第12回明石市障害者の差別の解消を支援する地域づくり協議会議事概要 日時:令和2年2月19日(水) 午前10時30分〜12時30分 場所:市役所南会議室棟103会議室 1開会挨拶 福祉局長 2資料説明 事務局 3委員報告 四方委員、松末委員 神姫バスの職員研修で、知的障害理解のため「まねっこ隊」を講師に招き疑似体験を行った。その概要と効果について報告。 四方:「手をつなぐ育成会」は知的障害のある子どもを持つ親の会で様々な活動をしている。「まねっこ隊」は、知的障害のある人を理解してもらうための学習と体験の場として育成会が実施している。知的障害のある子どもがバスに乗り、いつも自分が座る場所に他の人が座っていた時に、他の乗客とトラブルになりパニックになった。それがきっかけとなり、お互いの理解が大切ということで「まねっこ隊」が始まった。 兵庫県では尼崎市、西宮市、宝塚市、明石市、たつの市で実施しており、明石市の場合は、障害者配慮条例を作る検討会に参加したことをきっかけとして神姫バスと研修を実施することになった。約200人の運転手のうち約70人が受講した。運転手には、知的障害のある人が大声を出したり、独り言を言ったりしているときの対応が分からない人が多い。明石市の職員研修でも実施し、受講者アンケートから、身近に障害のある人が約25%いることが分かった。疑似体験で少しでも知ってもらうことが大切だと思う。受講生からは知ることで気持ちに余裕を持って対応できるようになるとの声が多かった。これからもいろんな人に参加してほしい。 松末:神姫バスでは毎年、障害に関するテーマで職員研修をしている。最初は車いす利用者が乗車する際の介助等について社会福祉協議会の協力で実施し、2回目は視覚障害者の対応について視力障害センターの協力で実施した。イメージはあったが、知らないこともたくさんあった。「まねっこ隊」には1時間×2回で研修してもらった。窓ガラスを突然たたき出すと周りのお客さんもびっくりするし、運転手も心配する。終点まで乗り、降りてくれない人もいた。日々の様子からどこの学校に通っているか分かるときは、学校に連絡し連携することもある。女性の近くに座ってお客さんが警察に通報したこともある。今回の研修は、時間の関係で職員全員の受講はできなかったが、学んだことを共有したい。講師を担当してくれたのは、知的障害の子を持つお母さんだったので家族の気持ちもよく伝わってきた。知的障害のある人は集中すると周りが見えにくくなる、抽象的な言葉は苦手なことなどを知った。受講者が疑似体験をすることで、言葉で伝えあうことの難しさや細かい作業が苦手なことが分かった。今までの疑問が少しわかるようになった。バスの運転手は乗客の命を預かっているので安全運転をするためには不安があってはいけない。研修で学び、運転する上での不安が少なくなった。「大きな声でゆっくりと話しかけよう」とか、対応の方法が分かるようになって良かった。講師からは「温かく見守ってください」という言葉をもらった。これからも職員で心掛けたい。 会長:大阪市でもUSJが好きで利用する人がいる。知的障害があり女性に興味のある若い男性だが、その人の行動で不安になる人がいたので、彼に説明した。USJを利用してほしいと思っているが、まず職員と支援者が3回後ろから見守りを行って不安定な行動がないことを確認できたら一人で利用してもらうこととなった。その後、3回とも行動が問題ないと確認できたので彼は一人で利用するようになった。年間パスポートを持ち、楽しんで利用している。お互いに理解しあい、経験を深めることが大切だと思った。 4グループワーク 事務局からグループワークの主旨説明。資料を参考に取組シートに記入し、グループで意見交換。 【グループ討議の報告】 Aグループ 障害理解と情報・コミュニケーションについて話した。地域の中で障害の理解が進んでいない部分がある。買い物の際の店員の対応や、病院の受付で音声だけのやりとりで分かりづらいときがある。障害者の対応について研修の機会があればと思う。地域全体の理解を深めることと、当事者が参加しやすい環境づくりが必要。啓発を具体的にしていきたい。障害者の触法トラブルの際に、コミュニケーションがうまくとれない状況で電話相談できる体制が整っていない。費用の問題もあるが弁護士にスムーズに相談できればと思う。 Bグループ 地域の集まりで月に1回カフェを開いて交流している場がある。そこで「住民の不便と感じること」や「住民同士で助け合えること」を話し合いたい。小学校で障害のある人のことを知る学習や交流する取り組みをしたい。