■第1回 ジェンダーと防災に係る専門委員会議における主なご意見 ジェンダー視点を取り入れた避難所運営 * 指定避難所の改善が比較的早期にできた主な理由として、「地域防災計画・マニュアル等に規定してある通り取り組んだから」「避難住民のニーズ等を聞き取って取り組んだ」が挙げられている。マニュアルを作成し対応が必要な事項を記載しておくことは重要。[浅野委員] * ただし、マニュアルがあるだけでは動けない。平時からマニュアルに沿った防災訓練等を実施することが大事。[浅野委員] * 炊き出しや古着の改修等、現場の気づきに基づき新しい発案をするのは女性が多い印象。それぞれの特性を活かして防災対策にあたれる体制が理想。[大野委員] * 性別・立場による避難所の問題点は、トイレ・衛生の問題(女性の膀胱炎、仮設トイレが足腰悪くて使えない等)、環境の問題(着替え・授乳室が無い、育児・介護用品の不足等)等多岐に渡るが、要配慮者視点と災害視点は表裏一体と言える。また要配慮者は指定避難所以外の場所に避難することが多いが、指定避難所以外の避難者に対する外部からの支援が少ない。[浅野委員] * 学校側としては、災害が起きたらまず児童・生徒の安全を確保する方に注力し、学校に避難してくる住民のことまで考えが及んでいないのが実情。学校側も避難所運営の当事者として巻き込むにあたり、学校長の立ち位置や市役所・地域・学校のそれぞれの役割分担・指揮系統をある程度決めてもらっていた方が動きやすい。[古川委員] * マニュアルは概して分厚くなりがちだが、作成する前提(考え方)を市職員・地域関係者が共通認識として持っていくことが肝要。[浅野委員、大野委員] * 明石市役所の保健師は現在85名おりすべて女性。うち育児介護等の職員の家庭事情を踏まえると、発災時に実際に動けるのは7割ほどで、この職員で全避難所を対応することは困難。対応の検討が必要。[真邉委員] 地域との連携 * 地域では高齢者の一人暮らしが増えており、各地域で共助の取組みが必要。[大野委員] * 被災者は悩みや困りごとがあっても我慢してため込む傾向がある(介護用・育児用おむつのサイズが小さい、性被害、等)。その悩みを打ち明けてもらうのは、事務的な相談窓口では難しく、相談員と被災者の信頼関係が必要。[浅野委員、古川委員] * 藤江まち協では、自治会の中でお互いが相談しやすい関係を構築するため地域住民のボランティアを募り活動している。校区ではなく隣保で親しい関係性が必要。[大野委員] 市役所職員が安心して災害対応にあたることができる環境の構築 * 自身は家庭に2歳の双子がおり、夫も職場に緊急参集が必要な仕事。仮に災害が発生して職場参集が求められた場合、どのように対応できるのか不安。自身は災害が起きたら市役所職員として現場対応する意識はあるので、「子供を抱える女性だから」という理由で災害対応を免除するのではなく、むしろ子供を安心して預かれる環境を整備して育児を抱える職員でも安心して災害対応にあたれる体制を整備してほしい。[事務局(市役所職員)] * 兵庫県南部地震時、市役所職員として週末返上で家屋調査業務にあたっていたが、精神的にも体力的にも相当張りつめていた。実際、疲労で転倒し長期入院した同僚もいた。被災者支援にあたる立場として公務員は弱音を吐かずに限界まで頑張っているのが実情。[事務局(市役所職員)] * 被災地応援に行くと、被災地の市役所職員が疲弊しながら限界まで頑張っている。被災地応援は、被災者のサポートだけでなく市役所職員のサポートもあっても良いのではないか。[本塚委員] * 周りのサポートを受ける場合、指示系統の確立が必須。各々がリーダーシップを発揮すると、行動が裏目に出て板挟みになることが懸念される。市役所・地域・学校・外部からの応援スタッフなど、多くの関係者が被災地にいることを想定し、指示系統・役割分担の整理が必要。[古川委員] 第1回目の専門会議を受けて取り組む方向 項目 発想の転換が必要 具体的内容 〇社会の大きな変化に合わせた柔軟な発想が必要 〇男女の別なく仕事を持ち育児や介護をしているという現実  → 平時にギリギリで均衡を保っている育児や介護が、災害時には崩れる。  → 市の職員とて同様。正規、任期付、再任用、専門職など多様な採用形態  → 災害対応にあたる職員のケアと柔軟な運用が必要 〇平素、女性は地域を支える重要な役割を担っている。(地域の事情に精通) 項目 具体的内容 項目 市の防災対策(避難所運営) 具体的内容 〇男女共同参画の視点での避難所運営ガイドラインの作成(まずは概要版の作成)  ~男女が運営に係わることにより、質が高く安全な避難所運営につながる~  ・避難所運営に係わるメンバーの組織化   → 避難所運営委員会の構築(市・学校職員、保健所、まち協、協力団体等)   → 避難所運営委員会のリーダーやサブリーダーに必ず男女を充てる。   → 避難所運営には地域の協力が不可欠  ・避難所ごとに施設等のレイアウトの作成、女性等用品の備蓄の促進  ・女性用の備品等は、女性の避難所従事員が配布できる体制づくり  ・女性、子供の悩みやDV被害の相談ができる体制づくり(窓口、保健師等) 項目 地域の防災活動 具体的内容 〇学校、コミセン、まち協等の地域防災上の立ち位置を規定 〇地域における女性防災リーダーの育成 〇まち協、自治会等の役員に男女バランスよく配置 〇地域の防災活動に男女の参加を促進 項目 市職員のサポート等 具体的内容 〇女性管理職の育成 〇子育て中の職員等のサポート体制(特に緊急参集時の子供の預り施策) 〇職員の採用形態を考慮した柔軟な勤務体制の構築 〇庁内横断的な女性ネットワークの活用(連絡調整、困りごと相談、情報共有等) 〇職員の防災意識の維持・向上のための防災研修の継続実施 〇災害時、男女共同参画センター等により構成される相互支援ネットワークの活用 ■第2回 ジェンダーと防災に係る専門委員会議における主なご意見 防災に関する地域との連携について * 避難所は人を収容するのみではなく地域の拠点の場。市役所職員で全て対応するのは難しく、地域の人にも役割を持ってもらう必要がある。訓練で役割を固定化するのではなく、多くの役をやってもらうことで柔軟な対応が可能になる。また、発災後3日間の初動期間、3日経過後の落ち着いた段階で求められる役割は異なるため、時間軸で対応を考えていく必要がある。[浅野委員] * 行政・地域・学校の役割分担の中で相互扶助の関係ができると良い。[本塚座長] * 藤江は校区が広いため、高齢者は指定避難所(小学校)への避難が難しく、結果公民館や集会所等に避難する可能性が高いが、このような場所にも備蓄品を配備・配送することはできないか。[大野委員] * 時間軸で対応を考えていくという話が出たが、保健師の役割として、発災直後は救急医療対応、その後生活確保の段階に移行する時、必要となるのがジェンダー視点。また住民に避難所の実際の映像を見ていただく等、当事者目線を持ってもらうことが重要。[真邊委員] * 学校が避難所になることは認識しているものの、学校側の意識はどうしても教育現場の維持・授業再開に行くと思う。[古川委員] * 時間が経つと避難所は統合・閉鎖されることになる。子どもたちの学びの場である学校の教育活動再開のために早く次のステップに進むことは必要であり、避難者もそのスケジュールを認識してもらった方が良い。また全てを自分の地域で抱えるのは限界があり、外部の力を借りることも肝要。子育て支援センター等の専門職や社協、自治会、PTAなど。[浅野委員] * 近年は地震が起きても全壊家屋が減る傾向にあり在宅避難も増えているため、これらの情報発信や支援窓口の一本化も検討した方が良い。[浅野委員] * 今まで明南高校では子供たち向けの活動が多かったが今後高齢者施設向けのゲームや活動も実施ししていきたい。防災は堅苦しいイメージがあったがジュニアリーダーの活動はとにかく明るくワイワイやっている。「楽しく防災」を心がけている。[堀委員、杉本委員] * 楽しく活動している雰囲気は重要。今年11月には藤江校区で明石市総合防災訓練を行う予定だが、楽しく活動していれば自然に周りのメンバーも集まってくる。[大野委員] * 明石高専の防災団のキャッチコピーも「防災って実は楽しい」。