大きな問題である。もっと顧客の立場に立った対応をしてほしい。当事者と一度トラブルになると、その当事者に対しては、次回からよい対応が難しくなるのは分かるが、障害に関する最低限の研修は実施してほしい。 【副会長】  この協議会は障害者配慮条例の検討委員会から始まるので8年ほどになる。協議会の中で問題として挙がった事例で、ある企業の資格試験の問題について働きかけた件は、その後よい形で解決した。一方、働きかけても後ろ向きな統一見解を出してそのままになった企業もあった。しかし、配慮条例には店内の案内などの配慮を提供するよう定められているのだから、そういった企業のコンプライアンスも精査すべきだと思う。  明石市は、国の合理的配慮提供義務化に先駆けて障害者配慮条例を施行している。この流れを止めることなく、「国が明石に追いついた」と言われるような街になるよう、インクルーシブ推進室にはがんばってほしい。 【当事者委員A氏からの意見】  昨今、点字の読める視覚障害者の数は減ってきている。さきほどの報告にも出たように、不在票から音声が出る仕組みはあったほうがよいと思う。内容、連絡先を喋るようになっているのが一番いい。 【会長】  合理的配慮の提供は、事業者の過剰な負担になるようではいけない。機械で代替的な手段(不在票から音声が出るなど)をとって対応するのもよい。他に、意見はないか。 【当事者委員B氏からの意見】  A委員の言ったような喋る不在票もいいと思う。視覚障害者には不在票はまず読めないということを前提として、もっと工夫して作ってほしい。  不在票に工夫がされ、不在票の存在が分かったとしても、読めなければそこから先に進まない。そういうときに、民生委員や近所の人のサポートを受けられればいいと思うが、市役所や市民センターやコミセンなどで、「ここに頼めばサポートが受けられる」という統一的な窓口があってほしい。 【インクルーシブ推進室長】  今日話を聞くなかで、不在票の様式の統一のことが意見として挙がっていたが、市役所が送る文書も統一できていない。申請に使う番号の呼び方もさまざまである。(申請番号、登録番号など)郵便物を送る前の段階で、工夫できることはある。  代読の問題は、視覚障害当事者の話を聞くとよく出る問題である。市に対応窓口を作ってほしいとのことだが、当事者が、郵便物を代読してもらうだけのためにわざわざ市民センター等まで出かけるのも手間がかかる。もっとよい方法はないかと個人的には思う。  スマホの利用などは高齢者には難しいイメージがあるが、技術を使った対応というのも有効ではないかと思う。テレビ電話で代読等してもらうサービスを使えば、近所の人や市役所に頼りたくないという人のニーズにも応えられて、より選択肢が広がると思う。  統一的な窓口は、来る人の目的がさまざまであることから実現は難しそうだと考えているが、難しいからしないということではなく、さらにニーズに応える方法を、協議会として考えていきたい。 【会長】  聴覚障害者については、スマホでの対応が進んでいると思うが、困りごとはないか。 【当事者委員C氏からの意見】  今は電話リレーサービスを活用しているし、宅配についてもラインに対応しているところが増えてきたので、今のところ困っていない。 5 閉会