事業所を運営している法人として、障害のある人だけでなく地域のいろんな人に来てもらえる事業所見学会を開催したい、などの意見が出た。市職員からは、だれもが読みやすい文字としてUDフォントの活用を全庁的に進めていることや、市内のお店で障害のある人もない人も誰もが楽しんで買い物できるよう事業者への啓発を進めていく、などの意見も出された。 Cグループ 悩みがある人や引きこもりの人、精神障害のある人の家族に共感できる相談場所と居場所づくりを進める。事業所の職員に、積極的に障害のある人の対応等について啓発を進める。公的機関として市民が来所しやすい環境づくり(手話や点字など)をする、などの意見が出された。当事者団体が相談窓口を作っているが、相談件数が少なく周知不足という課題もある。 Dグループ まずは無知をなくすということが大事。特に子どもの頃からの理解が重要で、学校の授業でもう少し障害理解に力を入れることができないか。例えば、授業で「まねっこ隊」を受ける、特別支援学級との交流を増やすなどの意見が出た。それ以外ではイベント等での啓発がある。あかし市民広場など、通りすがりで参加できる場所で開催することで一般の人にも知ってもらいやすくなった。障害について少しでも自分ごととして捉え、いろいろな人がいるのが当たり前と感じられる社会になれば良い。また、災害の避難についても意見が出た。民生委員に要配慮者の名簿を配って対応を依頼しているが、民生委員だけの対応では限界がある。普段から地域で理解を広げながら、一人ひとりの状況に応じた避難計画を作ることが必要。取組を進めているが、時間や費用の面での課題もある。 Eグループ 「障害があるのは特別なことではない」と小学生のときから啓発する。障害のある人への対応を商店街に広めていく。高校生に障害者空手の指導を行い障害理解の啓発を進める、教職員の研修を積極的に進める。などの意見が出た。発達障害の啓発をしたいが、市からの啓発では当事者や関係者にしか広がらない。出前講座で市民に広めていきたいが、参加者からは個々の対応方法について教えてほしいと言われ、ピンポイントの内容になった、という事例も出された。 会長:インクルーシブな社会を作る、差別のない社会、子育てしやすい社会を明石は目指している。これらがもっとリンクしていけたらいいと思う。理解、啓発をどういう形でやっていくかが大きなテーマ。一般的な啓発のプログラムも必要。障害のことを知らないより少しでも知ることで大きな間違いを起こさないようになるので、市民や事業者への啓発は必要だろう。全く知らないときより良い対応ができると思う。2つ目は、交流しないとわからないこともあるので、個々の人間的なつきあいも必要となる。保育所、幼稚園で一緒につきあうことが一番大きいと思う。小さい頃から一緒にいることが当たり前になる。すべての子どもが障害のある大人と買い物や食事、スポーツするなどの経験も良い。災害は、いつ起こるか分からないしみんなが心配している。避難所のバリアフリーだけでなく、地域の避難所までの経路や避難方法についてもみんなで考えられたら良い。 事務局:研修も大切だが、研修だけでは得られないものもある。実際に障害のある人が他の人にしてもらってうれしかったことを教えてもらえると糧になる。地域で起こった実例として「障害はあるけど、こんな配慮があってうれしかった」ということがまとめられたらモチベーションも上がって良いという意見が出た。研修の方法の一つとして当事者も入ったグループでお互いに意見交換できたらと良いと思う。 会長:一般的な協議会は、委員が提案して行政に「これをやってください」という方式が多い。この協議会は明石市民として「こんなことを提案したい。自分たちでやろう」という参画型の方式。みなさんが提案したことを実行して、地域の課題を出してほしい。課題を出してもらったら、予算が必要ならつけていくのが行政の仕事。障害のある人とのおつきあいの中で、「ありがとう」や「良かった」と思えることが無ければ、この活動は止まってしまう。やってみてお互いが良い気持ちになれるような活動が大切だと思う。委員一人ひとりが活動を展開していってほしい。 事務局:次回の会議は7月頃の予定です。今日の取組提案をそれぞれに進めてください。5月〜6月に進捗状況を確認するので取り組み報告をお願いします。取り組みが進んでいない場合は、課題や状況等を教えてください。7月の会議では、各委員の取組について報告し共有する予定です。 副会長:障害のある人はコミュニティの中で生きていくのが大切なこと。お互いが伝え合えばもっと理解者も増えて良い環境になっていくと思う。それぞれの取り組みをまた次回の会議で報告しあいましょう。