楽しみながら自分のために活動することで、繋がりやそれぞれの役割分担が見えてくるのかと思う。[本塚委員] DV被害・児童虐待の現状と災害時に求められる対応 * 災害発生時、女性や非正規雇用労働者、子ども等に対して影響が大きい点は、まさに今のコロナ禍でも共通しているように感じる。DVや子ども虐待は災害時に増える傾向があると想定される。[本塚座長] * 避難した子どもは自分の気持ちをうまく表現できない懸念もある。大人は子供たちが話すことを否定せずに聞くことがまず重要。例えば、避難所には最初から子どもの遊び場を用意するのも一案。その中で虐待やDVに気づくきっかけになるかもしれない。[佐野総合支援担当理事] * また、被災した保護者は、孤立がストレスを生んで誰にも相談できない場合も想定される。誰も取り残さないためには災害ケースマネジメントが重要となる。明石市では様々なネットワークがあるので、災害時にも活用できたらよい。[佐野総合支援担当理事] * 教員がどれだけアンテナを高く上げられるかも大事。そのためには研修等を通じて具体のケースを知ることがサインに気づく一助になると思う。[古川委員] * コロナ禍で、子供も親もストレスを抱えており、また接触ができないため虐待を防ぐ手立てが取りにくい。普段以上にアンテナをはる必要がある。[真邊委員] * 現状明石市の児童虐待やDV担当部局が支援部に割り振られている。発災直後はともかく、災害が落ち着いた段階に市役所職員が効果的に動けるため、災害対策本部機構図は見直しが必要だと思う。[浅野委員] ■第3回 ジェンダーと防災に係る専門委員会議における主なご意見 * 防災において、災害弱者といわれる方たちが災害弱者にならないように前向きな議論をお願いしたい。地域の避難訓練だが、車椅子、バギー、どのような経路で移動されるか、どこが障害になるのか検証されない今の防災訓練に疑問が残る。これでは参加する意味はないように感じる。地域によっては避難所での模擬訓練、障害者施設と連携して訓練している自治体もあると聞く。地域の方に存在を知ってもらうことも必要だが、地域格差があること、地域によって訓練内容が違うこともおかしい。親が率先して参加させる努力も必要だと思うが、迷惑や負担になるか、ためらいがあり線引きが難しい。個別避難計画作成が3年前から始まっていると聞いたが初耳だった。災害対策基本法の一部改訂で努力義務になったことを知った。今回、福祉避難所へ多くの施設が登録されたことに感謝したい。災害時にはスムーズな開設と避難を希望する。災害対策は多くの分野を踏まえて議論されることも必要不可欠。よい意見が交わされることを期待する。[肢体不自由児者父母の会 中嶋会長(代読)] * 視覚障害者の観点から、ワークショップの中での1箇所(資料3のP11盲導犬連れなので避難所に行けない)を訂正してほしい。明石市では盲導犬の啓発はかなりされている。店でも断られたことはない。災害時、我々はできないことから考えてしまう。明石市の人口は65歳以上が約3分の1。若者を何らかの形で任意登録して、発信力がある若者にSNSで発信してほしい。災害時、まずは自分ができることを考えることが必要である。[明石市視覚障害者福祉協会 山下会長] * 身体障害があり大久保小学校区の自治会役員をしている。自治会役員に障害当事者は殆どいない。坂もあり、校区が広いので小学校まで避難することが難しい。個別避難計画作成は、明石川の近くに住んでいる方だけでなく、人口の多いところから実施してほしい。自治会によっては高齢者しかいないので助け合いが難しい。スクールガードを9年近くやっている。顔見知りの小学生が増えて、積極的に自治会活動に参加してくれている。その親達も一緒に参加してくれるなどよい循環が生まれている。[明石市身体障害者福祉協会 増田会長] * 災害時要支援者名簿は基本的に療育A判定が対象だが、理解や状況によって異なるため柔軟な対応をお願いしたい。障害の程度は人により様々であり、避難所に行った時のサポートは身近な障害支援者でないと難しいため、避難所生活はハードルが高い。