第14回明石市障害者の差別の解消を支援する地域づくり協議会 議事概要 日時:令和3年11月18日(木) 午後2時〜4時 場所:市役所議会棟大会議室 1開会挨拶 理事兼福祉局長からあいさつ 2委員紹介 3地域づくり協議会の目的とこれまでの活動【資料1】【資料2】 事務局から資料の説明 4委員報告 「コロナ禍で困ったことや必要な配慮、仕組みについて」【資料3】  事前に記入していただいたアンケートを基に、5人の委員から報告をいただき、意見交換 【委員1】 聴覚障害の当事者。補聴器をしているが、話の内容まではわからない。救急車やサイレンなど大きな音を感じて身を守るため補聴器をしている。普段は人の口元を見て話しの内容を理解しているが、コロナでマスクをしているため表情や口の動きが分からず、コミュニケーションに困る。買物のレジで何かを聞かれるが、話している内容が分からない。「耳が聞こえないことと指差しや筆談でお願いします」と書いた小さなカードを作って自ら示すようにしている。店員さんはそのカードを見て対応してくれる。袋の大きさや飲み物につけるストローなど、実物を見せてくれるのでやりとりできる。 通勤でJRを利用しているが電車が遅れることがあり、放送で情報が知らされても分からない。字幕での情報は時間がたってから流れるので、アナウンスと同じタイミングではわからない。他の人が別の電車に乗り換えている様子を見て、その方が早く行けることを知ることもある。職場でも、みんながマスクをしているのでコミュニケーションが難しい。毎朝、連絡事項の説明があるが、メールで内容を確認するようにしている。人によって、UDトークのアプリを使って声を文字に変換して話すときもある。打ち合わせのときに、このアプリやマスクを外して話すときもある。エレベーターで、ドアのボタンを押すときに一緒に乗っている人が後ろから「〇階をお願いします」と言われても聞こえないので気づかないことがある。職場では周りの人が聞こえて自分だけが聞こえない。誰かのためではなく、だれもが参加できるような配慮があれば良いと思う。健常者と障害者がもっとふれあう機会があれば、お互いに理解が進むと思う。誰でも社会参加ができる明石市を希望している。 【委員2】 医療従事者の立場。昨年度、コロナの感染を恐れて受診控えがあった。患者さんの中には検診や検査をできなかった人もいる。入院している人は、感染予防のために面会時間や人数などの制限がある。病院スタッフが感染すると、一緒に働いている職員が濃厚接触者となり出勤停止になるので、対応が難しくなる。病院の収入も減った。患者さんの中には困っていることを遠慮して言わない人もいる。病院は困った人がやってくる場所でもある。精神的な疾患があり、大量服薬などで救急搬送されてくる人もいる。医師として本人の症状を見て検査や処置をすることはできるが、その原因となる状況を解決することは難しい。相談をメディカルソーシャルワーカーにつなぐこともしている。医療現場では、本人のその後の生活まで直接の関与は難しいが、本当に困っている人の今後について考えることも必要だと思う。 質問:精神疾患のある人の家族の会をしている。コロナ禍では入院している家族に面会が制限されて、困っている。今後はどうなるか? 回答:コロナの状況が少し落ち着いてはきているが、全面的に安心できる状況ではない。 海外でもワクチンを2回接種しても感染者が増えている国もあるので、今後も感染は懸念される。面会については、いろいろな工夫で少しでもできるようになればと思う。 質問:障害がある、高齢である、などの理由で、自分では医療機関に行けない人もいる。在宅医療としては、どんな方向で考えられているか? 回答:コロナの影響で、薬の処方できる期間がこれまで2週間が限度だったが3か月まで延長できるようになった。単純計算で言うと患者さんの数が6分の1に減るということで、何か方法を考えなければ病院の収入は減ることになる。現実には、そこまで大きくは減らないが、空いた時間で訪問診療をすることができるようになる。これまでは行けていなかった本当に医療が必要な人のところに行けるようになる。午前は病院の診察、午後は訪問しての診察という医師も増えてくるのではと思う。 