赤ちゃんの声でパニックをおこす子もいるなど、個別の状況の把握がなかなか難しい。東日本大震災時は、避難所でないと物資がもらえない状況だった。今後は在宅避難者の支援をお願いしたい。阪神淡路大震災時、朝から夜まで外で働いていたため地域コミュニティに関われず、積極的に自分から関わっていくことが大事だと感じた。知的障害者は防災訓練に参加することが難しいものの、できるだけ参加したい。[明石地区手をつなぐ育成会 四方会長] * 聴覚障害者は、日常生活の中で工夫すればなんとか自分で生活ができる。災害時は情報が重要だが、自分の力で情報を取ることが難しい(広報車等のアナウンス)。インターネット等も活用した情報発信も積極的に行ってほしい。数年前、地域の防災訓練に夫が初めて参加したが、お客さん扱いされ、気を遣われてしまった。客としてではなく自分にも手伝えることがあるのではないかと気づき、ダンボールベッドを地域の人に教えてもらいながら作った。障害があるから遠慮するのではなく、各自できることがあるので今後も積極的に参加したい。地域の人に存在を知ってもらうことは大事だと思う。[明石ろうあ協会 岸田様] * 精神障害者は、特性として災害時にパニックを起こすことが懸念される。精神障害にも種類がいろいろあるが、引きこもり、身内がいない、発達障害など、いざというときに助けてほしいと言えず、災害時に助けてもらえない懸念がある。民生委員の方には日ごろから精神障害の特性を知ってもらいたい。小学生向けの啓発が大切で、地域との関わり合いがとても大事になってくる。体験型の避難訓練を自分たちで経験することが大事。災害が起きた場合、薬の確保、病院とのつながり、訪問看護師との連携を考えてほしい。デジタルに不慣れな人もいるのでアナログ対応も必要だと思う。精神障害者の特性上、団体生活である避難所生活は難しいと思う。[明石ピアポの会 横山共同代表] * 共助の体制はすでに取り組んでいる。住民の要望としてあった防災対策を最優先課題として自治会単位で取り組んでいるが、校区全体としてできることは殆どない。今崎野地区をモデル地区として月1回集まり、共助の体制づくりを考えている(見守り隊を全住民に募集し現在27名で活動中)。見守り活動の中で心配されるのは、足腰が弱ったというより認知が進んでいる高齢者が一定数いること認知が進むとお互いに助け合えないため、積極的に地域活動に参加してもらうなどして認知にブレーキをかけたい。先月の障害当事者の方々を交えたワークショップに参加して、参加学生たちが地域に愛着を持っているのを実感した。高齢者の要支援者を見つけることも大事だが、世話をしてくれる若者を見つけるのも大切。 [大野委員] * 高校生として、小中学生等に対して、災害時の避難方法や避難所運営でできること等を身につけてもらうことがある。将来起こり得る南海トラフ大地震を考えると、避難所運営は現在の小学生が担うことになるのでは。前回の会議の中にあったが、知識としてだけでなくゲームなどを通じて実感を持ってもらうことが大事今後は、実際に障害者の方々に会って話を聞くことで防災ゲームの見直しをしたい。また、私たち自身も、自治会活動や防災訓練に積極的に参加したり、怪我人の手当や用具の運搬等もサポートできる。[堀委員、和田委員] * 昨年の夏に和歌山市で水道管が破裂して断水した際に、被災者でもある和歌山大学の学生が高齢者宅に水を届けた事例がある。一緒に活動することで会話が生まれてお互いを分かりあえた。対話の重要性を感じた。[本塚座長] * まずは地区のデータの共有が必要。私が関わっている自治体では地区カルテを作成しており、人口動態、要介護者の認定数、避難行動要支援者の数、名簿記載同意者数などを各校区で出している。人数が具体的に分かると議論がしやすい。また、災害時に時間軸で起こる問題はだいたい分かるので、時系列が頭に入っていれば議論が進みやすい。防災訓練の底上げのみでは自治会の負担も増えるので、オリンピック方式で、大きな訓練は4年に1回でも良いと思う。その際、自治体内部や、障害者団体との連携も重要となる。訓練当日の顔合わせでは急に対応できない。