【委員3】 就労支援をしている立場。当事者からの声として、出勤日数が少なくなり、収入が減り、会社の許可を得て副業をした人もいる。マスクの着用を会社で厳しく言われる。障害のある人にとってマスクが息苦しく鼻が出ていると注意される、その注意が苦痛で不安が大きくなる。最初の感染者になるのが怖くて、すべてが不安という人もいる。障害者雇用で雇われているが、周りのパートさんが雇止めになって肩身の狭い思いをしている。自分もいつ辞めさせられるかと不安。コロナの一年目は我慢していたが、二年目になり、漠然とした不安と長期化で先が見えないことによる不安やイライラがある、などの状況。 障害のある人もない人も暮らしやすいまちづくりについては、良い事例を集めて発信するのが良いと思う。「この店では音声認識ができて文字表示があって助かった」や「ピクトグラムの表示があり分かりやすい」など幅広く市内のとりくみ情報を発信したらよい。市民広場の大型ビジョンは見る人も多いので取り組みを紹介し、「困っているのでこんな配慮が必要です」という伝え方ではなく、「こんな取り組みをしている」という例の紹介をしたら良いと思う。 意見:知的障害者にとってはマスクが苦痛。なぜ必要かを理解することが難しい。理解してマスクを着用できる人もいるが、理解できない人には「マスクが必要」や「大声で話すのはダメ」となるととてもしんどい。ワクチンを打つことについても、恐怖心が強くて行けない人もいる。明石市民病院で障害者に配慮があるワクチン接種会ができて良かった。ユニバーサル歯科の先生が対応してくれて、普段、顔なじみになっているドクターがして接種してくれるので怖くなかった。社会福祉協議会のボランティアさんもサポートしてくれた。みんなの意識の中で、障害に対する支援をしてくれる人が増えてきてよかった。ありがたいと思う。 【委員4】 交通事業者の立場。コロナの影響で学校や職場が休みになり通勤や通学に利用しているお客さんが減った。減便や間引き運行などで対応したが、収益としては大幅の赤字となっている。社内では対面でのコミュニケーションは減ったが、その分メールや電話などで丁寧なコミュニケーションをとるように意識するようになった。 誰もが暮らしやすい社会になるため、障害の有無に関わらず不便と感じることなく利用できるハード面の整備を考えている。ノンステップバスの導入を進めている。サービス介助2級の資格を持っている職員もいて、他の運転手にも指導している。筆談具も全車に配備している。 ノンステップバスは雨の日に滑りやすいので、滑り止めテープを貼り、転倒防止に努めている。重量のある電動車いすで、体格の大きなお客さんが降りるときに、転ばないように乗務員が車いすを下で支えるが、そのときに乗務員がケガをした。乗務員はサービス介助の資格も持っているが、タイミングがずれるとケガすることもある。他の乗務員でも、電動車いすの利用者に乗務員が補助しても、重くて上がらずバスに乗ることができなかったこともある。お客さんにケガがあってはいけないし、女性ドライバーが増えていることもあり同じような対応が難しいときもある。今後のためにも良い対応方法があればみなさんに教えていただきたい。 会長:みなさんの中で情報等があれば、またお知らせください。 【委員5】 市民委員の立場。コロナでこの社会は100年に1回のような試練の中にいる。ワクチン接種の予約をするときに、広報でも情報提供されていたが申し込むのに苦労した。大規模接種会場とは別に地域のクリニックで受けられるところ、受けられないところがある。なかなか予約がとれずに大変だった。情報を全面的にみんなにわかるように開示してほしい。それが難しい状況で保健所も苦労されていたと思う。地域の集まる場もコロナで閉鎖され、地域の人たちとのふれあいや対面で話をすることができなかった。ショッピングセンターにはイートインのスペースがあったが、コロナで椅子が撤去されたため他の人との交流も難しくなった。気力の低下から体の状態も良くないようになる。相談できる場が地域に必要だと思う。障害のある人が出かけると座って休憩できる場所が必要なのに、椅子が取り払われると困る。市の施策では、サポート利用券は買物にもタクシーにも利用できるので助かった。