事情が分かって訓練につきあってくれる障害当事者を団体から地域へ紹介することも必要だと思う。[浅野委員] * 時間軸の話が出たが、フェーズによって避難所生活で必要な状況やニーズは変わってくる。その中で保健師はどう活動していくか。救える命をどう医療に繋げていくか。避難所の中にいる要支援者をどう見つけて行くかという課題がある。更に医療や心のケア、DMAT、保健医療の活動チームは全国から派遣される組織であるため、情報の共有が大事である。1つ提案があり、個別避難計画作成が進んでいるが、避難するにあたってどこに避難するか、避難するまでの情報に加え、どこの病院がかかりつけか、どんな薬を飲んでいるか避難するにあたって重要な情報なので、避難後でも活用していけたらよい。[真邊委員] * 増田委員のスクールガードの話を聞き、学校側はお世話になるばかりではないと感じた。学校は、教員は日頃からインクルーシブ教育を推進する立場でもあり、保護者世代含め交流し、小さなコミュニティを作ることで災害時に助け合うことができると感じた。障害のある子にとって居心地がいい環境を作るということは、誰にとっても居心地のいい環境であり、避難所設営にあたってそういう精神を発揮してほしい。コミュニティスクールの推進等により、地域に開かれた学校を目指す流れとなっている。子どもだけではなく地域の方々が学校を核として絆を深めコミュニティを作っていくことで、避難所を設営した時に円滑な避難所運営ができると思う。 [古川委員] * 災害はいつどこで起こるか分からない。近年、線状降水帯の発生など突発的な災害が多く発生している。訓練が大事だということが分かったが実践的な体験が必要だと思ったので、現実のシミュレーションに従ってやっていきたい。[明石市視覚障害者福祉協会 山下会長] * 防災訓練は展示的に行われていることが多い。実際的で、本当に必要な訓練を行う必要があるため、ぜひ取り組むべき。また地域を牽引していく人材も大切で、ハブ的な役割が果たせる人を発掘し、育てていくことが重要。地域の中心にいて様々な情報を収集・発信し、人と人、組織と組織を結び付けていくことができるような人、今ここにおられる大野委員のようなタイプの人材を育てていくべき。その意味では、今回参加してくれている明石南高校の3人の生徒さんは将来きっとハブの役割を果たしてくれると思う。会議での結論も大事だが、人の育成やネットワーク作りも、とても大事である。[木下委員] ■第4回 ジェンダーと防災に係る専門委員会議における主なご意見 提言書全般に対する意見 * 私個人としては、あまり防災を前面に出すのではなく、あくまで防災は「まちづくり」の一つの側面だという考え方を持っており、その考えが伝わる提言書にしたい。[本塚座長] * 会議やワークショップを通じて出た意見について、提言書本文に盛り込み切れていないものもあるため、提言書の別冊として残しておいてはどうか[本塚座長、事務局] * 全ての人に優しいというのは、全ての人を単純に支援してお客様にするのではなくて全員立場があって、みんなができることをやって本当に必要な人を助けることである。明石は現在子育て層を中心に流入が続いているが、これら方々がもっと明石に興味を持って、地域を良くしようという考えになってほしいと思っている。[本塚座長] 提言書の第2章(地域における防災力の強化)に対する意見 * 市内28校区のまち協の取組みには温度差があり、各まち協に防災対策やってね、と伝え任せっきりにしても動かない部分もある。例えば、ジェンダー視点の防災という切り口で、まち協の担当や学校、看護師や保健師、学生等が集まって、年2~3回くらい集まるコミュニティ(会議体)を立ちあげることで、自然に防災リーダーが育成されてくるのではないか。[木下委員] * 同意。地域コミュニティの外にいる人達も取り込む仕組みが有用。地域以外のところからも活動に入れる場を用意して、それを将来的に地域活動に繋げるプロセスがある良い。専門職や障害当事者等、ジェンダーと多様性の視点からメンバーを考え、例えば5年間等と期間を区切って続けてみてはどうか。[浅野委員] * 地域としては「共助」が大事だと思いつつ、自治会が高齢化する中、いざという時高齢者同士で助け合うのは難しい。今回の会議を通じてもやはり若い力が大事だと痛感した。[大野委員] * 若い世代が自治体に入らない傾向は将来も続くと思われる中、テーマ別に気軽に参加できる枠組みがあると良い。また、各個人が抱える問題も貧困や虐待、生活再建等複雑化する中、地域の力のみに頼るのは限界がある。専門性のあるボランティアやジェンダーや多様性の枠組みで関りを持っていただけそうな方等外部の力を借りることも有用。[浅野委員] * 自分自身退職して地元に戻り、自治会に入ることへのハードルを感じている。皆様が言うように新参者でも活動に気軽に参加するきっかけがあると良い。[木下委員] * リーダーを担う女性をサポートする体制を整えることも必要だと思う。木下委員が冒頭離されたように、別の地区でも頑張っている仲間や気軽に相談できる専門家のネットワークがあると良いと思う。[真邊委員] * 若い世代が地域に関わるという意味では、防災に特化せずに地域の行事をフックにして、まずは気軽な気持ちで参加してもらうのが良いと思う。[杉本委員] * ハンドブックは「防災」に特化しすぎるのではなく、多様な方が参加する地域活動の入口になったら良いと思う。組織の工夫や行政とコミュニティの役割分担。そして何より被災直後から復興にかけて、具体にどんな問題が起こるのかという想像力。このあたりがハンドブックも通じて関係者で認識共有できていると、議論がしやすい。[浅野委員] * 「防災」に特化しないのは賛成。防災のために実施するというと堅苦しいし嫌がる人も多い。海岸清掃や炊き出し等色々な地域活動が実は防災に繋がっているし、住民にとって楽しそうで参加したくなるものが良い。[本塚座長][木下委員] * 地域カルテには基礎データ以外に、各校区の魅力も記載してはどうか。神輿や祭りなど、地域側が新しい人々の参加が大歓迎、ということを伝えたい。[大野委員] * ハンドブックには、他自治体の被災事例や阪神淡路大震災時の実例等も織り交ぜたら良い。[本塚座長][浅野委員] * 若い世代の防災意識の啓発について、今の学生はデジタルネイティブ世代なので、啓発ツールもタブレットやスマホを使ったものが良いと思う。また、学校の授業への防災教育の取入れも有用。[和田委員] * 前回の会議の後、明石南高校のメンバーにタブレットの防災クイズの作成を相談したら早速作ってくれて感謝。これから鳥羽小学校でも取り入れたい。[古川委員] * 保護者世代にも地域活動に参加してほしいが、共働きも多く中々難しい。例えば夏休みの宿題で防災関連の課題を出して家庭で考えてもらう等、学校と連携して進められるのが理想。[大野委員] 提言書の第3章(ジェンダー平等の視点にたった避難行動及び避難所運営)に対する意見 * ハンドブックや避難所運営については、まさにマニュアルよりも発想が大事。避難所に来た住民が「自分たちはお客様」ではなく、「お互い一緒に避難所運営していこう」という考えになってもらうことがとても重要。 * ハンドブックには、他自治体の被災事例や阪神淡路大震災時の実例等も織り交ぜたら良い。[本塚座長][浅野委員] * ある程度落ち着いてきた段階で、避難所毎の評価(アセスメント)を実施するべきではないか。衛生問題や感染問題、生活再建問題等、各避難所を同じ視点で見て回ってその結果を可視化する。避難所運営はマネジメントが命なので全体を俯瞰してみる仕組み、姿勢が重要。[木下委員] * 都市化が進んでいる現況下では、要支援者のサポートを個別支援計画のみで行うのは難しい。例えば、発災後は市役所や地域でもっている名簿等を活用して、行政や専門ボランティア等が定期的に対象者宅を巡回して取り残されている人がいないか確認する、前回参加いただいた障害者団体の方に協力いただく等。[浅野委員] * SNSも活用すれば、在宅で孤立した方が声を上げやすいのでは[本塚座長、堀委員] * 保健師の巡回の際に避難所のレイアウト等もアドバイスさせていただくことがあるが、保健師巡回までどうしても時間がかかる。