タクシーに乗ったときに運転手と話をしたら、事業者としても助かっていると言っていた。 障害のある人もない人も暮らしやすいまちづくりのために、という点では、@バス停の時刻表の文字が小さくて見えづらい。市役所や市民病院は役や病という文字が小さくて判別できない。Aコロナ禍で不登校児や子どもの自殺者が増えているので地域で対応が考えられたらと思う。 【意見交換】 ・自分も障害があり、差別を受けている。地域の自治会役員をしているが、障害当事者から相談を受けることがある。当事者の付き添いとして行政や弁護士のところに同行することもあるが、障害のある人のことを理解してくれる人は少ないと感じる。相談しても理解してもらえず嫌な思いをすると、「もう相談したくない」という気持ちになる。障害者が日常生活で困っていることをもっと関係機関の人には知ってほしいし、相談窓口へのハードルが低くなるように願っている。 ・障害者の理解について、「わかってほしい」というだけでなく、方法を考えることが大切だと思う。知的障害のことで何かあったときに頼りになるのは、鉄道関係者の方と、交番のおまわりさんになる。乗り物に乗るのが好きで終点まで行ってしまう人もいる。差別解消条例の検討委員会で交通事業者として参加している委員と相談した。「知的障害の人のことは分からない」と言われたので、「明石地区手をつなぐ育成会」が行っている研修で知的障害の特性等を知り、疑似体験ができる「まねっこ隊」の取り組みを伝えると神姫バスの職員研修で取り組んでくださった。その話が山陽電鉄に伝わり、知的障害のある人の啓発について考えようとなった。知的障害の人について理解してもらえず、電車でじっと見られたりすると痴漢に間違えられることもある。そんなことがあった場合、どう対応したらよいかという検討があり、「明石地区手をつなぐ育成会」に相談があり、知的障害の人の特性や行動などをイラストとわかりやすい言葉で書き、「私のことを知ってください」と書かれている啓発ポスターを作成した。コロナもあって完成までに2年かかった。今年6月から山陽電車の車内に掲載されている。駅にもポスターを貼っている。この取り組みが評価され近畿運輸局バリアフリー化推進功労者表彰で受賞した。 ・ひきこもりの人が多い。精神障害のある人の家族の中でも、ひきこもっている人がいる。どのように支援したらよいかと家族会に相談があるが、相談窓口の紹介などどうしたらよいか。→(事務局)ひきこもりに関する相談は、あかし保健所で対応している。相談方法も来所だけでなく電話やメール、訪問等も含めて対応するので必要な方がいらっしゃったらお伝えください。  【会長まとめ】 明石市は障害の差別解消モデルとして積極的にいろんな取り組みを進めている。現在、国が来年の総合支援法の改正を考えているようで、予算が厳しい中で、関連予算が抑制されるという不安もある。そんなこともはねのけて、明石市でやっていることを発信してほしい。明石市では現在、「すべての人が自分らしく生きられるインクルーシブなまちづくり条例」を作ろうとしている。これからはそういう理念を肉付けしていく必要がある。 大阪市では毎月、弁護士も参加して差別解消の個別事例検討をしている。月に10件程度の事例がある。担当職員もいて、みんなで約2時間かけて検討している。差別の事例を検討する中で、障害者は「障害者差別解消法に基づく権利である」と言うし、事業者も「事業者の権利」と言って、権利と権利がぶつかりあう。そんなときには、一緒に話し合う風土が必要だし重要。話し合い、お互いに相手のことを理解しあって積極的に地域を作ろうという姿勢がなければ、建設的なものは生まれてこない。ぜひ明石でもそのような形で進めてほしい。 4その他 障害者差別解消法の改正(別紙資料)について事務局から説明。 【閉会挨拶(副会長)】 この協議会は、二年くらいコロナで集まることができなかった。インクルーシブ条例もなんとか年度末には制定されると思う。この協議会ができて5年間、継続してきた。みなさんのいろんな意見が出て、交通関係や民生委員やいろんな立場の方が関わって意見をいただけるのはありがたい。今後も「誰もが暮らしやすいまち」についてみんなで一緒に考えていきたい。