ハンドブックの活用も良いが、ハンドブックすらない状況も考えると、避難所開設のための「アクションカード」を作成しておいたらどうか。[真邊委員] * 保健師が在宅避難者を巡回しているフェーズでは、既に地域の方が隣保の関係で見回りをしている状況が想定されるので、その情報を共有できると非常に助かる。また地域から情報を吸い上げるだけでなく、公共側の動きも積極的に発進するべき。[真邊委員] * 外部ボランティアの記載があるが、ボランティアにも様々な種類があることを想定しておいた方が良い(近隣/遠方から、専門知識の有無等)。また相談体制について、行政内の連携は勿論のこと、民間との連携も必要であり、これは平時から体制を築いておいた方が良い。[浅野委員] 提言書の第4章(市職員が災害対応に安心して取り組める環境の構築)に対する意見 * 現行の市の災害対策本部も機能的にはなっているものの、本会議で議論した論点を踏まえると、更に改善の余地があるのかと思う。[木下委員] * 地域からしても、公助に任せっきりにするのではなく、お互いさま、市の職員がちゃんと休んで構わないんだよ、お互いできることをやりましょう、というスタンスが伝わったら良いと思う。[本塚座長] * 「安心して」という文言は違和感がある。災害時に安心して対応できる人なんていないと思うし、無理をするなといっても無理をしてしまう。「効果的に」という文言が良いのでは。[木下委員、浅野委員] * 子どもを預けられる環境は、市民にも配慮すると、庁舎内だけでなく避難所にも設置した方が良いと思う。[本塚座長] * 職員が辛くても誰にも相談できないということが無いように、メンタルヘルスも含めた職員の相談窓口があった方が良い。また泊まり込みも想定した職員向けの備蓄食料(1週間程度分)も重要だし、自宅での備蓄物資についても呼びかけた方が良い。[本塚座長、浅野委員] * 応援と受援はセット。被災地への応援に行くことで災害を自分事として捉えられる。その際に、明石市らしさとして、ジェンダーの視点も入れた応援ができたら良いと思う。[浅野委員、本塚座長] 第3回 ジェンダーと防災に係る専門委員会議 当事者を交えたワークショップ等で見えてきた課題 (障害者・要配慮者の防災対策) ■障害者・要配慮者の観点からの防災対策 ワークショップの開催結果 ・今年4月25日(月)16時~18時で、障害当事者を交えたワークショップを開催しました。 ・合計32名が参加し、障害当事者(肢体、聴覚、視覚、精神、知的)10名の他、支援員や神戸学院大や明石高専の学生などが参加しました。 ・議論したテーマは、災害が起きた時の避難方法、避難所生活でこまりそうなこと、自宅での在宅避難時にどんなことに困るか。 まず最初に、災害が起こった場合の避難先について参加者に尋ねたところ、障害があるかたは、そうでないかたに比べて自宅での避難を選ぶ傾向が強いことが分かった。 次に避難所への避難について尋ねたところ、障害のある人は避難所に行くまでにも次のような困難があるという意見があがった。 (視覚障害者の意見)いつも通っている道路が通れれば避難できるが、陥没・瓦の落下や電柱倒壊等がある場合、迂回路を使う必要があり、一人で避難は困難 (肢体障害者の意見)道路が陥没していたら車いすでの避難は困難 (聴覚障害者の意見)市内アナウンスや掛け声が聞こえない。深夜の豪雨などはオトに気付かないため、災害が起きていること自体を認識できない不安 (精神障害者の意見)移動手段が困る。車を利用したいが渋滞することを心配 これに対して、自分たち、地域、行政で次のようなことができるのではないか、議論をしたところ、次のような意見があがった。 ・近所同士が車に乗りあって避難する ・学生・体力のある人は、住民の荷物や人を運ぶサポートができる ・地域での情報の共有・伝達 ・懐中電灯や防災バッグを準備しておく 次に避難所に避難した際に困ることについて尋ねたところ、障害のある人は避難所で次のような困難があるという意見があがった。 (視覚障害者の意見)トイレや更衣室にたどり着きやすいよう、体育館に避難するなら入口付近の場所だと助かる (視覚障害者の意見)福祉避難室があれば利用したいが、具体の想像がつかない (知的障害者の意見)盗難被害が心配、困りごとの相談を誰にしてよいのか不安、普段と違う環境でパニックになってしまう (肢体障害者の意見)トイレに時間がかかるため、周りに迷惑をかけないか不安 (精神障害者の意見)同居家族が足が悪いため、トイレのバリアフリー対応(ポールがついている、介護人も入れる大きさなど)を希望する 障害者以外からも次のような心配の声があがった。 ・高齢者はトイレが昼夜問わず近いひとが多いので、十分なトイレの数があるか、また夜でもトイレに行きやすい環境かが不安。 ・更衣室やできれば簡易なものではなく個室が良い。 ・介護食や処方やくが必要なため、避難時の対応が心配。 ・子どもやペットを連れていると騒がしくしてしまうため心苦しい。 このような避難所でのお困りごとに対して、自分達、地域、行政で何ができるか議論をしたところ、次のような意見があがった。 ・知的や精神障害は一見すると周りに見えづらい。本人の「説明書」のようなものを用意しておいたり、大声やだどうに対する周囲からの理解があると安心できる。また指示は単純にするなど、伝えかたの工夫も必要。 ・見回りなど、避難者同士で役割分担をすれば行政の負担が減る。学生も地域に貢献できるので役割を割り振ってほしい。 ・情報伝達を一つの方法だけでなく、音声・文字・絵など多様な方法で行う。 ・携帯の充電切れは致命的なので、乾電池の予備や電池式充電器があると安心。 次に、災害時に避難が困難で結果的に在宅避難にならざるを得ないことについて障害当事者からは次のような意見があがった。 (視覚障害者の意見)阪神大震災の時にも自宅で避難した (視覚障害者の意見)盲導犬がいるので避難じょに行けない (視覚障害者の意見)マンション高層階に住んでいるため、エレベーターが止まらないか不安 (肢体障害者の意見)火事以外の場合は自宅に避難する (知的障害者の意見)阪神大震災の時、親が避難じょをいやがった このような在宅避難時のお困りごとに対して、自分たち、地域、行政で何ができるか議論をしたところ、次のような意見があがった。 ・マンション住民同士、声掛けをする ・聴覚障害者のことを考慮して、フェースシールド(マスクだと読唇ができないため)や筆談ボードを準備しておく ・障害者が住んでいることを伝えるマークを家の外につける。 ・ブロック塀をフェンスに置き換える 次に、在宅避難をするにあたり障害当事者からは次のような心配の声があがった。 (複数の人からの意見)正しい情報がタイムリーに入手できないと困る (視覚障害者の意見)処方やくが入手できないことが不安 (肢体者の意見)断水によるトイレ・洗濯・食事が自分一人でできるか不安。知り合いがいないと心細い (肢体者の意見)体調不良時にどこに相談したらよいか不安 (聴覚者の意見)外部や知り合いへの連絡をどのようにとって良いかわからない さらに、障害者以外からも在宅避難に対して、次のような心配の声があがった。 ・トイレが使えなくなったらどうしたらよいのか。 ・携帯の充電やシルバーカーの充電ができないと困る。 ・処方やくが切れた後に入手できるのか不安。 ・ストックしていた飲み水や食料が無くなったらどうすればよいか。 ・病院や物資に関する情報が必要 このような在宅避難時のお困りごとに対して、自分達、地域、行政で何ができるか議論したところ、次のような意見があがった。 ①ご近所同士の「きょうじょ」 ・地域での情報共有をしあえれば、お互い安心できるのでは。 ・各家庭ごとに足りないものがあれば、近所同士でシェアしたり貸したりすれば良いのではないか。例えば、食料やポケット充電器。 ・子どもの預かり合いやマンション内での声掛けなどをしたら安心できる。 ・物資を取りに行けない人の分は、近所同士で取りに行ってあげてはどうか。 ②自分で備える「自助」 ・備蓄物資を常に家に置いておくように工夫する(水・食料・カセットコンロ・非常用バッテリー等) ・お風呂の残り湯を流さずとっておく。 ③行政の取組み「こうじょ」 ・災害発生時の情報提供について、多様な市民に配慮した方法へ変更してはどうか。